カテゴリー : Mornin’ Blues by IsaoWashizu

【幻】モーニン・ブルーズ 2018/07/21

mb180721

 

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

 

N  おはようございます。アサー、ワツシイサヲです。「異常」を通り越して「危険な」

暑さです。わたしには地球が悲鳴を上げているように思えます。

今朝は特別に皆さんだけに、この暑さを解消する方法を伝授いたしましょ

う。それは今すぐ、冷房を切る事です。それもひとりじゃダメ。全員でやるん

です。みんなクーラー使ってるでしょ。あれは熱気を外へ異常なほど輩出してい

るのです。だから外気温が高くなる。室外機の側へ行って御覧なさいな。高

級乗用車だけでなく、今やバス、ダムプ、軽トラまでクーラーは当たり前。これらも

全部停止。そうすれば気温は、特に過密した都会の中心部では絶対下がるに

決まっています。あくまでも全員でやるのが条件です。抜け駆けは死罪、無

期懲役、あるいは重税を課す。「非合法冷房飲食店」が摘発されたりしてね。

禁酒時代みたいです。

と言っても核兵器と同じで、一度持ったら手放せない文明の利器。玉手箱

を開けてしまった人類は、果たして何処へ・・・。

こんな時は居直って、灼熱大陸から激温風を送ります。

ベカオ・カンテットで「ビー・ケイ・オウ・ナナ」。

 

M01.BKO nana(3’37”)ベカオ・カンテット

-unknown-  アオラ  BNSCD-5511

 

N  演奏終了後に調整室からトークバックで「サバー、どんな感じかな」と声が掛かり

ます。それに答えて、聞こえませんが多分「ツバチリだよ」という感想が返され、

再び調整室から「メルシー、ありがとね」の答えでセッション終了。理想的な進行状況が

伝わって来ます。

西アフリカ、マリの伝統を基としながらも、現在進行形の世界感覚を併せ持ち、

電化する事で響きを更に力強くしているベカオ・カンテット、最新作『マリ・フォリ・コーラ』

は、どの断面にも逞しい生命が宿っています。 今の「ビー・ケイ・オウ・ナナ」は

前作に同名のトラックがありましたが、それとは別の楽曲。演奏が進むにつれて

段々と同時代的な要素が加わって来る、それも新しい音色をオーヴァ・ダビング

して行くのではなく、唄い手、各楽器担当者の感性がより研ぎ澄まされて来

ているように聞こえます。熱いけれども不快ではない気持ちの良さでした。

しかし、暑い。次はインド洋からの激温風です。

ランディゴの最新アルバム『』から、「アイナマ」。

 

M02.アイナマ(3’47”)ランディゴ

-H.J.O.Araste, L.Marceline-  オルター・ポップ AFPCD-36359

 

N  ランディゴの最新アルバム『コムサ・ガヤール』から、「アイナマ」でした。西洋のスタイルでし

たらハイハットのような連続打音に音程感が全体を印象付けています。

ランディゴはインド洋のレユニオン島の音楽「マロヤ」を演奏する集団。この島の過去に

はお決まりの欧州白人の侵略がありまして、元々の先住民、新参フランス人、そ

して労働力としてマダガスカル島から強制的に連れて来られたアフリカ人たちの民族

特性、そしてレユニオン島の日常的社会情勢が混ざり合って生み出されたインド洋の

ブルーズがランディゴの音楽と言っても良いかもしれません。

ただその響きはカヤンブ、ルーレー、ピケといった、この島独自の聞きなれない打

楽器の他に、西アフリカのドゥンドゥンなども採り入れたアンサムブルです。そして、唄で

すね。アルバムを通してわたしの印象に残ったのも、繰り返される力強い唄声の

呼応でした。

 

M03.エンゴマ・アナオ(5’48”)ランディゴ     

-H.J.O.Araste, J.A.-  オルター・ポップ AFPCD-36359

 

N  「グラシアス」、「メルシー」と謝辞が飛び交う「エンゴマ・アナオ」、ランディゴです。

全てクーバで録音されたという、このアルバム『コムサ・ガヤール』は全篇にこのような

唱和が聞かれます。オリヂナルのライナには「このアルバムのどこかで『もう方法は無

い、音楽を楽しめ、もう方法は無い、人生を楽しめ』と言っているのが聞こ

える」とあります。わたしにも聞こえました。

さて第三世界音楽夏季集中講座、今朝の最後は、バントゥー・コンティヌア・ユフルー・

コンシシァスネス、バントゥー系民族自由意識連続体、頭文字でB.C.U.C.です。南アフリカの

黒人居住区ソウェトで結成され活動歴は10年を超えています。現在は男2人、女

1人の唄い手、そして3人の打楽器奏者という基本編成。連続する強烈なビー

トの上で、3人が次から次へと唄い継いで行きます。必然的に一つの区切りが

長くなりまして、アルバムでは19分、16分を超える長さ。河内音頭並みです。

今朝はその中で最も短い「ノウバディ・ノウズ」をお聞き下さい。

 

M04.ノバディ・ノウズ(3’12”)BCUC

-B.C.U.Consciousness-  オルター・ポップ AFPCD-36360

 

N  ゴスペルの「誰も知らない私の悩み」を土台に様々な音声表現を盛り込んだ「ノ

ウバディ・ノウズ」。バントゥー・コンティヌア・ウフルー・コンシシァスネス、バントゥー系民族自由意識連

続体、頭文字を取ってB.C.U.C.でした。南アフリカは元イギリス領で公用語が英語、

キリスト教国家です。60年代からフォーミュラ・ワン・グランプリが行われていた程の「欧米」

ですが、その恩恵に浴する事が出来なかった黒人たちが、有色人種差別主義

撤廃後20年余りで、ここまで独自で世界基準の音楽を創り上げています。

2000年の歴史を誇る極東の島国でオンガクサンギョー、オンガクカタチは、何をしている

んでしょうか。

 

M05.Whiskey, Beer And Wine(4’30”)Buddy Guy  

-B.Guy, T.Hambridge-  RCA  88875-12037-2

 

N  はい、先週お届けしたバディ・ガイ、お料理好きで洒脱な嗜好家グリ子さん

に気に入って頂けたようです。「体の細胞の奥深くにブルーズがしみてる人の

演奏ですね」という表現もなかなかでございます。その通りでしょう。

新しいアルバムでは「コーニャック」、「ウイスキー・フォー・セイル」とお酒にちなんだ題名

の楽曲が目立ちました。そう言えばこの前のアルバム『ボーン・トゥ・プレイ・ギター』

にもあったな、と聞いて頂いたのが、今の「ウイスキー、ビア、アンド・ワイン」でした。

同じアルバムからもう1曲聞いてください。ジョス・ストーンをフィーチュアして、

「ベイビー、ユー・ガット・ワット・イト・テイクス」。

 

M06.(Baby) You Got What It Takes(3’18”)Buddy Guy feat. Jess Stone  

-C.Otis, M.Stein, B.Benton-  RCA  88875-12037-2

 

N  後半ジョス・ストーンがアリサ・フランクリンそっくりになってしまう「ベイビー、ユー・ガット・

ワット・イト・テイクス」でした。改めてジョスの唄の上手さが分かる1曲ですね。

ではバディ・ガイ、今朝は新しいアルバムの表題曲です。

「ブルーズは元気に生きてるぜ」。

 

M07.The Blues Is Alive And Well(5’13”)Buddy Guy

-T.Hambridge, G.Nicholson-  RCA  19075812472

 

N  バディ・ガイ、新しいアルバムの表題曲で「ブルーズ・イズ・アライヴ・アンド・ウェル」で

した。どっしりとした安定感、余裕を感じさせる出来です。「体の細胞の深

くにブルーズがしみてる人」は違います。

中間部に聞かれたアルペジオのような単音リフを聞いて、「ニヤリ」とした方もい

るでしょう。これはライヴァル的存在だったオーティス・ラッシュの「オール・ヨー・ラーヴ」の

お約束間奏ですからね。これもバディ・ガイの余裕、ユーモアなのでしょう。

ではその原型をどうぞ。

オーティス・ラッシュで「オール・ヨー・ラーヴ」です。

 

M08.All Your Love(2’35”)Otis Rush  

-Rush-  PヴァインPCD-3741

 

N  オーティス・ラッシュの十八番、「オール・ヨー・ラーヴ」でした。1958年の録音です。1934

生まれで48 年にシカーゴに出てきたオーティス・ラッシュは、36年生まれのバディ・ガイ

とほぼ同期で、B.B.キングが世界的な存在になっていく時代のエレクトリック・バンド・

ブルーズを支えました。イギリスのハード・ロック・ギタリスト達に最も直接的な影響を与

えたのもラッシュでしょう。

もう随分と前の話になりますが、ある若いバンドを聞いた後で、そのギタリスト

に「ラッシュが好きなのか」とちょっと嬉しくなって尋ねたところ、怪訝な顔を

した相手から「ジミー・ペイヂなんですけど」と言われた事がありまして、「あ

あ、そういう事なのか」と妙に納得しました。そのくらい影響力大だったの

ですね。

さてこの「オール・ヨー・ラーヴ」のギター旋法は、この世界的ヒット曲に登用され

た事が有名です。

 

M09.ブラック・マジック・ウーマン(5’20”)サンタナ  

-P.Green-  CBS/ソニー 25DP 5549

 

N  はい、ご存知ストリップ劇場の定番曲「ブラック・マジック・ウーマン」、サンターナです。こ

の印象的なギター演奏は、もちろんカルロス・サンターナの編み出した決定的な素晴らし

い産物ではありますが、先ほどのオーティス・ラッシュの「オール・ヨー・ラーヴ」から絶対

的な閃めきを貰っています。カルロス・サンターナ本人が「これはラッシュをパクったんだ」

と言って両方のフレイズを弾き、「な、同じだろ」って言ったんですから本当で

しょう。

 

M10.Black Magic Woman(2’51”)Fleet Wood Mac 

-P.Green-   Columbia 88697625922

 

N  こちらは「ブラック・マジック・ウーマン」のオリヂナル、フリートウッド・マックです。1969年

のアルバム、『聖なる鳥』からでした。作者はピーター・グリーン。いかにも彼らしい

ギター演奏が聞けましたね。しかし、この盤からは甲乙付け難い出来映えのも

う1曲を聞いてもらいましょう。

客演のピアニスト、エディ・ボイドをフィーチュアしてジェレミー・スペンサーが憧れのエルモ・ジェ

イムズを讃えます。

「ザ・サン・イズ・シャイニン」、照るぞう、暑くなるぞう。

 

M11.The Sun Shining(3’15”)Fleet Wood Mac   

-E,James-  Columbia CBS/ソニー 25DP 5549

 

N  「太陽は燃えている」、フリートウッド・マックでした。このテイク、完璧ではないけれ

ど、とても宜しい。昔から大好きです。

あ、他所道に逸れてしまいました。バディ・ガイを聞きましょう。

「初めてブルーズに出会った時は森の中だった」という唄い出しで、多くの

日本人を惑わせたこの歌です。

「ファースト・タイム・アイ・メット・ザ・ブルーズ」。

 

M12.ファースト・タイム・アイ・メット・ザ・ブルーズ(2’17”)バディ・ガイ  

-E.Montgomery-  ユニバーサル UICY-3203

 

N  この暑苦しさ。気温摂氏40度、湿度80パーセントの7月末日本では、堪りま

せん。ただ若い頃のバディ・ガイはこういった激しい表現が強烈な個性でした。

大音量で圧倒するというより、細い鋭い音で細かなフレイズを早弾きし、ベンド

で引っ張ったロング・トーンで緊張感を煽る。唄は投げつける、吐き出す、この

スタイルで人気を博していました。よく「顔で弾く」という表現があるでしょう。

バディは「全身で弾く」男でして、まだブルーズの演奏現場なんてこの国の誰も

知らない時代にNHKテレビで放映された実演動画では、その弾き方から「ノケゾ

リング・ギター」なんて言われたものです。

では聞いて下さい。燃えるギターの、激しく暑苦しいバディ・ガイ・ノケゾリング・

ブルーズ、

「テニヤーズ・アゴウ」。

 

M13.テン・イヤーズ・アゴー(2’36”)バディ・ガイ  

-B.Guy-  MCA MVCM-22009

 

N  「10年前」、バディ・ガイ1961年の録音でした。「10年後」というグループ

がイギリスにありましたけれど、何か関係あるのでしょうかね。

とにかく若い頃のバディ・ガイはこんな緊張度の高いブルーズで名を馳せまし

た。そして今は、先々週からお聞きのような、「文字通り元気に生きている

ブルーズ」を唄っています。「ヴェテランらしい余裕も感じられ、何より声に張り

があるので全体が引き締まっている感じ」、共に先々週の自分の文言を引用

致しました。新しいアルバム『ブルーズ・イズ・アライヴ・アンド・ウェル』、ぜひ聞いて

みて下さい。果たしてこの暑さが吹っ飛びますかどうか・・・。

さて、先ほどの「ブラック・マヂック・ヲーマン」を探している時に、棚から偶然面

白い1枚が出てきました。まだ「CBS/ソニー」という名前のレコード会社が存在し

た頃にカタログ増強のために盛んに出されていた編集盤のひとつ『懐かしのスクー

ル・デイズ』シリーズ。CDの創世期です。この第6集が「フォーク・クラシック」でして、

フオーク再発見、再考中のわたしとしましては、手に取らざるを得ません。

当時CBSが権利を持っていた主に60年代の録音をまとめたものです。アメ

リカ大手のコロムビア原盤ですから、その気になればもっと古く稀少な物もたくさ

ん集められたでしょうが、何せ『懐かしのスクール・デイズ』ですから、あの時代

の「フォーク・リヴァイヴァル」で脚光を浴びた人間、楽曲が並んでいます。割と純度

は高いですよ。ボブ・ディランが入っていない事を除けばね。

そこに大きな間違いがありました。それは何か・・・、まずはお聞き頂き

ましょう。

カーター・ファミリー・ウィズ・ジョニー・キャッシュで「オハイオの銀行」。

 

M14.オハイオの銀行(4’07”)カーター・ファミリー・ウィズ・ジョニー・キャッシュ

-A.P.Carter-  CBS/ソニー 25DP 5550

 

N  カーター・ファミリー・ウィズ・ジョニー・キャッシュで「オハイオの銀行」でした。もうお分かり

の方もいる事でしょう。

この歌は「フランキー・アンド・ジョニー」や「トム・ドゥーリー」と同じような「マーダー・

バラッド」呼ばれる殺人事件伝承歌です。昔も今も人間は残酷、残虐で、沢山

の酷い事件を起こしています。ミーディアが発達していなかった頃は、そういう

出来事が歌や戯曲のネタになって、人々に伝わっていました。ジャメカではつい先

頃までこの種の時事ダンスホール・レゲが機能していました。

その中で凶悪犯罪、殺人事件は大衆最大の興味対象です。この国でも19世

紀末、明治26年に大阪と奈良の間の赤坂水分村で勃発、その三日後には天王

寺で浪花節となって詠まれていたという「河内十人斬り」などはその象徴で

しょう。

実際にアメリカ開拓時代には凶暴な英雄が居て、彼らにまつわる武勇伝、残酷

物語は数多くあった事でしょう。それがかなりの誇張を施され、言い伝えら

れているのです。クールじゃなかった頃のカントリー音楽には、この種の犯罪を主題

とする歌が沢山残っています。民間伝承説話の音楽版です。ただ誰も現場を

知りませんから、唄い手たちは皆「見てきたような嘘」をついていました。

この「オハイオの銀行」は一人称で出てくる主人公が恋人を殺す話です。その

原因が金銭の貸し借りで、犯人は口座を持つ「オハイオの銀行」に乗り込んで人

質を取って立て籠もり、親族の説得にも応ぜず、最終的に警察隊の突入で大

勢の犠牲者を出した、と言うのならこの「オハイオの銀行」と言う邦題も成立し

ますが、その恋人殺害の現場は土手の上でした。この「Bank」は、「銀行」

ではなく「川の堤」なのです。

この歌が知られるようになったのは19世紀末だと言われますが、日本に紹

介されたのは、おそらく1960年代の始め頃ではないでしょうか。その時に

どこかの音楽出版社あるいはレコード会社のイーカゲンな担当者が、先ほどのような

逞しいソーゾー力ではなく、浅はかな知識で「オハイオの銀行」と訳したのでしょう。

西新宿の放送局で仕事を始めた頃、わたしの師事した先輩は「これを『オハイオ

銀行』と言った奴がいる」と明らかに馬鹿にしていました。

その恥ずかしい邦題が20世紀末、1989年に発売されたCDでも使われて

いたのです。これは驚き。「CBS/ソニー」という名前のレコード会社の人間はみな

高学歴で優秀だった筈ですがねえ。更には付属の解説もこの題名を踏襲し、

歌の本質に触れていません。その担当者は、鈴木カツ。先週ジム・クウェスキンのライ

ナで褒めてあげたばかりなのに。

わたしは発売当時にもこの部分に気が付いていた筈ですが、今回見つけて

再び思い出しました。ただし、この邦題はもう動かせない特別な「地位」に

あるのかも知れません。この国の音楽業界には理解不可能なしきたりがあり

まして、一度付けた邦題は変えられない、和訳も「定訳」と呼ばれて、一字

一句変えてはならない、などの全くナンセンス、無意味な馬鹿げたタダの悪習です。

現役史上最強のロケンローバンドのアルバム再発時に不粋な邦題を付け替えたら、初

代邦題命名者から注文が付いて印刷物を差し替えたと言う事件があった話を

聞いた事があります。このゴッドファーザーは当時ギョーカイのチョーテンに君臨していま

したから、明らかな自己顕示欲による嫌がらせです。担当者は泣きながら訂

正作業を行ったのでしょう。

ひょっとしたらこの『懐かしのスクール・デイズ』シリーズ制作部署の上の方にか

つての「オハイオの銀行」命名者がいて、現場は忖度でそのまま使用し解説でも

触れないようにしたのかも知れません。こういう事が実際にあるんですよ。

失礼、随分と長い話になりました。『懐かしのスクール・デイズ』第6集「フォーク・

クラシック」からもう1曲お聞きください。アパラチア地方で歌い継がれていた「黒は

恋人の髪の色」です。ニーナ・シモンも唄っていましたね。こういう点から彼女が

自分自身を「わたしはジャズではなくフォーク・シンガーだと思う」と言うのは分か

ります。

では『懐かしのスクール・デイズ』第6集「フォーク・クラシック」からどうぞ。

「ブラック・イズ・ザ・カラー」、オーリエル・スミスです。

 

M15.ブラック・イズ・ザ・カラー(2’53”)オーリエル・スミス  

-W.Raim-  CBS/ソニー 25DP 5550

 

M16.Mama Look A Booboo(3’30”)ドリンキン・ホッピーズ 

-L.Melody-  Pヴァイン PCD-25260

 

N  先々週お届けしたドリンキン・ホッピーズ、全編を聞いてみました。そこから意外

なカヴァ曲、「ママ・ルック・ア・ブーブー」です。彼らはリーダーの富山浩嗣が吾妻光良

の真似をしたくて続けていたスウィンギン・バッパーズのコピー・バンドだったそうで

す。こういうカリプソをリパトゥワに採り入れるところも、吾妻光良からそのまま受

け継いでいるようですね。

この歌はハリー・ベラフォンテが唄って人の知るところとなりました。わたしの家

に初めて「スティーリオ」再生装置が来た時に付いていたダイジェスト試聴盤の中にも

入っていて、それ以来50年以上の付き合いになります。

では、カーネギー・ホールでの実況録音からどうぞ。

「ママ・ルック・ア・ブーブー」。

 

M17.Mama Look A Booboo(5’23”)Harry Berafonte 

-L.Melody-   RCA 74321 15713 2(2)

 

M18.Jamaca Farewell(5’11”)Harry Berafonte 

-L.Burgess-  RCA 74321 15713 2(2)

 

N  ハリー・ベラフォンテの「ママ・ルック・ア・ブーブー」、そして「さらばジャメカ」、カーネギ

ー・ホールでの実況録音から聞いて頂きました。歌と歌の間で「子供の頃西インド

諸島で過ごした。仲間と泳いで船乗りたちの唄を聞いた」と思い出を語りま

す。ベラフォンテはアメリカ生まれの筈ですが、幼少時代には父母の故郷で過ごしてい

たのでしょうか。避暑避寒で行っていたりすると、ちょっと印象変わります。

「さらばジャメカ」はサム・クックでも知られています。ハリー・ベラフォンテは同じメイジ

ャーのRCAレコードの先輩で成功者。サムは自分に不可能はない、とあらゆる機会

に自分を試していましたから、ひとつの挑戦として唄ってみた感じなのかな

あ。わたしと致しましては、このカリプソ路線。もう少し突っ込んで欲しかった

ですね。

 

M19.Vaya Con Dios(3’08”) Tony Orland & Dawn   

-I.James, B.Pepper, L.Russel-  Arista 07822-19036-2

 

 

N  「ラスト・ダンスは私に」と「渚のボードヲーク」をくっつけたようなこの歌は、

先週開眼したばかりのトニー・オーランドとドーンの「バイヤ・コンディオス」です。

トニー・オーランドがリード、テルマ・ルイーズ・ホプキンズ、ジョイス・ヴィンセント・ウィルスン、二人

の黒人女性がバック・グラウンド・ヴォーカル。この手のユニットにありがちな、「リード以

外は誰でも同じ」的組み合わせではなく、バック・グラウンド・ヴォーカルも固定され

ていました。しっかり顔写真もあるしね。

明確にゲーノー界内の存在ですが、オリジナル楽曲の出来、カヴァのセンス、そしてヴォ

ーカルを含めた編曲もプロのお仕事で、非常に質が高い。まず松崎しげる的トニー・

オーランドの唄が非常に宜しい。今の「バイヤ・コンディオス」でもそれはお分かりの事

でしょう。ここまではいずれもセンスの良い選曲を上手に料理したカヴァをお届け

して参りましたが、今朝はオリヂナル曲もお聞きいただきます。

1973年のヒット曲、「たれかジプシー・ローズを知らないか」。

このトリオのほぼ専属作家だったアーヴィング・リヴァインとラッセル・ブラウンの作品です。

 

M20.Say, Has Anybody Seen My Sweet Gypsy Rose(2’55”)

Tony Orland & Dawn 

-I.Levine, L.R.Brown-  Arista 07822-19036-2

 

 

TM Born In Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

 

N  今頃「ドーンはいい」なんて騒いでるのは、世界中でワツシイサヲだけと自負して

います。「セイ・ハズ・エニバディ・シーン・マイ・ジプシ・ローズ」でした。いいね。

さて狂ったように暑い日々は続きます。2年後、この時期に運動競技の世界

祭典が行われます。このまま行けば、今より暑くなるでしょう。その対応に

本来必要のない手段が講じられ、どれほどの血税が投入されるのでしょうか。

最悪事態として犠牲者が出るのではないか、と思わずにはいられません。競

技日程が発表されました。衛星放送主導の時間帯割り。わたしは未だに「開

催反対」です。

毎週たくさんのお便りを有難うございます。首都圏で9人の方々だけでな

く、全国で9500万人のあなたからも、お待ちしています。いろんな異論歓迎

ですよ。どうぞ聞かせて下さい。

さて今週の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/80f4426ebcbafe81ced9962c959b12d76adb853a

ダウンロード・パスワードは、p80t4bfzです。とても上手に撮れた写真です。何

の上でしょうか。

今朝もちょうど時間となりました。

こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

 

 


【大家よりお知らせ】

真夏の深夜の生放送決定!
2018年8月8日(水) 24時~29時(=8月9日になった瞬間から早朝5時まで)
放送局:中央エフエム(84.0Mhz)

Awesome Rock 24:00-26:00
Mornin’ Blues 26:00-29:00
出演:ワシズイサヲ、サワダヲサム

ピーター・バラカンさんのイベント、「出前DJ」に鷲巣さん出演!
日本最古の映画館・高田世界館でPing-Pong DJのようです。
日 時 2018年9月15日(土) 16:30開場 17:00開演
場 所 高田世界館 上越市本町6丁目 TEL 025-520-7626
入場料 前売 3,000円 当日 3,500円
高田世界館、戸田書店などで販売
電話予約可 前売料金で当日精算 025-520-7626

【幻】モーニン・ブルーズ 2018/07/14

mb180714

 

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

 

N  おはようございます。アサー。暑いです、本当に。でも眠る時はレッグ・ヲーマー着

用のワツシイサヲです。

中国、近畿の大雨被害、甚大です。先週木曜日から不穏でしたものね。こ

のわたしですら、5日の晩には京都に住んでいる不仲の姉に見舞いの電話を入

れていました。「ここのところずっと降り続いている」という返事が印象的で

した。幸いな事に、親族には何事もありませんでしたが、打撃を受けた方々

には、これからの「復旧」が大きくのしかかります。及ばずながら、まず募

金します。

今朝のモーニン・ブルーズ、1曲目はバディ・ガイ、

最新アルバムから「コーニャック」。

 

M01.Cognac(5’22”)Buddy Guy feat. Jeff Beck & Keith Richards

-B.Guy, T.Hambridge, R.Fleming-  RCA 19075812472

 

N  「コーニャック」、バディ・ガイでした。お聞きの通り、このトラックはジェフ・ベックとキー

ス・リチャーズが客演しています。ジェフは凄いね。導火線が音を立てて燃えていく

様なオブリガート、ソロでバディを文字通り煽ります。それに対してキースはワリを食っ

た感じで手が出ません。最後にちょっと持ち直すかな。でもジェフの圧倒で決

着です。彼ら全員70歳を越えてます。恐ろしいね。

ブルーズで開けた今朝のモーニン・ブルーズ、続けましょう。次も新しい録音です。

ローリー・ブロックという女性フォーク歌手の新譜は、「ブルーズの皇后」と呼ばれたベッシ

ー・スミスの持ち歌のカヴァ企画です。

そこから「キチン・マン」。

 

M02.Kitchin Man(4’01”)ローリー・ブロック  

 

N  ルーシンダ・ウイリアムズ調と言いますか、カレン・ダルトン風でもありまして、更にはマリ

ア・マルダー的にも聞こえたヴォーカルは、ローリー・ブロックの「キチン・マン」でした。彼女

はこれまで戦前の偉大なブルーズメンへ捧げるアルバムを作り続けてきましたが、こ

れから先は影響を受けた女性歌手たちへの賛歌集をシリーズ化して行くようで、

その「パワー・ヲーメン・オヴ・ザ・ブルーズ」の第一弾が、ベッシー・スミス作品を集めた

『ア・ヲーマンズ・ソウル』です。他の収録曲も全てベッシーの物で、この「キチン・マン」

以外は、ちょっと本人を意識し過ぎの感あり。だいぶ力が入っています。

ベッシーは19世紀、1894年の生まれで、活躍していた頃にレコード録音が一般

化しつつあったので吹き込みも多く、女性ブルーズの祖として崇められていま

す。もちろん彼女以前にも多くの唄い手はいたのでしょうが、何しろ録音が

ないので、なかなか実態、実力に辿り着けません。「ブルーズの皇后」として

ベッシーが君臨するのは妥当なところでしょう。

まだ満足な拡声装置のなかった頃ですから、とにかく声を大きな体に響か

せて、力強く前に進んで行くリズム感が大きな特徴でした。当然その後の女性

歌手たちに大きな影響を与えまして、全く別の唄い方をしたビリー・ホリデイです

ら、ベッシーの事を大いに尊敬していたと言います。

ではそのベッシーを聞いてみましょう。グイグイと引っ張るようなリズムをお楽し

み下さい。

「エムプティ・ベッド・ブルーズ」の第一部と第二部、1928年の録音です。

 

M03.Empty Bed Blues(pt.I & II)(6’23”)Bessie Smith

-J.C.Johnson-  Columbia  CK44441

 

M04.Tangwanana(3’43”)ベカオ・カンテット

 

