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【幻】モーニン・ブルーズ 2019/01/19

mb190119

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようざいます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2019年01月19日を  

 始めましょう。

  わたしの2018-1029年末年始はいつになく慌ただしく過ごしまして、まだ

 それが続いている感じですが、1月は早くも後半に差し掛かかり、もはや新年

 というよりもすっかり冬の日常が帰って来ています。そこに季節外れ、いや

 季節遅れのこの歌で、今朝は始めましょう。

M01.All I Want For Christmas(Is My Two Front Teeth)(2’18”)Spike Jones

-D.Gardner-  Verve 314 537 367-2

N  「前歯のない子のクリスマス」という邦題が付いていましたか。「オール・アイ・ヲント・

 フォー・クリスマス」、スパイク・ジョーンズでした。唄っていたのは、ジョージ・ロックという

 トラムペットも兼任する大人の男性です。裏声で女形やってるんですね。少女にし

 ては芝居が上手いなあ、と思っていましたが成る程です。40年以上を見事に 

 担がれていた事になります。乳歯が抜けて息が漏れてしまいSの発音がうま

 く出来ない女の子が、「クリスマス・プレゼントには前歯を下さい」と祈る有名な歌で

 す。舌を軽く噛む「th」はどうなんだろうなあ。

  これをお届けしたのは、今日が旧暦の12月14日だからではありません。

 「現」時代には澤田修とのクリスマス合戦に負けて、その罰として1月の終わり頃、

 サンタクロースの衣装で渋谷から青物横丁まで公共交通機関を使って移動した事が

 ありますね。その姿を途中のコムビーニエンス・ストアで見た人が偶然番組を聞いて

 いてくれていて、メイルをくれたのがとても面白かった。ですけれども、それ

 とも違います。実はわたしも前歯が欲しいのです。

  先週末に激しく転んで踏み石の角に顔をぶつけて、前歯を1本折ったので

 すよ。痛かったですよ。上顎の骨が折れたかと思うくらいの激痛でした。見 

 事に左の前歯が欠けました。大事な自分の歯なのに。暗い道で地面に飛び出

 ていた石に足を取られたのです。倒れた時に手を出したんですが、両手にも

 傷を負いました。唇の上にも傷。かなりの出血で、今は乾いて角質化した血

 の塊になっています。カサブタですね。だいぶ形相が変わっていました。顔面の

 違和感は翌日の夕方まで続きました。

  転んでも前歯を失ってもタダでは起きないワツシイサヲです。以上のような理由で

 「前歯のない子のクリスマス」、お聞きいただきました。

M02.More Yet(2’32”) Dan Zanes And Friends feat. Shareef Swindell

-trd. arr.Ledbetter-  Smithsonian Folkways  SFW CD 45083

N  これはダン・ゼインズというアメリカの音楽家の最新アルバム『レッド・ベリー、ベイビー』

 に収められている「モー・イェット」という歌。ダンが子供達と楽しそうに唄って

 います。

  ダン・ゼインズはヌー・ハムプシャー生まれの、グラミーも貰った事のあるフォーク系の歌手。

 このような子供達の歌を得意としていて、「チルドレンズ・フォーク・シンガー」とも呼

 ばれています。その彼がレッド・ベリーの歌を集めてカヴァしたのがこの『レッド・

 ベリー、ベイビイ』。全15 曲を収録。子供たちを対象としていますが、個性的な

 アレンヂ、演奏は大人の聴取にも耐える品質を持っています。

M03.Rock Island Line(2’59”)Dan Zanes And Friends  feat.Billy Bragg

-trd. arr.Ledbetter-  Smithsonian Folkways  SFW CD 45083

N  ダン・ザゼインズの『レッド・ベリー、ベイビイ』から「ロック・アイランド・ライン」でした。

 この歌はロックンロール史上で非常に重要で、特にイギリスではロニー・ドネガンのカヴァが

 圧倒的に受け入られ、不良少年たちの間にジャグ・バンド的なスキフル音楽の大ブー

 ムを生みました。ジョン・レノンが最初のバンド、クオリー・メンを結成したのにも決定的

 な影響を与えています。この歌がなかったら「ロック」は生まれなかったかも知

 れません。

  シカゴを拠点として北米中部を広範囲に走る「シカゴ・ロック・アイランド・アンドパシフ

 ィック鉄道」を題材とするこの歌は、その辺りの主に農業に従事する白人労働者

 や黒人奴隷たちによって伝継されていたものでしょう。1920年代にはだいぶ

 広く唄われていたようです。

  ブルーズ音楽採集家のアラン・ローマクスが刑務所などを回って録音作業をしていた

 時、この歌に出会います。そこに一緒にいたのが服役中のレッド・ベリーという

 黒人。彼はフオーク・ブルーズ音楽家でしたが、何度も傷害などの事件を起こして

 しょっちゅう刑務所に入っていました。アラン・ローマックスは彼の豊富なリパトゥワに

 興味を示し、何曲も唄ってもらい録音資料とします。その中にこの「ロック・

 アイランド・ライン」も入っていました。こんな経緯から、作者がレッド・ベリーである

 とする解釈も成立します。ちなみにイギリスの「左翼」フォーク歌手、ビリー・ブラッグ

 も参加していたダン・ゼインズの今のトラックでも、レッド・ベリーとアラン・ローマクスが作者

 としてクレジットされています。

  では「作者」レッド・ベリーの仕様で聞いてみましょう。この録音は1940年で

 すので、ローマクス録音ではないと思われますが、限りなくオリヂナルに近い筈です。 

M04.Rock Island Line(2’34”)Lead Belly

-Ledbetter, Lomax-    Not Now Music NOT2CD261  

N  「ロック・アイランド・ライン」、レッド・ベリー1940年の録音でした。語りで始めると

 ころはロニー・ドネガンも採り入れていましたね。彼は誰のどの仕様をお手本にし

 たのでしょうか。

  さてアルバム『レッド・ベリー、ベイビー』は、表題からもお分かりの通り、チルドレン

 ズ・フォーク・シンガーのダン・ゼインズがレッド・ベリーの作品を集めて新たに吹き込ん

 だ作品です。正規の名義はダン・ゼインズ・アンド・フレンズとありまして、彼の友

 達が大挙して手伝っています。

  次はヴァレリー・ジューンという黒人女性と一緒に唄った、

  「テイク・ディス・ハマー」。

M05.Take This Hammer(3’15”)Dan Zanes And Friends feat. Valerie June

-trd. arr. Ledbetter-  Smithsonian Folkways  SFW CD 45083   

N  テューバの低音が気持ちいい「テイク・ディス・ハマー」、ダン・ゼインズとヴァレリー・ジュー

 ンでした。このようにアルバム『レッド・ベリー、ベイビー』は、演奏形態、楽器編成

 が独特です。それぞれの楽曲や参加音楽家に合わせて組まれていまして、

 日頃接する事のない音に出会えるのが、とても魅力的。ヘヴェメトーじゃないアクース

 ティク主体なのも良いですね。

  さて、ではもっと原始的なレッド・ベリーの「テイク・ディス・ハマー」を聞いてみま

 しょう。

M06.Take This Hammer(3’00”)Lead Belly

-trd. arr.Ledbetter-    Not Now Music NOT2CD261

N  レッド・ベリーの「テイク・ディス・ハマー」でした。「黒人奴隷の労働歌」という印象

 ですね。これも伝承歌です。

  畑を耕したり綿花を摘む時に労働者たちの集団に歌を唄わせると効率が上

 がる、という法則に白人搾取者は気づいていて、労働歌を積極的に導入して

 いました。日本でもニシン漁の「ソーラン節」とか地固め音頭の「ヨイトマケの唄」とか

 ありますね。掛け声で動きを揃えるのは、確かに効果的でしょう。

  こういう飯場には流れの人間たちがあちこちから様々な節を持ち込みます。

 それらが淘汰されてひとつの力強い歌になって行く流れにレッド・ベリーは敏感

 だったようで、持ち歌はだいたい伝承歌を基に彼が完全な旋律や詞(ことば)

