カテゴリー : Mornin’ Blues by IsaoWashizu

【幻】モーニン・ブルーズ 2020/04/05

mb200404

前TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようございます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2020年4月4日

 を始めましょう。早いなあ、もう四月だ。でもこの重苦しさ・・・。

 とにかくこの騒動、収まってくれと、沈静化に協力して外出をしていない

 ので、テレビに接する事が多くなります。先週、テレビ東京の番組で過去の歌謡

 曲ショウの断片をまとめて流すのが放送され、しばらく観てました。そこで当方

 も大いに反応出来たのが、これです。

 「Y.M.C.A.」、オリヂナルのヴィレッヂ・ピーポーでどうぞ。

M01.Y.M.C.A.(4’46”)Village People

-J.Morali, H.Belolo, V.Willis-   Casablanca 314 522 039-2

N  「Y.M.C.A.」、ヴィレッヂ・ピーポーでした。いや素晴らしい。そのテレビ番組で

 は、この歌を西城秀樹が星条旗模様のカヴァ・オールの前をはだけて熱唱するんで

 す。当然ヒデキの周りは十代前半の子供達が大勢で「ワーイエムシーエイ」と揃えた振り

 で大騒ぎ。全員が狂ってた。わたしも観ていてコーフンしたな。多分この頃この

 放送局はまだ「東京12チャンネル」だった筈です。どの番組から抜いたのだろう。

 「Y.M.C.A.」は「Yヤング、Mメンズ、Cクリスチャン、Aアソシエイション」でして、青年

 キリスト教信者機構となります。確か横浜球場の側にも建物がありました。一般

 的には非常に健全な社会奉仕の団体なのでしょうけれど、ここが男性同性愛

 者の巣窟である、というような俗説がありまして、男色で売ったヴィレッヂ・ピ

 ーポー社中はそこに目をつけて「みんな集まって来いよ」と呼び掛けたのです。

 これを「ヤングマン」として、別の魅力で世に出したヒデキも偉い、よくやった。 

 本来の歌の背景を理解していたかどうかはこの際は問題なく、ドン・コーネリアスの

 ソウル・トレインに於いてもあのヒデキのフリが凱旋した位に、カヴァとして大成功でした。

 きのう昔のヴィディオで観た、日本ハム・ファイターズの主催試合で、ハーフタイム・ショウ的に

 グラウンド整備時間で唄ったヒデキは、カッコ良くて涙が出ちゃったよ。

 ヴィレッヂ・ピーポーには1977年「サンフランシスコ」でデビューした時から 、わたしも

 注目しておりました。各構成員の性格付け、楽曲、唄、演奏、衣装、映像そ

 して何よりも売り出し方、全てジャック・モラーリ以下、完璧なプロのお仕事です。

 LPジャケットも凝ってたなあ。キッスと同列のアメリカ大衆流行音楽製造の良き伝統が

 脈々と流れている完全犯罪です。わたしはこういうのに弱いという傾向もあ

 りますが、何より理屈抜きに踊らされるのですよ、誰でも。デッチ上げ企画に

 ありがちな自然消滅的終わり方も大いに結構。そこまで含めて「よく出来ま

 した」です。わたしは大好きですね。

 もう一曲聞いて下さい、隠れた名曲です。

 「キャント・ストップ・ザ・ミュージック」

M02.Can’t Stop The Music(3’36”)Village People

-J.Morali, H.Belolo, P.Hurtt, P.Whitehead-   Casablanca 314 522 039-2

N  この憂鬱な気分をぶっ飛ばしましょう。 元気よく始まりました2020年4

 月4日の「幻」モーニン・ブルーズです。「キャント・ストップ・ザ・ミュージック」、ヴィレッヂ・

 ピーポーでした。

  さて自宅待機要請におとなしく従っている人たちのために、世に蔓延るウェ

 ブサイトはさまざまな趣向を凝らして利用者拡大に躍起です。先週、わたしのと

 ころにも某サイト管理者から「こういう時にこそ聞いてもらいたい音楽をスポーティ

 ファイから10曲集めて、それにコメントして下さい」という依頼が舞い込みました。