N  ベッシー・スミスで「エムプティ・ベッド・ブルーズ」でした。続けましたのはベカオ・カン

テットで「タングワンナ」、2018年最新の作品『マリ・フォリ・コーラ』からです。

フランス人エメリック・クロールがドラマーとして参加している、マリの新民族音楽家集団。

前作『バマコ・トゥデイ』は大変結構な快作でした。今回の『マリ・フォリ・コーラ』も充

実しています。わたしにはエレキギターにしか聞こえなかったリード楽器は、どうや

らドンソ・ンゴ ニという楽器のようですね。小型エフェクターを多用して、この音色を

作っているようです。今の「タングワンナ」の実演映像はここに揚がっています。

これを観れば実態も分かるでしょう。何より自然な演奏態度、姿勢が宜しい。

https://www.youtube.com/watch?v=z-ElgTAo3J0 です。

慣れ親しんだ伝統楽器を使いながらも、響きは極めて今日的で、メムバたち

もモダーンな世界を向いて演奏しているようです。今回からグループ名から「カンテッ

ト」を外して「BKO」と名乗り始めていますが、日本国内ではまだ「ベカオ・カ

ンテット」で売って行くとか。

 

M05.Salta(4’30”)ベカオ・カンテット

 

N  ベカオ・カンテットで「サルタ」でした。2018年最新アルバム『マリ・フォリ・コーラ』は冒頭2

曲だけでこの充実度。この先も紹介する予定です。お楽しみに。

さて先々週の「フロム・スピリチュアルズ・トゥ・スウイング」でブーギー・ウーギー・ピアノを

聞いた後に片付けをしていたら、今度は『伝説のブギ・ウギ・ピアノ』というの

アルバムが出て来ました。故中村とうようが豊富なMCA音源をふんだんに使っ

て組んだ中身の濃いコムピ盤です。これを聞くと、ブーギー・ウーギーのリズムは、決

して大都会だけの物では無かった、という事が分かります。当然飲盛り場の

飲食店で持て囃されたのでしょうが、それはカントリー・ブルーズでも同じ事です。

注目すべきは、片田舎でも同じようなビート革命が進行していた事です。

今朝は『伝説のブギ・ウギ・ピアノ』から、アラバマ洲の伝説的ブーギー・ウーギー・

ピアニストを紹介しましょう。

まずカウ・カウ・ダヴェンポートです。

「ステイト・ストリート・ジャイヴ」。

 

M06.ステイト・ストリート・ジャイヴ(3’05”)カウ・カウ・ダヴェンポート

-C.C. Davenport-  MCA MVCE 24058

 

N  カウ・カウ・ダヴェンポートで「ステイト・ストリート・ジャイヴ」、1928年7月の録音です。

声を出していたのは、カウ・カウの相棒。一緒にドサを回っていた踊り子のアイヴィ・

スミスという女性。ピアノとダンスが対になっていたのですね。

お聞きのようにブーギー・ウーギーはピアノの左手から繰り出されるビートが命です。

どの弾き手も、力強い左手という事では共通しています。この辺りは後のゴス

ペルにも受け継がれていますね。とにかく前進するリズムの強調が必須です。

先ほど「ブーギー・ウーギーは、大都会だけの音楽ではない」と申しましたが、

これらの録音はシカーゴで行われています。ふたりのピアニストたちは、多分巡業の

途中に立ち寄った、あるいは見出されて招かれて吹き込まれたのでしょう。

1920年代、南部の黒人たちがたむろす場所では熱烈なリクエストがあ理、頻繁に

披露されていたビートがブーギー・ウーギーです。

さあ次は名人の名曲が登場します。

1928年12月の録音です。パイントップ・スミスで、「パイントップス・ブーギー」。

 

M07.パイントップス・ブギ(3’20”)パイントップ・スミス 

-P.T.Smith-  MCA MVCE 24058

 

M08.民踊河内音頭 (4’32”)初音家賢次

-P.D.-  ニッポン・レコード NP-1001

 

N  「ハイ、右へ4歩」「そこで止って」、と言っているかどうかは分かりません

が、ラジオ体操のように動きへの指示が入るピアノ曲、「パイントップス・ブーギー」、

パイントップ・スミスでした。

続けましたのはこちらも名人と呼ばれた初音家賢次の「民踊(ミンヨウ)河内音頭」

です。1970年代に大阪にあったインディペンデント・レイベルだったニッポン・レコードに

吹き込まれています。ピアノが入ってますが、これはこの時期の録音としては

珍しくない形です。アンサムブルからの必然性というよりは、「スタジオに行ったら

置いてあったので、勿体無いから弾いた」程度のものでしょう。生演奏で用

いられた例は全く無い筈です。

賢次の所属していた初音家という会派は近代河内音頭の本流に在り、創始

者初音家太三郎の下、現在の音頭様式を整えた由緒ある集団です。お聞きに

なってお感じでしょうが、掛け声が異なります。通常「イヤコラセ、ドッコイセ」と来

る処が「ヨイトコセ、ドッコイショ」です。かつては会派や地域によって独自の掛け声

が用いられていたそうで、初音家は最後までそれを持ち続けていました。こ

の録音の頃には、老舗の誇りと共にまだ使われていたのでしょう。

初音家賢次はその二代目の会長として君臨しました。それ以上に音頭取り

としての実力が途方もなく優れておりまして、多くのファン、贔屓を持っていま

した。下手に大声を出す事なく、絶妙の節回し、リズムで縦横無尽、自由自在

に音頭を操ります。今の短めの「民踊河内音頭」でもその断片は感じ取れた

事でしょう。加えてこの人には、いつもパンク臭が漂いまして、わたしはそこ

に惹かれております。初音家賢次でした。

さて季節です。今年もやって来ました「すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り」

今回で第37回、平成期最後の開催となります。そこで、ここまで規模が大き

くなったこの盆踊りを、第一回以来支えてくれた錦糸町馴染みの三会派、本

場河内の里でも「音頭ご三家」と呼ばれる歴史と伝統を誇り、それに見合っ

た個性と実力を兼ね備えた三つの音頭会を招きます。出演者は、以下の通り。

 

鳴門会

鳴門家寿美若(音頭)

鳴門家清若(音頭、太鼓)鳴門家文若(三味線)、鳴門家ひろし(太鼓)

鳴門家寿美宏(ギター)、鳴門家寿々佳(音頭、囃子)、

鳴門家寿々女(音頭、囃子)、鳴門家加寿若(音頭、囃子)

 

五月会

五月家一若(音頭)

五月家雪若(音頭)、五月家ゆき(音頭)

五月家一蘭(音頭)、五月家音若(音頭)

五月家きよし(三味線)、五月家二郎( ギター)

五月家鷹若(三味線、ギター)

五月家真次丸(太鼓)、五月家夢若(太鼓)

 

鉄砲光丸会

鉄砲光丸(音頭)

河洲虎丸(音頭、太鼓)、河洲直美(音頭)

弥生みゆき(太鼓)、虹友美(三味線)、河洲ゆめほ(ギター)

ひろわか(ギター)、河洲美佐子(囃子)、河洲つばさ(囃子)、河洲一丸(囃子)

永田充康(音頭、太鼓)

 

前半は各会派若手の精鋭がぶつかり合い、後半は三師匠にじっくりと喉を競

い合ってもらう特別構成です。どうぞお楽しみに。

あ、日時会場をお伝えしなくてはいけませんね。

 

第37回、平成期最後の「すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り」は、

2018年8月29日水曜日、30日木曜日 午後5時30分開演

墨田区錦糸町駅南口 首都高速道路 7号線高架下

竪川親水公園内特設会場で行われます。入場無料。どうぞお越し下さい。

なお、毎年頂いておりますお提灯、今年もお願い致します。これまで頼ん

でいた張らなきゃ食えない提灯屋の文字書きが一人になってしまい、作業の

集中が予想されますので、新規の方お早めにご注文下さい。昨年までお世話

になっておりまして、お持ち帰りになられている方も、まずはご連絡をお願

い致します。まずはこちらからどうぞ。 https://www.iyakorase.comです。

 

M09.機関車(3’48”)小坂忠

-C.Kosaka-  ソニー  MHCL 1483

 

N  小坂忠で「機関車」でした。先週末の日曜日に忠さんの演奏会が開かれまし

た。昨年の同じ頃にも予定されていた公演は突然の入院で本人不在となって

いました。わたしも本当に心配しましたが、奇跡的に回復し今年は林立夫、

小原礼、ダクタ・キョン、そして鈴木茂を従えた万全の布陣で臨めました。まだ一

部に要治療箇所があるようでしたが、唄声にはなんの問題もなく、若い頃よ

りも声出てるんじゃないかと思わせるほどの力強さだった事を報告しておき

ます。今の「機関車」は、娘さんのエイジアのバック・グラウンド・ヴォーカルが素敵で

した。リズムのアレンヂは三連で、これも良かった。小坂忠、元気です。

さて先週ドラマー、D.J.フォンタナの訃報を偲んで1曲、「トラブル」をお送りしまし

た。これはこれで充分な追悼表明だったのですけれど、一番好きだった彼の

ドラミングが冴え渡った歌が出て来ませんで、大いに慌てました。その後で持っ

てない筈がないと一週間探し続けました。そしてようやく発見。今朝はそれ

を含めて、D.J.フォンタナの軽快なビート打ちが冴え渡る数曲を続けてどうぞ。いず

れもエルヴィス・プレズリの唄です。

まずは1966年5月28日の録音、「フールズ・フォール・イン・ラーヴ」。

 

M10.Fools Fall In Love(2’04)Elvis Presley  

-J.Leiber, M.Stoller-  RCA 3026-2-R

 

M11.(Now And Then There’s) A Fool Such As I(2’35”)Elvis Presley 

-B.Trader-  RCA 07863 66050-2

 

M12.Big Hunk Of Love(2’12”)Elvis Presley   58.June 10.11  

-A.Schroder, S.Wyche-   RCA 07863 66050-2

 

M13.I Need Your Love Tonight(2’04”)Elvis Presley  

-Wayne, Reichner-  RCA 07863 66050-2

 

M14.Fools Fall In Love(2’29”)The Drifters

-J.Leiber, M.Stoller-  WarnerPlatinum  8122-73249-2

 

N  恵比寿プレズリで、

「フールズ・フォール・イン・ラーヴ」

「ナウ・アンド・ゼン・ゼアズ殺虫剤」

「恋の大穴」

「アイ・ニード・ヨー・ラーヴ・トゥナイト」でした。

いずれもD.J.フォンタナ、冴えてましたね。「恋の大穴」の間奏でエルヴィスが思わ

ず「ラララララララ」、と唄い出してしまった位、気持ちの良いリズムです。

最後は「フールズ・フォール・イン・ラーヴ」のオリヂナル。ザ・ドリフターズ、フィーチュアリング・

クライド・マクファターです。彼の事をエルヴィスは大好きだったようで、初期にはいくつ

かのカヴァを吹き込んでいます。これらふたつの「愚か者の歌」は、わたしに

は甲乙つけ難い仕上がりで、常に頭の中のジュークボクスで鳴っています。そのエル

ヴィスの仕様を収めた盤が、なかなか出て来なかったのでした。

 

M15.オーキー・フロム・ムスコーギー(3’50”)ジム・クウェスキン

-M.Haggard, R.Burris-  ワーナー WPCR-15002

 

N  バーブラ・デインに端を発したリアル・フォーク再考で、注視していたジム・クウェスキンの ア

ルバムは今たくさん出ているようですね。先日その1枚『ジム・クウェスキンズ・アメリ

カという1971年発表作品を見つけました。ジャケットが印象的です。J.F.ケネディ、

エイブラハム・リンコン、ジェイムズ・ディーン、ファッツ・ヲーラー、ビリー・ホリデイなどの写真がコラー

ジュされています。フォークを通じて様々なルーツ音楽に目覚め、新興宗教にも染ま

ったクウェスキンは、母国アメリカについて考えるようになったのでしょう。オリヂナル曲

はひとつもなく、それまで歌い継がれていたアメリカの歌の集大成のような内容

です。国内盤の鈴木カツ解説には「クウェスキンのブルース・アルバムともいえそうだ」と

書かれています。この指摘は正しいですね。

今の「オーキー・フロム・ムスコーギー」は、マール・ハガードの作品でした。わたしはこの

歌に何らかの思い出がある筈なんですが、頭脳PCを検索しても出て来ません。

何だったかなあ。

次はメムフィス・ジャグ・バンドの「スティーリン」、日本のフォーク愛好家たちがこの歌を

知ったのは、このヴァージョンだったのではないでしょうか。憂歌団も含みます。

ジム・クウェスキンでどうぞ。

 

M16.スティーリン(4’27”)ジム・クウェスキン     

-The Memphis Jug Band-  ワーナー WPCR-15002

 

M17.Counting All My Tears(3’06”)Joshua Hedkey

-J.Hedkey-  Third Man RecordsTWR-505

 

N  うって変わって、見事なまでに完璧な保守的カントリー。曲名は「カウンティング・オー

ル・マイ・ティアーズ」。

先週「姿形も歌声も、そして全体の響きもお聞きのように典型的なカントリー。

今時ここまでカントリー的なカントリーがあるのか、と言いたくなるようなカントリー音楽」

と評したジョシュア・ヘドリーというカントリー野郎の最新アルバム『ミスタ・ジュークボクス』から

です。ジャケット写真が、気持ち悪い入れ墨にも見えるドギツイ刺繍の施されたカント

リー・スーツ姿。わたしはこれだけでもう「アカン」でしたが、聞いてあまりに変哲

のないカントリー・スタイルにまた驚き。音数は少なく控えめですが、説得力がありま

す。

ウイリー・ネルスンの「ファニー、ハウ・タイム・スリップス・アウェイ」的な主題ですが、こちらの

主人公は相手の左手に光る指輪を気にしたりしてまだご愁傷さまのようです。

なかなかいい歌ですね。声は見かけよりも若い。アルバムは全曲長くても4分足

らずで仕上げられ、トラック間も長く取られているので、昔のLPみたいです。

雑音の少ない澄みきった音を除いては。

もう1曲聞いて下さい、「レッツ・テイク・ア・ヴァケイション」。

 

M18.Let’s Take A Vacation(3’49”)Joshua Hedkey 

-J.Hedkey-  Third Man RecordsTWR-505

 

M19.Tie A Yellow Ribbon Around The Ole Oak Tree(3’27”)

Tony Orland & Dawn

-I.Levine, L.R.Brown-  Arista 07822-19036-2

 

N  ジョシュア・ヘドリーの「レッツ・テイク・ア・ヴァケイション」でした。それに続きましたのは、

誰でもご存知「幸せの黄色いリボン」、ドーン1973年のヒット曲です。

この歌の基となった、刑務所を出た男を黄色いリボンで出迎える感動的な物

語は、『僕たちの洋楽ヒット』盤の矢口清治による解説を引用して、以前お話し

しましたね。実はそれと同じ原作を持つ邦画「幸せの黄色いハンカチ」を先週観

たんです。ある所でDVDを借りてね。

出てくる役者が皆達者なので、展開には文句なし。画も宜しい。山田洋次

らしさも随所に見られて、大変楽しめた1本でした。狂言回し役の武田鉄矢

が素晴らしい演技でね。なぜこの路線で行かなかったのか不思義になるほど、

いい加減な中途半端で行く当てのない若者を、完璧に演じてました。

音楽は今ひとつ。そこで原作にちなんだこの「幸せの黄色いリボン」を思い

出した次第です。これまでは図書館から借りてきた盤でお届けしていました

が、安いベスト盤も出ている事だし、これを機会に入手して聞きました。する

と全体の質の高さに脱帽。ちょっとノヴェルティ味の強いありきたりなポップ・

グループという印象がブッ飛びました。

残り時間が少ないのでまた改めますが、後2曲ほど聞いて下さい。

トニー・オーランド・アンド・ドーンです。

 

M20.Knock Three Times(3’00”)Tony Orland & Dawn

-I.Levine, L.R.Brown-  Arista 07822-19036-2

 

M21.He Do’t Love You Like I Love You(3’39”)Tony Orland & Dawn

-B.Butler, C.Carter, C.Mayfield-  Arista 07822-19036-2    17

 

TM Born In Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

 

N  トニー・オーランド・アンド・ドーン、大ヒットした「ノックは3回」、そして「ヒー・ドント・

ラーヴ・ユー・ライク・アイ・ラーヴ・ユー」続けて聞いて頂きました。この原題は「ヒー・

ウィル・ブレイク・ヨー・ハート」で、イムプレッションズのビリー・バトラーのヒット曲です。

 

あいつは本気じゃないね

俺ほどにゃ君を愛しちゃいない

巧言令色仁少なからずやって言うだろ

これまで何度も他所で稽古してんだから

美味いこと言うに決まってるよ

きっといつか捨てられるね、だから・・・

 

他人の恋愛に対する何と言う非難中傷横車でしょうか。人の恋路を邪魔す

る奴は犬に噛まれて死んじまえ、って言いたいですね。こうやって迷いの

ある恋に身を置く不安な相手を誘い出す危険な手口。それとも恋の闘いに敗

れた夢見る青少年のボヤき泣き言でしょうか。この歌の陰湿さに較べれば、

 

お前はフラれたって言ってっけどさ

あの娘はお前のこと好きなんだってよ

だから自信持って行けよ

 

と煽る「シー・ラーヴス・ユー」の健全さ、前向きぶりが光ります。

あ、話はトニー・オーランド・アンド・ドーンでしたか。この歌を聞いたのは弁当屋で

配達をしていた頃です。当時はFEN放送でヲーフマン・ジャック・ショウを午後の時間

帯に流していました。昼飯の食器回収がちょうどその時間帯。軽トラで中野、

杉並、練馬の細い道を走りながら、毎日聞いていましたね。74年の初夏です。

知らないグループの「ヒー・ウィル・ブレイク・ヨー・ハート」は、いやと言う程のヘヴィ・ロー

テイション。かなり好きにさせられていましたが、そのすぐ後でビリーのオリジナルを聞

いてしまって、この時のカヴァは棚に載せられたままでした。

それと同じ曲がトニー・オーランド・アンド・ドーンのベスト盤に入っていて、瞬間に「あ

の時のはこれだったのか」、と記憶が蘇った次第です。ただしその真偽は只

今解明中。もう少し時間を頂いてから、公表致します。

今朝の特別付録は、以下の隠し場所。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/45f390890e354a162325cb74ce455ba20a522af9

     パスワードは、4hhmdq6d、使用音源はヨガ・マットの上です。

さて、ちょうど時間となりました。

こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

 


【大家よりお知らせ】

真夏の深夜の生放送決定!
2018年8月8日(水) 24時~29時(8月9日になった瞬間から早朝5時まで)
放送局:中央エフエム(84.0Mhz)

Awesome Rock 24:00-26:00
Mornin’ Blues 26:00-29:00
出演:ワシズイサヲ、サワダヲサム

ピーター・バラカンさんのイベント、「出前DJ」に鷲巣さん出演!
日本最古の映画館・高田世界館でPing-Pong DJのようです。
日 時 2018年9月15日(土) 16:30開場 17:00開演
場 所 高田世界館 上越市本町6丁目 TEL 025-520-7626
入場料 前売 3,000円 当日 3,500円
高田世界館、戸田書店などで販売
電話予約可 前売料金で当日精算 025-520-7626

【幻】モーニン・ブルーズ 2018/07/07

mb180707

 

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

 

N  おはようございます。7月7日、七夕の日のアサー、ワツシイサヲです。

1977年7月7日は 「7」が4つ。ジャマイカの黒人指導者マーカス・ガーベイは、「近

い将来『7』のぶつかり合う時に不幸が起こる」と予言していたそうで、そこ

から「トゥ・セヴンズ・クラッシュ」という歌も生まれて、1977年7月7日がその時

だという流言飛語を呼び起こしました。結局何も起こらなったのですが、現

地では結構な騒ぎだったらしいです。あの国はデマや迷信が好きですからね。

この日、人民救済にエチオピア皇帝のハイレ・セラシエではない誰だったけかな、とに

かく誰かがジャマイカを訪れている筈です。それで惨事が避けられた、という説

もあったような、なかったような・・・。

それはさておき私にとっての7月7日は、この人の誕生日として特別です。

 

M01.アクト・ナチュラリー(2’29”)ザ・ビートルズ  

-Morrison, Russel- 東芝 TOCP-71045

 

N  1940年の7月7日生まれ、77歳を終えて78歳の1年間を始めるリンゴ・スタ

ーです。わたしも小さな頃は「スター、星か。それで七夕か」などと勝手な解釈

をしていましたが、リヴァプール生まれの人間に織女牽牛は何の関係もないです

ね。

最後にメムバに加わり、最初の録音ではスタジオ・マンに担当楽器の演奏を奪われ、

扁桃腺炎で旅公演をトラに変わってもらい、セッションで言い争いになりビートルズを

一度やめた男、リンゴ・スター、誕生日おめでとう。

 

M02.ドント・パス・ミー・バイ(3’45”)ザ・ビートルズ   

-R.Starkey-  東芝 TOCP-71048

 

M03.Cantaloop(Flip Fantasia)(4’31”)Us3

-Kelly, Simpson, Wilkinson, Hancok-  Blue Note 7243 8 29585 2 9

 

N  リンゴ・スターのお誕生日を祝って、「アクト・ナチュラリー」、「ドント・パス・ミー・バイ」、

ザ・ビートルズ時代のリンゴの唄うカントリー曲を二つお届けしました。

続けてお届けしたのはアス・スリーの「カンタループ」です。先週の大仕事「フロム・

スピリチュアルズ・トゥ・スウイング」集は、何人かの方々に気に入って頂けたようで、

正直ほっとしています。皆さん戸惑うのではないかと心配でした。中には既

にこの3枚組をお持ちだった方もいらしたようですね。恐れ入りました。そ

の中のおひとり、45979号さんのご投稿にあった「Hands On Touch」という

のが実は分からず、すぐに調べました。知らなかったんですよ、本当に。聞

いてみたら「これかあ」だったのですが、グループの実態に関しては全くの無

知でした。この作品が発表された1993年といいますと、わたしはこの種の手

法に食傷気味でした。サムプルに依存する安易なやり方に妙なシャラクササを覚えてい

ましたね。これは屈折した遠回しの嫉妬かも知れません。

25年遅れで聞いたアス・スリーの『ハンズ・オン・タッチ』は、そんな過剰な意識を吹

き飛ばす快さでした。センスの良さは当然として、広い世界観をもち、緻密で丁

寧に仕上げられています。ネタにブルー・ノートの盤を自由に使える特権があるのも

大きいでしょう。このレイベルはいかしたリフの宝庫ですから。しかもマスター・テイプ

からのサムプルですから音も良い。また出典が細かく明らかにされているのも大

変ありがたい。

今の「カンタループ」はハービー・ハンコックの「カンタロープ・アイランド」とアート・ブレイキの「ア・

ナイト・イン・バードランド第1章」からサムプルされていました。

次もアート・ブレイキの声を絶妙に盛り込んだ、

「ディファレント・リズム」、そして「ディファレント・ピーポー」。

 

M04.Different Rhythms(1’17”)Us3

-Simpson, Wilkinson- Blue Note 7243 8 29585 2 9

 

M05.Different People(3’41”)Us3 

-Simpson, Wilkinson- Blue Note 7243 8 29585 2 9

 

N  「ディファレント・リズム」、「ディファレント・ピーポー」。93年当時はまだ異色を放っ

ていたラップを担当していたのはラサーンです。どことなくフューリアス・ファイヴのメリー・

メル調ですね。サムプルに頼るのではなくて、インスピレイションの源にしている制作過程

が伝わってきます。全体の混ざり具合も程良く、嫌味のない味わいです。中

軸となるふたりがロンドンの白人という点も影響しているのでしょうか。

先ほど「広い世界観」と申し上げましたが、次はそれが感じられるトラックで

す。肉声の語りを乗っけていますが、こちらはジャメイカ風。

レゲDJをフィーチュアした「11年もの長い時」。

 

M06.Eleven Long Years(3’48”)Us3

-Taylor, Simpson, Wilkinson, Silver, Hancok- Blue Note 7243 8 29585 2 9

 

M07.W.O.M.A.N.(3’24”)Etta James

-Hawkins, James- Decca 5330843

 

N  25年遅れで聞くアス・スリーの「イレヴン・ロング・イヤーズ」に続いては、エタ・ジェイム

ズの「ヲーマン」でした。見事に演出された流石のヴォーカル、やはり彼女は突出し

た唄い手です。わたしは動くエタはあまり観た事がなくて、すぐに思い出すの

は、チャック・ベリーの「ヘイル・ヘイル・ロケンロー」でのゲスト出演くらいでしょうか。この

場ではあの決定的な「ロケンロー・ミュージック」を歌いますが、ちょっと迫力過多で

す。いい歳した男たちが「ロケンローだぜ」、なんて子供と同じようにはしゃいで

るのを、「あんたたち

ゃ、それだからダメなんだよ」と、怒ってるようにも見えます。ひょっとして

女性の出演者はエタだけだったかな。あ、リンダ・ロンスタートが居たか。

この「ヲーマン」は1955年の発表。歌の発案自体は、ボー・ディドリーがチェスに残

したこの歌にあったそうです。

「アイム・ア・マン」。

 

M08.I’m A Man(3’02”)Bo Diddley

-E.McDaniel-   ユニバーサル MVCE-22024

 

N  20世紀の変わり者、ボー・ディドリーの自己顕示歌「アイム・ア・マン」でした。

「俺様は凄いんだぜ」と半ばホラ話のように大袈裟な表現で威を張る歌は、例

えばマディ・ヲーターズの「マニッシュ・ボーイ」、「フーチー・クーチー・マン」のようにブルーズ系

黒人音楽の一つの流れです。「持続力60分の絶倫」を誇示する「シクスティ・ミニッ

ト・マン」も同類ですし、初期のラップは、殆どが自分がいかにカッコ良く、身体能

力抜群で、どれ程いい女にモテるか、という事だけを喋り続けていただけです。

そういう調子のいい事を男ばかりにさせてちゃたまらない、と猛女の全米

代表エタ・ジェイムズが唄ったのが先ほどの「ヲーマン」でした。ボーのヒットからすぐに

吹き込まれた、アンサ・ソングのお手本です。

実は先週片付けをしながらジェリー・リーバーとマイク・ストーラーの名曲集を聞いてい

まして、その時に印象に残ったのが「アイム・ア・ヲーマン」で、エタの同名異曲を見

つけたので、先にそちらをご紹介しました。マリア・マルダーがカヴァして有名にな

ったこちらの歌のオリヂナルは1963年にペギー・リーが発表したものです。

 

M09. I’m A Woman(2’08”)Peggy Lee

-J.Leiber, M.Stoller-  Leiber & Stoller Volume 2

 

N  ペギー・リーで「女はつらいよ」でした。「ブラック・コーヒー」で知られる彼女は、

ジャズと言いますか、穏やかで感傷的なポピュラー・ソングが得意な歌い手。普段

はあまりふざけたりしませんが、おそらくリーバーとストーラーが特別に書き下ろし

たこのノヴェルティ・ソングではユーモアを混じえて、上手にこなしています。これも流

石でした。

リーバー・ストーラーと言いますと、先日エルヴィス・プレズリの初期にずっとドラムズを

担当していたD.J.フォンタナが亡くなりました。わたしは彼のタイコがとても好きで、

エルヴィスが心地いいリズムで歌えたのもD.J.のお陰だと思っていた程です。

そこで彼を偲んで1曲。前半を抑え後半を盛り上げ、最後のコーダ部分でダイ

ナミックに展開する、D.J.フォンタナの全てを味わって下さい。

「疫病神」。

 

M10.Trouble(2’16”)Elvis Presley

-J.Leiber, M.Stoller-  RCA  66050-2 07863

 

M11.お達者で(3’15”)ドリンキン・ホッピーズ

-unnkown-  Pヴァイン PCD-25260

 

N  聞き覚えのある声ですね、吾妻光良です。ただしスウィンギン・バッパーズではあ

りません。ドリンキン・ホッピーズというジャムプ・ブールーズ・バンドの新作からです。

ここで吾妻光良は録音、ミックス、そしてプロデュース、更にはお聞きのようにギター

とヴォーカルでも乱入。レコード店の試聴機で聞いた時にはヴォーカルに「吾妻光良の影

響はこんなに浸透してんのか」と思いましたが、本人とはね。アルバム全体も聞

いてみることにしましょう。

このようにジャムプ・ブールーズはいつの時代も洋の東西を問わず、老若男女に

親しまれています。今朝はリル・ロニー・アンド・ブルー・ビーツというアメリカのジャムプ同

好会も聞いてもらいましょう。

「ジャムプ・ジャイヴ・ゼン・ユー・ウェイル」。

 

M12.Jump Jive Then You Wail(3’45”)リル・ロニー & ブルー・ビーツ

-unknown- BSMF 2566

 