 に置き換えた物ばかりです。それらはいわゆるブルーズ調とは異なっていて、

 陰鬱なブルー・ノート表現も余り見られない、より一般的な節回しで明るい雰囲気

 を持っています。また楽器が12弦ギターだったのもこの「明るさ」に影響を与

 えていますね。「黒いスティーヴン・フォスター」と言っても良いかもしれません。レッド・

 ベリーの持ち歌はこんな肯定的な傾向を持っていますから、子供でも直ぐ一緒

 に唄う事が出来ます。そういう音楽の特質を肯定的に最大限に表出したのが、

 この『レッド・ベリー、ベイビー』アルバムではないでしょうか。

  ではこちらには収められていないレッド・ベリーの重要な1曲をどうぞ。ジョン・

 フォガティは多分相当レッド・ベリーが好きですね。よく分かります。

  クリーデンス・クリアヲーター・リヴァイヴォーがカヴァした「ミドナイト・スペシャル」です。

M07.Midnight Special(3’07”)Lead Belly

-trd. arr.Ledbetter-    Not Now Music NOT2CD261  

N 「ミドナイト・スペシャル」、レッド・ベリー1940年の録音でした。これは深夜に側を

 通り過ぎる夜行列車の前照灯の光を浴びると脱走に成功するという、主に黒

 人を収容する刑務所での言い伝えです。歌の中で「深夜急行よ、俺を照らし

 てくれ」と何度も叫ばれていましたね。レッド・ベリー自身の長いムショ暮らしの経

 験が投影されています。

  先ほど今回のダン・ゼインズの今回のアルバムは「子供たちを対象」にしている、

 と言いました。確かにその通りで素材の選択や編曲も分かり易く押さえられ

 ています。しかし、ダンの意図としては本当は大人に聞かせたい真実も多々あ

 るのではないでしょうか。

  次は父親と子供のガチョウが参加した「ポリウィー」。

M08.Polly Wee(2’00”)Dan Zanes And Friends feat. Father Goose And Little Goose

-trd. arr. Ledbetter-  Smithsonian Folkways  SFW CD 45083

M09.Stewball(3’01”)Lead Belly

-trd. arr. Ledbetter-    Not Now Music NOT2CD261 

N  「ポリウィー」、レッド・ベリーとガチョウの親子でした。続けましたのは、カリフォルニアの

 競走馬を主人公にした「ステューボール」。「こいつに賭けなよ、当たるぜきっと」。

  このような素朴な味わいのレッド・ベリーの音楽、如何でしょうか。充分な説

 得力を持って皆様の心に迫っていると信じております。なんせ子供たちは起

 きてられません、この時間帯は。

  さてレッド・ベリーの持ち歌でこの国で一番知られているのは何でしょう。ほ

 とんどが親しみやすい伝承歌ですから、どれも聞けば「ああ、知ってるよ」

 となりますが、ひょっとしてこれになりますかね。

M10.Cotton Fields(2’08”)Lead Belly

-trd. arr. Ledbetter-    Not Now Music NOT2CD261

N  「綿花畑」でした。これはこの国でも60年代末のフォーク・ソング・ムーヴメントの

 時に多くの人たちが唄った覚えがある筈です。ブラザーズ・フォアかな、定番は。

 わたしはクリーデンス・クリアヲーター・リヴァイヴォーが『ウイリー・アンド・ポーボーイズ』でカヴァ

 した仕様が大好きでしたが、今回のこちらもとても気に入りました。

M11.Cotton Fields(2’53”)Dan Zanes And Friends

feat.Sonia De Los Santos, Elena Moon Park & Jose Joaquin Garcia

-trd. arr.Ledbetter-  Smithsonian Folkways  SFW CD 45083   11

N  ダン・ゼインズがメキシコ人たちと唄った「コトン・フィールズ」でした。彼の地には「メ

 キシコ綿」という特別な素材があるようですから、当然綿花畑で働く人たちも多

 い筈。やっぱり唄いながらの作業でしょうか。英語詞でずっと聞いていた人

 間は当初戸惑いますが、面白い味が出ています。

M12.Bring Me A Little Water, Sylvie(3’07”)Dan Zanes And Friends

feat. Madame Marie Jean Laurent & Ceddyjay

-H.Ledbetter J.A.Lomax, A.Lomax-  Smithsonian Folkways SFW CD 45083  

N  「水をくれ、シルヴィー」、これはレッド・ベリーが外の暑い場所で働いている時に、

 奥さんに声を掛けたのが動機で作られた歌です。「早く持ってきてくれよ、

 聞こえないのか、シルヴィ」「今持って行きますよ」といった遣り取りが聞かれ

 ます。「今やってまんねん、ワレ」。ダン・ザンズは近所のマダム、ローレントと吹き込み

 ました。

  今朝はここまでダン・ゼインズの新作『レッド・ベリー、ベイビー』を軸に、レッド・

 ベリーの音楽を紹介して来ました。まず感じられる印象は、日常の肉体労働か

 ら生まれた音楽の幅の広さですね。それを覚えてちゃんとした形に作り直し

 て行ったレッド・ベリーはやはり大したものです。服役囚と言うよりは、よく働

 いていた人だなあ、という思いが強く残ります。

  では最後に、レッド・ベリー自身の歌で、

  「戦争はもうごめんだよ」、これは「ダウン・バイ・ザ・リヴァサイド」のサビで繰

 り返される句でもあります。

  「エイント・ゴナ・スタディ・ヲー・ノー・モー」、

  そして「コトン・フィールズ」と同格の知名度ですね、「グーッドナイ、アイリーン」。

M13.Ain’t Gonna Study War No More(1’24”)Lead Belly 

-trd. arr.Ledbetter-    Not Now Music NOT2CD261  

M14.Good Night Irine(2’38”)Lead Belly

-trd. arr.Ledbetter-    Not Now Music NOT2CD261  

M15.Coat Of Many Colors(2’56”)Dolly Parton

-D.Parton-  RCA 88985-48348-2  

N  さて突然のコンテムポラリーな響き、ビックリしましたか。これはドリー・パートン。ダン・

 ゼインズ同様やはり昨年に発表されたアルバム『アイ・ビリーヴ・イン・ユー』からです。

 このアルバムも、子供たちに向けて作られたもので、全曲ドリーの新規書き下ろし

 とい うところが特徴。今の「コート・オヴ・メニー・カラーズ」は、母親が端切れを

 集めて縫い合わせて仕立ててくれたコートを「ボロは着てても心の錦」とばかり

 に、「これが誇りなの」と唄います。最終トラックにはこの朗読仕様も収められて

 いました。よくありそうな話ですが、全人類が物質欲で動かされ、消費があ

 たかも美徳として賞賛されている現代には、こういう警鐘がもっと堂々と鳴

 らされて良いでしょう。

  ドリー・パートンの『アイ・ビリーヴ・イン・ユー』は、このように時世時節が流れよう

 と不変の常識を子供達に説いています。次は「トゥギャザ、フォエヴァ」。

M16.Together Forever(2’26”)Dolly Parton

-D.Parton-  RCA 88985-48348-2  

N    出来ない事なんて無いのよ、行けない所なんかも無い

   手に入れられない物だってない、一緒に居ればね

   あなたとわたしは側にいる限り、大丈夫

  こう在りたいですが、そうはうまく行かないのが世の常、人の慣い。余 

 りに楽観的では在りますが、ごもっとも。本当に小さな事でも、何か希望が

 ないと誰も生きては行けません。世界を手中に収めるといった大それた野望

 ではなく、目の前の些細な事から「カイゼン」して行こう、という事でしょうか。

  このように肯定的に物事を捉えるには、逞しく強靭な想像力が必要不可欠

 になります。そこで、次の歌。

M17.Imagination(2’23”)Dolly Parton

-D.Parton-  RCA 88985-48348-2  

N   あなたも自分自身で大いに想像力使わなきゃダメよ

   ほら、ここへ来て一緒に歌を唄いましょう

  はい、同じように致します。俺の明日、本当に大丈夫だね・・・。

  こういった翳りのない正当な主張満載の『アイ・ビリーヴ・イン・ユー』、「この、

 わたしにとって初めての子供達への作品を誇りに思うの」と語るドリー・パートン

 です。「想像力の図書館」という言葉も使って、人類の素晴らしい明日を唄い

 上げています。ハスから眺めるとつい興醒めしてしまうこういった主題ですが、

 シラけずに13曲を仕上げて1枚の通した作品にした能力は、評価に値するでし

 ょう。

  先に紹介したダン・ゼインズの新作に較べると、アレンジと演奏がちょっと物足

 りない部分もあります。また、これを母国語ですぐに理解できる人たちはど

 う聞くのでしょうか。更にはドリーはトラムプ大統領をどう考えてんだろ、そんな

 事も気になりました。

  「君たちには無限の可能性がある」という祝辞をいやというほど浴びせら

 れた新成人の皆さん、「可能性」というは良い事だけではありませんよ。悪い

 事だって充分に可能性に含まれています。お気をつけ下さい。

M18.やぎさんゆうびん(2’19”)ザ・フォーク・クルセダーズ

-M.Mado, I.Dan-  東芝 CTP-9022

N  決してこの時間帯に起きていない子供たちへ特別仕様でお送りしている

 2019年1月19日早朝の「幻」モーニン・ブルーズ、ザ・フォーク・クルセダーズで「やぎ

 さんゆうびん」をお聞き頂きました。

  このナンセンスは素晴らしいですね。13歳の時に気づいて以来、わたしの推奨

 子供用歌曲の筆頭になっています。正に子供向けの編曲、上手くないユニゾン歌

 唱も冴え渡る仕上がり。全てがナンセンスで成立しています。皆さんも大いに唄っ

 て下さい。

  子供たちへの音楽と言えば、これも忘れちゃいけません。

M19.悪い星の下に(2’49”)アルバート・キング

-B.T.Jones, W.Bell-  ワーナー  WPCR-27525

N  アルバート・キングの決定的な「悪い星の下に」でした。ブッカーTジョーンズとウイリアム・