 たぶん依頼者はね、「風に吹かれて」や「イマジン」みたいなケチの付けようがな

 い健全前向き音楽を並べて、それに真っ当な意見を述べてくれ、という意図

 だったのでしょう。

 そんな当たり前の事をわたしがする筈がアーリマセン。そもそもスポーティファイだって

 知らなかったんだから。大家さん澤田修の指示に従ってたどり着いたスポーティフ

 ァイと向き合いながら、さて何をしようかと考えました。そこで閃いたのが、

 最新のヒット曲を聞いてみよう、という主題企画でした。「トップ・ヒッツ・ジャパン」

 という音楽ファイル括りの棚が最初に出てきた事もありますが、わたしは今の流

 行をほとんど知らないので、この機会に一度聞いておこう、と考えたのです。

 スポーティファイ「トップ・ヒッツ・ジャパン」から順番に出てきた10曲を聞いて、その

 感想をまとめ、依頼者に送り返しました。すると、あろう事か「これは使え

 ません」とひと言だけ、しかもメイルでの返答でボツにされたのです。依頼時に

 は直接電話をかけてきたので、「コミュニケイションというものを分かってんじゃねえ

 か」と応じてやったのに・・・。

 不採用の理由は、わたしも分からない訳ではありませんがね。でも癪に障

 る。そこで重度「幻」聴取者の皆さんに、特別に公開します。

 以下。なお文中のカタカナは全角を使用しております。

 スポーティファイ10選 

 外出が躊躇される時に音楽に親しんだり読書をするのは正しい過ごし方だ。正しい。

 浦島太郎も自宅でおとなしくしていたら、音楽解説のご指名を頂いた。ありがたくお 

 受けするが、何しろ「Spotify」自体を全く知らずここまで来たのだ。辿る先を教え

 て貰い、慣れない画面操作をして使えるようにはなった。感染防止の碑のひとつに成

 れれば幸いである、

 しかし、どこにどんな音楽があるのかが分からない。Night Rainという項目を見

 つけ「レイニイ・ナイト・イン・ジョージア」でも聞くかと思いたち出向いたが、そ

 こは実際の雨の音ファイルが並んでいる棚だった。「激しい雨」や「森に降る雨」な

 ど何種類か聞いたら結構面白かったので、この解説でもしようかと考えたが、あまり

 に唐突だろうと気づき、断念した。

 そこでこの機会を利用して、日頃全く聞かない、そして今後もおそらく聞かないは 

 ずの音楽を聞いてみる事にした。それはいま巷で支持を受けている類のいわゆる流行

 り歌である。幸いな事に「トップ・ヒッツ・ジャパン」というファイル棚が見つかっ

 た。ただし、何しろ頭の中に殆ど関連情報がないので、陳腐な感説となるのは必至だ。

 それを前提に進めてみる。けっこう面白いかも知れない。

 では早速「Spotify」の「Top Hits Japan」から流れ出て来た10曲について無責 

 任な感想を述べて行くことにしよう。

 01.I Love…. / Officials髭男dism

 初めての人たちです。名前をどう読んだら良いのか分からなかった。楽曲ももちろ

 ん初体験。バチバチに流行ってるらしい。唄声が子供っぽいが現代の平均だろう。特

 に個性的ではない。主題は90年以降の世代の音楽に共通する「ひとりせつながり」

 だが、ワタシは苦手。演奏は殆ど機械。4分42秒は長過ぎる。

 02.High Hope / パニック! アット・ザ・ディスコ

 開始後1分で「ママセイ、時は移ろい」と聞こえて、この国の音楽かと思ったが、

 そうではないらしい。唄、演奏ともにテンパリっぱなしで、聞く者の自由な解釈が入

 り込む余地はない。空気感も不足気味で高い音圧の前に直立させられている感じだ。

 でもヒット・パレイドでこういうのが輝くのだろうね。

 03.Blinding Lights / ザ・ウイークエンド

 意識的と思われる80年代風のリズムが走り、シンセサイザが線の細い旋律を奏でる。

 手を替え品を替えて趣向を凝らした作品を発表していたA&M時代のジョー・ジャク

 スンを連想した。唄は上手。構成も簡単で、故に心に印象が残る。意図的な中途半端

 感を漂わせて完奏形で終る辺りも考えられていると見た。