N  リル・ロニー・アンド・ブルー・ビーツの「ジャムプ・ジャイヴ・ゼン・ユー・ウェイル」でした。

この曲を収録したアルバム『アンフィニッシュド・ビジネス』は前世紀1991年に着手され

たものの、作業が中断され未完成のままだったのですが、23年を経た2014

年に仕上げられたという代物です。この音楽なら、いつ録音しても決して古

くはならないという見本です。

楽団はヴァージニア出身のハモニカ吹きロニー・オーウェンズを中心としていまして、リード・

ヴォーカルのクラウディア・キャラワンもヴァージニア生まれ。こんなローカル・バンドがあるなんて、

ジャムプ・ブールースが如何に世界中で愛されているか、という事の証明ですね。

ではリル・ロニー・アンド・ブルー・ビーツで、もう1曲どうぞ。

「ドント・・ハフ・トゥ・ゴウ・ホーム」。

 

M13.Don’t Have To Go Home(4’02”)リル・ロニー & ブルー・ビーツ

-unknown- BSMF 2566

 

M14.Blue No More(3’39”)Buddy Guy

-T.Hamm\bridge, J.Johnson-  RCA 19075012372

 

N  リル・ロニー・アンド・ブルー・ビーツで「ドント・・ハフ・トゥ・ゴウ・ホーム」でした。

それに続けましたのはバディ・ガイの新作から「ブルー・ノー・モー」。バディに続

いて出てくるライル・ラヴェット調の歌声は、ジェイムズ・ベイというイギリスのシンガ・ソング

ライターです。わたしはここで初めて出会いました。なかなか良いですね。本格

的な活動を始めたのは数年前からのようです。当初はてっきりアメリカ人のカントリー

歌手だと思ってました。興味湧いたなあ。

ではバディ・ガイの新作『ブルーズ・イズ・アライヴ・アンド・ウェル』からもう1曲ど

うぞ。

「ウイスキー・フォー・セイル」。

 

M15.Whisky For Sale(4’02”)Buddy Guy

-T.Hambridge-  Silvertone / RCA 19075012372

 

N  「ウイスキー・フォー・セイル」、今月82歳になるバディ・ガイ、新作『ブルーズ・イズ・

アライヴ・アンド・ウェル』から聞いてもらいました。こういうアルバムの題名には何

度か裏切られていたものですから当初はちょっと嫌な感じがしました。ひど

く頑固で保守的な内容を連想しましてね。でも今のところは、文字通り元気

に生きているブルーズが聞けています。ヴェテランらしい余裕も感じられ、何より

声に張りがあるので全体が引き締まっている感じです。やっぱり唄だな。

いまのようなファンキーな曲調の楽曲も、下半身がしっかりしていて、確かな手

応えを感じました。

 

M16.Feel My Groove(4’33”)Bernard Allison   

-unnkown-  BSMF 7549

 

N  今お聞きいただいたのは、バディより三世代ほど後輩にあたる、バナード・アリ

スンが1996年に発表していた「フィール・マイ・グルーヴ」です。マイケル・ハムプトンを意識

したような、かなりPファンクの影響下にあります。ファンキーなブルーズは誰もが手中

に収めておきたい基本形式のひとつでして、特に80年代後半に第一線にいた

ブルーズ・ミュ ージシャンはしきりにこういう試みをしていました。ただ上手く仕上

がった例はあまりなく、その内にオーソドックスな形が再び好意的に受け入れられ

るようになり、この路線は頓挫してしまいます。バナードはそもそもファンキーなタイ

プのブルーズ音楽家で、それはやはりファンキーだったルーサー・アリスンを父に持つという

血筋によるものかも知れませんが、今もここまで極端ではないものの、変わ

らぬファンキーなブルーズを超えたブルーズを追求しています。

それでは96年発表のアルバム『ファンキフィーノ』から、今度はザップを連想させる音

です。「ファンテイジイ」。

 

M17.Fantasy(4’31”)バーナード・アリスン

-unnkown-  BSMF 7549

 

N  さて先週の「フロム・スピリチュアルズ・トゥ・スウイング」集は新しく見つけた3枚組か

らそれまで未発表だった録音を全て聞いてもらいましたが、「ひとつの決定

的な録音を除くと、残りの未発表曲はこれだけ」と勿体を付けた言い回しを

していたのを覚えている方もいらっしゃるでしょう。今朝はその「ひとつの

決定的な録音」を聞いてもらいましょう。

それは39年のコンサートの最後に演奏された「オウ、レイディ・ビ・グッド」です。

これはすでにLP時代に発表されていたものですが、何故かここで最も重要な

チャーリー・クリスチャンの部分が落とされていました。

「よく分からない理由で、この録音のチャーリー・クリスチャンのソロは編集処理され公

けになっていなかった」と、新しい3枚組仕様にも解説が添えられています。

当然その分、演奏時間も短い物でした。今朝はその部分も含めて1999年発表

の完全仕様でお届けしましょう。

1939年カーネギー・ホールで行われた歴史的な音楽会「フロム・スピリチュアルズ・トゥ・スウ

ィング」から、オールスターズによるジャム・セッションで、

ガーシュウィン作の「オウ、レイディ、ビ・グッド」。

4分過ぎから始まるチャーリー・クリスチャンのソロにご注意。

 

M18.Oh, Lady Be Good(10’21”)  

-Gershwin-  Vanguard 169/71/2

 

N  1939年の「フロム・スピリチュアルズ・トゥ・スウィング」から、オールスターズによるジャム・

セッションで、「オウ、レイディ、ビ・グッド」、完全版でお聞きいただきました。チャーリ

ー・クリスチャンは最後の短いリフも素敵でしたね。本当になんでこのソロが落とされて

しまったのかは不明です。狭量男ベニー・グドマンとの確執も考えられますが、

想像の域を出ませんね。奴らに喋らせろ。

 

M19.Let Them Talk(1’58”)Joshua Hedley 

-J.Hedley, S.Wilson-  Third Man Records  TMR-505

 

N  「レット・ゼム・トーク」、姿形も歌声も、そして全体の響きもお聞きのように

典型的なカントリー。今時ここまでカントリー的なカントリーがあるのか、と言いたくなるよ

うなカントリー音楽を届けてくれたのは、ジョシュア・ヘドリーというカントリー野郎です。こ

の男については来週またお話しましょう。

さて7月、長い夏休みが始まりました。新学期が始まる頃、ふたりの仲は

同じように続いているのでしょうか。家族で避暑に出かけて行く意中の娘を

駅で見送る我が心は不安だらけ。「楽しんで欲しいけど、忘れないでね」「手

紙を書いてね」とすがるように伝えて、不吉な月が輝く夏の夜空を見上る・・・。

今年もこの時期の定番をどうぞ。

ザ・テムポーズです「シー・ユー・イン・セプテムバー」

 

M20.シー・ユー・イン・セプテムバー(2’08”)ザ・テンポズ

-Edwards,Wayne-   MCA  WMC5-47/8

 

M21.ユア・シックスティーン(2’50”)リンゴ・スター 

-R.&R.Sherman-   東芝 TOCP-6673

 

TM Born In Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

 

N  2018年7月7日、七夕の日のホーソー最後は、三度めのリンゴ・スターでアルバム『リン

ゴー』から映画「アメリカン・グラフィーティー」でジョニー・バーネットも唄っていた「ヨー・シクス

ティーン、ヨー・ビューチフォー、アンジョー・マイン」を聞いてもらいました。リンゴ・スターは、

多分あの4人の中で一番幸せかもしれません。「無事是メーバ」、逆に「コーヂ、

魔多し」でしょうかしらね。

七夕の日の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/437f6965108666971d906a0c751cc066e0b6834b

  ダウンロードパスワードは、nqf9sxiz。写真は涼しいゴザの上です。

さて今朝もちょうど時間となりました。

こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。


【大家よりお知らせ】

真夏の深夜の生放送決定!
2018年8月8日(水) 24時~29時(8月9日になった瞬間から早朝5時まで)
放送局:中央エフエム(84.0Mhz)※なんと中央エフエムでは、7月からウルフマンジャック・ショウが始まるそうです!
出演:ワシズイサヲ、サワダヲサム

ピーター・バラカンさんのイベント、「出前DJ」に鷲巣さん出演!
日本最古の映画館・高田世界館でPing-Pong DJのようです。
日 時 2018年9月15日(土) 16:30開場 17:00開演
場 所 高田世界館 上越市本町6丁目 TEL 025-520-7626
入場料 前売 3,000円 当日 3,500円
高田世界館、戸田書店などで販売
電話予約可 前売料金で当日精算 025-520-7626

【幻】モーニン・ブルーズ 2018/06/30

mb180630

 

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

 

N  おはようございます。アサー、ワツシイサヲです。2018年6月最後のアサーです。今年

の半分がもう終わっちゃったよ。ちょっと早くなって来た感じ。如何かな。

まずは先週お話ししたルーシンダ・ウイリアムズ、自主活動期のアルバム、1980年発表

の『ハピー・ヲーマン・ブルーズ』から、表題曲です。

「ハピー・ヲーマン・ブルーズ」。

 

M01.Happy Woman Blues(3’09”)ルシンダ・ウイリアムズ

-unknown-  BSMF 7560

 

M02.Sharp Cutting Wings(3’36”)ルシンダ・ウイリアムズ

-unknown-  BSMF 7560

 

N  ルーシンダ・ウイリアムズ、1980年発表の『ハピー・ヲーマン・ブルーズ』から、表題曲、

「ハピー・ヲーマン・ブルーズ」、「シャープ・カッティング・ウイングズ」2曲聞いて頂きまし

た。当たり前だけど、唄うまいね。「ハピー・ヲーマン・ブルーズ」のリズム感は特に

傑出しています。ジョニー・ウインターみたいだ。「あなたと誰も知らないよその国

に行ってしまいたい・・・」、「シャープ・カッティング・ウイングズ」の方には、今の

ルーシンダの作風に繋がる要素を感じました。先週の『ラムブリン』と、彼女の初期

の2枚を聞いて、ブルーズ的な楽曲が多いのに、驚いています。こうして深く

親しんだ根っこが今のルーシンダを支えているのでしょう。

さて、2ヶ月ほど前かな。家の側の新しい中古盤店で、珍しいCD組み物を

見つけました。もうあまり目にしない、2枚が縦に入るサイズの箱入り盤です。

表題に「フロム・スピリチ ュアルズ・トゥ・スウィング」3枚組とあります。1938年と39

年にカーネギー・ホールで行われたあの歴史的な音楽会「フロム・スピリチ ュアルズ・トゥ・スウ

ィング」の実況録音である事は間違いありません。ただそれはヴァンガードから2

枚組みでLP時代に発売されていて、CD期初頭にも出し直しされていた筈。

わたしもキングからの国内盤で持っています。

「何故だろう」という疑問が湧き、恐る恐る値段を聞きましたところ、アッ

と驚く超安値。即座に購入しました。中のCDは、それぞれケイス毎に厚手のピ

ニール袋入りで、状態はミントに近く良好。断然お買い得でした。

聞くところによれば、現在この形の組物は、業者間で今一番厄介物扱いさ

れているそうです。わたしは結構持っていますが、確かに最近新譜では見か

けませんね。だから在庫処分的価格なのかな。

家に持ち帰ってキング盤と較べ合わせてみると、収録曲にかなり違いがあり

ます。まず冒頭曲から異なっていました。

 

M03.Swingin’ The Blues(3’35”)Count Basie And His Orchestra 

-Basie, Durham-  Vanguard 169/71/2

 

N  3枚組『フロム・スピリチ ュアルズ・トゥ・スウィング』から、まず1曲目の「スウィンギン・

ブルーズ」、カウント・ベイシーと彼の楽団でした。これは未発表だった録音です。何

故お蔵入となったのか、その理由が分からない位に素晴らしい演奏です。メムバ

が掛け合う声が臨場感たっぷりですね。

既発のLPならびにCD2枚組の実況録音盤はベニー・グドマン六重奏団の「アイ・

ガタ・リズム」で始まっています。こちらはLP用編集時に大幅な順序入れ替え

が行われた模様で、グドマンの「アイ・ガタ・リズム」は39年の演奏でした。まあ、

こういう順序の変更を特に悪いとは思いませんが、録音詳細は全て大雑把に

「1938年12月23日、1939年12月24日 カーネギー・ホールに於けるライヴ録音」

となっしかなっていません。各トラックごとに録音日時程度は、はっきり記して

おいて欲しかったですね、最初から。

とは言え、こちらの新しい3枚組が実際の音楽会の進行通りだったかとい

うと、そうでもない。この音楽会の企画制作責任者ジョン・ハモンドの自伝では、

ミード・ルクス・ルイーズ、アルバート・アモンズ、ピート・ジョンスン3人のブーギ・ウーギ・ピアノ

連弾で幕を開けた事になっています。どうやらこの「スウィンギン・ブルーズ」は、

ジョン・ハモンドの正式な開会宣言の前、ひょっとして客入れ時間に、演奏された

のかも知れません。なんとゼータクな。ただ当日会場で配られたらしいパンフレット

の順番とも違っています。新しい3枚組自体は基本的に実際の公演の流れに

沿っているように構成されていますけれども、真実は霧の彼方に。各曲間に

お行儀の良い拍手が入っていて、それぞれフェイドアウト処理されています。これ

も不思議です。それはともかく、今朝はこの新版『フロム・スピリチ ュアルズ・トゥ・

スウィング』から、これまで未発表だったトラックを聞いて行きましょう。この「フロム・

スピリチ ュアルズ・トゥ・スウィング」コンサートは、「ニューヨークの音楽的に洗練された聴衆に

聴かせるために、黒人音楽のコンサートを催す」という「長年の夢」を持っていた

ジョン・ハモンドが左翼系新聞社の協力で実現させた歴史的な音楽会です。開催に

至るまでには様々な出来事がありますけれど、「幻」の重度聴取者の皆さん

は、朝の気軽なBGMとして楽しんで下されば結構です。

音楽は全て分かり易く文句なしですから、たまにはこんなのもいいかな、

程度で大丈夫。演奏者の名前などが、少々ややこしくなりますが、ご了承下

さい。

それでは参りましょう。キング盤ではカウント・ベイシー・コムボという名前になって

いるカカンザス・シティ五重奏団の演奏です。

「アイ・ネヴァ・ニュウ」。

 

M04.I Never Knew(3’08”)Kansas City Five  

-Kahn, Fiorito-  Vanguard 169/71/2

 

N  カウント・ベイシーがピアノ、ジョ—・ジョーンズ、ドラムズ、ヲルター・ペイヂ、ベイス、そして

レスター・ヤングがクラリネット、バック・クレイトンがトラムペットというカンザス・シティ・ファイヴで、

「アイ・ネヴァ・ニュウ」でした。

以前のキング盤に比べて、音はとても良くなっています。音声の最終調整マスタ

リング技術の進歩が、分かります。1986年から1999年の月日の産物でしょう。

そもそもこの録音はジョン・ハモンドが個人的にアセテート盤に記録した物でした。後

年テープに移植され、雑音処理などが念入りに行われ世に出たという事です。

それが60年経って再び、以前より完璧な姿で発表されていたのです。

さて次がジョン・ハモンドの開会宣言に続いた出し物でしょうか。ミード・ルクス・

ルイーズ、アルバート・アモンズ、ジェイムズ・ピート・ジョンスン3人のブーギ・ウーギ・ピアニスト

の連弾です。これは3人が同時に複数のピアノを弾いているのかも知れません。

舞台にはウィングのアップライトとスタインウェイのグランドが置かれていました。

「ジャムピン・ブルーズ」。

 

M05.Jumpin’ Blues(2’22”)Meade Lux Lewis, Albert Ammons, Pete Johnson

-unknown-  Vanguard 169/71/2

 

N  「ジャムピン・ブルーズ」、ミード・ルクス・ルイーズ、アルバート・アモンズ、ジェイムズ・ピート・

ジョンスンのピアノでした。

この時、この場に、出張でヌー・ヨークに滞在していたドイツの貿易商社員が聴衆

のひとりで来ていまして、このブーギー・ウーギー・ピアノに感激して、ミード・ルクス・

ルイーズ、アルバート・アモンズの二人とその場で録音契約を結びます。その男はアルフレッ

ド・ライオンズという名前でした。ここに名門ブルー・ノート・レイベルの歴史が始まっ

たのです。

ではその時にライオンズを感激させたミード・ルクス・ルーイズのソロ、独奏です。

「ホンキー・トンク・トレイン・ブルーズ」。

 

M06.Honky Tonk Train Blues(2’38”) Meade Lux Lewis 

-Lewis-  Vanguard 169/71/2

 

N  こんな演奏を至近距離で聞かされたら、「その場で契約」というのも信じら

れますね。既に彼のヒット曲として知られていた「ホンキー・トンク・トレイン・ブルーズ」

でした。この頃ミード・ルクスはシカゴでタクシーの運転手をしていた筈です。幼い頃に

はヴァイオリンを習わされていたそうですが、ピアノに転向して良かったですね。私

は心からそう思います。当時の最先端のビート、ブーギー・ウーギーです。

次はカンザスシティからやって来て二人のブーギー・ウーギー・ピアニストと合流したピー

ト・ジョンスンが、この頃の友人だったジョー・ターナーがヴォーカルを紹介します。この

コムビネイションが素晴らしい。ブーギー・ウーギーとは若干違うリズム・アクセントのピアノ伴奏

にご注意。

「ロウ・ダウン・ドッグ」。

 

M07.Low Down Dog(2’22”)Joe Turner  Pete Johnson

-Turner-  Vanguard 169/71/2

 

N  ジョー・ターナーとピート・ジョンスンで「ロウ・ダウン・ドッグ」そして再びブーギー・ウーギ

ー・ピアノ、アルバート・アモンズのソロです。

極めつけ「ブーギー・ウーギー」。

 

M08.Boogie Woogie(3’48”)Albert Ammons

-Ammons-  Vanguard 169/71/2

 

N  今でもブーギー・ウーギー・ピアノのお手本のように聞かれているアルバート・アモンズ

の「ブーギー・ウーギー」でした。この完成度の高さ。20世紀に模細工から出てい

たミード・ルクスやアルバート・アモンズの録音集大成を聞き直したくなりました。左手

で叩き出されるビートが素晴らしい。「全力前進」感があります。こういうの

を聞くと、「トキヨ・ブーギー」、ありゃ何だという気持ちにもなりますね。

さて、次は女性歌手です。と言っても後年には髪の毛を金色に染めてエレキを

掻き鳴らし男どもを震え上がらせた、シスタ・ローゼッタ・サープです。ジョン・ハモンド

は「マヘリア・ジャクスンの先輩格」と呼んでいますね。この時はまだ黒人教会以外

で唄ったことがなく、単に「サープ姉」と名乗っていました。

金属リゾネイター付きのギターを巧みに弾いて唄い、大いにウケてます。2曲続けて

お聞き下さい。

「ロック・ミー」、そして「ザッツ・オール」。アルバート・アモンズがピアノを付けます。

 

M09.Rock Me(2’13”)Sister Tharpe

-unknown-  Vanguard 169/71/2

 

M10.That’s All(1’36”)Sister Tharpe 

-Tharpe-  Vanguard 169/71/2

 

N  3枚組『フロム・スピリチ ュアルズ・トゥ・スウィング』から、これまで紹介されていなか

った録音をお聞きいただいている今朝の「幻」モーニン・ブルーズ、普段とはだい

ぶ趣きが違うので、戸惑っている方もいるかも知れません。確かに今から80

年も前の音楽ですから、スピーカーの鳴り方も違いますが、そこから見えてくる

歌い手、演奏家の表情や動きは何とも新鮮です。全員が生き生き、伸び伸び

していて、聞いているとイノチのチカラ放射を浴びる思いです。

さて次はノースカロライナ州キンストンから呼ばれたゴスペル教会のクヲーテットです。水道も電

気も来ていない丸太小屋に住んでいた労働者のグループ、ミッチェル・クリスチャン・シンガ

ーズで、

「アー・ユー・リヴィング・ハムブル」。

 

M11.Are You Living Humble(2’51”)Mitchell’s Christian Singers

-trd.-  Vanguard 169/71/2

 

M12.Milenberg Joys(1’46”)New Orleans Feetwarmers  

-Mares, Melrose, Morton, Roppolo-  Vanguard 169/71/2

 

N  ここまでジャズ、ブーギー・ウーギー、ブルーズ、ゴスペルと聞いて来ました。いずれ

も真剣に向き合わざるを得ない説得力に溢れた音楽に当てられてしまったの

でしょうか、わたしもここまでで、既に少々疲れた感じです。でもまだまだ

「フロム・スピリチ ュアルズ・トゥ・スウィング」コンサートは続きます。お付き合い下さい。

今のディキシー調の演奏は、この日、1938年12月23日に組まれた、ヌー・オーリ

ーンズ・フィートヲーマーズという特別セッションで「ミレンバーグ・ジョーイズ」です。ピアノがピー

ト・ジョンスン、ベイスはヲルター・ペイヂ、ドラムズがジョー・ジョーンズという門外漢のリズム・

セクションですが、なかなかにヌー・オーリーンズの雰囲気を表現しています。こういう

ところや、先ほどのおそらく初対面だったであろうシスタ・サープとミード・ルクスの

間合いの絶妙さなどに、共通した北米国人音楽の流れを感じます。

全体構成はジョン・ハモンドが担当しています。彼は当時入れ込んでいたカウント・

ベイシー・オーケストラをクライマックスで登場させるために順序を考えていたようです。ま

た、出演者の殆どを自分自身が南部を旅して周り探し出して来ました。ロバー

ト・ジョンスンと出演契約をしたくて、訪ねて行ったら殺されていた、という話は

よく知られています。

ではその代役にハモンドが連れて来た男性ブルーズ・シンガーを聞いて下さい。

ビッグ・ビル・ブルーンジーです。「イト・ヲズ・ジャスタ・ドリーム」。

 

M13.It Was Just A Dream(3’12”)Big Bill Broonzy with Albert Ammons

-Broonzy-  Vanguard 169/71/2  2-4

 

M14.Fox Chase(2’15”)Sonny Terry

-Terry, McGhee-  Vanguard 169/71/2

 

N  「夢の中でホワイト・ハウスでルーズベルト大統領の椅子に座っていた」とユーモアたっぷ

りに唄ったビッグ・ビル・ブルーンジーの「イト・ヲズ・ジャスタ・ドリーム」。この場の白

人たちは、これまでこんな歌を聞いた事がなかったでしょう。反応は驚きか

ら喝采に変わって行きました。

そしてハモンドたちがブラインド・ボーイ・フラーを探して訪ねた隣の家で、偶然に出

合って出演を依頼したソニー・テリーの「狐追い」。日本の民謡で例えるなら岩手県

の「南部牛追い歌」のようなものでしょうか。しかしそのおっとりした雰囲

気に較べると流石はキツネ、かなりすばしこいですね。本命のブラインド・ボーイ・

フラーは、生憎と妻を銃で撃った罪で刑務所に入っていて、連れ出せませんでし

た。目が見えなかったのに、どうやって奥さんを撃ったのでしょうか。映画

「ブルーズ・ブラザーズ」に出てくる質屋の親父、レイ・チャールズみたいです。

 

M15.Every Tub(2’54”)Count Basie And His Orchestra   

-Basie, Durham- Vanguard 169/71/2

 

N  カウント・ベイシー・オーケストラをクライマックスで登場させる狙いは見事に当たりました。

お聞きいただいた「エヴリ・タブ」の素晴らしさでお分かりでしょう。この1938

年後半というのは、ベイシー楽団の絶頂期でもありました。もう一曲聞いて下さ

い。今度は専属シンガーのジミー・ラッシングが加わります。

「スティーリン・ブルーズ」。

 

M16.Stealin’ Blues(3’43”)Jimmy Rushing Count Basie And His Orchestra  

-unknown-  Vanguard 169/71/2

 

N  さて次は今のカウント・ベイシー・オーケストラからの選抜されたメムバによるカンザス・シティ・

シクスです。先に登場した「ファイヴ」とは異なりまして、フレディ・グリーンがリズム・

ギター、そしてリオナード・ウェアがエレキで参加しています。このウェアのソロに注意して聞

いて下さい。

「アフター・ユーヴ・ゴーン」。

 

M17.Are You’ve Gone(4’52”)Jimmy Rushing Count Basie And His Orchestra 

-Creamer, Layton-  Vanguard 169/71/2

 

N  ギターを極めてモダーンな使い方で面白い音色を出しています。チャーリー・クリスチャン

より先進的です。リオナード・ウェアのギター・ソロが光った「アフター・ユーヴ・ゴーン」、カンザ

ス・シティ・シクスでした。

これで3枚組『フロム・スピリチ ュアルズ・トゥ・スウィング』に収められた。1938年の

実況録音は終わっています。しかし2枚目の最後にはカンザス・シティ・ファイヴ、先

のカウント・ベイシーがピアノ、ジョ—・ジョーンズ、ドラムズ、ヲルター・ペイヂ、ベイス、そして

レスター・ヤングがクラリネット、バック・クレイトンがトラムペットというカンザス・シティ・ファイヴのスタジ

オ録音が3曲入っています。録音は同年の6月3日。この音楽会の稽古に入っ

たのは秋口と言いますから、それよりも前のセッションです。ちょっと謎。しかも

そのうちの1曲「アレヂ・ウープ」はLP時代に「モーテイヂ・ストムプ」と誤った題名

で収録されていました。どこにも詳細が明記してないので、これも真実は霧

の彼方に。

今朝はこれらのスタジオ収録のうち未発表だった2曲をお聞きいただきましょ

う。

ガーシュインの「オウ、レイディ、ビ・グド」、

そして正調「モーテイヂ・ストムプ」、カンザス・シティ・ファイヴの演奏です。

 

M18.Oh, Lady Be Good(3’20”)Kansas City Five  

-Gershwin-  Vanguard 169/71/2

 

M19.Mortgage Stomp(3’30”) Kansas City Five

-Basie-  Vanguard 169/71/2

 

N  「オウ、レイディ、ビ・グド」、「モーテイヂ・ストムプ」、カンザス・シティ・ファイヴの演奏で

した。

「フロム・スピリチ ュアルズ・トゥ・スウィング」コンサート、は翌年の1939年にも開催され

ました。第一回は大変な評判で、ヌー・ヨークのあらゆミーディアから絶賛されました。

この時カーネギー・ホールは追加の客席を舞台の上に400も作る超満員でした。そし

てそこに集まった白人聴衆のほとんどは、それまで黒人の生演奏を見聞きし

た事がなかった筈です。彼らは驚き、その素晴らしさに心を打たれて帰途に

ついたのです。ジョン・ハモンドの「長年の夢」だった「ニューヨークの音楽的に洗練さ

れた聴衆に聴かせるため」の「黒人音楽のコンサート」は、大成功に終わったので

す。

ただ第二回は本人に言わせると「聴衆と出演者の間の一体感が欠けていた」

ので、構成演出その他では上手く行ったものの「第一回のときほどは成功し

なかった」のだそうです。完璧主義のハモンドならそういう判断をするかも知れ

ませんが、わたしにとっては残された音楽だけでも一回目と変わらず、素晴

らしい物ばかりです。それは今回初めて聞けた未発表曲においても同じ事。

さあ、聞いて行きましょう。

 

M20.Noah(2’50”)Golden Gate Quartet

-trd.-  Vanguard 169/71/2

 

N  ゴールデン・ゲイト・クヲーテットで「ノア」でした。彼らはこの39 年の「フロム・スピリチ ュ

アル・トゥ・スウィング」に出演して全国的に知られるようになりました。それまで

はノース・カロライナ周辺だけの存在だったのです。今なら比較的安価な組物で彼ら

の全貌を確かめる事が出来まして、やはりこの時期の彼らからは、何よりも

歌声が純粋な響きとして伝わって来ます。

さて昨年も出演したラグタイム・ピアニスト、ジェイムズ・.ピート・ジョンスンです。

「ブルベリー・ライム」。

 

M21.Blueberry Rhyme(3’26”)James P. Johnson 

-Johnson-  Vanguard 169/71/2

 

N  ジェイムズ・ピート・ジョンスンで「ブルベリー・ライム」でした。

次は女性ブルーズ歌手です。まずアイーダ・コクスで、「ロウダウン・ダーティ・シェイム」。

 

M22.Lowdown Dirty Shame(2’36”)Ida Cox 

-unknown-  Vanguard 169/71/2

 