 ベルの作で、発表は1967年。クリームがカヴァして、それをザ・ゴールデン・カップスが

 コピー的に演ってました。

  80年代から続いているアメリカの子供向けテレビ漫画で「シムプスンズ」というのが

 ありますね。放送開始直後にサントラCDが出ていて、興味本位で聞いてみたら、

 全トラックが本格的な演奏で驚きました。決して子供専用ではなかったのです。

 そこにこの「悪い星の下に」が入っていて、これにもやられました。今のアルバ

 ートのオリヂナルではなかったのですが、わたしは「成る程こういう事だ」と大い

 に納得出来たのです。

   悪い星の下に生まれて

   赤ん坊の時に這い始めてから

   ズーッとダメでサイテーな人生さ

   悪運と揉め事だけが友達で

   俺は幸運とはムカンケーなんだ

  ウイリアム・ベルが殆どを書いた詩でしょう。多分にブルーズを観念的に捉えた作

 意も伝わりますが、多くの人にとっては事実です。

  こういう人生がある事を人間は子供の時から知っておく必要がある、わた

 しが納得した理由はこれです。この時「シムプスンズ」にその思想があったかど

 うかは定かではありませんが、世の中の実態を幼い頃から知っておくのは大

 切です。世の中はソーリダイジンからして嘘つきな悪い奴らだらけで、隙あれば騙

 される。子供は常にその標的にされ利用され続けている。そして更には、子

 供たち自身が成長してからその種の悪い人間になる「無限の可能性」を持っ

 ているのです。

  特に日本では、子供に「明るく輝く楽しい未来を健全に生きましょう」と

 しか教えない。特に音楽に酷い勘違いがある。文部省唱歌や創作童謡がその

 骨頂です。そこに歌われている美しい世界はどこの事なのでしょう。しかも

 殆どが手抜き。「まだ子供だから・・・」じゃなくて、「子供のうちに」教え

 とかなきゃいけない、キビシイ浮世のサダメがあるのです。子供を舐めちゃいけな

 いよ。わたしは常に自戒しています。アルバート・キングで「悪い星の下に」でし

 た。

M20.バルトーク「子供のために」II(2’58”)ゾルタン・コチシュ

-B.Bartok-  フィリップス   PHCP-5305

N  お聞き頂いたのはバルトーク作のピアノ曲集「子供のために」からその第二曲、

 「アレグロ」、「アレグロットー」そして「アレグロ」、演奏はゾルタン・コチシュでした。

  昨年末からこの大作曲家の著作を読んでいまして、難しい上に引き合いに

 出される音楽を知らないもので全然はかどらないのですが、ちょうどダン・ゼ

 インズの新作に接した頃、「子供のために」という作品がある事を知り、これな

 ら分かるかなと、聞いてみました。正直言って、まだピンと来ないですね。今

 の第二曲には「Are You Sleeping ?」という歌詞で、中学校の英語の時間に唄

 わされた歌のメロディと似通ったモチーフがあったので印象に残りました。その程度

 でしかありません。

  今世紀の大作曲家バルトークは都市の音楽界に対して民族音楽の重要性を訴え

 た勇気ある男で、わたしが著作を読み始めたのもそこに起因する訳ですが、

 「子供のために」のようなシムプルな作品でも、未だによく理解出来ません。本

 人によれば、これらのピアノ曲は初心者の練習用に書いた、との事です。その

 割には非常に高度な理解力、表現力を必要としますね。全然「チイチイパッパ」じ

 ゃない。分からぬままに。これから先、もう少し聞き続けてみましょう。

  それでは今朝はバルトーク ピアノ曲集「子供のために」から、その第九曲、第十

 一曲もお聞き下さい。同じく演奏はゾルタン・コチシュです。

M21.バルトーク「子供のために」IX(3’48”)ゾルタン・コチシュ

-B.Bartok-  フィリップス   PHCP-5305

M22.バルトーク「子供のために」XI(2’01”)ゾルタン・コチシュ

-B.Bartok-  フィリップス   PHCP-5305

M23.Miss Midtreated(4’29”)イナ・フォルスマン        

-unknown-  BSMF 2644

N   これまた突然のマイナー・ブルーズは、イナ・フォルスマンの新作『ビーン・ミニング・トゥ・テ

 ル・ユー』から「ミス・ミストゥリーテド」です。ジャニス・ジョプリンが唄いそうですね。今

 回のアルバムの中で、最も大向こう受けするでしょう。先週もお伝えしました通

 り、イナ・フォルスマンはグッと成長してまして、器が大分大きくなりました。それが

 実際に伝わって来ます。気持ち良いですよ。今の「ミス・ミストゥリーテド」を聞いて

 いても、微妙な抑揚付けが自然に出來ている。こんなに急に上手くなるもん

 でしょうかね。悪魔に魂を渡したのかな。

  さて、前作までの流れで来ている「ミス・ミストゥリーテド」のような作品があるか

 と思えば、こんな新境地も開拓しています。

  目を閉じれば、バート・バカラック作品を唄ったアリーサ・フランクリンが浮かんで来ます。

  「オール・グーッド」。

M24.All Good(4’51”)イナ・フォルスマン  

-unknown-  BSMF 2644

M25.Wichita Lineman(3’41”)James Taylor

-J.Webb-  Hear Music 088807238299 

M26.How Sweet It Is(3’39”)James Taylor 

-Holland, Dozier, Holland- Warner Bros 3113-2

TM Born In Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  冒頭でお伝えした「事件」とは別の理由で、今週は某国立病院に通っていま

 した。他の入院患者も一緒の大部屋では会話も控えなければいけませんが、

 一人部屋からは、テレビなどの音声が聞こえて来ます。ある個室の前で耳にし

 たのが、今の「ウイチタ・ラインマン」でした。しかも始めはオリヂナルのグレン・キャムベルで、

 次にジェイムズ・テイラーのカヴァが続きました。音楽好きな患者さんなのかも知れま

 せん。

  わたしも家に帰ってから聞き直しました。素晴らしい詩情を持った、実に

 深い味わいの名曲ですね。グレン・キャムベルのオリヂナル仕様も秀逸なんですが、昨

 今はどうしても「スカッと爽やかコカコーラ」を繰り返す『ライヴ・イン・ジャパン1975』

 のC調さを連想されてしてしまうので、こちらの真面目なJ.T.仕様の方が楽

 曲に相応しく聞こえて来ます。ジェイムズ・テイラー2008年発表のアルバム『カヴァズ』

 からでした。

  その昔、わたしがジェイムズ・テイラーに教えて貰ったカヴァ・ソングといえば「ハウ・

 スウィート・イティーズ」でして、マーヴィン・ゲイやジュニア・ヲーカーのよりも気に入っていま

 す。今でも聞くことが多いですね。

  今朝の最後はジェイムズ・テイラーで、

  「ウイチタ・ラインマン」と「ハウ・スウィート・イティーズ〜君の愛に包まれて」でした。

  さあ、26日までに前歯は治るかなあ。このまま皆さんにお会いするのは恥

 ずかしい。ヒカルゲンジは、見るも無惨な丸潰れです。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/2fd4cae2c7322abf43841e61a74dbf93b5404319

  ダウンロード・パスワードは、pn43e0m5です。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

♪♪ Twitter “#blues761″の閲覧はコチラ♪♪

Awesome Rock【2019/1/18 O.A.】Playlist

今夜は、激音轟音プログレメタル+エレクトロの先端を走るバンド、
BORN OF OSIRISの最新作『THE SIMULATION』を紹介!

M01: Break You Down  /  H.E.R.O.

M02: Mind Your Manners  /  SLASH

<コーナー: AwesomeRecommendation>    

M03: Follow the Signs  /  Born of Osiris

M04: Cycles of Tragedy  /  Born of Osiris

M05: Recursion  /  Born of Osiris

M06: Analog In A Cell  /  Born of Osiris

M07: Silence The Echo  /  Born of Osiris

<コーナー: AwesomeRecommendation>終わり

RADIO NEXUS【2019/01/14 O.A.】Playlist



PLAYLISTはこちら→
https://au.utapass.jp/channel/campaign/4twXmmORw9MjTHpOhO

毎週月曜21時~22時までRADIO NEXUS(レディオ・ネクサス)という音楽番組で“ロックとメタル”をテーマに爆音とトークをお届けします。


「アーティストやパーソナリティが自由に発信できる場」をコンセプトに無料で楽しめる音楽ラジオステーション「Backstage Café」が、2018年11月1日(木)に開局!
観覧可能な公開収録スタジオも東京・原宿にOPENしました。

「Backstage Café」は30組以上のアーティストやパーソナリティ、また株式会社ナターシャを始めとするパートナーメディアが、メジャー、インディーズそして音楽ジャンルや時代に関係なく、今本当に聴きたい曲、聴かせたい曲を自らセレクトしてお届けします。

毎週月曜21時~22時までRADIO NEXUS(レディオ・ネクサス)という音楽番組で“ロックとメタル”をテーマに爆音とトークをお届けします。

◆インターネット音楽ラジオステーション「Backstage Café」◆
https://backstagecafe.jp/  ※聴取方法などはウェブサイトをご確認ください(アプリ、またはウェブサイトから聴けます)。
澤田修の完全監修番組”RADIO NEXUS”。
選曲、編集、トーク、全て担当!
毎週月曜日21時~22時。番組再配信 毎翌週土曜 18:00〜19:00。
※同時間帯に特番などが入れば再配信は中止します。



Real Rocks 【2019/01/12 O.A.】Playlist

1月12日のREAL ROCKSは、SLASHのベスト作品

『Conspiracy Series Volume1』

を紹介!ロケンロー!