 04.Wannabe / ITZY

 「Top Hits Japan」の扉を飾っている女性たちだ。20年以上前に確立された典型的

 なユーロディスコ調で、驚くほど殆どそのまんま。プロの仕事感覚で作られ、たくさ

 んの構成要素が含まれているけれど、通して訴えてくるのは四つ打ちのキック・ドラ

 ムだけのような気もする。誰が唄っても変わりないだろう。

 05.Stupid Love / レディー・ガガ

 既に名前を知っていた唄い手だ。それは世界中に振りまかれた話題を通してで、作品

 は1曲も通して聞いた事はない。モロに機械の音が続く。実演も多分カラオケ・ショ

 ウだろう。派手な私生活、公然での振る舞いで話題を提供する「セレブ」の、「実は

 歌手なんです」と定期的に発表された、想像通りの新曲だ。

 06.Closer – Tokyo Remix  / ザ・チェインスモーカーズ  新田真剣佑

 勿体を付けたような唄い出しで始まる日本語英語折衷の歌だが、全体の3/4は英語に

 なっている。各章の終了部分のリズム、旋律は面白いので、ここに刺激的な響きの言

 葉を絡めれば、もっと印象的な出来映えになった筈だ。日本語でね。この楽曲の閃き

 になっているリフをとことん磨いたら、仕上がりは違ったかも。

 07.さよならの今日に / あいみょん

 まず唄はよろしい。言葉のリズムは面白いのだがバック演奏と関係が希薄で残念。

 惹句にももうひと工夫欲しい。説明的なところが目立ってしまう。全体からすると、

 唄われている「伝説のプロボクサー」が出て来る舞台設定ではないようにも感じる。

 ギター1本でも良いのはないか。5分41秒は長過ぎる。

 08.Birthday / Mr.Children

 ミスチルまだ健在のようです。大したものです。唄い方はこの国の「ロック」の中道。 

 「It’s My Birthday」というキメは意味不明、きっと作者にとっては大切なんでしょ

 う。編曲も意識的なのか凡庸で、少なくとも大袈裟な弦は不要。唄の途中から言い訳

 が始まる感じ。こういう歌がウケるというのは分かる。

 09.No Judgement /ナイル・ホーラン

 ロングトーンが少なく、隙間のある気持ち良い響き。そこを風が吹き抜けて来る。ま

 ず陰影ある表情の声に好印象。リズムも秀逸。伸びやかなメロディもよろしい。どこ 

 の唄い手だろう。大いに興味が湧いた。後半の短い時間でしっかり盛り上げて、あっ

 さりと終わる。2分台で完奏とは驚きだ。悪くない。

 10.どろん / King Gnu

 時代、社会に追い込まれて切羽詰まった、今のこの国の若年層の共通感情が伝わって

 来る。多少まだ表現にためらいがあるようだが、自信を持っていい。もうちょっとで

 良くなるのは確実。何人編成だろう。実演を観たい。録音技術や音量じゃなく、音楽

 でしか伝えられない「何か」が唄われている。次も楽しみ。

 携帯電話店ではこの類いの流行り音楽がずっと鳴らされていて、わたしはそれだけ

 で拒否反応が出るのだけれど、その場に30分もいると、何も感じなくなる。それも

 怖い。この国の大衆流行音楽と政治の水準が、もう少し上がってくれないかな、と思

 い始めて久しい。今回「トップ・ヒッツ・ジャパン」を聞いた限りでは、まだその願

 いが果たされていないのは分かった。しかし、このような機会がなければ最新の流行

 り音楽に接する事のない、自分の生活態度の方が問題なのかも知れない。

 何れにせよ、現在の新型コロナウイルス感染による自粛体制は、早く収まる状態を

 希望する。皆さんもお気を付けて。元気でまたお会いしましょう。

                                           2020年 3月28日 鷲巣功 

   という事でした。この後で各楽曲や演奏者の周辺事実をいくつか知りまし

 て、ひとりで恥ずかしい思いをしましたが、何の知識もなく感じたままです

 ので、これはこの状態にしてお見せ致します。たくさんをご存知の方々、お

 笑い下さい。流行りの音楽状況は、恐れていたほど理解出来ない状態ではな

 かったのも事実でした。