M23.Old Fashioned Love(2’12”)Helen Humes  

-Johnson, Mack-  Vanguard 169/71/2

 

N  アイーダ・コクスで、「ロウダウン・ダーティ・シェイム」でした。J.P.ジョンスンのピアノ、ジョー・

ジョーンズがドラムズ、ヲルター・ペイヂがベイス、フレディ・グリーンのギター、トラムペット、トロムボ

ーン、テナー・サキソフォーンは、それぞれシャド・コリンズ、ディック・ウェルズ、バディ・テイトです。

この出演後、アイーダはジャズ演奏家たちと吹き込む事になります。こちらも「フ

ロム・スピリチ ュアルズ・トゥ・スウィング」効果ですね。この音楽会では、「フォー・デイ・

クリープ」を唄って評判を得まして、そちらはLP時代に発表されています。

続けたのはヘレン・ヒュームズの「オールド・ファッションド・ラーヴ」、演奏はカウント・ベイシー

楽団でした。ヘレンはジョン・ハモンドと関係の深いジャズ/ ブルーズ歌手で、ベイシー楽団

の専属歌手になれたのもハモンドのおかげです。38年の「フロム・スピリチ ュアルズ・ト

ゥ・スウィング」でも唄っていました。今の録音はちょっとP.A.の出力不足でしょ

うか、唄がよく聞き取れませんでした。39年と言えば、既にビング・クロズビー

は巧にマイクロフォーンを操つるクルーン唱法を編み出していた筈ですが、やはり一般的

にはまだまだ前年出演のジミー・ラッシングのような大声量歌手時代だったのです

ね。

3枚組『フロム・スピリチ ュアルズ・トゥ・スウィング』の3枚目、39年の模様は既にLP

に収録されていた楽曲が多く、ひとつの決定的な録音を除くと、残りの未発

表曲はこれだけとなります。

ヘレン・ヒュームズで「今夜あと1時間一緒に居られたら」。

 

M24.If I Could Be With You One Hour Tonight(3’01”)Helen Humes 

-Creamer, Johnson-  Vanguard 169/71/2

 

N  2週連続になるかな、と思いながら始めた3枚組『フロム・スピリチ ュアルズ・トゥ・

スウィング』LP未収録曲目集、意外と収まりよくまとまりました。実際のとこ

ろ、この歴史的音楽会の録音を聞くのは久しぶりでした。そしてその内容に

改めて驚愕した、と言うのが本当のところです。今から80年も前に、よく

これだけの事ができたなあ、と舌を巻きました。

何度も出て来たジョン・ハモンドはヌー・ヨークの音楽制作者で、ボブ・ディランを世に

出した事で有名です。ロケンローとオルガン・ジャズが嫌いな他は、幅広く差別のない

音楽観を持って居ますが、本質的には狂信的な黒人音楽ファンで、人生の殆どは

黒人音楽家に捧げられたと言って良いでしょう。若い頃から全米国黒人地位

向上協会で活動し、人種差別と戦いました。ヤクザやチンピラ、背徳者ばかりの興

行界、音楽ギョーカイで、たったひとりの知性を持った正直な紳士だとも言えま

す。今でもそうでしょう。

ジョン・ハモンドのように地上の出来事全てに対しフェアな人間は他に居ません。

わたしはずっと長い事彼を尊敬し続けていますが、足元にも及ばないのが現

状です。

今回新しい3枚組『フロム・スピリチ ュアルズ・トゥ・スウィング』に出会い、引っ張り

出して来たのが、彼の自伝「ジャズ・プロデューサーの半生記 ジョン・ハモンド自伝」

です。スイングジャーナル社から1983年に発行されたこの書籍は、それはもう何度

も繰り返して読みました。それでもまた頁をめくると止まらなくなってしま

います。音楽を愛する全員が一度は読まなくてはいけない一冊です。訳も写

真図版も完璧とは言えないので、2020年改訂版を出してくれないかな。今週

のジョン・ハモンド自身の発言も、この本から引用しました。ジョン・ハモンドについ

ては、これからも事ある毎に名前が挙がるでしょう。皆さん、忘れないで下

さい。

 

M25.Pemoengkah(2’41”)Thomas Bartlett & Nico Mufly

– T.Bartlett, N.Mufly-  Nonesuch  7599-79303-6

 

N  ちょっと息抜きを。何とも調律の悪いピアノが鳴っています。トーマス・バレットと

ニコ・マーリイという二人組の環境的音楽。この微妙に外したような調整はその昔

にEGから出ていたララージを連想させます。初めて出会った彼らの正体は・・・

ちょうど時間となりました。

 

M26.Alberta(1’45”)バリー・ゴールドバーグ 

-unknown-  BSMF 8017

 

TM Born In Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

 

N  最後は先週も聞いてもらった歴戦の鍵盤奏者バリー・ゴールドバーグの「アルバータ」

です。最新盤ではオルガンばかり弾いていましたけれど、最後に短いソロ・ピアノ

曲が入っていました。

さて、ジョン・ハモンドに倣って正直に告白しますと、今週の「フロム・スピリチ ュアル

ズ・トゥ・スウィング」コンサート考察はとても大変でした。昔からよく知っているもの

の、ここのところ疎遠で日頃馴染みのない領域の音楽、何よりも80年前の録

音ですので、確認の連続で時間もだいぶかかりました。「ミントに近く良好」な

状態だったこの箱物に添えられていた詳細な解説冊子は、何度もひっ引き合

わせているうちにヨレヨレになってしまいました。何せ粗末に扱い、安易な対応

をしたらバチが当たるという観念があるものですから、わたしなりに慎重を期

したつもりです。

前回までに出ていた物と今回ご紹介した全てで、「フロム・スピリチ ュアルズ・トゥ・

スウィング」コンサートが完全に再現された訳では決してありません。資料を照らし合

わせると、出演しているのに出て来ない歌い手もいます。アセテート盤の交換時に

当たってしまったという不幸かも知れません。順序も所々で微妙に違います。

とは言え、この歴史的「フロム・スピリチ ュアルズ・トゥ・スウィング」コンサートが、このよう

に今でも聞けるという事実は、21世紀に生きている私たちの歓びです。

「業者間で今一番厄介物扱いされている」形ですが、見つけたらぜひ手に

取ってみて下さい。詳しく探せば、この後で更に「コムプリート」と銘打った追加

曲目のある2枚組が出ていたりします。ただ値段がねえ・・・。

ここで一休み、あー大仕事だった。

特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/01ee02f44d8b979de4e41ad9cd435f5cf307ce71

  ダウンロードパスワードは、kq3ywkbtです。

今朝もちょうど時間となりました。

こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

 


【大家よりお知らせ】

真夏の深夜の生放送決定!
2018年8月8日(水) 24時~29時(8月9日になった瞬間から早朝5時まで)
放送局:中央エフエム(84.0Mhz)※なんと中央エフエムでは、7月からウルフマンジャック・ショウが始まるそうです!
出演:ワシズイサヲ、サワダヲサム

ピーター・バラカンさんのイベント、「出前DJ」に鷲巣さん出演!
日本最古の映画館・高田世界館でPing-Pong DJのようです。
日 時 2018年9月15日(土) 16:30開場 17:00開演
場 所 高田世界館 上越市本町6丁目 TEL 025-520-7626
入場料 前売 3,000円 当日 3,500円
高田世界館、戸田書店などで販売
電話予約可 前売料金で当日精算 025-520-7626

【幻】モーニン・ブルーズ 2018/06/23

mb180623

 

TM. Walikin’ Blues特効「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

 

N  おはようございます。アサー、ワツシイサヲです。

6月23日土曜日の朝です。夏至を過ぎた今朝も、元気よく・・・あ、臨時

ヌーズが入ります。

 

M01.Air Crush Newscast Broadcast(0’52”) 

 

M02.Dooby-Dooby Wah(1’52”)Ritchie Valens

-Kuhn, Valens-  USM Media USMMCD0012

 

N  1959年2月3日アメリカ合衆国アイオワ州クリアレイク近郊に小型飛行機が墜落し、3人

のロケンロー歌手が亡くなりました。バディ・ホリー、リチー・ヴァレンズ、そしてビッグ・

バッパーたちです。ドサ回りの移動行程に変更を加え急遽チャーターした飛行機に乗

った3人。悪天候と未熟な操縦が重なり、離陸後わずか8km先に墜落したそ

うです。4席、つまり操縦士を除く3人が乗り込むまでの経緯にも様々なエピ

ソードがあり、「こういうのが運命なんだろうか」と考えさせられる事件です。

映画「ラ・バムバ」にはこの飛行機出発の場面が描かれていまして、強い風

の吹く中、バディが先に乗り込んで「早く飛ぼうぜ」と急かします。この姿が

本物を見た事もないバディにあまりにもそっくりで、わたしは映画館で笑い出

した記憶があります。この役はマーシャル・クレンショウが演じていました。

この時に亡くなった3人をフィーチュアした2枚組アルバムが2012年に出ていて、

先ほどのヌーズ録音は、そこに収められていたトラックです。続けてリチー・ヴァレンズ

の「ドゥービ、ドゥービ、ワー」を聞いて頂きました。

次はバディ・ホリーです。「アーリー・イン・ザ・モーニング」。

 

M03.Early In The Morning(2’09”)Buddy Holly

-Harris, Darin-  USM Media USMMCD0012

 

M04.Purple People Eater Meets Whitch Doctor(2’14”)The Big Bopper

-Richardson- USM Media USMMCD0012

 

N  バディ・ホリーで「アーリー・イン・ザ・モーニング」、そしてビッグ・バッパーで「上流階

層喰い人種が魔法使いの女と出会った時」、でした。山奥からリスが出てきま

した。雄のようでしたが、これが魔女かな。

ヌーズでも告げられていました彼らの年齢は、ビッグ・バッパー28歳、バディ・

ホリーは22、リチー・ヴァレンズに至っては、わずか17歳です。3人のうちの誰が、

こんなに若いうちに自分の一生が終わる事を予期していたでしょうか。バティ

自身、「俺が死ぬ日なんて来るわけがない」と唄っていた位です。

 

M05.Holly Hop(1’43”)Buddy Holly

-B.Holly, S.Parish-  MCA MCACD2-10883

 

M05.That’ll Be The Day(2’18”)Buddy Holly

-B.Holly-  MCA MCACD2-10883

 

N  22歳で亡くなったバディ・ホリーの数少ないインストゥルメンタルで「ホリーズ・ホップ」、リ

ヴァプール・ビートルズの初期のにとても似てるね。そして「ザル・ビ・ザ・デイ」

でした。

この出来事以来1959年2月3日は、「音楽が死んだ日」としてファンの胸に

刻まれました。1970年にはこの飛行機事故で死んでしまったバディ・を唄っ

たヒット曲も生まれました。

ドン・マクリーンの「アメリカン・パイ」です。

 

M06.アメリカン・パイ(8’28”)ドン・マクリーン

-D.McLean-  ワーナー WPCR11957

 

N  ドン・マクリーンで「アメリカン・パイ」でした。

ここまで「音楽が死んだ日」についてお話しして参りました。2月3日の

出来事ですから、時節がらではありません。先週もちょっと触れた音楽雑誌

エリス最新号に掲載の第16回亀渕昭信「どうしても聞いておきたいアメリカン・ポップ

ス1001」では、ジョージ・ジョーンズの「ホワイト・ライトニング」から繋がって、作者で

あるビッグ・バッパー、そしてこの「音楽が死んだ日」について語られていたの

で、お題を拝借した次第。「バディにそっくりなんだよ」と笑っているだけで

はなく、事件の大きさを考えさせられました。バディ・ホリーがもう少し長く生

きていたら、ポップ音楽はきっと変わった形になっていたでしょう。ジョン・レノ

ンは違う歌を唄っていたかも知れません。眼鏡をかけて世に出たかも・・・。

さて、そのカメちゃんは7年前の「亀渕昭信のロックンロール伝」出版の際に『亀渕

昭信のロックンロール伝〜16歳の僕はドーナッツ盤に恋をした』というコムピ盤を出してい

たのですね。不覚にもエリス最新号で知りました。この人は高校生の時、家から

貰う昼食代をレコード購入資金に回していたので、昼休みはずっとバスケット・コート

に出ていて、「亀渕はなぜ昼飯を摂っていないのか」と教職員に怪しがられ

た、というよもやま話があります。大いに共感出来ますね。

この度その『亀渕昭信のロックンロール伝〜16歳の僕はドーナッツ盤に恋をした』を、

遅ればせながら、慌てて入手いたしました。既に廃盤という事でしたが、届

いたのはシールド状態の新品でした。

意外だったのは黒人のR&Bが多く入っていた点で、それをカヴァした白人仕

様を並べてあるところが、カメちゃんらしいところ。そのアルバムから聞いて行き

ましょう。

まずはフィル・フィリップス & トワイライツで「シー・オヴ・ラヴ」。

 

M07.シー・オヴ・ラヴ(2’24”)フィル・フィリップス & トワイライツ

-G.Khoury, P.Baptiste-  ユニバーサル  UICZ-1420

 

N  これは1984年にロバート・プラントが、ナイル・ロジャーズらと企てた覆面楽団のハニー・

ドリッパーズで知られるようになった曲ですね、「シー・オヴ・ラヴ」。ヴォーカル・グル

ープ的ですが、この程度の実力では通用しません。何よりも美しいメロディが魅

力ですね。カヴァ自由自在、勝手放題のジャメカでも大ウケで、沢山のレゲ歌手が吹

き込みました。その余波で、日本国内でもダンス・ホール合戦の合間によく流れて

いました。しかしその時、この1959年発表のオリヂナルに辿り着いた人は少なか

ったんじゃないでしょうか。オリヂル・レイベルがマーキュリーなので、その頃日本で正

式に紹介されていたか疑問です。わたしも、この『亀渕昭信のロックンロール伝〜16

歳の僕はドーナッツ盤に恋をした』に入っているのを見て、驚いた位ですから。

カメちゃんはその頃から聞いてたんですね、流石です。FEN極東放送で聞いて、

輸入盤を買ったのかなあ。

もう1曲、これも記憶にありません。

「戦場に日は落ちて」です。誰が唄っているかお分かりでしょうか。

 

M08.戦場に日はおちて(2’32”)リトル・リチャード

-W.Pitt, L.Richard- ユニバーサル  UICZ-1420

 

N  「戦場に日は落ちて」、唄はリトル・リチャードでした。部分的に声がひっくり返

るところで「おや」と思った方もいらっしゃるでしょうが、まず分かんない

だろうな。1961年の作品です。翌年、坂本九が邦訳カヴァを出しているそうで

すが、現在わたしの記憶にはありません。

この時期、リトル・リチャードは搭乗中の飛行機が炎上しそうになる幻想とか、乗

る予定だった飛行機が落ちたとかいうデマに悩まされ、俗世から逃げ出し、し

ばらくゴスペル歌手として活動します。あの性風俗の象徴のようだったリトル・リチ

ャードが、ですよ。この転向は各方面に大きな話題を提供しましたが、本人は

いたって真面目に主への祈りを捧げました。

 

M09.Precious Lord(3’07”)リトル・リチャード

-T.A.Dorsey-  Pヴァイン PCD-3033

 

N  トーマス・ドージー作「プレシャス・ロード」、リトル・リチャードが1959年に吹き込んだLP

『シングズ・フリーダム・ソングズ』に収められている1曲です。こちらもロケンローでの

絶叫とは発声が異なりリトル・リチャード本人の歌唱とはすぐに分かりません。アルバ

ム全体も地味なオルガン主体の伴奏で、アップテムポーの楽曲もこのような真面目なベ

ルカント唱法で歌われています。この手の唄い方に憧れる黒人は少なくなく、あ

の「呪いかけてやる」のスクリーミン・ジェイ・ホーキンズもそのひとり。なんでもオペラ

歌手になりたかっそうですから。

ここまで今朝の「幻」モーニン・ブルーズは、エリス最新号の第16回亀渕昭信「どう

しても聞いておきたいアメリカン・ポップス1001」、そして『亀渕昭信のロックンロール伝

〜16歳の僕はドーナッツ盤に恋をした』から派生した話題でお送りしました。

 

M10.Woman To Woman(3’27”)Barbara Mandrell

-B.Sherrill-  MCA Nashville 088 170 160-2

 

N  さて「汝、姦淫するべからず」という教えのゴスペルのすぐ後に持って来るの

もナンですが、2週間ほど続いた不純異性交流音楽集、今週は真打ちバーブラ・マ

ンドレルの登場です。まずお聞きいただきました、「ヲーマン・トゥ・ヲーマン」です。

こちらにはシャーリー・ブラウンのオリヂナル仕様の冒頭にあった「もしもし、バーブラね。

わたし、シャーリー」と名前を呼びかけて始まる部分がありません。ここでのバーブ

ラ・マンドレルは、夫の浮気の証拠を見つけた妻、つまりオリヂナル仕様のシャーリーと同

じ立場で歌っています。せっかく「バーブラ」なんだから、電話を受ける愛人

の立場から返歌を唄ったらよかったのに、とも考えました。R&Bではバーブラ・

メイスンが「フロム・ヒズ・ヲーマン・トゥ・ユー」というアンサ・ソングを出していたようです。

これも聞いてみたいですね。

さてバーブラ・マンドレルの不純異性交流楽曲を続けましょう。デニース・ラサールの強

烈な1曲です。

「私たち結婚してるけど、相手が違うの」。

 

M11.Married But Not To Each Other(2’58”)Barbara Mandrell

-D.LaSalle, F.Miller-  MCA Nashville 088 170 160-2

 

N  デニース・ラサールのオリヂナルに較べると毒気が少ないですね。切羽詰まっていませ

ん。主体的に不倫を犯しているというよりも、流れに任せているうちこんな

になってしまった・・・という感じでしょうか。女傑デニースに対して、バーブラ

は見た目の可愛らしい女性ですからそういう風に巻き込まれてしまう事もあ

るか。

さてバーブラ・マンドレルの不純異性交流楽曲の三つ目は、

あの決定的な「道を踏み外しても愛し合いたい」です。

 

M12.(If Loving You Is Wrong) I Don’t Want To Be Right(3’07”)

-J.Banks, E.Martin, H.Thigpen-  Barbara Mandrell 

MCA Nashville 088 170 160-2

 

N  「イフ・ラヴィング・ユー・イズ・ロング、アイ・ドント・ヲナ・ビ・ライト」、バーブラ・マンドレ

ルでした。地獄行きを覚悟しているようなルーサー・イングラムの燃え上がる熱い炎に

較べると、バーブラは「どうせアタシ・・・」と、状況に対して投げやりです。

それではダメです。こういう事には命を賭けなくてはいけません。

さて、ベスト盤にこれら3曲の不純異性交流歌が並ぶバーブラ・マンドレル、落

ち着いて聞いてみるとそれほど背徳性が感じられません。「さざんかの宿」

の方が遥かに反社会的です。多分既存のヒット曲「ヲーマン・トゥ・ヲーマン」の知名度と、

ひょっとして、あのバーブラ本人であるかもしれない、という一般人の勝手な

勘違いを世に出るネタにしたのではないでしょうか。その効果はありました。

このカヴァのお陰で彼女は初のチャート入りを果たせたのですから、同作品の吹き

込みは「メリード、バット・ノット・トゥ・イーチ・アザー」の方が先です。この時に彼女の

周辺は何かの手応えを摑んで、南部R&Bの不倫の歌をもう1曲、という企画

が進んだのではなかろうか、とわたしは推測します。でも、よく外れるので

人に言わない方がいいですよ。ほとんどモーソーですから。

「イフ・ラヴィング・ユー・イズ・ロング、アイ・ドント・ヲナ・ビ・ライト」は、その余韻で

吹き込んだ感じ。こう考えると、彼女は不純異性交流専門歌手ではないよう

に思えます。

逆にこんな素直で可愛らしい歌の方が似合っていました。

 

M13.I Was Country When Country Wasn’t Cool(3’14”)

Barbara Mandrell duet with George Jones 

-K.Fleming, D.W.Morgan-  MCA Nashville 088 170 160-2   8

 

N  周りのみんながロケンローやR&Bに夢中になっていても

わたしは何故かカントリーが好きだったわ

まだこの音楽がそんなにカッコ良くなかった頃・・・

 

いい歌です。「ドライヴインでジョージ・ジョーンズが流れた時の事を思い出すわ」

なんて行りがあるかと思うと、本人が出てきて唄ったりしました。「アイ・ヲズ・

カントリー、ウェン・カントリー・ヲズント・クール」、1981年のヒット曲です。アルバム『バーブラ・

マンドレル・ライヴ』からで、収録はステューディオにお客さんを入れての公開録音だっ

たようです。バーブラは1997年に専業主婦になるために公然で唄うことをやめ

ました。

 

M14.World’s In A Tangle(5’00”)Fleetwood Mac

-J.Lane-  Columbia 480527 2

 

N  『ブルーズ・ジャム・アット・チェス』から「ワールド・イズ・イン・ア・タンゴー」、フリート・ウ

ド・マックでした。これを唄っていて、控えめながらリード的ギターを弾いていたダ

ニー・カーワンが亡くなりました。6月8日、68歳でした。東京新聞に訃報が載っ

ていたので、少々驚きましたが、彼の事をご存知の方はそんなに居ないんじ

ゃないかな。フリートウド・マックの創立メムバです。このグループはジョン・メイオールのブルー

ズ・ブレイカーズ学校優等卒業生で成り立っていましたが、ダニーは違うところで

演奏活動をしていて、ピーター・グリーンに引っ張られて参加したようです。フリートウ

ド・マックにはギタリストが3人いまして、ピーター・グリーンがB.B.キング的な正統派、ジ

ェレミー・スペンサーはエルモ・ジェイムズ一本やり、ダニーはどちらかというと地味で、サイド

ワークに冴えを見せるワザ巧者でした。

当初ピーターはダニーとのツイン・リード態勢を望んだようですが、70年の5月、先

にグループを抜けてしまいます。ダニーは後日「俺たちはもっと一緒に上手くや

りたかったけれど、そうしなかった。ちょっとした気分的なものさ」と語っ

ていたそうです。ひょっとしたらこの『ブルーズ・ジャム・アット・チェス』が、二人

で一緒に演った最後の録音かも知れません。

69年にばニーもソロ作品を発表していまして、徐々にグループから離れて行きま

す。完全に離れてからはボブ・ウェルチとも一緒だった時期もあるみたいですね。

ではそのシカゴのチェス・ステューディオで敢行したジャム・アルバムから、ダニー・カーワンの

ギター、ヴォーカルでもう一曲。

楽曲も彼自身の書いたものです、自然なブルーズ愛が生きています。

「君と話そう」。間奏、後奏が素敵です。

 

M15.Talk With You(3’38”)Fleetwood Mac

-D.Kirwan-  Columbia 480527 2

 

M16.Stop Breakin’ Down(3’25”)ルシンダ・ウイリアムズ

-R.Johnson-  BSMF 7559

 

N  8日に亡くなったフリート・ウド・マックのギタリストだったダニー・カーワンの「トーク・ウィズ・

ユー」でした。彼の気負いのないブルーズ感覚は貴重でした。

 

続けたのはルーシンダ・ウイリアムズの「ストップ・ブレイキン・ダウン」、ロバート・ジョンスンの

ブルーズ定番曲です。アルバムは、彼女がまだ無名時代の1979年にフォークウェイズから

出していた『ラムブリン』というもので、かなりブルーズ的な内容です。彼の地の

音楽家は皆こういう音楽の根っこを持っていて、それを自身の成長に合わせ

て咀嚼していくんですね。この国ではそういう過程があまりないので、取り

憑かれた音楽ベッタリになるのが美徳だったり、全く根拠不明の安易な独創が賞

賛されたりします。底が浅いぞ、ソコが。この時期のルーシンダのアルバムは、翌80

年発表の『ハピー・ヲーマン・ブルーズ』も国内で再発になりますから、来週にでも

少し聞いてみましょう。

今朝は『ラムブリン』からもう1曲、これもブルーズ曲です。

「マザレス・チルドレン」。

 

M17.Motherless Children(3’35”)ルシンダ・ウイリアムズ

-unknown-  BSMF 7559

 

N  ルーシンダ・ウイリアムズで「マザレス・チルドレン」でした。

先週お届けしたドノヴァン、良かったですね。今朝も1曲どうぞ。

これもロック的な作品で、1966年ですから相当に進んでいた感覚と言えます。

「サンシャイン・スーパーマン」。

 

M18.Sunshine Superman(3’15”)Donovan

-D.Leitch-  Epic / Legacy 88691958682

 

M19.ロック天国(2’32”)ピーター、ポール&マリー

-N.P.Stookey, J.Mason, D.Dixon- Rhino R273161

 

N  ドノヴァンの「サンシャイン・スーパーマン」に続いて、ピーター、ポール&マリーで「ロック天国」

でした。「素敵なロックンロール」という邦題もあったような気がしますが、違った

かな。発表が1968年ですから、「サンシャイン・スーパーマン」の影響もあるかも知れ

ません。いやあるな、きっと。でもこれは、ママズ・アンド・パパズや、ドノヴァン、

ビートルズの名前も出て来るノヴェルティ・ソングです。作者の一人ポールさん、ポール・

ストゥーキーはコメディアンだった経験もありますから、こういうのは得意な領域かも知

れません。逆回転音が入ってたりもします。先ほどのセレブ喰い人種の歌と同

じく、この頃の音響特殊効果と言えば、テイプを使うしかなかったのですよ。

ピーター、ポール&マリーで「この頃ロケンローにイカれちゃって」でした。

 

M20.Blues, Why You Worry Me?(4’07”)ボブ・コートリー&フレンズ

-unknown- BSMF 2616

 

N  4月3日に下北沢のタウンホールで行いました「ありがとう妹尾隆一郎」にはたく

さんのご参加を頂きまして、ありがとうございます。お陰様で、大阪、京都

で別れの会も無事終了しました。5月15日には名古屋でも突然行われたりし

て、故人の偉大な功績が偲ばれます。隆一郎が残した録音の全てを聞く事は

出来ませんが、折に触れて紹介して行くつもりです。エーちゃんと演ってるの

なんて知らなかったしね。

今お聞きいただいたのは海の向こうのハーモニカ吹き、ボブ・コーリトーの新譜から、

「ブルーズさんよ、なんでオメさんは俺をそんなに悩ますんだい」でした。粗雑

なビート感覚が荒いミクスと相まって気持ちいですね。場末の実演といった感じで

す。

続いてもう1曲ブルーズを。歴戦の強者、白人鍵盤奏者バリー・ゴールドバーグの

15年振りのソロ作品です。タイトルは、そのものズバリ、『イン・ザ・グルーヴ』。そこ

から「スロウ・ヲーク」をどうぞ。

 

M21.Slow Walk(3’52”)バリー・ゴールドバーグ

-unknown-  BSMF 8017

 

N  「スロウ・ヲーク」、バリー・ゴールドバーグでした。60年代末期のブルーズ・ロック・セッ

ションといっても通用するようなヴィンデッヂ感たっぷりの響きです。こういう音

が自然に出せるのはスンバラシイ。流石ツワモノです。

ここまで紹介して来たルーシンダ・ウイリアムズ、ボブ・コートリー・アンド・フレンズ、バリー・

ゴールドバーグは、大阪府茨木市のBSMFレコーズからの発売です。創業社長の西

村雅人さんは、18日早朝の地震でかなりの被害を被りました。即刻CD倉庫

の整理だけは済ませたそうですけれど、ご自宅も同様の混乱だそうです。

「CDの棚は地震に弱いんですよね。全部、飛び出してきますし、よほど固

定しておかないと倒れてきますので」というお言葉にとても説得力がありま

した。公共交通機関が動かなくなったり、ガスが止まったりして、まだ避難し

ている人々も多くいる大阪北部には一日も早い復旧を祈りましょう。

さて、「音楽が死んだ日」で始まった今朝の「幻」、お終いは先週リハーサルを

聞いてもらった、オーティス・レディングの「ドック・オブ・ザ・ベイ」のマスター・テイクです。

この歌が唄い込まれている「チャイナ・タウン」のリクエストをハリギョウさんから貰ってお

りますが、これで行かせてください。あ、オーティスの最終セッション集約盤で気にな

っていたジャケット、見つけました。ただ現物はまだ目にしていないものですか

ら、後日詳しくお伝え致します。もうとっくに発売になっているんですね。

では「シティング・オン・ザ・ドック・オブ・ザ・ベイ」、オーティス・レディング、以前か

ら出ているスティーリオ・ミクス、リハーサル時とは違い、歌の主題に相応しく実に落ち着

いた節回しです。これを聞くと、やはりオーティスには「死期の予感があった」と

信じたくなります。

 