M01: Cross Off Feat. Chester Bennington / Mark Morton

M02: My Whole World Stopped Without You / Vintage Trouble

<コーナー: RockAroundTheWorld>

M03: Up All Night / Beck

M04: One Foot / WALK THE MOON

M05: Thought Contagion / Muse

M06: Say Amen (Saturday Night)  / Panic! At The Disco

M07: Feel It Still              / Portugal. The Man

M08: Africa / WEEZER

M09: Live In The Moment / Portugal. The Man

M10: Whatever It Takes / Imagine Dragons

M11: Sit Next To Me / Foster The People

M12: Broken / Lovelytheband

<コーナー: RockAroundTheWorld >終わり

M13: Mantra / Bring Me The Horizon

<コーナー: RockSteadyGo >

M14: Welcome To The Jungle / Guns N’ Roses

M15: Don’t Cry / Guns N’ Roses

M16: Doctor Alibi (feat. Lemmy Kilmeister)  / SLASH

M17: Crucify The Dead (feat. Ozzy Osbourne)  / SLASH

M18: You’re A Lie / SLASH

M19: World On Fire / SLASH

M20: Mind Your Manners / SLASH

M21: Nightrain / Guns N’ Roses

<コーナー: RockSteadyGo >終わり            

M22: Do Me Right / Vintage Trouble

M23: 20th Century Fox Fanfare / Queen

M24: We Will Rock You (Movie Mix)  / Queen

<Ending>

<コーナー:メタルの光> 

M25: Set To Fail / Lamb of God

M26: Contractor / Lamb of God

おしまい♪

今月2019年1月のREAL ROCKS SELECTIONは、
VINTAGE TROUBLEの『CHAPTER II』です!

https://www.youtube.com/watch?v=pM_ndS0wAPw

【幻】モーニン・ブルーズ 2019/01/12

mb190112

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようざいます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2019年01月12日を  