 さて、こちらは「幻」モーニン・ブルーズ2020年4月4日です。まずはこれをどうぞ。

M03.ローハイド(2’40”)ブルース・ブラザーズ

-T.Washinton, D.Tiomkin-  ワーナーAMCY-2747/8

N  ブルーズ・ブラザーズで「ローハイド主題歌」でした。映画の中では、南部の居酒屋

 を巡るドサ回り急造楽団が得意とするR&Bが全くウケなくてブーイングの嵐とな

 ります。引っ込めーとばかりにビール瓶投げつけられたり・・・。そこで「そ

 うだカントリーだ」とばかりにこの「ローハイド」を唄って窮地から逃れる、という場

 面でした。面白かったですね。この後彼らが「スタンド・バイ・ヨー・マン」を唄っ

 て平穏に閉店につなげる、という流れには記憶がありませんでした。この間

 ユーチューブを観ても思い出せなかった。わたしは何をしてたんでしょうか。

 この「ローハイド」は日本でも放送されていたテレビ番組の主題歌です。西部劇

 ですね。わたしはたぶん観た事ない筈です。若き日のクリント・イーストウドが出てい

 た事も知りませんでした。これをお聞きいただいたのは、先週も少しだけご

 紹介した映画「ラムブル」について今朝いろいろとお話ししたいからです。

M04.Rumble(2’20”)Link Wray & His Ray Men

-M.Grant, L.Wray-  Rhino RNLP 70138

N  映画「ラムブル」の主題曲、リンク・レイとヒズ・レイ・メンの「ラムブル」でした。恐ろし

 い響き、楽曲構成、そして演奏。どれも暴力的ですね。わたし自身、初めて

 これを聞いた時には「なんだこりゃ」と、この音楽の存在が信じられません

 でした。1959年の発表時には青少年の暴力的興奮を煽る、という理由でラジオ

 での放送が制限されたそうです。多くのロック演奏家がこの「ラムブル」に痺れて

 自らもギターを執った、とも言われています。大抵はハードロックの人間ですけどね。

 澤田修はどうなんだろうか。

 これを弾いているリンク・レイという男が北米先住民、ショーニー族のアメリカン・インディア

 ンなのです。1959年に北米大陸では、後から来て彼らを北部へ追いやった白

 人難民の世界が大体出来上がってまして、先住民のオリヂナル音楽が表に出る事

 はありませんでした。この「ラムブル」は危険な青少年の間でヒットしたので、リンク・

 レイはテレビ・ショウにも多く出演しています。ただし残っている映像では、「北米

 先住民」という出自を隠しているような感じです。映画「ラムブル」は、ここか

 ら始まります。

M05.It Won’t Be Long(3’26”)チャーリー・パットン

-C.Patton-   Pヴァイン  PCD-3743

N   「イト・ヲント・ビ・ロング」でした。ビートルズじゃありません。まして、バボー・

 ガム・ブラザーズでもありませんよ。ブルーズ音楽の祖、チャーリー・パトンです。この

 巨匠はチョクトーという部族の血を受け継いでいます。だからブルーズが北米先住民

 の創造だ、とは決して申しませんが、映画の中で今の「イト・ヲント・ビ・ロング」

 とおんなじ旋律を北米先住民の老婆が口ずさむ場面があります。その類似度

 合には@驚きます。そもそもこの「イト・ヲント・ビ・ロング」、マディヲーターズの「ローリ

 ン・アンド・タムブリン」とほとんど同じ旋律です。あのインディアンのばあさんがクリーム

 を聞いてる訳がない。これは明らかに北米先住民の持っていた節のひとつな

 んでしょう。

 さてチャーリー・パトン、もう一曲行きます。

 「ダウン・ザ・ダート・ロード・ブルーズ」。

M06.Down The Dart Road Blues(2’51”)チャーリー・パットン

-C.Patton-   Pヴァイン  PCD-3743

N  チャーリー・パトンで「ダウン・ザ・ダート・ロード・ブルーズ」でした。似たモチーフでした

 ね。この節は彼の重要なネタだったみたいです。チャーリー・パトンは1887年生まれ

 と言われていまして、ブルーズ音楽で録音の残っているものとしては最古参の