M22.(Sitting On)The Dock Of The Bay(2’38”)OtisRedding

-O.Redding, S.Cropper-  ワーナー 20P2-2362

 

M23.D.W.Washburn(3’02”)The Coasters

-J.Leiber, M.Stoller- Rhino R271090

 

TM Born In Chicago特効「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

 

N  今朝の最後はザ・コースターズで「ディー・ダブリュウ・ヲッシュバーン」でした。わたしは

このギター演奏が昔からとても好きでした。先日何気なく録音詳細記述を見た

ら、何とエリック・ゲイル。驚きです。他はチャック・レイニーがベイスでドラムズはバナード・

パーディー。驚き再び、三たび。

この歌は日本ではマンキズででヒットしかけました。今ユーチューブに、だいぶ歳を取

った万傷のマイク・ネスミスを除く3人が唄っている動画が揚がっています。ミッキー・

ドレンツのリード・ヴォーカルがいいですね。踊りながらハーモニーを合わせるデイヴィー・ジ

ョーンズも可愛らしい。低音を充てるのはピーター・トークでしょうか。みんなで楽し

そうに唄ってます。いずれにせよ、リーバー / ストーラーが作った楽曲の素晴らしさ

が光りますね。ミッキーが心を込めて唄っているのも、情景が自然と浮かんで来

て、想像力が刺激されているからではないでしょうか。よろしければ、ご覧

下さい。こちらです。

https://www.youtube.com/watch?v=bcH7h4yKHOsです

 

FIFAワールドカップ ロシア予選第一試合での日本の勝利は喜びですが、わたしの

感想は、コロムビアが全然攻めて来なかったな、です。他の如何にもワールドカップら

しい試合に較べると、速さが不足していた。またこの勝利、そんなにオオゴト

でしょうか。金曜日のお昼までヌーズショウの主役でした。国技はスモーだよ。明日、

厳密には明後日か、セネガル戦です。彼らも強いよ、速いよ。油断大敵だ。

この人たち、勝つとみんなで踊るんだ。それがいいね。

 

ツイターに何度か登場してました浅田あつ子「河内の辛口」は出し直しです。

この前のシングル「泣いてもいいの」のB面曲です。再度プロモートをかけているよ

うですね。A/B面が共にヒットという出来事、これまでの流行歌史では何度かあ

りました。この歌、評判が良かったのかな。

 

特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/c123c91a80ef2425a59f75cde7f24b0c3706545e

  ダウンロードパスワードは、q8krpc76です。

今朝もちょうど時間となりました。

こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

【幻】モーニン・ブルーズ 2018/06/16

mb180616

 

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

 

N  おはようございます。アサー、ワツシイサヲです。もう来週21日は夏至です。これ

を過ぎたら昼間の方が短くなっちゃう。日の出はこの前にもう遅くなり始め

ているのですが、日の入りが29日に一番遅くなるんですね。夏至は日の出が

一番早く、日の入りが一番遅い、と思い込んでいましたが、違っていました。

いずれにせよ数秒単位で昼間の時間が変わる毎日です。

いのち短し走れメロス、今朝も元気で行きましょう。

まずライ・クーダーです、「放蕩息子」。

 

M01.Prodigal Son(4’38”)Ry Cooder 

-trd.arr.by R.Cooder-  Fantasy FAN 00235

 

N  ライ・クーダー、「放蕩息子」でした。ザ・ローリング・ストーンズ、ライ・クーダー、「放蕩息

子」この三つは因縁の関係です。まず「放蕩息子」という楽曲、これは今で

こそロバート・ウィルキンズ師の作で知られていますが、ストーンズ1968年発表のアルバム

『乞食の晩餐』では「ジャガー / リチャード」とクレジットされて、ふたりの創作曲に

なっていました。現在の公的資料は皆ストーンズ寄りでまとめられているため、

「当時は作者が不明だった」などという記述で胡麻化されてますが、それは

方便。ちょっと調べれば判明するでしょう。わたしは意図的なゴマカシだったの

ではないか、と考えています。少なくとも70年代前半まではミックとキースの原曲

盗用という見方が支配的でした。前科あるしね、ミックたちは。古いSPかなん

かで聞いたんじゃないでしょうか。

一方ライ・クーダーは次の『レット・イト・ブリード』アルバム制作時にセッション・プレイヤーと

して参加したのが知られていますが、これについてもわたしは『乞食の晩餐』

の録音で既に断片的な接触があったんじゃないか、と見ています。ブライアン・

ジョーンズがほとんど参加しないで作られた、アクースティク・ギターのブルーズ曲中心の

このアルバムからキースは急に腕が上達しますし、「奴らはジャム・セッションを密かに録

音して俺のフレイズや奏法を盗んだ」、とライが訴えた事件もありました。その賠

償として発売になったのが、その時の物的証拠『ジャミング・ウィズ・エドワード』

で、聞けば『ベガーズ・バンクェット』との関連性が 偲ばれるのです。このセッション

にキースだけ居ないってのも不自然でしょ。

今回のライ・クーダーの新譜はこの因縁楽曲と同じ題名で『プロディガル・サン』と

名付けられています。表題曲のベイスが面白いなあ、と思って詳細表記を調べ

たら、ご本人でした。基本的にライ自身が音階楽器を多重演奏していまして、

ドラムズ、パカッションを、あのブエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブにも出てくる息子のジョーキ

ムが受け持っています。ボビー・キング他のバック・グラウンド・ヴォーカル陣はいつも通

りですが、テリー・エヴァンスは今年亡くなったという追記がありました。

ここで唄われる「プロディガル・サン」は、前述の『ベガーズ・バンクェット』収録の

ものとは別曲ですが、身持ちの悪いバカ息子が家に帰ってくるという教訓的な

主題は同じ。そもそもは流れのゴスペル伝道師が唄い継いでいた俗謡歌ですか

ら、様々な仕様があってもおかしくは無い。ライ親子はそれらを整理して、端

正にまとめています。最後のオチが「馬鹿でかい音で奏でられる音楽だけが信

じるに値する真実だ」となっていますが、これは明らかにふたりが新たに付

け加えた行りでしょう。笑わせてくれますね。

ではライ・クーダー、新譜『プロディガル・サン』からもう1曲。

「ジーザス・アンド・ウディ」。

 

M02.Jesus And Woody (5’58”)Ry Cooder

-R.Cooder-  Fantasy FAN 00235

 

N    もう一度「我が祖国」を唄ってくれよ

全体主義者をやっつけてくれ

ガスリーさんよ、あんたは理想を夢見る人だった

俺も同じかもしれない

 

歌詞も記載されている丁寧な造りのブックレットには、思わせ振りな写真が何葉

か配されています。そのひとつがこの歌の頁で、そこにはウディ・ガスリーのかな

り状態の良いSP盤が置かれていました。

この曲です。「ジーザス・クライスト」。

 

M03.Jesus Christ(2’40”)Woody Guthrie

-W.Guthrie-  NOT5CD915-5

 

M04.Hard To Handle(2’18”)Otis Redding

-A.Jones,A.Isbell. O.Redding-  ワーナー WPCR-27559

 

N  先週お話ししたオーティス・レディングの新譜について分かりました。

「日本でも人気の非常に高い『ドック・オブ・ザ・ベイ』(唯一の全米NO.1

シングル)を筆頭に1967年12月10日の死の直前に録音された辞世の作品の

全貌が明らかになる、オーティス・ファン、ソウル・ファン必携のドキュメンタリー的作品集」

という事だそうで、「ドック・オブ・ザ・ベイ」の全米第1位50周年を記念し

ての発売だそうです。50年だってさ。俺はなんて無為に歳を重ねて来たんだ

ろう・・・という複雑な気持ちにならざるを得ません。もうオーティスの倍以上の

年月をこの世で生きてるのです。嫌んなっちゃいますね。

只今の1曲は、その新譜『ドック・オブ・ザ・ベイ・セッションズ』から「ハード・トゥ・

ハンドル」でした。

飛行機事故で亡くなる2、3日前に行った最終録音の各トラックは、死後別々の

アルバムに分けて発表されました。ですから今回のようにまとめられた形は初め

てですが、テイク、録音詳細共に新事実はありません。「オリヂナルの英文ライナも大

した事ないよ」と制作担当者が言ってましたから、本当でしょう。全12曲で

すが、各曲が短いので30分あまりの長さ。流石に音はだいぶ綺麗にはなって

います。今わたしの最大の興味は、どんなジャケット になるんだろう、という点

です。

オーティスの没テイク集はかつてまとめられて出ていました。大都会のアトランティックが

片田舎のスタックスを罠にかけた不公平な契約条件のため、この辺りの権利がウヤムヤ

になっているようで、この時はこれらは何故かファンテイジーからの発売でした。

この盤で「ドック・オブ・ザ・ベイ」を聞いた時、「何でこんなに明るく演っ

てるんだろう」と、疑問に思いましたね。当初は「哀愁の波止場」という邦

題が考えられていた程、公式テイク全編に漂う暗さ、哀しさ。それらはオーティスの

死という事件で更に増幅されました。全米第1位になった理由の一つと言っ

ても良いでしょう。「本人は死を予感していた」などという見解もありまし

たから。誰もが迫ってくる運命に抗えず、沈痛な雰囲気に終始した最後の録

音ステューディオ時間、だった筈です。

それが、喉の手術を終えたこの場この時のオーティスは心機一転、冗談を交わし

ながら伸び伸び唄っています。「あれえ」というような思いでしたね、ワタクシ。

 

M05.Sittin’ On The Bock Of The Bay (Take1)(2’59”) オーティス・レディング 

-O.Redding, S.Cropper-  Pヴァイン PCD-4933

 

N  「ドック・オブ・ザ・ベイ」のテイク1、でした。まだエレキ・ギターが追加録音される

前で、鴎擬音効果も本人が声で出しています。終了部分の口笛も未完成です。

「テイク1」かどうかは信用出来ませんが、おそらくは初期リハーサル段階の録音でし

ょう。それにしても明るい。「死を予感していた」兆候すらありません。スタッ

クスのミュージシャンたちとの共同作業も新しい局面に差し掛かっていた頃で、リズム

のさらなる細分化、リフの強化など、何曲かではこれまでよりファンク的に進みつ

つあるのが特徴です。

オーティスはお聞きのようにユーモアを交えながらセッションを敢行しました。この最終

録音で生まれた傑作といえば、この歌でしょう。

「(ダムダムディディディダムダム)ハッピー・ソング」。

 

M06. ハッピー・ソング(2’40”)オーティス・レディング

-O.Redding, S.Cropper-  ワーナー WPCR-27559

 

M07.エーメン(3’04”)オーティス・レディング

-trd.arr.by O.Redding, S.Cropper-  ワーナー WPCR-27559

 

N  「(ダムダムディディダムダム)ハッピー・ソング」、「エーメン」、オーティス・レディングの

新譜『ドック・オブ・ザ・ベイ・セッションズ』からお届けしました。

 

M08.The World We Live In(4’21”)マイク・ジト

-unknown- BSMF 2607

 

N  以前もお聞きいただいたマイク・ジトの『ファースト・クラス・ライフ』から「ザ・ワールド・

ウイ・リヴ・イン」でした。このアルバムでわたしはこれが一番好きかな。メイジャー・

キイでやるせないマイナー感をうまく出してますね。いい味です。

さて先週少し触ったジョー・ボナマッサの新譜2枚組『ブリティッシュ・ブルーズ・イクスプ

ロージョン ライヴ』は、2016年7月にロンドンの旧王立海軍大学で行われた実演を収

録したものです。付録の豪華4色刷り20頁冊子には世界遺産の素晴らしい建

物に囲まれた中庭での演奏風景の写真がありまして、まずこれが絶品です。

そして更には・・・、

 

イギリス製ブルーズへの愛は、自分の音楽感性の真髄であり、わたしに大いに影

響を与えてくれた、ギター弾き達に感謝出来る機会を得られて大変嬉しい。

もし彼等が1960年代の前半に居なかったら、今わたし達が知っているよう

なロックの大爆発もなかった。これは確かだ。思い切り楽しんでくれ。

 

ジョー・ボナマッサ本人のこんな言葉も載せられていまして、彼の「ブリティッシュ・

ブルーズ」への情熱の燃焼度合いも分かろうというものです。収録曲は先週の

「ベックのボレーロ〜ライス・プディング」に続きまして、「プリンス」「スパニッシュ・ブーツ」

「マザレス・チルドレン」「ブーギー・ウィズ・ステュ」「アイ・キャント・クイッチュー・ベイビー」

「ハウ・メニ・モー・タイムズ」などが並びます。わたしでも知っているハードロックの超有

名曲ばかりです。笑っちゃうでしょ。

そんな中から、今朝はこの2枚組唯一のジョー・ボナマッサのオリヂナルを、まず

どうぞ。

「ブラック・ウインター〜ジャンゴー」。

 

M09.Black Winter / Django(5’59”)Joe Bonamassa

-J.Bonammasa- J&R Adventures JRA58241

 

M10.Let Me Love You(5’36”)Joe Bonamassa  

-W.Dixon-  J&R Adventures JRA58241

 

N  「ブラック・ウインター〜ジャンゴー」、そして「レット・ミー・ラヴ・ユー」でした。ジョー・

ボナマッサの「ブリティッシュ・ブルーズ愛」、伝わりましたでしょうか。「レット・ミー・ラヴ・

ユー」は、バディ・ガイ1961年のヒット曲ですが、ロン・ウド、ニッキ・ホプキンズ、ミック・ヲ

ーラーという黄金メムバーの第一期ジェフ・ベック・グループで世界的に知られました。

当時まさに伸び盛り、青天井のロド・ステュアートのパートを唄っちゃうんだからジョー

も大したもんです。「ブリティッシュ・ブルーズ愛」は充分ですね。

彼の事を澤田修は「何でもやってますけど、ブルーズ・ギタリストですよ、彼」

と言います。現代の一般的な認識はそうかも知れません。

ただわたしに言わせると、全然ブルーズ・ギタリスト的ではない。まず、いつも

清潔で綺麗な衣服を身につけている。洗濯したばかりのような小ざっぱり感

が漂います。一緒に舞台に上がる仲間の演奏家も同じく。また、音楽に対す

る態度が、恐ろしく真面目。演奏も極めて丁寧。たぶんそういう人なんでし

ょう。杜撰でC調、E加減さは微塵も感じられない。全く恐れ入ります。彼

にはさっきの「ブラック・ウインター〜ジャンゴー」、あるいは前作のカーネギー・ホールでの

実況録音盤で披露したような過剰な集中力で研ぎ澄ました音楽が似合ってる

ように聞こえてなりません。今回、思い出してジェフ・ベック・グループを少しだ

け聞いて見たんですが、鍛錬して完璧さを追求するジョー・ボナマッサと、「どう

なるか分からないけど精一杯このまま演ってみるよ」と音楽に寄り添うジェフ・

ベックには大きな違いがありました。ジョーにはチンピラ・ロックに必要なスピード感が

不足しているのも聞き取れた気もします。

でもね、だからと言って全部ダメという訳じゃないんです。ロックはこの50年

で大きく変わってきているんです。ジェイムズ・テイラーの歌に「今じゃロックンロールは

音楽だってよ」というのがあります。その通り。ロックはもはや清廉潔白で健全

な娯楽、芸能、芸術なのですよ。改めてわたしはジョーに、「こういうブリティッシ

ュ・ブルーズのどういうとこが好きになったの」と尋てみたいですね。

では「レット・ミー・ラヴ・ユー」をジョー・ボナマッサの敬愛するジェフ・ベックでどうぞ。

 

M11.レット・ミー・ラヴ・ユー(4’41”)ジェフ・ベック

-W.Dixon-  東芝 TOCP 53094

 

M12.Balabajagal(Love Is Hot)(3’25”)Donovan

-D.Leitch-  Epic / Legacy 88691958682  Thirsday

 

N  「レット・ミー・ラヴ・ユー」、ジェフ・ベックでした。続けましたのは、ドノヴァンの

「バラバジャガ」、ジェフ・ベックがほぼ同じメムバのグループで客演しています。こ

のふたりのプロデューサ/マネージャは、当時ミッキ・モウストという同一の男でした。

これを聞くのは本当に久しぶりだな。40年近く経っているかも知れません。

ドノヴァンはしばらく前に希少な木曜日曲の「ジャーヂ・サースデイ」で思い出したの

ですけれども、今の「バラバジャガ」もとてもいいですね。ちっとも古くなっ

ていない。唄のリズム感が素晴らしかったです。何てったって、ビートルズの次に

日本武道館で演奏会を行った音楽家、しかも楽器は生ギター1本でしたからね。

彼は「イギリスのボブ・ディラン」という触れ込みで世に出たのですけれど、ご

本家とはだいぶ違っていました。ディランが社会の現実を独自の解釈で斬ったの

に対し、ドノヴァンは彼にしか見えない色彩、聞こえない音色を伝えてくれたよ

うです。またいつか聞いて見ましょう。

さて音楽雑誌エリス最新号、早速タクシドライヴァ45979号さんはお読み下さったよ

うです。お便りありがとうございます。バーブラ・デインは今年の春に何度も紹

介してますよ。かなりしつこくお届けしてます。伝え方が良くなかったかな。

今朝はわたしが彼女を知るきっかけとなった2枚組ベスト盤の題名にも

なっている『ホット・ジャズ、クール・ブルーズ、アンド・ハードヒッティング・ソングズ』に

倣って、3つの女の顔をご覧にいれましょう。

まずはホット・ジャズです。彼女はサッチモ、ルイ・アームストロングに気に入られて、旅回

り一座に抜擢されたそうです。確かに唄は上手。ジャズのヴォーカルを難なくこな

していました。ただ左寄りシムパからは、堕落した退廃的なジャズを唄う事は「日

和見転向」と糾弾されたそうです。でもこの2枚組ベスト盤で聞ける彼女のホット・

ジャズは、オーハシ・キョセンが出入りするような都心のナンパ場ではなく、それこそフォ

ークやブルーズのカフェに相応しい物でした。

では実況録音で聞きましょう。伴奏のピアノの調律が悪いですね。

「マイ・メランコリ・ベイビー」。

 

M13.My Melancholy Baby(3’52”)Barbra Dane 

-E.Burnett, G.A.Norton-  Smithonian Folkways SFW CD 40227

 

N  バーブラ・デインのホット・ジャズ、「マイ・メランコリ・ベイビー」の次はクール・ブルーズです。

この2枚組の冒頭に収められている「アイ・アム・ア・ウィリー・ロンサム・トラヴェラー」。

 

M14.I Am A Weary Lonsome Traveler(4’19”)Barbra Dane 

-L.Hays,W.Lowenfels-  Smithonian Folkways SFW CD 40227

 

N  そして最後はハードヒッティング・ソング。これをわたしは心を刺激する歌、と解釈

致しました。心を刺激されて興味を持つわけですから、自分の気に入った音

楽は全てがハードヒッティング・ソングでありまして、わたしはそれをここ「幻」で紹

介している事にもなります。今回バーブラ・デインの場合は、殊更にこういう傾

向の歌を選んでみました。

「連帯は不滅なり」。

 

M15.Soldarity Forever(4’41”)Barbra Dane

-R.Chaplin-  Smithonian Folkways SFW CD 40227

 

N  バーブラ・デインで「ソリダリティ・フォエヴァ」でした。一緒に唄っているのはピート滋

賀です。この原曲は南北戦争時の軍歌「リパブリック賛歌」ですね。我が国では

数々の仕様がありまして、「オタマジャクシはカエルノコ」「ゴンベサンのアカチャンがカゼヒイタ」

とか「マアルイミドリのヤマノテセン」辺りが筆頭ですね。たまたま今週立ち寄ったヨドバ

シカメラの電子鍵盤楽器売り場では、この「連帯は不滅なり」が自動演奏設定さ

れて置いてあり、譜面台に作詞「藤沢昭和」書かれた歌詞カードが添えられて

いて驚きました。この人、ヨドバシカメラの創業者なんですね。他に珍しいトコロで

は「オハギがオヨメにイクトキは」というのを同じ人間から何度も聞かされた事があり

ます。

既に皆さんお感じでしょうが、バーブラは左翼のフォーク歌手です。アメリカ合衆国

が天敵と決め付けた、世界を滅ぼす社会主義思想に侵された危険なひとりで

す。それでもこういった歌を唄い続け、信条を曲げず生きています、今も。

かつて合衆国では「赤狩り」で多くの自由な考えを持つ人間が追われまし

た。そのうちの何人かは、娯楽、芸能、芸術の世界に居た人たちです。既存

思想と全く無縁だったジョン・レノンでさえ社会主義者として恐れられ、付け回

されていた位です。この危険な思想を極東の島国を楯にしてくい止めろ、と

いうのが大戦後アメリカの急務でした。今でもその考え方は変わっていません。

依然「反共」です。それを、現在最も社会主義的成り立ちの独裁国家の、義

兄を薬殺し部下を公開処刑した暴君を讃え、「体制を保証する」だと。どう

いう事だ。側近は文言を訂正しなかったのかね。トラムプの無責任な場当たり的

言動、此処に極まれり、です。

こういう見地、品性に欠けた人間をダイトーリョーに選ぶ国なんです、アメリカは。

おっと、極東の島国も見地、品性に欠けた人間がシュショー、ソーリダイジンでした。

閑話休題 バーブラ・デインの「ホット・ジャズ、クール・ブルーズ、アンド・ハードヒッティング・

ソング」、以上、3曲をお届けしました。

 

M16.Seasons Of My Heart(2’12”)George Jones

G.Jones, D.Edwards- RetroWorld Blue178

 

N  お聞きいただいたのは「シーズンズ・オヴ・マイ・ハート」、ジョージ・ジョーンズです。

音楽雑誌エリス最新号の第16回亀渕昭信「どうしても聞いておきたいアメリカン・ポ

ップス1001」にはジョージ・ジョーンズの「ホワイト・ライトニング」が出てきます。ノースカロラ

イナで密造酒業者の歌で、このヒットがこの変わり者アル中患者を全国的な人気者に

してくれたんだそうです。ちょっと聞いてみましょう。

 

M17.White Lightning(2’52”)George Jones

-Richardson- RetroWorld Blue178

 

N  かなりヒルビリー的な、カントリー・ロックンロールですね。ジョージ・ジョーンズは沢山の自作

ヒットを持っていますが、これは他の人間が書いた歌です。作者はJ.P.リチャードスン。

作者の自唱仕様もあります。そちらもどうぞお聞きください。

 

M18.White Lightning(2’16”)The Big Bopper  

-Richardson-  USM Media USMMCD0012

 

N  J.P.リチャードスン作「ホワイト・ライトニング」、強烈なノヴェルティ調でした。唄っているの

も作者自身ですが、ここでは「ザ・ビッグ・バッパー」という芸名を使っていま

す。ロックンロール創成期のこの手のゲテ歌を得意としたヒーローのひとりです。彼の書

いた1曲は、この中にも唄い込まれていました。

 

M19.Good Old Rock’nRoll(3’26”)Dave Clark Five 

-Smith,Chin,Micheals,Equine,Berry,Johnson,Blackwell,Penniman,

Richardson,Williams,Perkins-   Universal 1781774

 

N  キャロルのデビュー・アルバム『ルイジアンナ』B面の1曲目に収められていた「グーッド・

オールド・ロケンロー」です。わたしは長い事、A面とB面を取り違えていまして、

CDを手に入れるまで、このLPはこれで始まっていると思っていました。

今のはデイヴ・クラーク・ファイヴのオリヂナル版。テーマに続いてメドリーで次々に唄われ

るのは「スウィート・リトル・シクスティーン」「のっぽのサリー」「シャンティリー・レイス」「陽気に

やろうぜ」「ブルー・スェード・シューズ」の5曲です。この中の「シャンティリー・レイス」

がザ・ビッグ・バッパーの歌なんですね。日本でのヒット状況を考えると、一番知

られていないかも知れません。わたしも当初は誰の歌か分かりませんでした。

では「シャンティリー・レイス」、オリヂナルでどうぞ。ザ・ビッグ・バッパーです。

 

M20.Chantilly Lace(2’24”)The Big Bopper

-Richardson- USM Media USMMCD0012

 

M21.Air Crush Newscast(0’45”) 

 

N  ザ・ビッグ・バッパーで「シャンティリー・レイス」でした。彼の作品にノヴェルティ味が共通

しているのは、元々がテキサスのラジオ局のDJだったせいでしょうか。作曲者とし

て成功したひとつが先の「ホワイト・ライトニング」でした。

その後で流れたのは1959年2月4日のラジオ・ヌーズ同録。飛行機事故で3 人

の前途有望なロックンロール・スターズが亡くなった事を告げています。その3人とは、

バディ・ホリー、リッチ・ヴァレンス、そしてこのザ・ビッグ・バッパーでした。この事故

についてもカメちゃんは今回の「どうしても聞いておきたいアメリカン・ポップス1001」

で触れています。それにつきましては、来週ゆっくりとお話ししましょう。

時間がなくなっちゃった。

ツイターに写真が揚がってましたが、先週の土曜日に新宿のカブキラウンジでのDJ

ショウへ行ってきました。宮治の淳に出したメイルが戻って来ちゃうんで、直接本

人に会いに行ったのです。「幻」首都圏の聴取者約半数さま達が聞きに来て

いました。その時オリヂナルが流れた「ミスタ・ムーンライト」、これのビートルズ版を聞き

ながら、今朝はお別れです。「アサー」が出て来ません。悪しからず。

写真は夏の衣替え。台は風呂場の簀です。今までで一番上手く撮れたかな。

今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/bde653e2f47a53a41a86d2de6912282c744c290f

ダウンロードパスワードは、i2ttuv50です。

「おっ月さんよ」が終わって、ちょうど時間となります。

こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

 

M22.ミスター・ムーンライト(2’37”)ザ・ビートルズ

-Johnson-  EMI CDP 7 46438 2

【幻】モーニン・ブルーズ 2018/06/09

mb180609


TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

 

N  おはようございます。アサー、ワツシイサヲです。

 

01.ボレロ(6’53”)山下洋輔

-Ravel-  Polydor POCJ-1360

 

N  いきなりの長尺、なおかつやや難解な器楽曲。如何でしたか。山下洋輔の

「ボレロ」、ラヴェルの有名な作品、1996年の録音からです。

セシル・マクビーがベイス、フィーローン・アクラフのドラムズ、この二人はこの時期にヌー・ヨーク・

トリオと名付けられたヤマシタのレギュラー共演者。それにラヴィ・コルトレインが、この「ボレロ」

ではソプラノ・サキソフォーンを吹いています。ジョンとアリスの息子ですね。ヤマシタはラヴェル

の「ボレロ」が殊更好きなようで、この他にも何回か吹き込んでいます。彼の

場合は全ての楽曲は即興のきっかけのようにも思えますが、いく種類かの録

音を聞きますと、冒頭から何度も繰り返される打楽器のモチーフで、彼はひとつ

の共通した概念を思い浮かべているような気がします。それが時、場、相手

で形を変えて行くのですね。今の録音は山下洋輔がヴァーヴと契約、世界的な

レコード演奏家として羽ばたいた1996年、ヌー・ヨークでのセッションでした。

さて、この大曲を今朝の冒頭に持って来たのには訳がありまして、昨年カーネ

ギー・ホールでの実況録音盤でわたしをノックアウトしたギタリスト、ジョー・ボナマッサの新譜

が、また2枚組の実況録音盤。それが今のヤマシタのラヴェルの「ボレロ」と同じスネア

のパタンで始まるのです。

こんな具合に・・・。

 

02.Beck’s Bolero / Rice Pudding(9’01”)Joe Bonamassa

-W.Dixon-  JR Adventures  JRA58241

 