 始めましょう。月、火、水、木曜日と寒かったですね。実は昨年秋の冬仕度

 の時にガス・ストーブが1台行方不明になったままでした。レコードや本が仕舞った

 筈の場所に有らず、なんてのは日常茶飯事なのですが、ストーブのように大きな

 物が無いなんてどうした事でしょう。「多分あそこに」という察しを付けたの

 ですけれど、そこにもありませんでした。そして年が開けて、整理もせずに

 使わないものを放り込んである場所を別の目的で整理していたら、なんと探

 していたガス・ストーブ、きちんと箱に入って有りました。ちょうど月曜日の寒

 くなる日。それから毎日フル稼働です。助かったあ・・・。

  さて昨年末の生放送の時に、本当は愛と憎しみの2018年最後にお送りした

 かった1曲があります。今朝はそれから始めましょう。

M01.ヒッピー・ヒッピー・シェイク(1’40”)ジョージア・サテライツ

-C.Romero-   WEA WMC5-584

N  ヂョーヂア・サテライツ、1988年の、これは映画に使われた録音でしたかね。スウィン

 ギン・ブルージーンズ、シルヴァ・ビートルズでもお馴染み、チャン・ロメロがオリヂナルの決定的

 な「ヒピー・ヒピー・シェイク」、1分40秒でお送りしました。

  最後に「お正月」の除夜の鐘の音にぶつけて「フォー・グーッネッセイク・・・」と

 騒ぎたかったのですが、残念。もう松の内を過ぎましたが狂って下さい。

  そしてもう1曲、これも時間切れでした。

M02.Fools Fall In Love(2’31”)The Drifters

-J.Leiber, M.Stoller- Atlantic 8122 73249-2

N  ドリフターズの「フールズ・フォール・イン・ラーヴ」、これはね、クリスマス前に行ったブラデス

 ト・サキソフォンの実演終了後にDJが回していて、「いいな。やっぱり俺はこういう

 のが好きだな」と再認識した次第。放送では押し込むところがないまま、ち

 ょうど時間となってしまったのです。「間抜けなキューピド」の前後なら違和感

 なかったかな。

M03.Ton Ton(3’43”)Salif Keita  

-S.Keita-  believe NJ 629011

N  年末に出たサリフ・ケイタのアルバム『アン・オー・ブラン』から「トン・トン」です。何でも

 これが彼の最後の作品になるとの事で、遺作的に扱われていますが、亡くな

 った訳ではありません。69歳という高齢になってもう活動を続けられない、

 と「引退」宣言をしたようです。彼はアルビノ、先天的に肌が異様に白く生まれ

 る症状持ち、なのでもともと虚弱体質で、こんなに長生きする事じたいが稀

 です。

  同じ病気を持っていたジョニー・ウインターは結構長生きしたね。他にアルビノという

 と、ジャメカのイエロー・マンもそうでした。キングストンのスーパー・マーケット駐車場で遭遇し

 た事がありまして、至近距離ですと見るからに病弱でしたね。彼は比較的若

 くして亡くなっています。

  それはともかく、ワールド・ミュージックの盟主として20世紀末を風靡した浅利不

 携帯、彼の最終作品はこれまでわたしが苦手としていた、完璧な設計で人心

 の入り込む隙を与えない、ある意味で聞く人をも拒絶するような、最高裁判

 所の建物のようなコンクリート打ちっ放し感がなく、柔らかい印象の出来です。そ

 れだからでしょうか、わたしも抵抗なく聞けています。古いギブスンのギター

 を抱えたジャケットも素敵なアルバム『アン・オー・ブラン』です。

  では冒頭の一曲となる「ヲェレ・ヲェレ」も聞いて下さい。

M04.Were Were(4’56”)Salif Keita  

-S.Keita-  believe NJ 629011

N  「ヲェレ・ヲェレ」、サリフ・ケイタでした。後半でジーザス・クライストの生まれ変わりとされ

 たエチオピア皇帝でジャメカ基督教の神の名「ハイレ・セラシエ」を叫んでましたね。

  この曲は先ほど述べた、わたしの苦手な、ここまでのサリフ・ケイタ調が強いで

 すが、それでも聞いていて拒絶される事なく楽しむ事が出来ます。他にも実

 に完成度の高い楽曲が並んでまして、充分以上の仕上がりと言って良いでし

 ょう。音質も非常に良好です。多分主要な作業はパリで行われたと思われま

 すが、なかなか得られない水準です、ホント。しかも生まれ故郷のマリから少しも

 離れていない。逆に欧米の世界基準導入部分が陳腐に響く程、「民族音楽の本

 質」が込められています。いやあ凄いなあ。

  この人はどの作品も全力投入で向き合っていまして平均打率が高いのです

 が、本作は特に別格ですね。

  ではアルバム『アン・オー・ブラン』からもう一曲、全編をヴォーカルで構成した

  「トリランケ」。

M05.Triranke(6’38”) Salif Keita   

-S.Keita-  believe NJ 629011

M06.Movin On(2’15”)Ray Camacho Super Band

-R.Muller, W.Williamston- Ever Land 015CD

N  ハイ、出ました。昨年初登場の異色尖り男、レイ・カマチョのスーパー・バンドです。明

 らかにジェイムズ・ブラウンの影響が感じられるダンス曲で、「ムーヴィン・オン」でした。

  続きまして、こちら・・・。

M07.Not Guilty(3’56”)ヴォードゥ・ゲーム

-unknown-  オルター・ポップ AFPCD-36361

N  「俺はシャチョーじゃないんだ、ただの運転手だよ」と繰り返すのは、昨年末の

 生放送でもお送りしたヴォードゥ・ゲイム最新作の冒頭曲です。レコード店で見かけ

 た時には「ジェイムズ・ブラウンの・・・」という紹介付箋紙が付いていました。

 レイ・カマチョ・スーパー・バンドと同じく、確かにその通り。ま、分かり易いからね。

 ただヴォードゥー・ゲイムの場合は、J.B.よりもフェラ・クティの方が強いのではないでし

 ょうか。また最新作全編を通して聞くと、他の音楽から受けた影響よりもグル

 ープ・リーダーのピーター・ソロの創造性の方が強く感じられます。

  ところで今週月曜日の朝、ラジオを点けたらこの音楽が流れてました。

M08.タタ・ファティゲ(3’34”)ヴォードゥー・ゲーム

-unknown-  オルター・ポップ AFPCD-36361

N  ヴォードゥー・ゲイムの「タタ・ファティゲ」です。とても素敵なベイス・ライン。「はて何だ

 っけ」と、聞いた時はすぐに何だか分からず、DJの送り曲目紹介もなかった

 ので番組ホームペイヂで探したら、アルバム『オトディ』の3曲目のこの歌でした。な

 あんだ。

  本当に何て魅力的なベイス・ラインでしょう。弾いているのは、発音不詳の男、

 Gaetan Ahouandjogbeという人。「Gaetan」の「e」の上には、ローマ字の長音

 記号と同じ物が付きます。このアルバム全体を支配するクールでエキサイティングなベイス・

 ライン、これはね、スマフォじゃ味わえない音域ですから、せめて小さくてもいいの

 でオーディオ・スピーカで鳴らして下さい。集中力を高めてベイスだけ聴き込んでると

 発狂しそうになります。

  ではヴォードゥー・ゲイムの最新作から、「タタ・ファティゲ」と並ぶ魅力の「サムシング・

 イズ・ロング」を、昨年末の生放送に引き続きお聞き下さい。早朝ですので、音

 量には充分お気をつけて、でも大きくね。

  なお、前述の素敵なラジオ番組はNHK-fmの「音楽遊覧飛行」で、DJはサラー

 ム海上でした。

M09.サムシング・イズ・ロング(4’13”) ヴォードゥー・ゲーム

-unknown-  オルター・ポップ AFPCD-36361

N  「サムシング・イズ・ロング」ヴォードゥー・ゲームでした、お分かりですな、「死刑」。

  先週のザーップ特集は、若干の驚きを持って迎えられたようですね。わたし

 としても、それが意外でした。確かに「幻」は北米黒人音楽番組じゃないか

 らね。それとこの響きが「ディースコウ」の連想に繫がるのにも戸惑いましたが、

 考えてみれば、当然です。これを他のどんな音楽と呼べましょうか。ただディ

 ースコウ音楽成立以前から、特に北米黒人たちにはこの種の踊りの音楽が空気や

 水のように必要不可欠だった、という点はお見逃しなきよう願います。ま、

 これは世界中どこの庶民にとっても同じ事ですけれどもね。

  さてこの日の特集で一連のザーップ音楽をザーップと紹介したつもりでしたが、

 あるヴォーカル・グループをすっかり忘れていました。1984年に2枚のアルバムを出

 していたヌウ・ホライズンズです。5人組として出て来ましが、果たして実態が

 あったかどうか疑わしい。1枚目にはコンサーヴァティヴな服装でニコヤカに微笑んだメム

 バ写真が掲載されていましたが、2枚目では地平線に立つ4人の全身像。遠景

 ですからそれぞれの特定も出来ません。マーク・トーマスとバート・トーマスの、兄弟かな、

 この二人がリードを取っています。例によってロジャー・トラウトマンが作業の殆ど全て

 を仕切っていますが、1枚目ではバーニー・ヲレルやメイシオ・パーカーも参加してますね。

  では聞いて下さい、ヌウ・ホライズンズです。

  1枚目のLPから「リーチング・フォー・ヌウ・ホライズンズ」。

M10.Reaching For New Horizons(6’39”)New Horizons   

-R.Troutman, L.Troutman-  Sony / Columbia funky town groove HTS-004

N  「リーチング・フォー・ヌウ・ホライズンズ」でした。この繰り返しの長さは確かに「デ

 ィースコウ」ですね。後半ベイス・シンガーが出て来る辺りは本格派的でもありますが、

 どこか可愛いらしいヴォーカル・グループです。当時からわたしは好きでした。そ

 れを忘れてちゃダメだね。「ヌウ・ホライズンズ」です。

  この盤もその頃持っていたアナログLPが出てこないんですよ。2オン1で2枚

 のLPが聞けるCDが出ているので、それを入手しました。今回はこういった

 買い直しが数多くあります。梅勇芸徒でも使いますからね。

  さて御大ロジャー・トラウトマンは「アイ・ヲナ・ビ・ヨー・マン」の大ヒットの後もアルバムを

 発表してまして、正規の物としてはこれが遺作になってる筈です。今回それ

 をわたしはじっくり聴いていなかった、という事実も判明しました。年明け

 早々から早々にこの遺作を聴き込みましたので、1曲お聞き頂きましょう。

M11.キュリオシティ(6’40”)ロジャー   

-R.Troutman-  ワーナー WPCP-4569

N  「胡瓜安、胡瓜安」と叫び続けている「キュリオシティ」、ロジャーの遺作『ブリッジング

 ・ザ・ギャップ』からお聞きいただきました。このアルバムはそれまでの作品と

 少々手触りが異なります。何よりもジャケットのロジャーが難しい顔をしています。

 それまではサーヴィスたっぷりにひょうきんな表情で楽しませてくれていました

 が、これは違う。収録曲もマジな雰囲気で彩られていまして、ザーップ一連に共

 通するノーテンキ度が低い。今の「キュリオシティ」だって「ずっと見てんだよ、興味あ

 るからさ」とかなり切実に迫っています。ヘラヘラ笑ってナムパしてたこれまでと

 は別人格です。発表当時感じていた印象はあまり変わりませんでした。

  こんな事を今月26日の三鷹バイユー・ゲイトで行われる「生語り皿回し」で披

 露します。持ってなかった『ザーップIV』も手に入ってます。中古盤CDでも

 7500円しましたから、存分に聴いてもらいましょう。ぜひお運び下さい。

  さて次はガラリと変わって、弘田三枝子です。「幻」重度聴取者の「火のムジ

 鳥」さんが以前に送ってくれたCD-Rに『ミコ・イン・ヌー・ヨーク』という盤があり

 ます。弘田三枝子が1965年にヌー・ポート・ジャズ祭に出演した帰りにヌー・ヨーク

 で吹き込んだジャズ・アルバムで、ビリー・テイラーのピ アノ、ベン・カッターがベイス、そし

 てドラムズがグレイディ・テイトというトリオ編成が演奏を務め、その年に国内発売され

 ていました。

  これに収められている1曲が、「サニー」。黒人カントリー歌手ボビー・ヘブのあの歌

 です。一説によるとこれがこの楽曲の初録音だとか。確かにヘブ本人によるヒッ

 トは翌66年ですから、可能性はありますね。ここではボブ・ドロウとヘブの共作

 になっているのにも注目。ボブ・ドロウと言えば、「マイルス・デイヴィスと吹き込ん

 だたったひとりの歌い手」でして、1980年には金子晴美のデビュー作をプロデュ

 ースしていました。クレジットこそありませんが、このミコのアルバムでも企画制作進行

 をしていたのではないでしょうか。自分の作品も提供しています。おそらく

 このクレジットは、著作印税で労働報酬を捻出するための作者登録でしょう。本