 唄い手です。結構たくさんのSP吹込みをしていまして、古い割には形がきち

 んと整えられているようにわたしは感じます。過度に荒々しくないのも特徴。

 その後のブルーズ・メンへの具体的な影響はそれほど大きく残っているとは言え

 ませんが、後世にこの音楽の概念を決定づけたという功績は、偉大などとい

 う言葉では言い表せないほど計り知れないものがあります。

 今の「ダウン・ザ・ダート・ロード・ブルーズ」ではギターの本体を打楽器のように

 叩く音が聞かれました。この打楽器的ギター奏法もパトンの特徴です。

 北米の西部開拓時代には、黒人奴隷たちの打楽器使用は禁止されていまし

 た。それはトーキン・ドラムで彼らが会話をする事を白人が恐れたからです。それ

 は集団決起の合図にとしても機能します。同じ理由でキリスト教会内部への持ち

 込みも長いあいだ固く禁じられていました。八百長相撲の打ち合わせをモンゴル

 語でやられているようなものです。何も分かりませんからね。

 それと同じように北米先住民、アメリカン・インディアンにも打楽器の使用は禁じら

 れていたようです。それでチャーリー・パトンはギターを太鼓のように叩いて、「水牛

 が獲れたから、みんなで解体しよう」と知らせたようです。

 インディアンの血を引くチャーリー・パトン、3曲めはやはりギターの打楽器的用法が目立

 ちます。これは大洪水の事を伝えているのでしょうか。だとすれば河内音頭

 と同じ新聞(しんもん)読みですね。

 「ハイ・ヲーター・エッヴェウェア」。

M07.High Water Everywhere pt.I(3’04”)チャーリー・パットン

-C.Patton-   Pヴァイン  PCD-3743

M08.Georgia On My Mind(3’32”)Mildred Bailey 

-F.Carmichael, Gorrell-  Unionsqure METRTN022

N  チャーリー・パトンの「どこも水浸し」に続いて、アメリカ・インディアン系のジャズ・シンガ

 ーの祖、コー・ダリーン族のミルドレッド・ベイリーの「我が心のジョージア」でした。彼女

 は初めての非アフリカ系ジャズ歌手だそうです。今の「ジョージア」ではあまり北米

 先住民的表現が感じられませんでしたが、ヌー・ヨークの非合法酒場で仕事をして

 いて、やはりアメリカ・インディアン固有の唄い方をしっかりと身に付けていた、と言

 われています。

 手元にずっと前に手に入れたラフ・ガイド・シリーズの『ネイティヴ・アメリカン・ミュージッ

 ク』というCDがあります。盤自体は21世紀のものですが、各トラックはもっと

 古い録音で、おそらく1960年代以降の採取ではないかと思われます。18枚

 のアルバムから1曲づつ選ばれた構成のコムピレイションです。アメリカ・インディアンたちは移

 民の分際である白人たちに追いやられ散り散りになってしまい、生活様式自

 体が継承されなくなり、音楽も黒人たちのように商業的に評価されませんで

 したから発展もなく、衰えていく一方でした。たぶんそれぞれの収録当時に、

 かろうじて残っていた音楽の一部が、ここに刻まれているのでしょう。ここ

 からしばらくは、このラフ・ガイド・から聞いて行きます。ご一緒にどうぞ。

 まずは女性の澄みきった美しい声で唄われます。

 ジョアンヌ・シェナンドーで、「タカナッツリーサ」、いずれもアルファベットをローマ字的に読んだだ

 けですから発音は正しくないでしょう。ご注意下さい。

M09.Takanatslitha(4’00”)Joanne Shenandoah

-trd.-  World Music Network RGNET 1029 CD

N  北米先住民アメリカ・インディアンに伝承されている「タカナッツリーサ」、ジョアンヌ・シェナンドー

 でした。どこかしら、ハワイの伝統音楽との連想を掻き立てられましたね、わた

 しは。電気楽器によるアレンヂや効果音は本来の物では無いでしょうが、ジョアン

 ヌ・シェナンドー、彼女は素晴らしい音程感覚を持っています。

 こういった綺麗な女声の独唱は、ジョーン・バエズにもつながります。彼女に