N  ジョー・ボナマッサの新譜『ブリティッシュ・ブルーズ・エクスプロージョン・ラーイヴ』から冒頭の

「ベックのボレロ〜ライス・プディング」でした。共にご存知、ジェフ・ベック60年代の

代表的な楽曲です。アルバムの題名でお分かりの通り、これはジョーの音楽感性を

大いに刺激したイギリスのブルーズ・ロックを再現している作品なのです。それらの、

ヘヴェメトー・ロック確立以前の音楽と子供の頃に同時代を過ごした、還暦過ぎ音楽

愛好家にとっては、収録楽曲だけを見ても笑ってしまうような内容で、実際

に聞くとジョーの極めて真面目な姿が余計に可笑しい。通して聞いていると、「ク

スクス、ニヤリ」の連続であります。

この作品の全容に関しては来週のこの番組で詳しくお伝えしますが、冒頭

曲に「ベックのボレロ」を、ラヴェル調に始める心意気に敬意を評して、とりあえず

1曲お届けしました。

 

03.Married, But Not To Each Other(3’41”)Denise LaSalle

-D.LaSalle, F.Miller-  ACE  CDSEWD 152

 

N  「マリッド、バット・ノット・トゥ・イーチ・アザー」、デニース・ラサールでした。先々週アルバム

『アイム・ソウ・ホット』CD発売記念でお送りした「猛女デニース集」で、実は間違い

を申し上げていました。

その1、この「マリッド、バット・ノット・トゥ・イーチ・アザー」を、「不倫楽曲専門家、

バーブラ・マンドリルの作品です」と語っていた事。この歌はバーブラ・マンドリルとは

関係なく、デニース・ラサール本人とフランシス・ミラーの作品でした。逆にバーブラがこれを

カヴァして、カントリー・チャートで3位に上がるヒットを記録していました。南部では人

種を問わない日常茶飯的不倫にわたしも刺激を受けまして、事実関係の確認

が疎かになっていました。申し訳ない。

さてその南部の不純な男女関係を考えますと、確かに沢山の歌があります。

特別に探さなくとも、まず誰にも思い当たるのが、これでしょう。

 

04.(If Loving You Is Wrong)I Don’t Wanna Be Right(3’32”)Luther Ingram

-H.Banks, R.Jackson, C.Hampton-  Pヴァイン PCD-2296

 

N  ルーサー・イングラム1972年発表の名曲「イフ・ラヴィング・ユー・イズ・ロング、アイ・ドント・

ヲナ・ビ・ライト」でした。73年公開の記録映画「ワッツタックス」でも、ハイライト場面にな

っていました。

「もしお前を愛する事がいけないなら、俺は間違たっていいんだ」という

強い愛情を唄い上げるルーサー。その昔、某イギリス人がこの歌をくどいほど熱狂

的に支持していました。この繰り返されるタイトルをいちいち日本語で口にして、

「素晴らしい」と繰り返すのです。確かに忌み多きこの世で「正しく健全で

ある」という評価は別に無視してもいいですが、その原因がちょっとねえ。

果たしてその真意は何処にあったのでしょうか。

ルーサー・イングラムのアルバムは日本で正式に紹介された事がなく、ところどころで

「プツプツ」と針が盤を擦るような音が聞こえるこの1991年のCDが初めてで

した。発売時に付けられていた帯には「ヨッ!アメリカの美川憲一!!」とあります。ひ

ょっとして、この人・・・。

さてこのように婚姻関係以外の交際、恋愛、つまり「シン〜罪」を唄った楽

曲には何故か傑作、名曲が沢山あります。次もそのひとつですね。

「フーズ・メイキング・ラヴ」、ザ・ブルーズ・ブラザーズです。

 

05.フーズ・メイキング・ラヴ(3’34”)ブルース・ブラザーズ

-H.Banks, B.Crutcher-  イースト・ウエスト AMCY-2747/8

 

N  「お前の女とイチャついてるのは誰だろう、お前が他所で同じ事をしてる時に

な」というキョーレツな繰り返しを持つ「フーズ・メイキング・ラヴ」、ザ・ブルーズ・ブラザ

ーズでした。不倫の日常茶飯事感が良く表現されています。オリヂナルはジョニー・

テイラー、この人はこういう主題が得意です。

さて次も「シン〜罪」の大傑作、「ザ・ダーク・エンド・オヴ・ザ・ストリート」、

作者自身の唄でどうぞ。ヲレス・ダニエル・ペニントンです。

 

06.ダーク・エンド・オヴ・ザ・ストリート(2’52”)ダン・ペン

-C.Moman, D.Penn-  ワーナー WPCR-33

 

  1. アイヴ・ガット・ドリームズ・トゥ・リメンバー(3’17”)オーティス・レディング

-Z.&O.Redding-  ワーナー WPCR-27559

 

N  ダン・ペンが自分の書いた歌を自ら唄って仕上げた、味わいのあるアルバム『ド

ゥ・ライト・マン』から「ザ・ダーク・エンド・オヴ・ザ・ストリート」でした。これには背

徳感が重くのしかかっていますね。薄暗い場所でしか逢えないふたり、もし

昼日中に偶然出会っても知らぬ振りをしていよう、と確かめ合う袋小路の恋。

これをダン・ペンが書いたのは25歳より前ですから、それ以前に相当数の実例

を目の当たりしていたのでしょうか。

ギターの分散和音で引っ掛けて続けたのはオーティス・レディングの「数々の忘れ得

ぬ夢」、これはここまで聞いてきた歌とは違いまして、不義密通を繰り返す不

実な恋人に泣かされる歌です。こういうのは日常茶飯事ものに較べると、若

干の救いがあります。

その昔、大昔、男性化粧品のラジオ・コマーシャルで

「ジューク・ボックスから聞こえて来るのはオーティス・レディングの『アイヴ・ガット・ドリ

ームズ・トゥ・リメンバー』、古いけれど、いい歌だ」

という行りがありまして、その時の印象は今も頭に残っています。確かに

「古いけれど、いい歌」です。

咽頭癌を患って、もう力強い声が出せないオーティスが泣きじゃくるように回す

節が、何と言ったらいいんでしょうか、堪りません。スウィート・インスピレイションズが

盛り上げてくるバック・グラウンド・ヴォーカル・ハーモニーも素晴らしい。

オーティス・レディングに関しては、この夏に最終録音セッションをまとめた編集盤が出

るというヌウズを聞きました。間違いのないように精査検証してお伝え致しま

しょう。

さて、「不義密通を繰り返す不実な恋人に泣かされる歌」に決定打はまだま

だあります。その代表格が「モーモクになってしまいたい」ですね。ロド・ステュアート

のカヴァで一般的に知られるようにました。オリヂナルはエタ・ジェイムズ。この歌はか

なり作為的な背景を持つようですが、「アイヴ・ガッタ・ドリーム・トゥ・リメンバー」と

同じようにとても純真な愛情が感じられます。今朝はシル・ジョンスンの娘のシリーナ

が新譜『ソウル再深呼吸』に入れていた仕様でどうぞ。

 

08.I’d Rather Go Blind(4’31”)Syleena Johnson

-E.Jordan, B.Foster,-  Shanachie 5840

 

09.Woman To Woman(3’54”)Shirley Brown

-J.Banks, E.Martin, H.Thigpen-  ビクター VDP-1110

 

N  シリーナ・ジョンスンで「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」、そして入り組んだ恋愛関係

を情緒に流れる事なく、どちらかと言えば冷静に表現した「ヲーマン・トゥ・ヲーマン」、

シャーリー・ブラウンの名唱でお聞き頂きました。

さて先々週はわたしがこれを唄ったバーブラ・マンドリルに関して、少々勘違い

をしていまして、更にはタミー・ウィネットとの混同が加わり、そこにまたいくつか

の誤った解説があったようです。「初めまして、バーブラね。わたしはシャーリー」

と語りかける「ヲーマン・トゥ・ヲーマン」はシャーリー・ブラウンがオリヂナル。74年のR&Bチャー

トでは、第1位になっています。これをきっかけに、R&B界では女性による

不倫異性交遊の歌が流行りまして、大口女ミリー・ジャクスンや、先のデニース・ラサール

もそれに倣ったようです。それを4年後にバーブラ・マンドリルがカヴァしてカントリーの

世界で再びヒットさせたのでした。その後、彼女は、今朝お届けしたルーサー・イング

ラムの「イフ・ラヴィング・ユー・イズ・ロング、アイ・ドント・ヲナ・ビ・ライト」やデニース・ラサー

ルの「マリッド、バット・ノット・トゥ・イーチ・アザー」を唄いまして、「不倫異性交遊専門

歌手」になったようです。日本だけでなく、アメリカでもこういうレッテル付け

商法はあるんですね。

それにしても「ヲーマン・トゥ・ヲーマン」は鮮やかです。歌の中では奥さんが一方

的に夫の愛人に対し「分かってくれるわね」と喋っていて、解決はしていま

せんが、発表された74年当時には南部を中心に多くの人々の共感を得たので

しょう。

もう誰も口にしませんが、「マン・トゥ・マン」というのは古いサッカーの戦術で、

敵側のひとりひとりに味方ひとりひとりが付いて、徹底的にマークするやり方で

した。「マンツーマン・デフェンス」です。バスケット・ボールでもありましたね。女子の場合

は「ヲーマン・トゥ・ヲーマン」と呼んだのでしょうか。シャーリー・ブラウン、上手だったり

してね。

さて今回の当事者、もう一人の白人カントリー女性歌手タミー・ウィネットは初めて百万

枚のLPを売った女性カントリー歌手だそうで、立派な大物です。それがわたしの

頭の中では何故かバーブラ・マンドリルと一緒になってしまって、その挙句「ヲーマン・

トゥ・ヲーマン」という題名の歌が入ったアルバムを取り寄せて聞いてみたら、全くの

別物だったのです。

 

10.Woman To Woman(3’00”)Tammy Wynette

-B.Sherrill-  Morello MRLL 74

 

N  タミー・ウィネットの「ヲーマン・トゥ・ヲーマン」、お聞きの通り別の歌です。これは交際、

あるいは婚姻関係が深刻な状態に陥っている女性への女友達からのアドヴァイス、

助言でしょうか。「女から女、わたしからあなたへ」という繰り返しが肝です。

こういう重たい主題が多いです、カントリー音楽の世界は。気楽に「サイコー」、「アイトヘ

ーワ」、「シャーワセ」なんて言ってるだけじゃないんですね。

タミー・ウィネットに興味を持ったのは、題名が定かでありませんがやたらと人が

死ぬフランス映画で使われていた「スタンド・バイ・ヨー・マン」を聞きたかったからで

して、すぐに手に入れたタミーのベスト盤には、他にこんな歌が入っていました。

これもタミーとバーブラ、わたしが陥った両者混同の原因になったのかも知れませ

ん。

 

11.D-I-V-O-R-C-E(2’55”)Tammy Wynette

-B.Braddock, C.Putman-Epic Legacy EK 69437

 

N  ナット・キング・コールには「L-O-V-E」という素敵な歌がありました。タミーは「離

婚〜D-I-V-O-R-C-E」です。これで綴りはもう頭に入った。ここで彼女が唄っ

ているのは別離の哀しみです。両親の不和によって運命を引き裂かれる4歳

の子供を憂い、その将来を案じます。ごく普通の母親の心境です。彼女はこ

のような一般的な母親を演じる事が多かったようで、次の歌でも亭主と別れ

て家を出て行く前に「子供たちのために」と唄っています。

「フォー・ザ・キッズ」。

 

12.For The Kids(3’13”)Tammy Wynette

-S.Silverstein-  Morello MRLL 74

 

N   早く新しい奥さんを見つけてね、子供たちのために

その人がよくしてくれる事を祈るわ、子供たちのために

 

だそうであります。子供の事を考えれば、当然の心理とも言えます。ただ

し、芸術芸能の世界で子供と愛玩動物を出すのは狡い、という考え方があり

ます。誰も否定できない存在だから、ケチが付けられないからです。わたしも

賛同しますね。ですからあまり子供を出汁に使うのは如何なものでしょうか。

一方タミー・ウィネット、男に対してはどうでしょう。その思想は最大のヒット曲「スタ

ンド・バイ・ヨー・マン」に唄われています。

 

13.Stand By Your Man(2’40”)Tammy Wynette

-B.Sherill, T. Wynette –  Epic Legacy EK 69437

 

N   彼が勝手な事をしていても

愛してるなら、誇りに思ってるんなら

いつも傍にいてあげて

暖かく迎えてあげるのよ

冷たく淋しい夜には

 

これまた大変結構な心がけであります。1968年の歌ですから、世の中では

そろそろヲーマン・リブが動き出していた時代です。南西部の保守的な考えの表れ

なのでしょうか。70年にはR&Bでキャンディ・ステイトンがヒットさせていますから、

人種を問わずまだまだ男性優位社会だったようですね。こんな事を思い浮か

べていると、「歌は世に連れ」という格言は正しいと言えるでしょう。ただ、

「世は『決して』歌に連れ」ません。ここのところをお忘れなく。

訂正と共にお届けしたタミー・ウィネット集、近々バーブラ・マンドレルの南部不純異

性交遊歌も一緒に聞いてみましょう。

 

14.Sunday Morning Coming Down(3’46”)Johnny Cash

-K. Kristofferson- MCPS NOT3CD007

 

N  カントリーが続きます。先週もお届けした南部の貧困白人のパンク・ロッカー、アウトロウ・

カントリー界の雄、ジョニー・キャッシュがライヴで唄う「サンデイ・モーニング・カミング・ダウン」で

す。パンク・ロックのジョニー・キャッシュことジェシー・モーリスではありません、本物です。

類似穴さんの投稿にあったジョニー・キャッシュ伝記映画「ヲーク・ザ・ライン」はだい

ぶ前に旅先のホテルのケイブル・テレビで観ました。結構面白くてね。チェックアウトに遅れ

てしまいました。この映画ではキャッシュの録音を使わずに主演の役者ホアキン・フェニク

スが全部を歌ったらしい。どこも不足ない出来でした。実演で演奏が始まって

「押忍、ジョニー・キャッシュだ」と一言かけるところなんかカッコ良かったですよ。

今朝のジョニー・キャッシュもう1曲は、本人のヴァージョンでお送りします。

「俺はジョーシキ的に生きて行く」。

 

15.I Walk The Line(2’45”)Johnny Cash

-J.Cash-  MCPS NOT3CD007

 

N  「アイ・ヲーク・ザ・ライン」、ジョニー・キャッシュでした。彼はこのスタイルで最後まで通し

ました。もちろん作品を重ねるに連れて、聞く側を飽きさせないためにいろ

いろなお化粧が施され、目先は多少変わっていましたが、基本はずっとこの

形でした。本人の爪弾くギターの音がずっと同じなのには驚かされます。「昔

から俺は確かな音しか出してない」と言っているようでもあります。そうい

うところはブルーズ・ミュージシャンよりも頑固だったんでしょうか。いや、ジョニー・

キャッシュもひとりのブルーズ・マンだったのです。

さて、先ほどの「サンデイ・モーニング・カミング・ダウン」、作者クリス・クリストファスンの

原曲を聞きましょう。だいぶ印象が違います。クリストファスンの人格が反映してい

るのでしょうか、かなり優しい仕上げで、唄が描き出す画にも違いがありま

すね。正直に言うと、今わたしが一番好きなのは、ユーチューブで観られるパンク・

ロック・ジョニー・キャッシュ、ジェシー・モーリスの唄った「サンデイ・モーニング・カミング・ダウン」

なのです。

ではクリス・クリストファスンでどうぞ、「サンデイ・モーニング・カミング・ダウン」。

 

16.Sunday Morning Coming Down(4’32”)Kris Kristofferson

-K. Kristofferson- Columbia C2K 64992

 

17.Teach Me Tonight(2’58”)Brenda Lee

-Chan, Depaul- Not Now Music NOT3CD240

 

N  先週のフィービ・スノウはごく種数の方にですが、気に入って貰えたようで嬉しか

った。ありがとう。そこで沢口靖子似のブレンダ・リーの「今夜教えて」でした。

とても大時代な造りですが、決して陳腐ではない。ブレンダの一生懸命な歌い

方が、余計に歌の主題を浮き彫りにしています。このヴァージョンも大好きだな。

さて次は「御中」南佳孝です。今週の昼にテレビの「徹子の部屋」に南佳孝

本人が出て来ましてね、実に自然に語っていました。半ほどで持って来たギタ

ーを弾いて唄ってくれました。「御中」です。ブルーズ的に崩してたのが、また

感動的だった。この日一緒に出て来たもう一人の「音楽家」が全く無内容な

過去の歌を安易になぞったのとは雲泥の差でした。カッコ良かったよ。

今朝は「シャノアール〜黒猫」です。あ、前回の中央エフエムの生放送の時に、可搬

用ファイルを送ってくれた黒猫さん、あれは素晴らしい事務用品ですね。打ち合

わせなどの外出時に、いつも持ち歩いています。キングジムの5894H番、非常

に使い易い。スグレモノと呼ぶのでしょうか。どうもありがとうございます。

ではお返しです、「御礼」。

 

18.Chat Noir(黒猫)(4’25”)南佳孝   

-Y.Minami-  ソニー SRCL 2059

 

19.No More Silence(5’10”)

ゴースト・ノート feat. Kamasi Washington & Prudence The Auset Sneed

-unknown-  BSMF  5050

 

TM Born In Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

 

N  「ニーナ・シモンが大好きな女だった・・・」、ここんとこいいですね、「黒猫」。

南佳孝でした。これ詞曲とも本人です。お相手は、ひょっとして・・・。

最後の1曲は、ゴースト・ノートで「ノーモー・サイレンス」。これには「幻」で赤丸付き

評価急上昇中のカマシ・ヲッシントンが参加している事になっていますが、サクスフォーンの

音は聞こえて来ませんね。何演ってんだろ。後ろで騒いでいるその他大勢の

一人かな。

さあ皆さんも、「ノーモー・サイレンス」です。何事に対しても黙ってちゃダメです。

一昨日、音楽雑誌エリスの最新23号が公開になりました。わたしは全く不慣

れな「フォーク」について書いています。お読み下さい。日比野音も忘れずにね。

ウェブサイトのアドレスはhttp://erismedia.jp/、無料です。

「足のサイズを教えて欲しい」というち冷えさん、わたしの足は「2本」です。

これでよろしいですか、間違いは黙っていて下さいね。

特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/1a809479fd84521a2f8a62d756de0f480acdf849

   ダウンロードパスワードは、dhx6e4utです。

写真には影が入り込んでいますね。ゲージツだ、バクハツだ。

今朝もちょうど時間となりました。

こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

 

【幻】モーニン・ブルーズ 2018/06/02

mb180602

 

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

 

N  おはようございます。アサー、ワツシイサヲです。

先週、忘れかけていた唄声に再会しました。瞬時に世界が蘇りまして、と

ても嬉しかったですね。翌日直ぐに盤を探して、残部希少のベストを手に入れ

ました。聞いていたら、当初の目当てとは違う「この歌」が出て来ました。

 

M01.ドント・レット・ミー・ダウン(5’40”)フィービ・スノウ

-J.Lennon, P.McCartney-ソニー SICP 8005

 

N  フィービ・スノウで「ドント・レット・ミー・ダウン」でした。1976年の『雪模様』という

C調な邦題の付けられたLPからです。42年前になりますね、この録音は。

でも全然古臭くないでしょ。その昔NHK-fmの午後の「軽音楽をあなたに」

って言ったかな、没個性的な原稿をアナウンサが棒読みするというナンセンスな番組が

ありまして、全く面白くないのですが、話題の新譜がほぼ全曲紹介され流の

で、それを目的に聞いている人がほとんどだった筈です。事前に曲目、順番、

時間までが発表されるという、歪んだこの国のFMラジオ方式の骨頂ですね。

わたしのような貧乏人たちは当然カセット・テイプへ録音する目的で、ポウズ・ボタン

に指をかけてずっと待機状態のまま聞いていました。

この時の『雪模様』はうまく録音出来まして、何度も聞いた覚えがありま

す。これだけ時間を経て聞き直すと、あの頃には全く気付かなかった音が鳴

っていたのが分かるんです。今の「ドント・レット・ミー・ダウン」の後半にスティール・

パンが入ってたなんて全く記憶になかった。楽器の名前すら知らなかったんじ

ゃないかな。唄そのものも、なんと豊かな表情でしょう。これも感じていな

かったなあ、子供の頃は。

実はこの盤との再会のきっかけは、次の歌だったのです。

 

M02.ティーチ・ミー・トゥナイト(4’31”)フィービ・スノウ

-Chan, Depaul-  ソニー SICP 8005

 

N  「ティーチ・ミー・トゥナイト」です。ひょっとしたら当時のLPには「今夜教えて」

という邦題がついていたかも知れません。今回手に入れたベスト盤では英語読

みのままのカタカナ曲名でした。

 

   わたしが恋の経験豊富だって言ったけど

   そんな事はないの、勘違いしないでよ

   ABCからXYZまで恋の謎を今夜教えてね

 

わたしの大好きな歌でして、ここしばらくは沢口靖子似のブレンダ・リーのを

聞いてましたが、先日夜更けのバーのカウンターで突然流れたフィービ・スノウにはやら

れました。モロにノックアウトでした。

「この酔いしれる感覚を何と表現したらいいのだろうか。ヴォーカルもバックの

音も完璧で、どんな言葉をもってしても物足りないほどだ」と解説にありま

す。制作がデイヴィド・ルービンスンですから間違いはありません。この文章を書い

たのは滝上よう子。この人は西新宿の放送局のレコード室にいまして、わたしは

「返却が遅い」と始終追っかけられていました。そう言えば、フィービを「ポエト

リー・マン」の頃から好きだったね、よう子さん。

いつかお話しした雑誌の音楽家自前オーディオ特集で、フィービが見せてくれたの

は、何と小型トランジスタ・ラジオ1台。本人のコメントに「ここヌー・ヨークでは数え切れ

ない程のラジオ局があるから、これだけで好きな音楽を聞けるの。わたしのスーパ

ー・オーディオよ」とかありまして、何とも羨ましかったですね。その他やはりヌー・

ヨークのライヴ・スポット、ミケールズかスモール・パラダイスかでゴードン・エドワーズのスタッフが演

奏しているスナップに、フィービがお客さんで写っていた事がありました。これも

「凄いや」と感心したものです。

皆さんも「ティーチ・ミー・トゥナイト」にはノックアウトされて貰いたい。わたし自身に、

「ドント・レット・ミー・ダウン」の印象が強く残っていたのですが、この歌の事をす

っかり忘れていました。思い出せて嬉しかったですよ、本当に。

 

M03.Teach Me Tonight(2’46”)Dina Washington

-Chan, Depaul-  Golden Stars GSS 5287

 

N  正に決定的なダイナ・ヲッシントンの「ティーチ・ミー・トゥナイト」でした。こちらも素晴ら

しい。しかし、フィービが満を持して歌っている感じがするのに対して、ダイナの

方を聞いていると、一人でのこのことスタジオにやって来て、「ああ、ちゃんと

黒人演奏家も雇ってんのね、上等じゃない」なんて言いながら、「今日はこれ

ね、2回しか唄わないわよ、いいわね」とあっという間に仕上げて、「はい頂

戴100ドル、約束でしょ」なんて帰っていく姿が見えて来ました。多分実際に

そうだったんじゃないかな、ダイナの吹き込みは。

さて、歴史的女傑から変わって、現代的なロック的な女性ふたりの唄を紹介し

ておきましょう。共にコマーシャルな世界で売り出されているメイジャーな存在ではあ

りませんが、なかなか面白いですよ。

まずはルビー・ヴェラで「壊れた女」。

 

M04.Broken Woman(3’20”)ルビー・ヴェラ & ザ・ソウルフォニックス

-unknown-  BSMF REDN-0003

 

N  部分的にエイミー・ワインハウスを感じさせるルビー・ヴェラの「ブロークン・ヲーマン」でした。

彼女はザ・ソウルフォニクスという専属の演奏家集団を持っていまして、この「ブロー

クン・ヲーマン」を含む新しいアルバムも、彼らと一緒に制作しています。かなり往年

のソウル・ミュージック的な試みが随所に見られまして、多分その辺りの響きを目指

しているんでしょう。難しいぞ、こういうのを再現するのは。

次はカリフォーニャ生まれのニッキ・ブルーム。着ている物のせいでしょうか、どこかし

ら70年代のロック・クイーンのような雰囲気が漂います。大女でね、音楽も「ロック」

だなあ。ただ唄は、よく聴くと可愛らしいですよ。

「シングズ・アイヴ・ダーン」。

 

M05.Things I’ve Done(3’21”)ニッキー・ブルーム

-unknown-  BSMF 6144

 

M06.Tumbling Dice(3’48”)The Rolling Stones

-M.Jagger, K.Richards-  Virgin 7243-83950-24-

 

N  ニッキ・ブルームで「やっちまった事」でした。続けたのは冒頭のリズム・ギターから

連想したザ・ローリング・ストーンズの「ダイスをころがせ」でした。これはヴァージンか

らのCD盤ですが、ミクスし直されてるのかな、特にドラムズの音が違って聞こえ

ます。永遠の名曲名唱名演ですね。傑作2枚組LP『メインストリートのならず者』か

らでした。

これは1972年夏のヒット曲。これが発売になった時、今のリズム・パタンを聞い

て「ニヤリ」と笑った人がいました。

この人です、マーク・ボラン。Tレックスで「ゲット・イト・オン」。

 

M07.Get It On(4’29”)T.Rex

-M.Bolan- Universal 493 488-2

 

M08.もう話したくない(4’47”)ロッド・スチュワート

-Whitten-  ワーナー  WPCR-75098

 

N  Tレックスで「ゲット・イト・オン」でした。このリズムは今でも十分に乗れますね。

これをもう少しゆっくりにすると、「ダイスをころがせ」のビートと同じ、にはな

りませんが、よく似た感じです。アクセントの場所が近い、というかこの頃の進ん

だ流行リズム感覚だったのでしょうか。

今ユニヴァーサルから出ているベスト盤からです。記載はありませんが、このジャ

ケット写真は、鋤田正義の写真ですね。72年当時「ニュー・ミュージック・マガジーン」

の特写でした。

その次は先週の「ダヤシンク・アイム・セクシー」から引っ張られてるのかな。妙に聞

きたくなったロド・ステュアートの「もう話したくない」。この時のロドは本当にいい

ですね。このアルバム『アトランティック・クロシング』はLP時代にA面が「ファスト・サイド」

B面が「スロウ・サイド」と銘打たれていまして、それぞれの面に早いテムポーの曲、

ゆっくりな曲がまとめられていました。CD盤では曲目表示だけですが、「ファ

スト・ハーフ」、「スロウ・ハーフ」と括られています。なるほどね。

75年に出た時ローリング・ストーン誌に「スロウ・サイドでロドは村一番の内気男を演じ

ている」というようなレコード評が載り、それを本人がとても喜んでいたエピソード

がありました。いい話です。ただしその後すぐ商業的成功に満心してしまい

ました。某イギリス人が「真面目に歌を唄わなくなった」と評したくらいです。

全く事実ですが、とても残念だなあ。

さて先週末ここの大家さん、澤田修に会って久しぶりにゆっくりと話しま

した。その日は早朝に国際電話インタヴュウが会ったそうで、それについて興奮冷

めやらずといった感じで語っていました。何でも「アウトロウ・カントリー音楽」を、「南

部の貧困白人のパンク・ロックだ」と表現したのを相手にエラく気に入ってもらえた

そうです。良かったじゃないか、オサム。

それを思い出していたら連想で、「幻」で以前お届けしたある楽曲が浮かん

で来ました。

まずは聞いていただきましょう、この歌です。覚えてるかな。

 

M09.Punk Rock Johnny Cash(4’23”)カレン・ラブリー

-unknown-  BSMF 2565

 

N  「カレン・ラブリーで『パンク・ロック・ジョニー・キャッシュ』、如何でしたか。この歌の背景

を只今調査中。ご存知の事象ありましたら教えて下さい。充分に精査してお

伝えしたいところです」

昨年の7月29日付「幻」モーニン・ブルーズからの引用です。「充分に精査」は

そのままになっていまして、歌の背景追求は放置されていました。この題名

には「パンク・ロック」とカントリー音楽界の権化「ジョニー・キャッシュ」が併存しています。

先の「アウトロウ・カントリー即ち南部の貧困白人のパンク・ロック」説で再び思い出したの

で、今回は少し調べてみました。

ここで唄われている「パンク・ロック・ジョニー・キャッシュ」とは、ジェシー・モーリスとい

う白人の音楽家です。彼はサンフランシスコでバーテンをしながら、地下鉄の駅などで路

上演奏活動をしていました。ジーパン、革ジャン、刺青、短髪というパンクロックの出

で立ちで、生ギターを爪弾いて唄うのがジョニー・キャッシュの「サンデイ・モーニング・カミン・

ダウン」。クリス・クリストファスンの書いた、朝食にビールというかなりイカれた男が失った

過去を悔やむ穏やかな歌です。映像で観たジェシー・モーリスは、決して怒鳴ったり

叫んだりせずに歌うのですが、不釣り合い感が付きまといます。その姿から「パンク・ロック・ジョニー・キャッシュ」と呼ばれるようになったらしく、カレン・ラブリーのこ

の歌はこの男を主人公にしていたのです。

 