 来「サニー」はボビー・ヘブひとりで書かれた歌ですから。

  では聞いて下さい、弘田三枝子とビリー・テイラー・トリオです。

  「サアニイ」。

M12.サニー(4’00”)弘田三枝子 

-B.Drough, B.Hebb- コロムビア COCP-35121

M13.Sunny(3’35”)イナ・フォルスマン 

-unknown-  BSMF 2644

N  弘田三枝子とビリー・テイラー・トリオで「サアニイ」でした。この初録音時に、周辺の

 人間はこの「サニー」の良さに気づかなかったのでしょうか。岩浪洋三のライナで

 も別に特筆されていません。これをシングルにしてたら世界中でヒットした楽曲の

 誉れ高きオリヂナル録音として威張れたのに、残念ですね。

  続けましたのは、イナ・フォルスマンで同じタイトルの「サニー」。こっちは「シャニー」かな。

 今月末に発売になる新作『ビーン・ミニング・トゥ・テル・ユー』から、最後に収められ

 ている無伴奏独唱でした。

  これは凄いですね。集中力を切らさず3分半唄い上げています。表情も豊

 か。今回は前作に較べて、収録曲も表現もグッと幅が広がった感じ。写真で見

 る限り、美しくもなられました。全体のサウンドも上手くツボを抑えていますが、

 やはり一番はイナの唄だなあ。若干エイミー・ワインハウス的にも聞こえますが、それは

 昔から。彼女は着実に大きくなっています。

  では、ヴォーカル・アレンヂが巧みな「ワチャ・ゴナ・ドゥ」。

M14.Whatcha Gonna Do(3’55”)イナ・フォルスマン

-unknown-  BSMF 2644  

M15.シュアー・ドント・ミス・ユー(2’56”)ザ・ディップ

-unknown-  Pヴァイン PCD-17792   

N  「ワチャ・ゴナ・ドゥ」イナ・フォルスマンでした。その後に出てきたのは、ザ・ディップ

 というシアトルから出た7人組R&Bバンドです。説明には「まるで60’sヴィンテージ

 ソウル」とありますが、捻くれ者のわたしにはとても「今」の音に聞こえます。

 ヴォーカルがいいですね。MBLシアトル・マリナーズの偉人スズキ・イチロー、入団決定の菊池

 雄星と共に、今年の注目です。アルバムは来月の発売。他のトラックを聞いてみたい

 ですね。 

  そしてブラジルからは、こんな音楽が届いています。  

M16.タンバリン、クイーカ、カンザ、ビリンバウ(4’15”)ザ・ジャズインヴェーダース  

-unknown-  Pヴァイン PCD-24806   

N  ザ・ジャズインヴェーダースで「タンバリン、クイーカ、カンザ、ビリンバウ」でした。ブラジル

 音楽には馴染みの深い楽器、「タンバリン」、「クイーカ」、「カンザ」、「ビリンバウ」を呼び

 上げた面白い詞(ことば)、そしてサムバ・フュージョンに必須の超絶的馬鹿テクが心

 地よく混じり合っています。原曲はアジムスだそうで、ここでも共演しています。

 アジムス、まだ演ってたのか。わたしの印象ではコワモテ楽団ですが、こんなユーモアも

 あったのですね。これもアルバムを聞いてみたい。

  さてオルガン・トリオと言えば、オルガン、ギター、ドラムズの3人編成が基本。ベイス部

 分はペダル鍵盤で対応、渋い素材をシブーく、またある時はポップに提供してく

 れる、わたしの好きな器楽形態です。次に紹介するクッキン・オン・スリー・バーナーズ

 も紛れもなくそのオルガン・トリオなんですが、ちょっと違います。非常に今風、

 新しい感覚なんでしょうか。聞いているとわたしには、ロックを通り抜けてきた

 若い音楽家たちが見えて来ます。

  今朝はまず、ザ・メルトダウンというグループのサイモン・バークをヴォーカルでフィーチュアした

 「ガーデン・オヴ・フリーダム」を聞いて頂きましょう。クッキン・オン・スリー・バーナーズ

 です。

M17.Garden Of Freedom(4’02”)クッキン・オン・スリー・バーナーズ

-unknown-  BSMF 5060

M18.A Whiter Shade Of Pale(4’37”)Bobby Broom & The Organi-Station 

-G.Brooker, C.Fisher, K.Reid-  Jazzline N 77059 

N  クッキン・オン・スリー・バーナーズで「ガーデン・オヴ・フリーダム」でした。年明け早々に

 家のガスコンロが壊れましてね。新しく来たのがスリー・バーナーズでした。関係あり

 ません。

  さて、新年になってから昨年を振り返っていると、非常にオーソドックスなオルガン・

 トリオでキメてくれたギタリスト のアルバムがあったなあ、と思い出しました。2020年

 代の新しいオルガン・トリオの後は、1960年代の楽曲「青い影」と、オーソドックスな

 ボビー・ブルームとオーガニゼイションの演奏でお楽しみ頂きました。プロコルハルムのこの名

 曲は、フィルモア・ウエストでのキング・カーティスの演奏が素晴らしい。ビリー・プレストンの頂

 点を極めるように弾かれたオルガンが今も鮮やかに蘇ります。それとは趣を変え

 たボビー・ブルームとオーガニゼイションの「青い影」、如何でしたでしょうか。

  年末になって初めて向き合ったダスティ・スプリングフィールドの余韻もまだ相当な

 物がありますね。わたしが手に入れたベスト盤表紙のポートレイト写真が強烈な印象

 で、誘い込むような悪魔の魅力が伝わって来るんです。それに惑わされた身

 としては、生放送のどこかでお届けしたかったのですが敵わず、年明けに持

 ち込みとなりました。さあ2019年、こちらも改めてお届けしましょう。

  アリサ・フランクリンが蹴っ飛ばしたシングル候補曲です。

  「サン・オヴ・ア・プリチャーマン」。  

M19.Son Of A Preacherman(2’39”)Dusty Springfield 

-J.Hurley, R.Wilkins-   Atlantic R2 8214 

TM Born In Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N ダスティ・スプリングフィールドで「サン・オヴ・ア・プリチャーマン」でした。

  今朝も更新出来てよかったなあ。ホットした思いです。基本的に暖冬であるは

 ずこの季節、今週のように突然冷え込む事もあります。どうぞお気をつけて

 乗り越えて下さい。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/e8f61c6c2b47fb2c173830f1bd79cab6272c0706

   ダウンロード・パスワードは、s0chq0yfです。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

♪♪ Twitter “#blues761″の閲覧はコチラ♪♪

Awesome Rock【2019/1/11 O.A.】Playlist

今夜は来日公演間近!SLASHのロケンローサウンドをお届け!

M01: Silence The Echo / Born of Osiris

M02: We Will Rock You (Movie Mix)  / QUEEN

<コーナー: AwesomeRecommendation>

M03: By The Sword Feat. Andrew Stockdale / SLASH

M04: World On Fire / SLASH

M05: Mind Your Manners / SLASH

M06: Higher / H.E.R.O. ※スラッシュの来日公演のサポートアクト!

<コーナー: AwesomeRecommendation>終わり

RADIO NEXUS【2019/01/07 O.A.】Playlist



PLAYLISTはこちら→
https://au.utapass.jp/channel/campaign/4twXmmORw9MjTHpOhO

毎週月曜21時~22時までRADIO NEXUS(レディオ・ネクサス)という音楽番組で“ロックとメタル”をテーマに爆音とトークをお届けします。


「アーティストやパーソナリティが自由に発信できる場」をコンセプトに無料で楽しめる音楽ラジオステーション「Backstage Café」が、2018年11月1日(木)に開局!
観覧可能な公開収録スタジオも東京・原宿にOPENしました。

「Backstage Café」は30組以上のアーティストやパーソナリティ、また株式会社ナターシャを始めとするパートナーメディアが、メジャー、インディーズそして音楽ジャンルや時代に関係なく、今本当に聴きたい曲、聴かせたい曲を自らセレクトしてお届けします。

毎週月曜21時~22時までRADIO NEXUS(レディオ・ネクサス)という音楽番組で“ロックとメタル”をテーマに爆音とトークをお届けします。

◆インターネット音楽ラジオステーション「Backstage Café」◆
https://backstagecafe.jp/  ※聴取方法などはウェブサイトをご確認ください(アプリ、またはウェブサイトから聴けます)。
澤田修の完全監修番組”RADIO NEXUS”。
選曲、編集、トーク、全て担当!
毎週月曜日21時~22時。番組再配信 毎翌週土曜 18:00〜19:00。
※同時間帯に特番などが入れば再配信は中止します。



Real Rocks 【2019/01/05 O.A.】Playlist

今年最初、01月05日の番組では、
REAL ROCKS Selectionに選ばれたVINTAGE TROUBLEを紹介!

屈指の名曲”My Whole World Stopped Without You”は必聴です!

M01: Who Let the Dogs Out feat. BAHA MEN (Cover)  / Our Last Night

M02: Mantra / Bring Me The Horizon

M03: My Whole World Stopped Without You / Vintage Trouble

<コーナー: RockAroundTheWorld>

M04: All or Nothing / State Champs

M05: Chocolate(Cover)  / KNUCKLE PUCK

M06: Your Enemies Are Mine / Terror

M07: What Choice Did You Give Us?  / Stick To Your Guns

M08: RMA (Revolutionary Mental Attitude)  / Stick To Your Guns

M09: Everybody Wants to Be Famous / Superorganism

M10: Yellow Raven / Uli Jon Roth

M11: Kojo No Tsuki / Scorpions

<コーナー: RockAroundTheWorld >終わり

M12: You’re Holding Back              / Magic Dance

M13: Better Things / Magic Dance

M14: Pretty Fly (For A White Guy)  / The Offspring

M15: Sleep / Copeland

M16: Night Figures / Copeland

<コーナー: RockSteadyGo >

M17: Lost Souls / Glamour Of The Kill

M18: My Whole World Stopped Without You / Vintage Trouble

M19: Blues Hand Me Down / Vintage Trouble

M20: Strike Your Light / Vintage Trouble

M21: Do Me Right / Vintage Trouble

M22: My Whole World Stopped Without You (Acoustic)  / Vintage Trouble

M23: Can’t Stop Rollin’ / Vintage Trouble

<コーナー: RockSteadyGo >終わり            

M24: 20th Century Fox Fanfare / Queen

M25: We Are The Champion (Alternative Version)  / Queen

<Ending>

<コーナー:メタルの光> 

M26: Forward!  / Anaal Nathrakh

M27: New Bethlehem/Mass Death Futures / Anaal Nathrakh



今月2019年1月のREAL ROCKS SELECTIONは、
VINTAGE TROUBLEの『CHAPTER II』です!