 は北米先住民の血は流れていないのかな。若い頃の顔写真を見ても少しそん

 な気がしますが・・・。

 今の「タカナッツリーサ」と直接の関係はないでしょうが、モチーフになんとなく類似

 性があるのではないか、と感じたのが次の「ヴィクトリ・ソング」です。ブラックスト

 ーン・シンガーズという取って付けたような名前の合唱集団が唄います。

M10.Victry Song(2’42”)Blackstone Singers   

-trd.-  World Music Network RGNET 1029 CD

N  カナダのクリー族の合唱団ブラックストーン・シンガーズの「勝利の歌」でした。擬音を

 叫びながらただ騒いでいるだけのように聞こえますが、おそらく少ない音韻

 を使って具体的な物事を表現しているのでしょう。彼らは1987年から北米先

 住民の儀式でこうした音楽を披露し続けて来たそうです。

 さて次の歌こそ誰に取っても、最も北米先住民アメリカ・インディアン的な音楽では

 ないでしょうか。これも擬音的な声が主ですが、旋律やリズムと一緒になって

 意味が成立しているのではないか、そんな気がしました。「何か」を伝えてい

 るのは確かです。手首、足首に巻いたビーズの音が気持ち良いですね。

 ヌー・メキシコを本拠地とするガルシア・ブラザーズで

 「バスケット・ダンス」。

M11.Basket Dance(6’34”)The Garcia Brothers

-trd.-  World Music Network RGNET 1029 CD

M13.ヒア・マイ・トレイン・ア・カミン(9’46”)ジミ・ヘンドリックス 

-J.Hendrix- ユニバーサル MVCZ-190042/3    

N  ガルシア・ブラザーズの「バスケット・ダンス」、そしてジミ・ヘンドリックスで「ヒア・マイ・トレ

 イン・ア・カミン」でした。これは1969年ウードゥストゥークの実況です。凄いね。曲自体

 はよく実演されていたようで、アタランタ・ポップ・フェスティヴァルの録音もあります。

 でもこっちの方がいいな。一緒に演奏しているのは、ろくなリハーサルも出来なか

 ったジプシー・サンとレインボウズですが、ここではベイスのビリー・コクスとドラムスのミチ・

 ミチェルだけがジミに付いて行っているようです。ふたりとも見事なくらい溝にハマ

 ッてますね。本当にカッコいい。

 ジミ・ヘンドリクスがチェロキー族の血を引いているというのはよく知られた事実です。

 チェロキーというのはかなり有名な一族で、ビバップ時代にチャーリー・パーカーが得意と

 していた一曲に「チェロキー」というのがあります。イギリス人の作曲ですけどね。

 四輪駆動車ジープのモデル名にもあった。ジミの独特な出で立ちも、「ああ、インデ

 ィアン的だな」と分かりますが、この映画「ラムブル」の中では彼の親族が出て来

 て、子供の頃から、芸人だったおばあさんの舞台衣装を面白がって身につけ

 ていた、なんて話が語られます。これで誰でも納得出来ますでしょう。

 さて黒人たちほどではないですが、北米先住民アメリカ・インディアンの優れた音楽

 感覚、少しは分かって来たような感じです。次にお聞き頂くのはその民族性

 で売り出したロックグループです。

 まずこれです。「ポイズン・アイヴィ」。

M14.Poison Ivy(3’00”)Red Bone

-J.Leiber, M.Stoller-   Epic / FLOATM 6221 

N  ヤキ族とショショニ族の北米先住民アメリカ・インディアンから成るロックグループ、レッド・ボーン

 で、「ポイズン・アイヴィ」でした。これは日本でもシングル盤として発売されてい

 ました。わたしはかつて持っていた。三軒茶屋のゴミ屋みたいなところで中古

 盤を50円で買いました。楽曲が「ポイズン・アイヴィ」だったからなんですが、

 ジャケットには「インディアンのロックバンド」と大書きされていましたね。

 彼らもこの映画に登場します。世に出て始めのうちは普通のロックグループと同

 じような活動をしていましたが、途中から羽飾り他の民族衣装を身につけ、