   初めて見た時あんたはあそこに立ってた

   オレンジ色の髪のパンク・ロック・ジョニー・キャッシュよ

   道ゆく人から小銭を恵んで貰いながら

   「サンデイ・モーニング・カミン・ダウン」を唄うのよ

 

商業的な成功は何ひとつも得られなかっだェシー・モーリスは、サンフランシスコでは有

名人で、亡くなった時には町中の新聞に訃報が載ったそうです。

一方白人保守派の象徴のようだったジョニー・キャッシュ自身も相当なはみ出し者

で、カントリー音楽界で重要な地位を築きながらも、ナッシュヴィルで造られる明るく楽

しい健全なカントリーとは明らかに違う音楽を求めていました。まずはあの不遜な

態度が人気稼業的じゃありません。ボブ・ディランには早くから注目していまし

たし、B.B.キングより早く刑務所での慰問音楽会実況録音盤を出しているのも

その表れでしょう。刑務所、好きだったみたいですよ。

では一曲どうぞ。「お尋ね者」。

 

M10.Wanted Man(3’25”)Johnny Cash

-B.Dylan-  Columbia / Legacy CK 66017

 

N  「お尋ね者」ジョニー・キャッシュ。多くの凶悪犯が服役するサンクゥェンテイン刑務所で行

われた慰問音楽会の実況録音です。このパンク精神は見上げたものです。偉い

ですね。ちなみに歌の作者はボブ・ディランでした。沢山の名曲を残したハンク・

ウイリアムズとも重なるジョニー・キャッシュの心根。わたし自身はかねてより全てのゲージ

ツはパンクであるというシソーで生きていますけれど、合格ですね。授業料免除だ。

ジョニー・キャッシュのような存在は決して珍しくなく、通常の幸せ、成功から外

れた南部の白人たちにどうしようもなく付きまとっている音楽がアウトロウ・カントリ

ーですから「南部貧困白人パンク・ロック」説はあながち間違いではないですね。

そんな外れ者4人が集まって1985年から10年間組んだのが、ザ・ハイウェイ・

メン。クリス・クリストファスン、ウイリー・ネルスン、ワイロン・ジェニングズ、そしてジョニー・キャッシュ。

ダグ・サームたちのテキサス・トーネイドーズは彼らをヒントにしたのかな、とも思えます。

ではこの4人が順々に唄い継いでゆく「ビグ・リヴァ」、こちらも実況録音で

どうぞ。

 

M11.Big River(3’25”)Highwaymen

-J.R.Cash-  Columbia / Legacy 88985306692

 

M12.Chinky Pin Hill(3’26”)I’m With Her

-J.Cash, I’m With Her-  Columbia / Legacy 88985306692

 

N  ザ・ハイウェイ・メンで「ビグ・リヴァ」。1990年ナッソーでの実況録音とありますが、

バハマの首都の事でしょうか。彼の地でこんな暑苦しい音楽が受けるのかなあ。

それに続けたのはアイム・ウィズ・ハーで「チンキ・ピン・ヒル」、ジョニー・キャッシュが残し

た言葉に様々な音楽家たちが旋律を付けて作り上げたアルバム『フォエヴァ・ワーズ』

からお届けしました。

さてほぼ1年かかった「パンク・ロック・ジョニー・キャッシュ」の解明、これで説明つ

いたかな。

次は築地のセリ場に並んでいるマグロのカマからの発想でリクエストを頂いた、カマシ・

ヲッシントンです。アルバム『ハーモニー・オヴ・ディファレンス~格差の調和』は、この言葉でま

とめられた、コンセプト・アルバムで、六つのトラックが微妙に繋がっている点もその現

れでしょう。現代の常識として参加演奏家の技量は非常に高く、全編に亘っ

て鋭い音色が行き交います。当初は難解な印象を持ちましたが、普通に聞く

事も充分に可能で、この手のものにありがちな独り善がりな前衛性は感じら

れません。過剰な重量感もなく、個々のフレイズには親しみ易ささえ漂います。

今朝は冒頭曲「煩悩」をお聞きください。

 

M13.Desire(4’35”)カマシ・ワシントン     

-K.washington-   Beat Records YTCD171

 

M14.Swagism(4’02”)ゴースト・ノーツ

-unknown- BSMF 5050

 

N  カマシ・ワシントンの最新作『ハーモニー・オヴ・ディファレンス』から「ディザイア」でした。充

分に鍛錬を積んだ演奏技術は、こういう表現を可能にするんでしょう。

続けて飛び込んできたやや過激な演奏はドラムズ担当のロバート・シーライト、パカッシ

ョンのネイト・ワースのふたり組、ゴースト・ノウトの新作からです。量感たっぷりな2枚

組というで、若手ジャズ客演者が大挙して最先端の音を競っています。ただ、

妙に響きが懐かしい。70年代初頭の変わって行くジャズのようにも聞こえるん

です。先のカマシ・ワシントンも参加しています。また改めてお届けしますが、今朝

はまずリズム解釈が面白いアルバム表題曲「スワギズム」を聞いていただきました。

最後の電話会話もトラックの一部です。

 

 

M15.テン(5’04”)マッドハウス

-Madhouse-  ワーナー 32XD-869

 

N  ゴースト・ノウトの「スワギズム」を聞いていて連想したのが、プリンスの制作したジャ

ズ的未確認演奏家集団、マドハウスです。彼らは1986年に登場ですから、もう

32年も前なんですが、カマシ・ワシントンらの現代若手ジャズを聞いていると、わたし

の中で、妙にマドハウスと繋がります。今回のゴースト・ノウトも、モロにそうでした。

今の「テン」と「スワギズム」は、4つと16のビート解釈がほぼ同じにように聞こ

えますし、トラックの合間に短い会話を挟む構成手法も、似ています。

さてこの辺りはゴースト・ノウトの2枚組新作をもう少し聴き込んで見てから、

またお話ししましょう。

 

M16.Mama Don’t Like No Wah Wah(3’56”)マイク・ジト

-M.Zito, B.Arrison- BSMF 2607

 

M17.Do You Wanna Dance(2’35”)Bobby Freeman

-R.T.Freeman-  Fremeaux & Associes  FA 5415

 

N  「ママ・ドント・ライク・ノー・ワー・ワー」、マイク・ジトでした。最新アルバム『特級人生』

からです。今のはバナード・アリスンとの共作。なかなか同時代的なファンキー・ブルーズ

ですね。今回のアルバムには、地味ですが力の入った作品がいくつかあります。

またお聞きいただく事にいたしましょう。

その次はボビー・フリーマンの「踊ろよベイビー」。わたしはビーチ・ボーイズのカヴァで

この曲を知りました。その後数十年を経て出会ったベット・ミドラーのスロウ仕様に

は感動しましたね。

この何でもないダンス曲、実は3枚組『ザ・ルーツ・オヴ・パンク・ロック・ミュージック

1926-1962』に収録されている1曲なんです。時間をかけて読解中の難物であ

るこのコムピ盤の意図は、未だに釈然としません。この「踊ろよベイビー」も、

なぜこれがパンクなんだろうと、疑問のままです。まあ、人生に謎はあった方

がいいかもしれません。ゆっくりと解いて行きましょうか。

さて西城秀樹、彼に「ブルースカイブルー」という代表曲があったのは、ヴェンテンさ

んの投稿を読むまで知りませんでした。すぐ図書館で探しましたが借り出さ

れていて未だ聞けず。戻ってきたらお届けします。その代りに今朝は先週も

登場したジム・クェスキンでどうぞ「ブルー・スカイズ」。

 

M18.Blue Skies(3’42”)Jim Kweskin

-I.Verlin-  Blix Street  G2-10091

 

M19.Satori Part I(5’30”)フラワー・トラヴェリン・バンド

-Flower Travelin’ Band- ワーナー WPC6-8425

 

TM Born In Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

 

N  今朝の最後は、フラワー・トラヴェリン・バンドで「サトリ パート・ワン」でした。先週の

日曜日昼ごろ、家への帰り道で突然「サトリ パート・トゥ」が聞こえてきましてね。

通り沿いのアパートの2階からです。かなり大きな音で聞こえてきたので、嬉し

くなりまして、その場でずっと聞いていました。ようやく終わったらすぐに

英語の曲目紹介的な語りが入りましたから、「あ、ラジオだ」と分かりました。

その日は天気が良かったから「サン・シャインズ・エヴェデイ」に引っ掛けたのか。悪

くないセンスじゃないの。それに対抗して、「幻」も1971年の日本のロックの極限

状態を象徴する1曲、プログレ、ハード、第三世界、そして絶叫の「サトリ パート・

ワン」でした。

さて「処分を重く受け止め」ながらも監督、コーチの「命令」を認めない教育

機関、日本大学。多分これで時間が経てば通り抜けられるつもりなんですね。

全くやり方がジミントーアベとおんなじだ。こういう事がまかり通る国では、国民

が噓をついたり、約束を守らなかったりするのが当たり前になるんです。あ

なたもすでに身近なところで実例に枚挙に遑がないでしょう。いいのかな、

民の範たる教育者、政治家、官僚がそういう事をして。

よく立ち上がったぞ、教職員。「報復の恐れ」なんて前提を公言する位、

腐っているんだね、当局は。いちばん大事な一般学生たちよ、お前たちはこ

のままで良いのか。集え、語れ、叫べ。

わたしにもかつてこんな事がありました。カドカワから出ていた「週刊ザ・テレ

ビジョン」に連載していたコラム「レイディオ・フラッシュ」1986年3月7日号からの引用

です。書いたのは今より32歳若いワツシイサヲでした。以下。

 

子供達に罪はない (1986/3/7)

数年前、わたしは民放FMで「ミュージック・ラボラトリー」という番組

の制作を担当していた。一所懸命やっていたのだが、ある時音楽を間違えて

流してしまった。更に悪い事には、それに気づかず居た。数日たって、聴取

者から葉書が来た。関西に住む中学校一年生だったと思う。彼は放送の誤り

を指摘した上で、こんな事を書いて来た。

「この間違いを誰にも喋らずに黙っておくから、LPレコードを送って欲し

い」アーティスト名、作品名も添えてあった。何の事はない、一種の恐喝で

はないか。わたしは啞然とした。「欲しい物が手に入らない辛さは解る」。け

れど、何故こんな発想が出来るのだろう。

当時は一連の田中角栄問題の他、戦後の物質金権主義一直線の結果として、

倫理の乱れが続けて露わになった頃だ。きっとこの少年も、そういった出来

事に日常茶飯事の如く接しているうちに、道を見失ってしまったのだ。

転じて昨今の「いじめ」である。これとて「数が多ければ」「有名ならば」

「力があれば」何をしても良い、という大人社会を支配する論理の反映だ。

ラジオも含めて、今のマスコミはこの考え方を増幅させて子供達に伝えてい

る部分が目立つ。しかも娯楽の中に巧みに隠して、である。言う迄もなくそ

の影響力は計り知れない程大きい。

冒頭にあげた「間違え事件」は、きちんと番組の中でお詫びと訂正をした。

担当者としてとても恥ずかしかったが、フェア・プレイを通した。これが当

然の道だったからだ。あの少年は、今どんな若者になっているだろう。

グリコ犯だったりしてえ…。

以上。

 

今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/acce738a5ecef4b4bac13e2c859497db1448a4e0

  ダウンロードパスワードは、0s09n2nxです。

今朝もちょうど時間となりました。あ、写真に『アトランティック・クロシング』入っ

ていませんね。曇り空だったから光らずに撮れたのに。足も写ってないし。

こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

【幻】モーニン・ブルーズ 2018/05/26

mb180526

 

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

 

N  おはようございます。アサー、ワツシイサヲです。さらば5月、早かったなあ。

わたしには1年間を通じて、このひと月が、非常に重要です。ひょっとし

て、生まれて1ヶ月後にはもう意識と記憶があったんじゃないか、と考える

位です。あ、それはないですね。そんな、三島由紀夫のような神童じゃない。

それでもいつも思い出すのは、17歳で過ごした1ヶ月間です。その頃、家の

庭に深い赤色の薔薇が咲き乱れていまして、ちょうど写真を始めた直後でも

あったため、格好の素材として何枚も撮ってね。その度にあの複雑な花の構

造に魅入ってました。美しく言えば、こんな想い出です。一方ではこの1ヶ

月の31日間に集中して大きな出来事が続いて、自分の人生が大きく決定づけ

られたような気もします。決して嫌じゃない想い出です。

さあもう6月だ、水無月です。つまらない事を言ってないで、音楽です。

デイヴ・アルヴィン&ジミー・デイル・ギルモアで「スティーリン」。

 

01.Stealin’, Stealin’(2’59”)デイヴ・アルヴィン&ジミー・デイル・ギルモア

-trd.-  BSMF 2610

 

N デイヴ・アルヴィン&ジミー・デイル・ギルモアで「スティーリン」でした。これは後期の憂歌

団がリパトゥワにしていましたね。実演の場でも、リード・シンガーを順々に回したり、

「スティーリン」「スティーリン」の掛け合いを利用して、お客さんを盛り上げていました。

日比谷の野音で聞いた印象が強く残っています。

デイヴ・アルヴィン&ジミー・デイル・ギルモアはカントリー、フォーク、ブルーズなどの音楽がご

っちゃになったアメリカ西海岸でその薫陶を受けた二人です。一緒に音楽するの

は初めてのようですが、波長がぴったり合っている感じ。今の「スティーリン」で

は、声の性格が違うので面白い掛け合いになっていましたね。アルバムを通して

聞いて、何度かウイリー・ネルスンとクリス・クリストファスンのデューオを連想しました。

さて「火の鳥」さんが 5月11日に投稿してくれた「あなた出番です」の

主題歌、嬉しかったなあ。このテレビ番組でわたしは多くの音楽情報を収集、

いや吸収だな、出来ました。ワイルド・ワンズと伊東ゆかりには、今も感謝感激雨

霰です。申し訳ないけれど、シャープ早川電機提供というのは全く記憶から飛ん

でいました。

毎週の放映を見ていたのが1967から68年。それから40年の時が経って、

突然この主題歌の原曲に出会ったのです。

 

02.Enjoy Yourself(4’46”)Jim Kweskin

-H.Magidson, C.Sigman-  Blix Street  G2-10091

 

N  「エンジョイ、ヨーセルフ」でした。全く同じ歌ですね。「あな番」主題歌がどうクレジ

ットされていたかは知りませんが、これは偶然の一致では決してありません。

聞いた時には驚いたなあ。興奮しながらすぐみんなに話したんだけど、「あな

番」を覚えている人がいなくて、毎度毎度の空回りでした。原曲は古く欧米

では知られていたようです。「スペシャルズが演ってたよ」と某英国人が言ってま

したが、彼が「あな番」を知るわけもなくて、ここでも空回りでした。

「銭勘定の事は心配しなくていいよ、お楽しみくださいな」、ボビー・ブランド

の名曲、「会員制」と同じく地域の共通感情に根ざした交流を促しています、

とそこまで言うのは大袈裟ですが、「安心して遊んでいきなさい」と言う暖か

な思いやりが感じられますね。

さて、来月早々に発行される音楽雑誌「エリス」では、モーニン・ブルーズでもかな

りしつこく採り上げたバーブラ・デインを発端として、「フォーク」音楽を自分なりに

ほんの少し掘り下げています。果たして南こうせつはどのような評価を受け

ているのか、それは現物をご覧いただくとしまして、今の「エンジョイ、ヨーセルフ」

を2007年に唄っていたのがジム・クウェスキン、東海岸のフォーク人種でした。これを

聞いてからわたしは「フォーク」と言う音楽を意識し始めました。そのいきさつ

も、6月7日発行の音楽雑誌「エリス」23号をご覧下さい。

そのジム・クウェスキンの「エンジョイ、ヨーセルフ」を表題としたアルバムは、こんな歌で

始まっていました。

あな〜たの 村から町から

03.Some Of These Days(4’32”)Jim Kweskin

-S.Brooks-  Blix Street  G2-10091

 

N  「サム・オヴ・ジーズ・デイズ」でした。これを数ヶ月前にある実演で聞きまし

て、ちょっと意外だったので直接本人に「誰の唄で知ったんだ」と尋ねまし

た。その場では明確な答えが得られなかったのですが、急に興味が湧きまし

た。調べたらこれも1910年に発表された古い歌で、たくさんのカヴァがありま

す。イギリスのR&Bバンド、ヴィネガー・ジョーで、ロバート・パーマーとリード・ヴォーカルを

分け合っていたエルキー・ブルクスの仕様はぜひ聞いて見たいですね。カヴァを調べて

いて「ああ、あいつはサッチモで知ったんだな」と合点が行きまして、とりあえ

ず落着。

で、その他はと見たら、こんなカヴァもありました。

 

04.Some Of These Days(4’32”)Bobby Darlin

-S.Brooks-  Goldies  GLD 25642

 

N  「今日この頃は」と言う邦題も付いていたらしい、ボビー・ダーリンの1960年

の吹き込みです。ボビー・ダーリンはアトランティックの極く初期にヒットを放ち、このレーベ

ルへの貢献度「大」なのですが、その後このレイベルが黒人音楽からハードロック専門

になってしまったので、社史の上ではあまり出て来ない人です。

ちょうど時代的にも商業大衆音楽の変革期でして、ボビーはそれに対応が出

来なかった感じです。3枚組で6枚のオリヂナルLPをまとめた箱物があります。

それを通して聞くと、退屈極まりない。但しこの時代の男性ポピュラー歌手は、

エルヴィス・プレズリとフランク・シナトラを例外として、たいていが新時代への指針を決

められず、消えて行ったのです。この3枚組は、当時だれもが目指していた

二流のフランク・シナトラみたいなのです。こう行った運命は先週のフランツ・フリーデルと

も重なっているような気がします。

一方でボビー・ダーリンは、当時から編曲や演奏にも気を使っていた人間で、

アーメット・アーティガンの伝記にも面白いエピソードで出て来てました。ライノが編集した

ベスト盤『ザ・ベスト・シングルズ・コレクション』(R2 78326)は、なんとかスタンダードの世

界を抜け出そうとしていたボビーの姿が浮き彫りにされるような選曲構成で、

聞いていて否定的な気持ちになる事はありません。

例えば、どこの誰だか知らないボビー・ダーリンだけれど、誰もがこれなら知

っている。

 

05.スプリッシュ・スプラッシュ(2’14”)ボビー・ダーリン

-J.Murray-  ワーナー 40P2-2401/2

 

06.マック・ザ・ナイフ(3’06”)ボビー・ダーリン

-Weill, Brecht, Blitzstein-  ワーナー 40P2-2401/2

 

N「スプリッシュ・スプラッシュ」そして「マック・ザ・ナイフ」でした。「マック・ザ・ナイフ」はそ

の後、エラ・フィッツジェラルドのベルリンとか、スティング『クルト・ワイル作品集』などで、ボビ

ー・ダーリンの影がやや薄くなってしまった感もありますが、これがオリヂナル・ヒット

です。

「’59年10月5日付から実に9週連続全米No.1ヒットとなった。今も忘れら

れない大ヒット曲である」と『アトランティック・レコーズ・ヒット・シングルズ』(ワーナー 40P2-2401/2)

で矢口清治が書いているから間違いありません。

さて先日の中央エフエム生放送、お聞き下しまして、ありがとうございます。

その後の投稿で、「ポークパイ」 さんから「おさらいすると記憶が飛んでるとこ

ろが多数ある」と頂きました。大丈夫、大丈夫。何より当事者わたしの記憶

が、たくさんすっ飛んでいます。

わたしの好きな言葉に「すべての芸術は、音楽の状態に憧れる」というの

があります。まだ録音という概念すらなかった時代の名言でしょう。行為が

成立した途端、それは跡形も無くなってしまうという表現ですから、終えて

から他人に「ここはどうの」「あそこはこうの」と付け込む余地を与えません。

詩歌文学や美術といった形を残す芸術と違いますね。尤もこういう後腐れが

ないので、全く無責任な輩が多く居るという弊害もありますが。

ラジオの生放送も「音楽」と同じです。何より同じ時間帯を共に過ごす事が

大事で、何かひとつを記憶に刷り込んで貰えれば十分です。決して均等に全

体を覚えている必要などありません。頭に心に飛び込んだ事だけを大切にし

ていてくれれば、わたしも大満足なのです。今朝の放送も同じだよ。

さてその生放送時に「聞き耳女ち冷えさん」からは、放送局にCDを送っ

て頂きました。

一枚は『リオの黒バラ』という、ブラジルの歌い手マリア・クレウーザの1979年発売

のLPをCDに起こしてくれた物です。そこから1曲、皆さんと一緒に聞きま

しょう。

「絶望」

 

07.絶望(4’12”)マリア・クレウーザ

-A.Carlos, Jocafi-  BMG  EGR-3002

 

N  マリア・クレウーザ、アルバム『リオの黒バラ』から「絶望」でした。「絶望」をこんな

風に唄えるのは素敵ですね。わたしはどうしてもポール・バターフィールドの「絶望

の人生」みたいにしかなりそうもありません。

さて「聞き耳女ち冷えさん」からは他にも頂きまして、次もその1枚。わ

たしが知らなかった トゥーツ・シールマンスとルイス・ヴァン・ダイクの実況録音盤。こちら

もLPで出ていたのをCDにして送ってくれました。これも素晴らしい。詩情

豊かなトゥーツのハーモニカ、ヴァン・ダイクのピアノが演奏会場に浮かび上がります。音も

良くてね。ピアノはその大きさが分かるような音で鳴っています。

「ち冷えさん」、ありがとうございます。どちらの盤も丁寧にコピーで造られ

た、ジャケット、解説書と一緒になってまして、わたしはそれを入れるためにケイス

を新調した位です。

ではトゥーツ・シールマンスとルイス・ヴァン・ダイクで「バイ・バイ、ブラックバード」。

 

08.バイ・バイ・ブラックバード(3’26”)トゥーツ & ルイス

-R.Henderson, M.Dixon-  28MJ 3221

 

09.アイム・セクシー(5’14”)デニス・ラサール

-R.Stewart, C.Appice-  ビクター VIM-6205

 

10.アイム・ソー・ホット(5’01”)デニス・ラサール

-D.LaSalle-  ユニバーサル UICY-78711

 

N  さて、ディスコー調で2曲お届けしました。いずれもデニース・ラサールです。先週四

半時間の三連メドリーを聞いて頂いたばかりです。どなたからも「シビれた」「LP

を探しに行った」などの反応はなかったのですけれど、「nrj45979 タクシードライバ

ー」さんからの「ありがとう!」はデニース・ラサールに寄せられたものと解釈いたし

ました。今年の始めに亡くなっていた事もありますので、ちょっと聞いてみ

ようと心を決めたその矢先、MCAの『アイム・ソウ・ホット』が廉価再発される事を

知りました。ミシシッピ、ジャクスンのマラコ・レコードにどっしりと腰を据えてしまう前

のMCA時代のデニース・ラサールを、わたしは結構好きです。先週の三連メドリーもこ

の頃の作品です。その中で、この『アイム・ソウ・ホット』はかなりの内容。今出て

いるベスト盤が主にマラコ・レコード以降の作品ばかりの現状もありまして、再発に

感謝し、予約購入いたしました。そこから表題曲「アイム・ソウ・ホット」でした。

レイベルが大手になった事もあって、この頃のデニースは「南部R&Bに不可能は

ない」とばかりに全国的、世界的ヒットを狙ってたようでもあります。その前に

お届けしたのは「ダヤ・シンク・アイム・セクシー」、ロッド・ステュアートの大ヒット曲です。この

好評でデニースは手応えを掴んでそれが自作「アイム・ソウ・ホット」に繋がったのでは

ないか、というのがわたしのヨミです。ただ日本国内の販売成績は「ダヤ・シンク・

アイム・セクシー」収録のLP『恋の罠』自体がパッとせずに、当時は発売がなかっ

たようです。わたしのLP『アイム・ソウ・ホット』は輸入盤でした。

今回のCD化は「サタデイナイト・フィーヴァ」公開40周年記念で「ディスコ・フォーエヴ

ァー40」シリーズのひとつとして世に出ました。オマケに「ダヤ・シンク・アイム・セクシー」も

入っています。あー、なるほどね。確かに「ディスコー」です。

自動演奏を使ったマイナー・キイの楽曲が目立ち、ディスコ調のアルバムと言えなくも

ないですけれど、ここまで続けていた南部R&Bの底力を見せつけてくれるよ

うな作品もちゃんと入っています。最終曲の「ファンクの守りあれ」なんてのは、

モロに熱いゴスペルですよ。

ではそんな南部R&Bを聞いて下さい、

「ユール・ネヴァ・ゲット・ヨー・フックス・イン・マイ・マン」。

 

  1. ユール・ネヴァ—・ゲット・ユア・フックス・イン・マイ・マン(5’27”)デニス・ラサール

-D.LaSalle-  ユニバーサル UICY-78711

 

N  「ユール・ネヴァ・ゲット・ヨー・フックス・イン・マイ・マン」でした。殆どが語りで、繰り返

されるコーラス部分の表題「ユール・ネヴァ—・ゲット・ユア・フックス・イン・マイ・マン」をキメのメロ

ディで唄う、カッコいい造りですね。こういうのはデニースにしか出来ない。

彼女のこれ以前、ウエストバウンド時代の作品は、イギリスの品質保証レイベル、エイスか

ら24曲入りベスト盤になって出ています。これも良いコムピですね。そこから、

先週の三連メドリーの軸になっていた出世作「恋という罠にはめられて」を聞い

て下さい。

デニース・ラサール、1971年です。

 

12.Trapped By A Thing Called Love(2’43”)Denise LaSalle

-D.LaSalle-  ACE  CDSEWD 152

 

N  いいですね、デニース・ラサール、「トラップド・バイ・ア・シング・コールト・ラーヴ」でした。

このベストCD盤『メイキング・ア・グッドシン・ベタ』、これは73年のシングル曲の題名

とも同じでありまして、「オリビアを聴きながら」にも歌い込まれているフレイズで

すが、杏里がデニースを聞いていたという事はないでしょうから、どっから持っ

て来たのかな。とにかく同じベスト盤からもうひとつ、いかにもデニス・ラサールら

しい歌です、どうぞ。

「マリッド、バット・ノット・トゥ・イーチ・アザー」。

 

13.Married, But Not To Each Other(3’41”)Denise LaSalle

-D.LaSalle, F.Miller-  ACE  CDSEWD 152

 

N  毎日夜遅く、何も無かったかのように家に帰る

言い訳を作ったり、嘘を言って取り繕う

そう、私たち結婚はしているのよ

それぞれ別の相手とね・・・

 