【幻】モーニン・ブルーズ 2019/01/05

mb190105

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようざいます、ワツシイサヲです。明けました。おめでとうございます。

 年末の生放送から曜日感覚が無くなって、気がついたら金曜日。大慌て。

 慌てまして、おめでとうございます。

  さあ、新年の「幻」モーニン・ブルーズ、2019年01月05日を始めましょう。

M01.Get Up Off The Wall(3’46)Zapp           

-Z.Troutman, L.Troutman-  Zapprown Records

N  ザーップの7枚目アルバムから「ゲット・アップ・オフ・ザ・ヲール」でした。先週の後枠

 (アトワク)でお話ししましたように、今月の26 日、2019年初月給日後の週末に、

 三鷹の音楽バー「梅勇芸徒」でワツシ・イサヲの「生語り皿回し」第2回があります。

 「もうネタがないなあ」と思いあぐねていたところ、この「新譜」が引っかか

 り、「そうだ、ロジャーだ」と閃きました。わたしのロジャー観をたっぷりと「生語

 り」、そしてたくさんの「皿回し」を致します。どうぞお運び下さい。今朝は

 その予行練習、「後悔」しないようにね。

M02.Make You Shake It(5’31”)ヒューマン・ボディ                 

-L.Troutman, R.Troutman-     funkytowngrooves BBR-3054

N  ヒューマン・ボディで「メイキュー・シェイキット」でした。これはロジャーがファンク界で確固たる

 地位を築いた1984年の発表。オリヂナル・レイベルはベアズヴィルでした。トッド・ラング

 レンも所属していたところですね。わたしは全米で発売早々に輸入盤で入手。

 日本盤は出なかったと思います。

  お聞きのように全くのロジャーの音ながら、3人組ヴォーカル・グループとしての魅

 力が上手に盛り込まれていて、わたしは生前ロジャーの関わった作品の中では最

 もポップな出来、としています。ビリー・ベック、レイ・デイヴィス、ラリー・ハッチャーの正

 式メムバー達は、かねてよりオハイオ州デイトンでザーップ一族の周辺で音楽活動をして

 いました。当時、精力的な制作活動を続けていたロジャーはヴォーカル・グループが

 大好きでしたから、3人に「やってみない、どお」と声を掛けて気軽に始めた

 んじゃないでしょうか。そもそもヒューマン・ボディというのは、ロジャーが兄弟達と

 組んでいたグループの名前だった事も、結成の気軽さを裏付けます。そのデビュ

 ー作がこの出来。飛ぶ鳥を落とす勢いのあったロジャーの冴え渡る才気がここに

 現れていました。

  次はシャーリー・マードック。音楽集団ザーップの女性歌手筆頭です。間違いなくゴスペ

 ル出身で、エドウィン・ホーキンズのところに居たのではないか、とわたしは睨んで

 いますが、ちょっと根拠が曖昧。以前本人に会った時に訪ねておけば良かっ

 たなあ、と今でも悔しい思いです。

  強力無比なシャーリーが表現力豊かに唄い上げて、ロジャーにとっては大きなヒットと

 なった1985年のシングル曲、

  「アズ・ウイ・レイ」、「アサー」です。

M03.As We Lay(5’59”)Sirley Murdock                   

-L.Troutman, B.Beck-     Elektra  9 60443-2

N  シャーリー・マードックで「アズ・ウイ・レイ」でした。今のはレギュラー・ミクスですね。時す

 でにマルチトラックの多重録音は当たり前で、ちょうど12インチ・シングルがディスコ重用さ

 れるようになって、ヒット曲には正規以外に沢山の仕様が出され始めた頃でしょ

 うか。26日の梅勇芸徒ではそれをお聞きいただこうかな。

  この「アズ・ウイ・レイ」はロジャーにとって、特別な想い入れがある一曲のよう

 で、先のヒューマン・ボディを含めて彼自身によって、何回か録音されています。

 確か自分のグループがまだ全然知られて居ない頃にも自ら吹き込んでいる筈で

 す。ですからヒットした時には、ロジャーはさぞかし嬉しかった事でしょう。

  さて今度は、シャーリー・マードックの強力無比な側面をお楽しみ下さい。

  「ヲマンズ・ポイント・オウ・ヴュウ」。

M04.A Woman’s Point Of View(4’06”)Sirley Murdock              

– L.Troutman, R.Troutman, S.Murdock-   Elektra  9 60791-2

M05.Bright Skies, Sunny Days(4’20”)Bobby Glover                

-L.Troutman, R.Troutman-  Expansionrecords EXCDM 24

N  シャーリー・マードックの「ヲマンズ・ポイント・オウ・ヴュウ」でした。これは彼女の最も強

 力なトラックですね。当時最先端の分厚い音に対抗するシャーリーの唄声、紛れもなく

 この頃の女性歌手筆頭でした。音楽集団ザーップの女番長として君臨した後、

 今はゴスペルの世界に戻って、安定した音楽活動を続けています。

  その次にお届けしたのはピンの男性歌手、ボビー・グローヴァ。LP『バーッド・ボ

 ビー・グローヴァ』から、「ブライト・スカイズ、サニー・デイズ」。リングに上がったチャムピオン・

 ボクサー姿のジャケットが印象的でした。全体のサウンドは完璧にザーップなんですが、

 唄自体は実にオーソドックスなソウルのスタイルで、しかもそれが違和感なく調和している

 仕上がりには、少々驚かされます。1984年の発表で、確か鈴木啓志御大が、

 ミュージック・マガジーンの輸入盤紹介で取り上げていました。評価については記憶

 がないな。

  さてここまで勝手にザーップ、ロジャーと進めて来ましたが、分からない方には

 全くチムプンカムプンでしょう。遅ればせながら、簡単に紹介しておきます。

  ロジャーというのは、ロジャー・トラウトマンといいまして、オハイオ州デイトンに生まれ育っ

 た男です。彼は不動産業などを手広く営む資産家の御曹子で、家族から音楽

 の才能を認められ、その支援の下でラリー、レスター、ザーップら男兄弟の協力も得て、

 地元で積極的な音楽活動をしていました。

  ちょっとややこしくなるのですが、1980年にワーナー・ブラザーズから世に出た

 時の集団名義がザーップ。オハイオ州デイトンはファンク音楽が盛んな町で、親族を中心と

 した大所帯の成り立ちから「大型ファンク軍団」と称されて、高い評価を受けて

 います。

  それとは別にロジャーは、個人としても活動。またプロデューサーとして何人、幾

 組もの音楽家たちを全米に送り出していました。

  団体、個人、企画制作者としてやる事はほぼ同じ。ファンク・ビートを基調とし

 た新世代のソウル・ミュージックです。概念、質、内容、人員などはほとんど重なっ

 ていますから、敢えて別名義にした根拠は分かりません。まだエンヤコラ時代だっ

 た1970年後半に、次の時代を予測したかのように、大胆な電子楽器の導入を

 計り「テクノ・ファンク」という新しい領域を開拓した事で、今もその存在は別格的

 です。そのすぐ後に全世界の音楽は、高度な電子技術の発達とも相まって、

 ディジタル色に染まったのはご存知の通り。

  ただしわたしとしては、その種の新機軸の導入よりも、ロジャーのファンキーな感

 覚、そして電子技術との付き合い方に拍手を送ります。これこそ、どんな他

 の人間でも敵わないところなのです。

  1987年に「アイ・ヲナ・ビ・ヨ・マン」を大ヒットさせて、安定した地位を築いたの 

 ですが、1999年4月25日に兄のラリーに銃で撃たれて亡くなりました。誰でも

 銃を持てるアメリカ合衆国の悲劇でしょう。

  簡単に説明すると、こんなところかな。普通ならここで終わってしまうと

 ころですが、「幻」2019年冒頭曲が、昨年新録新譜として発表され、わたし

 は驚いたのであります。

M06.Pinch Of Lynch(3’55”)Lynch                                

-L.Troutman, R.Troutman-  Capital CDP 7 48611 2

N  お聞きいただいたのはロジャーの息子、リンチが1989年に発表した『リンチ危うし』

 から、同名の表題曲。もちろんロジャーの企画制作です。ロジャー自身、初来日の

 時に嬉しそうに二代目の話をしてまして、次の来日時には一緒について来て

 ました。有名人の子息にありがちな、ちょっと自意識過剰なところが印象に

 残っています。

  次はロジャーの作品の中でも異例なものです。ジェシー・レアという白人音楽家。

 彼はスコットランドの王族の末裔だそうで、中世の甲冑に身を包んだジャケット写真に

 は度肝を抜かれました。わたしの推測では、多分音楽が大好きな道楽息子で、

 ザーップの音に惚れ込んで、デイトン詣での挙句にロジャーに制作を依頼した、とい

 うところでしょうか。今はリミクスを含んだCD2枚組で手に入るようですね。レコ

 ード店で偶然に見つけました。「幻」で一度紹介したような記憶があります。

  楽曲はほとんど本人の作。編曲とバック演奏、ミクスをロジャーが手掛けています。

 これだけは彼の仕事経歴と大きな関係を持っていませんが、「お仕事」ならな

 んでもします、という姿勢が見えて、当時ロジャーに対するわたしの好感度は上

 昇しました。

  では家系、家紋に関わるアザミの花の名前「シスル」を表題としたアルバムから、

  「ザーット・カインド・オヴ・ガール」。

M07.That Kind O’ Girl(3’16”)Jesse Rae                          