 実演の冒頭ではアメリカ・インディアン音楽を披露する構成となったとそうです。これ

 は民族性を認識した結果というよりは、芸能の特異なネタに出自を使っただけ 

 でしょうが、メムバはスッキリとこの要素を採り入れていたようです。

M15.Chant 13th Hour(5’33”)Red Bone

-unknown-  Epic / FLOATM 6221 

N  「インディアンのロックバンド」、レッド・ボーンで民族性が伝わる「チャント13番」でした。

 映画には他にギタリストのジェシ・エド・デイヴィスが出て来ます。タージ・マハルが初めの

 頃に相棒としていた個性的なギタリストです。白人の芸能界で薬物中毒になって

 亡くなってしまいましたが、彼は音楽領域を超えた個性的な演奏であちこち

 から呼ばれて弾いてました。確かな腕前と独特のタイム感が売りでしたね。

 さてここからは先週もお届けしたバフィ・セイント・メアリです。彼女もこの映画で

 はしっかりと出て来ます。「サーコー・ゲイム」で世に出てから、常に出自と現代社

 会の関わりを己の主題と考えて音楽活動を続けて来たバフィ・セイント・メアリは、最

 後の場面で最新の実演を披露します。電子鍵盤楽器を弾きながら歌っている

 のですが、その姿は、ほとんど呪い師のようです。今も沖縄にいる「ユタ」と

 いうのはおそらくこんな姿ではないでしょうか。

 ではクリー族のバフィ・セイント・メアリで、

 「ネイティヴ・ノース・アメリカン・チャイルド」、

 そして「民族隔離〜ジェノサイド」という言葉も出て来る1966年の

 「マイ・カントリー、ティス・オヴ・ゼイ・ピーポー・ダイング」、

 交流のあった北米先住民アメリカ・インディアンの血を引くカナダ人、ニール・ヤング作の

 「ヘルプレス」、

 4曲めは

 「ヒーズ・アン・インディアン・カウボーイ・イン・ザ・ロディオ」、 

 以上続けてどうぞ。

M16.Native North American Child(2’10”)Buffy Sainte Marie     

-B.Sainte-Marie-  Vanguard  VMD 74004   

M17.My Country; ‘Tis Of Thy People Dying(6’43”)Buffy Saint-Marie  

-B.Sainte-Marie-  Vanguard  VMD 74004    

M18.Helpless(3’06”)Buffy Saint-Marie

-N.Young-  Vanguard  VMD 74004     

M19.He’s An Indian Cowboy In The Rodeo(2’00”)Buffy Saint-Marie

-B.Sainte-Marie-  Vanguard  VMD 74004  

N  バフィ・セイント・メアリ、「ネイティヴ・ノース・アメリカン・チャイルド」、「マイ・カントリー、ティス・オヴ・

 ゼイ・ピーポー・ダイング」、「ヘルプレス」、「ヒーズ・アン・インディアン・カウボーイ・イン・ザ・

 ロディオ」、4曲続けてお聞き頂きました。 

 映画「ラムブル」公開にちなみまして、北米先住民に関連した音楽をお届けし

 て来ました今朝の「幻」モーニン・ブルーズ、アメリカ・インディアンの血を引く音楽家と言

 えば忘れてはいけない大物がいます。

 それはエルヴィス・プレズリ。わたしはずっとイタリア移民の末裔だと思っていまし

 たが、違いました。確かにあの時代にメムフィスにイタリア系移民がいるのはおかしい

 ですね。容貌からするとイタリア人ぽいんだけどなあ。

 ではアメリカ・インディアンの血を引くエルヴィス・プレズリが、平尾昌晃調に唄います。

 「ロンサム・カウボーイ」。

M20.Lonesome Cowboy(3’01”)Elvis Presley        

-Tepper, Bennett-   BMG  66058-2 

N  エルヴィス・プレズリで、「ローンサム・カウボーイ」でした。

 さて、先週の冒頭曲「憧れのレイディオ・ガール」というのは、関西ラジオの森山

 かずみDJだというお便りをポークパイさんから頂きました。