こんな内容かな。不倫楽曲専門家、バーブラ・マンドリルの作品です。アメリカ合衆

国の南部の黒人社会では、いわゆる不倫関係は別に珍しい話ではないそうで

す。スタックス・レコード盛衰記を読むと頻繁に出て来る話題ですね。その頂点が妻

が夫のポケットから出て来たメモを見て愛人に電話をかけてしまうというキョーフの

「ヲーマン・トゥ・ヲーマン」、これもバーブラ・マンドリルのカントリー曲ですから白人たちも同

じような事を繰り返しているのかも知れません。歌謡曲だってそんな歌ばか

りですからね。

このデニースの歌はキョーレツです。オリジナルを遥かに凌ぐ。多分にシャーリー・ブラウンの

「ヲーマン・トゥ・ヲーマン」を意識しているようです。若干グラディス・ナイトの「さよな

らは悲しい言葉」的でもありますが、彼女とは唄う主題が異なります。

いつも一緒にいるカップルに何気なく「あんたたち、結婚してんの」と尋ねた

ら「そうよ。でもそれぞれ別の相手とね」というお返事を頂いた、こんな経

験ありませんか。恐れ入りました。

デニース自身はどうかと言いますと、最終的にはジェイムズ・E・ヲーフという夫に

見守られて亡くなっています。彼はジャクスンのディスク・ジョッキーだった男で、マラコ 時

代にはアルバムのイクゼクティヴ・プロデューサーとしてクレジットされていましたから公私

共々良き伴侶だったようです。その前の事は詳しく知りません。

このMCA時代に彼女は赤坂のムゲンに1ヶ月出演した事があります。初日に

行って、一番前で観てました。カッコ良かったですよ、本当に。その時にまだ「ヒ

ップホップ」菌に犯されていない時代のラップが披露されまして、これにもブッ飛

びました。シュガーヒル・ギャングあたりは既に聞いていましたが、「生」でしょ。

しかもバックビートはファンキーな南部R&Bです。本当にカッコ良かった。

その時のラッパーが「ヲーフ・スティーヴンスン」という名前だったはずですが、前出

ジェイムズ・E・ヲーフと同一人物説を耳にした事があります。その他、デニース周

辺には、ヲルター・ヲーフマン・ヲシントンというのもウロついていたようで、わたしの頭の

中では誰が何者なのか釈然としていません。鍵となる名前は「ヲーフ」。

ともかく彼女は歴然とした男社会である南部音楽界で自立し、見事に自分

の思いを通してきた人間です。いつでもアルバムの企画制作は、デニース・ラサール自

身でしたからね。

そんな男の世界で生きて来た彼女らしい1曲をどうぞ。マラコで1997年に発

表した『スモーキン・イン・ベッド』からです。

「ブルーズ・パーティ・トゥナイト」。

 

14.Blues Party Tonight(5’58”)Denise LaSalle

-G.Jackson, R.Miller, E.Forest-  Malaco MCD7479

 

N  B.B.キングやリトゥル・ミルトン、ボビー・ブルー・ブランドが並んでいる豪華なブルーズ・

パーティ、デニース・ラサールでした。作ったのはジョージ・ジャクスンたちですが、こうい

う俗な世界で精一杯の努力を続けたデニースの姿が偲ばれます。

ブルーズの流れる悪所に入り浸りながら彼女は1999年にゴスペル・アルバムを発

表しています。彼女にとって、不倫もブルーズもジーザスへの祈りも結局は同一

線上にあって、全て生きる人間のする事だという認識の伝わってくる正しい

内容でした。特に唄は文句なしです。

 

15.Rest In Me(4’52”)Denise LaSalle

-P.Snell, L.Snell-  Angel In The Midst  AIM 0959

 

N  懐の深い唄、とても暖かい気分になります。この曲が収められているのは、

『ゴッズ・ガット・マイ・バック』という表題で、演奏陣は俗音楽でデニースと一緒に

演奏していた人間も重なっていますが、レイベルや供給ルートはゴスペル界に限られ

ていたものだったようです。こういうのが「ソウル / ダンス」なんて売り場でフツー

に買えるこの国は有難い。折り込みには「わたしを支えてくれた、素晴ら

しい夫でありますジェイムズ・E・ヲーフ牧師に感謝します」とも記されていて、

R&Bの持ち歌とは裏腹に夫婦関係は円満だった事を物語っています。

デニース・ラサールのゴスペルをもう1曲聞きましょう。今度は自作曲です。

「ヒズ・マイティ・ラーヴ」。

 

16.His Mighty Love(3’35”)Denise LaSalle

-D.LaSalle-  Angel In The Midst  AIM 0959

 

17.Radio Ad For “Trapped By A Thing Called Love” album(0’56”)

-Radio Spot CM-  ACE  CDSEWD 152

 

N  突然のデニース・ラサール集、最後はアルバム『恋という罠にはめられて』のラジオ用宣

伝スポットです。エイスのベスト盤に入っていましたが、2013年という表記がありま

すから、ひょっとしたら発売当時のものではなく、後で偽造された物かも知

れません。いかにも南部のAM局で流れていそうな感じですけど。

あ、アメリカン・フットボールの中継放送が混信して来ました。

 

18.He Could Go All The Way(0’09”)  

-se.-   Tommy Boy TBCD 1136

 

19.Nobody But Me(2’11”)The Human Beinz

Tommy Boy TBCD 1136

 

N  トミー・ボーイから出ている米スポーツ関連のコムピ盤、衛星 / ケイブル・テレビ局ESPN

監修のアルバム『ジャック・ロック』から、アメリカン・フットボール部門の「ノーバディ・バット・

ミー」でした。邦題は分かり易く「ノー、ノー、ノー」、ヒューマン・ベインズです。背景にず

っと鳴っているフィードバック音が斬新でしたね。ゴールデン・カップスの「本牧ブルーズ」

の編曲にも影響があったのではないか、と14歳のワツシイサヲ少年はソーゾー力を働

かせていました。

さてこの国のアメリカン・フットボール界は大揺れです。わたしが疑問に感じるのは、

18歳を超えて普通運転免許証だけに限らず、今や普通選挙権も持ち、最高

学府に通う人間が、何故あんな非条理な命令に従うのか、自分自身の判断力

は機能しないのか、という点です。「傷害行為を犯せ」と言われてるのですよ。

犯罪です。おかしい。不可解だ。この部員たちは洗脳されているのか。学業

もクラブ活動も就職だって自分で考えて行う事です。これはああやって名乗り

出た直接の実行者だけに行っているのではない。今回の事態をここまで引き

ずって来たのは、あなたたちだ。「声を上げたいけれど、どうして良いか分か

らない」、名門大学生がこれじゃ、この先この国は真っ暗闇じゃアーリマセンカ。

相撲もレスリングも、未だにこういう圧力指導が行われているのは事実でしょ

う。そうでもないと勝てないのか。本当に情けない。

加えて逃げ回る日本大学の惨めさ。こんな言い訳で大衆を丸め込めると考

えている。今後も続けるようじゃ全運動競技から追放だね。駅伝、出してや

んねえぞ。

あ、ちょっと興奮しましたが、これは永田町の立派な議事堂で行われてい

るのと同じ事なんです。もはや日本は近代的な民主主義国家ではない。ブランド

力は地に堕ちた。合掌、礼拝、お直りください。

悪質な反則行為がはっきりしているのでいじめ易いからでしょうか、各方

面で活発な意見が出ています。同じように政治も見ていてね。

さて再び合掌、礼拝をお願いします。先週亡くなったヤングマン西城秀樹です。

ちょうどその前の週だったかな、同期の歌い手のみっともなさを生放送で観

目の当たりにして、「ヒデキはよくやったなあ、不自由な体でも唄ってるのは、

自分が何をしなくちゃいけないか、分かってんだなあ」と痛感したばかりで

したから、訃報に接しては想いも更なりでした。

わたしにはやっぱり「ヤングマン」ですね。タイトルも含めて脱帽です。多分この

歌が一番放送などで流れたのではないでしょうかね、それとも「ローラ」かな。

「幻モーニン・ブルーズ」では、これです。絶対ほかで聞けないこの1曲です。

バリー・マニロウと一緒に唄った「腕の中へ」。

 

20.腕の中へ(4’29)西城英樹とバリー・マニロウ

-A.Rich, B.Manilow, H.Rice, M.Yoshida-  RVC RHS-226

 

 

21.王子の結婚ダブ(4’36”)ランキン・タクシー   

-T.Shirahama, I.Washizu-  WPC6-8504/5   2-07

 

TM Born In Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

 

N  「腕の中へ」西城英樹とバリー・マニロウ、如何でしょうか。おそらく誰も憶えて

ないんじゃないかな。本人はどうだっただろうか。わたしも「カタコト」探しで

見つけたのです。あまりに80年代的な音で、恐れ入ります。芭里居摩尼郎は、

二番メロで唄ってます。ジャケット写真では一緒ですけれど、ヴォイシングは果してど

うだったのでしょうか。もう少し両者、絡んで欲しかったですね。85年の作

品でした。

最後は先週のロイヤル・ウェディングに敬意を表して「王子の結婚」。これは本当

は豊葦原瑞穂の国の王子の結婚の際に発表した唄です。わたし達も今度テンノー

になるあの人のご成婚を祝ったのですよ、陰ながら。今回「これだ」と閃き、

取り出してケースを開けたら盤がありません。それでベストからダブ・ヴァージョンで

お届けしました。

このミクスはデイヴィド・ロウがまだ建設中だったミュージック・ワークスで行っています。

意外と日本人の演奏がいいですね。オケが上がった時には、ポール・サイモンのグレイス・

ランドのような響きでして、そのあまりの美しさに些か恥ずかしくもなりまし

たが、ランキン・タクシーの唄が入ったらそれまでと同等の物になってしまった、と

いう経緯を持っております。その唄入り探しておきますね、悠仁親王のご成

婚までには。

今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。

http://firestorage.jp/download/8bb8ff907aa3419b0a6338a1702a73af7593ef13

ダウンロードパスワードは「xqsextgdどうぞお楽しみ下さい。

今朝もちょうど時間となりました。今朝は話が長かったね。

こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

 

【幻】モーニン・ブルーズ 2018/05/19

mb180519

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

 

N  おはようございます。アサー、ワツシイサヲです。

先週は早朝にお付き合い頂きまして、どうもありがとうございます。その

後の金曜、土曜と体力が復活せず、死んでいました。歳は取りたくないです

ね。本当は強度の緊張があったようです。いや、経験不足なのかも・・・。

その翌週、つまり今週は長距離移動があったりと結構タボーでね。そんなこ

とも言ってられず、今は完全に復調。今朝も「元気出して行こう」。

まず1曲、以前お届けした事もありますバーズ・オヴ・シカーゴの新作です。

「バトン・ルージュ」。

 

01.Baton Rouge(6’07”)Birds Of Chicago

-unknown-  BMSF 6143

 

N  ルイジアナの州都を唄ったバーズ・オヴ・シカーゴの「バトン・ルージュ」。この男女デュー

オらしい繊細さを活かして造られています。良いバランス感覚ですね。アリスン・ラッセ

ルのヴォーカルを活かして、相棒のJ.T.ネロは裏方に徹しています。独特の雰囲気が

醸し出されていますね。この街は実際にこんな空気感なんでしょうか。

三鷹の梅勇藝徒の生DJでお聞き頂いて、最前列の方に好評だった「マイ・トゥ

ー・トゥー」は、バトン・ルージュのディスク・ジョッキーやレコード卸屋たちが「この街からヒッ

ト曲を」と立ち上がって全世界に拡がった、という昔話があります。1985年

当時、この美談にはとても勇気付けられました。毎週読んでいたビル・ボード

のネルスン・ジョージの記事だったかな。

バーズ・オヴ・シカーゴの「バトン・ルージュ」でした。歌い出しの言葉は、「バトン・

ルージュ」とは聞こえません。わたしには「ベラルース」と聞こえて来て仕方がな

い。カタカナとは違うんですね。

さて、先週「エヴェデイ・アイ・ハヴ・ザ・ブルーズ」を聞きながら、「ヴァーン・モリス

ンは、そうか、レイ・チャールズになりたかったのか」と一人で納得していました。

アルバムではその後にすぐブラザー・レイのこの歌が来るんです。

 

02.Sticks And Stones(2’47”)Van Morrison Joey Defrancesco

-T.Turner-   Exile / Legacy / Sony  NoNumber

 

N  ヴァーン・モリスンで「スティクス・アンド・ストーンズ」、1960年のレイ・チャールズのヒット曲です。

比較的あっさりと仕上げていますが、ヴァーンのレイ熱は伝わってきます。最新アル

バム、ジョーイ・デフランチェスコとの『ヨー・ドライヴィング・ミー・クレイジイ』からでした。

 

03.I Wish The Wars Were All Over(3’35”)Joan Baez

-T.Eriksen-   BoboLink Razor & Tie Jb00028

 

N  ジョーン・バイエヅの新作『ウイソー・ダウン・ザ・ウインド』、から、最後の1曲、「アイ・

ウイッシュ・ザ・ヲーズ・ワー・オール・オーヴァ」です。彼女が歌い出した頃からの共通す

る主張「戦争反対」、77歳になる今も不変です。

「わたしは歌手であるより、政治家です」

「歌手である前に人間であり、次に平和主義者です」

「フォーク・ソングについて語るより、平和について語りましょう」

「私がうたうのは、皆さんをうまい歌で楽しませ、慰めてあげるためでは

なく、歌を通して語る思想に共鳴してもらうためなのです」

ジョーン・バイエヅは過去にこう言った発言をしていたそうです。

よく国家間の揉め事で活動が停滞させられたりすると、決まって当事者か

ら「芸術と政治は無縁だ」とか「スポーツと政治は関係ない」などという意見が

発せられますが、とんでもない。国際間の芸術活動や運動競技は政治が絡ま

なければ成立させるのは困難です。わたしとしてはこの手合の社会音痴モンや、

政治への無関心こそが問題だ、と考えます。

果たしてこれらの発言全てが実際に彼女の口から出たものかどうかは不明

ですが、まあジョーン・バイエヅが「わたしは歌手であるより、政治家です」とい

うのなら、政治活動に専心すれば良いだろう、という考えもありますが自身

の立場表明をはっきりしておく事は必要と考えます。

これらの引用発言は、たまたま出てきたジョーン・バイエヅのシングル盤の解説に

高山宏之によって書かれていた文章です。そして、そのA面曲というのは・・・。

 

04.今日の日はさようなら(2’33”)ジョーン・バイエヅ

-S.Kaneko-  キング HIT-615

 

N  「今日の日はさようなら」、ジョーン・バイエヅでした。1967年の2月1日、新

宿の東京厚生年金会館での実況録音です。この歌、森山良子でつとに有名で

す。詞曲も彼女自身だと思っていましたが、解説によると「コンサートを主宰する

金子洋明のいとこに当たる金子詔一の作詞作曲になるものです」とあります。

金子洋明は、森山良子を世に出し、ずっと裏で支えているプロデューサー。そうか、

その従兄弟がこの歌を作っていたのか。今、知りました。

ジョーン・バイエヅはこの初来日時に主に学生だったフォーク界の人間たちと深い

交流を持ち、日本の歌をいくつか聞かされたそうです。その中で一番気に入

ったのが、この「今日の日はさようなら」だったとか。この録音で一緒に

歌っているのは小林万里、小山光弘、そして金子洋明たちだそうです。

さて、未整理のシングル盤を引っ張り出していましたら、こんな物も見つかっ

ったのです。

 

05.五月のバラ(3’22”)津川 晃

-R.Nakanishi, M.Kawaguchi-  東芝 EP-1213

 

N  「五月のバラ」、聞いたことあるかな。唄っていたのは、津川晃です。彼は

フランツ・フリーデルという名前で世に出ていた、日劇ウェスターン・カーニヴァル時代の歌手で

す。見た目はほぼ完全な日本人ですが、多分混血なのでしょう。戦後のゲーノー

界では西洋人の血が入っていると、それだけで価値がありましたからね。わ

たしもフランツ・フリーデルという名前で「ザ・ヒットパレード」に出て来たのを覚えてい

ます。珍しいけれどもゴロの良い名前はすぐに忘れられなくなりました。

大きなオリヂナル・ヒット曲がないので、決して恵まれた歌手人生ではありません

でしたが、お聞きの通り甘い声でして唄も上手。どぎつい企画をハメたら、布

施明並みに当たったかも知れません。ずっと歌い続けていたようで、わたし

の手元にはおそらく自主制作盤と思しき1枚もあります。70年代の終わり頃

かなあ、深夜過ぎの六本木で間近に遭遇した事があります。一緒にいた人間

に教えられて、分かりました。残念ながら2006年に他界しています。

この「五月のバラ」は1970年発表。その後で大勢の人たちが唄っているの

で、フランツの歌ということはあまり知られていないようですが、オリヂナルは、今

の津川晃の盤です。いい歌でしたね。もう半ば過ぎ、去りゆく五月を送りな

がらお届けしました。

さて未整理シングル盤の中からはこんな物も出て来ました。先月某所でわたし

が普段ほとんどやらないカラオケに挑んで赤っ恥をかいた、この決定的名曲。

「涙をふいて」、三好鉄生です。

 

06.涙をふいて(4’38”)三好鉄生

-F.Chin, K.Suzuki-  アルファ ALR-758

 

07.Is It Because I’m Black(4’55”)Syleena Johnson

-S.Johnson, J.Jones, Glen Watts-

 

N  ワツシ・シングル・セレクション、針が摩耗しているためでしょうか、雑音が多かった

点、ご了承ください。良質なカートリッヂが欲しいなあ。あ、カートリッヂと言えば、

シュアーがその生産を終えたそうですね。わたしも美しき二十代の頃は、シュアーに

JBLという組み合わせで、毎日大音量に浸っていました。今はMC方式に変

えて、もう少し繊細な音を楽しんでいます。

「涙をふいて」の次にお送りしたのは「それはわたしが黒人だからでしょ

うか」、暴れん坊シル・ジョンスンの娘、シリーナ・ジョンスンの新譜『ソウルの蘇生』収録曲

です。1970年のシルの曲ですね。

このアルバムは表題通り、往年の、親父が活躍していた時代のソウル・ミュージックを

2018年の現代に蘇らせようとシル自らが企画制作したものです。その心意気、

意図は十分に伝わります。ロバート・クレイの同傾向の作品は秀逸な出来でした。

考えようによってはヴァーン・モリスンの新作も同じ主題を持っているかも知れませ

ん。この意図に賛同するソウル音楽好きは、世界中にいる事でしょう。

ただし、シリーナ・ジョンスンの新譜収録曲は、アリサ・フランクリン、エタ・ジェイムズ、オーティス・

レディングなどのよく知られた歌ばかり。自然と無意識の内にオリヂナルと比較して

しまいます。ましてマヂな作品ばかり。洒落やパロディの通用しない領域です。

進化を止めない人界においては、過去の情感の再生ほど難しい物はありませ

ん。年齢は定かではありませんが、まだ若そうなシリーナ・ジョンスンも相当な実力

でしっかり唄ってはいるものの、あの感動は味わえません。

本人がオリヂナルと接したのはレコードだけではないかという憶測も、聞きながら

浮かんで来ましたが、今回の中で最も情感が表現されているように感じられ

た、「イズ・イト・ビコウズ・アイム・ブラック」をお聞きいただきました。シリーナには、

次の作品も期待しておきましょう。

さて先週の生放送には皆様方からの熱い激励、どうも有難うございます。

沢山のリクエストも頂きました。その中にありましたね、「僕のベイビーに何か」。

わたしの「R&B1000選」に必ず入るポーター=ヘイズ作の名曲です。当日は決定的

なオリヂナル版でお届けしましたが、わたしがこの歌を知ったのはこのヴァージョン

ではありません。日本グラムフォンからアトランティックのレコードが発売されていた頃の「僕

のベイビーに何か」は、雑誌の広告で題名を見かけただけで、高価なドーナツ盤な

ど買える筈もなく、聞いていませんでした。楽曲自体を知らなかったんです。

わたしがこの素晴らしい歌に出会ったのは、その3年後。この実況録音で

した。かなり長いメドリーになっていますが、その2曲目に、「僕のベイビーに何

か」が出て来ます。

聞いて下さい、マッド・ドッグズ・アンド・イングリッシュ・メンです。

 

08.Blue Medley(12’17”)Joe Cocker, Mad Dogs & English Men    

 I’ll Drown In My Own Tears  -H.Glover-

 When Something Is Wrong With My Baby  -D.Porter, I.Hayes-

 I’ve Been Loving You Too Long  -O.Redding-

A&M 75021 6002 2

 

N  「ブルー・メドリー ~アイル・ドロウン・イン・マイ・オウン・ティアーズ~僕のベイビーに何か~愛し

過ぎて」、マッド・ドッグズ・アンド・イングリッシュ・メン、リード・ヴォーカルは、ジョー・コカー。

長い時間、お楽しみ頂けましたでしょうか。全体をワルツの編曲で繋いだのは、

もちろんリオン・ラッセルです。演奏中も要所要所でキュウを出してました。臨場感た

っぷりです。この時のマッド・ドッグズ・アンド・イングリッシュ・メン巡業はほとんどレイ・

チャールズ・ショウをなぞった形でしたから、「アイル・ドロウン・イン・マイ・オウン・ティアーズ」

は分かりますが、そこへ「僕のベイビーに何か」を持って来たのは流石です。

わたしは友達から長期に亘って借りた2枚組LPでこの歌の魅力にノックアウトされ

まして、原曲を聞きたくて堪らない日々を過ごしました。当時発売権を持っ

ていた創業後まだ日の浅かったワーナー・パイオニアは「ニューロック」新譜中心の編成で、

R&Bは殆ど市場に出回っていませんでしたから、サム・アンド・デイヴの旧譜な

どなかなか出してくれません。1年ほど経って輸入盤のスタックス / ヴォルト・リヴュウ

のライヴ・イン・ロンドン盤で聞いたのが最初ではなかったかな。「僕のベイビーに何

か」に寄せた思い出でした。

さてブルーズに較べると娯楽の度合いが高く洗練されたR&Bでは、実演の場

でもそれなりの演出が要求されます。数えきれない程の現場で働いて来たリオン

は、そんな所で学んだショウ・アップのやり方をここで試したんでしょう。成功し

ています。

今度は、その原型を聞いて貰います。やはりメドリーで、「メイク・ミー・ヨーズ」、

「プレシャス、プレシャス」そして「トラップド・バイ・ア・シング・コールト・ラーヴ」の3曲、

こちらも長い。15分ほどあります。場所はテネシー州ジャクスンのパレス・エンタテインメント。

唄ってくれるのは、南部R&Bの女王、デニース・ラサールです。

 

09.メドレー(14’52”)デニス・ラサール          

 a)メイク・ミー・ユアーズ-Betty J. Champion-

 b)プレシャス・プレシャス -D.Crawford, J.Moore-

 c)トラップド・バイ・ア・シング・コールド・ラヴ -D.La Salle-

ビクター  VIM-6205

 

N  デニース・ラサールで「メイク・ミー・ヨーズ」、「プレシャス、プレシャス」そして「トラップド・バ

イ・ア・シング・コールト・ラーヴ」3曲のメドリー、ほとんど全員が黒人客の場内はもう、

暴動寸前の反応でしたね。熱狂の4分の1時間です。明らかな編集箇所がい

くつかありますから、本当はもっと長かったのでしょう。バック演奏は単純な3

連リズムを延々と繰り返すだけですが、これが段々と体に纏わり付いて来て、

途中でもうガンジガラメにハメられてしまいます。「メイク・ミー・ヨーズ」はベティ・スワン、

「プレシャス、プレシャス」はジャッキー・ムーア、そして最後に自分の「トラップド・バイ・

ア・シング・コールト・ラーヴ」と繋げて、各曲の成り立ち、それらを唄った女性歌手

周辺のエピソードなどを語って行きます。キイワードは「グルーヴ」。そこには南部の

黒人女性意識が熱く流れてていまして、日曜学校の牧師さんのお説教のよう

にも聞こえます。ただしあくまで世俗のお話し。そんな語りから短いリフで歌

に持ち込む辺りは見事です。正に名人芸、文字通りの「グルーヴ」ですね。

これを吹き込んだ1979年、デニースは40歳。南部のR&Bが停滞して行く流

れの中、紅一点で孤軍奮闘。彼女はこの時代が一番光り輝いていました。先

のジョー・コッカーの録音は70年ですから、南部ではこういう三連リズムのメドリー形

式がずっと定番として親しまれていた訳ですね。フェイド・アウト尻に載っかって

くるMCがまたカッコいいじゃアーリマセンカ。私が聞いたことのないない、この後に

出たモントルーのライヴでもこのスタイルを披露しているそうです。共通意識の乏しい、

欧州の有産階級白人たちを前にどんな語りをしたのでしょう。そしてその反

応は・・・。興味深い所です。なお、デニースは今年の1月18日に78歳で亡く

なりました。

さて、先々週もお届けした現代のゴスペル音楽をお聞き下さい。ヒップホップ界

の重鎮スヌープ・ドグがお届けする「バイブル・オヴ・ラーヴ〜 愛の聖書」です。

今朝は馴染みのある名前のトラックを3つ紹介します。

まずは、パティ・ラベール。驚異的な歌唱力は定評のあるところ。ただゴスペルの

世界には怖ろしい程の実力者がいくらでもいますから、パティはどんな形で勝

負するのでしょうか。ここでは比較的抽象化された表現で若干肩透かし気味。

それでも唄の力は底しれず、です。

「ウェン・イッツ・オーヴァ」。

 

10.When It’s All Over(5’01”)Patti LaBelle     

-P.LaBelle, C.Broadus, J.Bereal, B.Paysinger, M.-Bereal, T.Whitefeeld-

RCA Inspiratuion 9075835082

 

N  パティ・ラベールで「ウェン・イッツ・オーヴァ」でした。それなりにパティは唄っています。

ただこの位の存在になると、誰でも当たり前の形の歌は採り上げなくなって

来ます。と言いますか、表現能力が普通の基準を超えてしまうのでしょうか。

いま聞いていて、そんな事を考えていました。

次はランス・アレン。この人も古いですよ。60年代から唄っているんじゃないか

な。スタックスにもランス・アレン・グループとして録音がある筈です。クアイアを従えた力強

いリード・シンガー、この形は主流とも言えるコンテムポラリー・ゴスペル的ですが、そこ

にスヌープ・ドグがラップで絡んで来る最先端の姿、聞いて下さい。

「ブレッシング・ミー・アゲイン」。

 

11.Blessing Me Again(4’02”)Rance Allen(feat. Snoop Dogg) 

-R.Allen-  RCA Inspiratuion 9075835082

 

N  ランス・アレン・フィーチュアリング・スヌープ・ドグ「ブレッシング・ミー・アゲイン」でした。おそ

らくこういった形はこれからますます主流になって行くのではないでしょう

か。ゴスペルはあくまでキリスト教の音楽です。こういう段階になって、ラップの形

や思想にその教義がどこまで対応出来るか、こちらも興味深いですね。あ、

逆かも。キリスト教義にラップの形、ヒップホップの思想がどこまで対応出来るか、で

す。

最後は現代のゴスペル・スター、マーヴィン・サップです。先進のサウンド構成と高度な

歌唱力が絡み合う明日のゴスペルは、こんな形かもしれません。

 

12.Come As You Are(5’40”)Marvin Sapp And Mary Mary 

-Sapp, Davis, Campbell, Bereal, Paysinger, Bereal, Johnson, Griffin-

RCA Inspiratuion 9075835082

 

N  このようにスタイルには違いがあるとは言え、純度の高いゴスペルを続けて聞くと、

若干の疲れを覚えます。それが研ぎ澄まされた信仰心の訴えによる物なのか、

あるいは異教徒ゆえの不響感なのでしょうか。皆さまは、如何かな。

では、アル・グリーンで気分を取り戻しましょう。と言っても1977年以降のアル・

グリーンは既に完全なゴスペル・シンガーでした。恩師ウイリー・ミッチェルから自立して作っ

た『ザ・ベル・アルバム』からもその兆候は強く感じられました。この『トゥルースン・

タイム』もR&Bのハイ・レコードから発表されましたが、殆ど神との関わりを持つ歌

ばかり。ソウル / R&Bからの過渡期の作品です。ジャケットには東京音楽祭出場で

初来日した時の中野サンプラザ公演の写真が使われています。

その中に、こんなカヴァが入っていました。

ルールのヒット曲です、「いつも心に太陽を」。

 

13.To Sir With Love(4’05”)Al Green    

-D.Black, M.London-  Hi HLP6009

 

14.Honest I Do(2’40”)Jimmy Reed

-J.Reed-  Pヴァイン  PVCP-8112

 

TM Born In Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

 

N 最後はジミー・リードの「オネスト・アイ・ドゥ」、ザ・ローリング・ストーンズのデビューLP

でカヴァされていたブルーズ・スタンダード曲です。ジミー・リードとは違う暗さが印象

的でした。

来週はもう5月最後の放送です。今月は早かったなあ。

実は週末に身近な人間の不幸がありまして、少々悲しい気分でまだ過ごし

ています。16歳の時に名作『永久保存盤』の制作を手伝ってくれて、それ以

降わたしとは長い仲でした。

泰司、今度はゆっくりと休んでくれ。落ち着いてね。

さあ、暑い夏がやって来ます。皆さん、心も体も元気で行きましょう。

今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。

http://firestorage.jp/download/36a677c78ad9e535dbf807a2a057a87085e1ff96

ダウンロードパスワードはbi59d5vp 、どうぞお楽しみ下さい。

今朝もちょうど時間となりました。

こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。