-O.Mcintyre, J.Rae-  Special Edition LUZ2014

N   ジェシー・レアで、アルバム『シスル』から、「ザーット・カインド・オヴ・ガール」でした。

  さてようやくロジャー本人の音楽になります。ここまでもロジャーの音でしたが、

 名義は他人のものばかりでしたからね。

  先ほど、わたしがロジャーを評価するのはその「ファンキーな感覚」に於いてであ

 る、と申しました。電気ドラムやトーキング・ボックスなどの使い方がもう圧倒的で、

 「コロムブスの卵」的発想ではありますが、決して他人の及ばない領域です。こ

 の時代は電子機器を音楽演奏に持ち込む場合、至らない表現技術を補うため

 に後ろめたさと共に極秘裏に使う、あるいは先進的な事をしているという自

 負が暴走して完全に依存して顕示するという、ふたつの姿勢が顕著でした。

 ロジャーはどちらでもなく、ごく当たり前に楽器として付き合っています。まだ

 開発初期段階の器具の不完全な欠点も利用して、それぞれの一番面白い特性

 を最大限に発揮させるやり方は、適材適所の人事方針と全く同じです。

  しかもそれは、当代随一のファンキー感覚でしっかりと裏付けられています。こ

 れは彼の音楽に留まらず、言動や身につける物までの全人格において発散さ

 れている日常生活感覚でして、この魅力的なビートの源でもありましょう。

M08.ブルー(3’25”)ロジャー                                     

-L.Troutman, R.Troutman-  ワーナー  WPCP-3669

M09.血の轍(4’16”)ロジャー                                      

-L.Troutman, R.Troutman-  ワーナー  WPCP-3670

N  ロジャー名義のアルバム第1作『P-ファンクって何だ』から「ブルー」、そして同じくロジ

 ャーの2枚目『武勇伝は続く・・・』から「血の轍」でした。共にファンク系の音

 楽家、演奏集団が触らない、触れたがらないストレイト・ブルーズ・スタイルです。こう

 いうのも珍しいですね。かと思うとこれらの対極にあるようなフュージョン的なギ

 ターを嬉しそうに弾いたりして、幅広い音楽性を持った新世代であるのが分か

 ります。何よりも好奇心の強い人ですね。

  一方、彼の歌では「踊れ、踊れ、夜が明けるまで」とか「気持ち良くして

 やるよ」と言い続けるだけの他意のない詞(ことば)が殆どです。これは黒

 人大衆音楽の立派な伝統ですから、「思想性がない」とケチをつけても始まらな

 いのですが、珍しく政治家を謳った1曲をお聞き下さい。かつてマーチン・ルーサー・

 キング師亡き後、黒人初の大統領候補として持て囃されたジェシ・ジャクスンを讃え

 る歌です。1989年の発表ですから予備選挙を快調に進めていた頃ですね。シュ

 ガー・ヒルの名人ラッパー、メリー・メルも同様の「ジェシー」というシングルをこの頃出して

 いました。この頃のジャクスンは黒人に選挙投票権登録を促していまして、それ

 を煽るために芸能界にも協力を求め、それに応じたひとりがロジャーだったとい

 う事なのでしょうか。

M10.ジェシー・ジャクソン(4’58”)ザップ                              

-L.Troutman, R.Troutman, Z.Troutman, B.Beck-  ワーナー  22P2-3004

N  ザッフ5枚目のアルバム『ヴァイブ』から、「ジェシー・ジャクソン」でした。さて次は先

 ほども出て来た「アイ・ヲナ・ビ・ヨ・マン」です。1988年の全米第3位獲得曲、

 もちろんロジャー関連で最大のヒットでした。これ以降、トーキング・ボックスと言います

 か、ヴォーカルにモデュレイションをかけるのは普通になって、音程やリズム修正も禁断事

 項ではなくなりました。ただ当時はこのようなミディアム・スロウのラーヴ・ソングのリー

 ド・ヴォイスにここまで深くトーキング・ボックスを通すのは異例、ある意味では過激

 にも響いた事でしょう。ただし結果は全米第3位でした。

  では、ロジャーと言えば、これです。

  「アイ・ヲナ・ビ・ヨ・マン」。

M11.I Want To Be Your Man(4’11”)ロジャ–                        

-L.Troutman, R.Troutman-  ワーナー 32XD-868

N  「アイ・ヲナ・ビ・ヨ・マン」、ロジャー・トラウトマンでした。今でも充分に魅力的ですね。

 さて、ロジャーが兄弟たちと始めたグループの名前が「ヒューマン・ボディ」だった事は

 今朝の始めの方でお伝えしましたが、その頃残していた録音があります。殆

 ど自主制作版のような、70年代ですから当然アナログLPですけれども、CD時

 代に復刻されました。非常に荒削りな出来で、ザーップの本質はこの頃すでに

 確立していた事が分かる、面白い内容です。

  1曲聴いて下さい。

  「ブラザー・レスター」。 

M12.Brother Lester(2’49”)The Human Body                     

-L.Troutman, R.Troutman-   クアトロ QTCY-2056

N  「ブラザー・レスター」、初代ヒューマン・ボディでした。大勢でユニゾンを取るところな

 どは先ほどの「血の轍」などによく似ていましたね。洗練されたヴォーカル・グル

 ープのハーモニーが好きな反面、こうしたチャント形式にも興味を示していた全ての音

 楽を好きなロジャーが蘇ります。さて新年最初の放送の最後は、皆さんの今年の

 幸運を願っての贈り物です。オハイオ州デイトンのファンク軍団による強烈なダンス・ビート

 をたっぷりお楽しみ下さい。音は大きい方が宜しいようです。

  まず「メイク・ミー・フィール・グーッド」、

  そして「アイ・キャン・メイキュー・ダンス」、

  決定的テクノ・ファンク・ドゥーワップ「ドゥ・ワ・ディティ」、

  最後が、地球上の全人類を金縛りにした「モー・バウンス・トゥ・ジ・アウンス」

  全てザーップの唄と演奏でござんす。

M13. メイク・ミー・フィール・グーッド(5’17”)ザップ                          

-L.Troutman, R.Troutman-   ワーナー WPCP-3668

M14.アイ・キャン・メイク・ユー・ダンス(9’02”) )ザップ          

-L.Troutman, R.Troutman-   ワーナー  22P2-3667

M15.ドゥ・ワ・ディティ(5’00”) )ザップ 

-L.Troutman, R.Troutman-   ワーナー WPCP-3666

M16. モア・バウンス・トゥ・ジ・アウンス(9’31”)Zapp

-L.Troutman, R.Troutman-   ワーナー  WPCP-3665

TM Born In Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  「メイク・ミー・フィール・グーッド」、

  「アイ・キャン・メイク・ユー・ダンス」、

  「ドゥ・ワ・ディ・ティ」、

  「モー・バウンス・トゥ・ジ・アウンス」

  全てザーップでした。

  今朝お届けしたのは、全て30年前の音楽になりますが、ずっと聞いて来ま

 して、ちっとも古くなかったですね。歪んだ80年代感も漂ってこなかった。

 ディジタル・システムがのさばり始めた時代の音楽は、いま聞くと恥ずかしくなって

 しまうのが多いですけれど、その源流とも言えるロジャーは、堂々と普通の音楽

 を自然に作っていたのでしょう。それが実感として分かって嬉しかった。

  26日は同じ主題でお送りしますが、もう少し深く詳しくなるでしょう。今

 朝は出てこなかった周辺関係者も登場します。

 どうぞ、お運び下さい。お待ちしております。

    2019年1月26日 JR三鷹駅北口 バイユ—・ゲイト

    開場、開演時刻は来週の「幻」で正しくお伝えします。

  今年のお年玉は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/3a0009ad2a146e8297c0ef988635e010ef23a93d

 ダウンロード・パスワードは、8jxywrwtです。

 諸般の事情により、写真が少し不鮮明かもしれません。新しいヨガマットに免じ

 てお許し願います。

  今朝もちょうど時間となりました。今年もよろしくね。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

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Awesome Rock【2019/1/04 O.A.】Playlist

祝番組400回目!

2019年もよろしくお願いいたします!よい1年にしましょう!
新年早々Anaal Nathrakh特集、すみません!!

M01: New Year’s Day (Live) / U2

M02: This Is the New Year / A Great Big World

<コーナー: AwesomeRecommendation>

M03: …So We Can Die Happy / Anaal Nathrakh

M04: Forward!  / Anaal Nathrakh

M05: New Bethlehem/Mass Death Futures / Anaal Nathrakh

<コーナー: AwesomeRecommendation>終わり

M06: We Live Forever / The Prodigyy