 「森山かずみ」、わたしは全く知らなかった人です。80年代にエフエム東京に進

 出した、という話も聞きました。ひょっとしたら出会っていたかも。

 南の佳孝はなんで知ってたんだろう。あの歌が1990年発表だから、東京で

 聞いていたのかな、その印象を松本隆に伝えて書いてもらった・・・、いや

 全部推測です。先日の「バー、バー、バー」馬場こずえといい、未だ知らない大先

 輩が大勢いますね。また教えて下さい。お願い致します。

 澤田修のレギュラー番組が始まりました。今日の19時から放送です。

 https://zip-fm.co.jp/program/culture_tokyo/ 聞いたって下さい。

 名古屋のインタ・エフエムが局を閉じたらしいですね。新潟のPORTエフエムも「停波」

 宣言を出していました。コロナ騒動で同様の事件が頻発するかも知れません。

 こうやって重たい気分で日々を過ごしていても、来るものはやって来ます。

 わたしは来週が誕生日。あるマヂナイ師によれば、今年はツバチリに調子がいい筈

 だったのですが、年明け早々大陸からのコロナにやられています。日頃の心掛け、

 行いが宜しくないせいでしょうか。

 年齢に合わせたリクエストをいただいております。これに引っ掛けて、わたしの

 2020年は誕生日過ぎから、そう思い直すことにしましょう。

 ナット・キング・コール・トリオで「ルート66」。

M21.Route 66(2’59”)Nat King Cole 

-B.Troup-  英ロック誌MOJO2013年7月号のオマケ

後TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  「賢いこのウイルスは人間の油断と不和を待っているように思えてならない」

 ハワイ在住の今村太一医師の言葉です。重いですね。

 「明日、抱きしめ合えるように今日は離れていよう。明日、もっと走れる

 ように、今日は立ち止まっていよう」これは少し感染者が減って来たイタリアで

 叫ばれた言葉です。みんな、ここで我慢して、この暗い雲が晴れるのを待ち

 ましょう。

 今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

https://firestorage.jp/download/d624a814ddba49cc7266af05c0538bcf7a2d0e16

 ダウンロード・パスワードは、ruhr0hd3です

 今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

 そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

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【幻】モーニン・ブルーズ 2020/03/28

mb200328

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようございます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2020年3月28日

 を始めますよ。町はコロナで大騒ぎです。庶民は猫の目のように変わる対応に振

 り回されている、というのが本当の姿でしょうか。この後に及んで「週末の

 外出自粛」を要請されても、困る人たちがいるのは事実です。「ほっとけば何

 とかなる」と先送りした初動の拙さのツケです。そういう為政者、指導者を選

 んだわたしたちにも責任は大いにあります。これを忘れない事ですね。

  大友良英がね、「自分の予定されていた仕事、特に一般客を入れる音楽実演

 が次々に中止になるのは悲しいけれど、ここで世の中を一度白紙にしてみた

 らどうだろう、休もう」という趣旨の発言をしていました。正しい。少々大

 袈裟ではありますが、今回の騒動がわたしにはバベルの塔のようにも見えてき

 ます。こういう時こそラジオです。

M01.憧れのラジオ・ガール(4’16”)南佳孝

-T.Matsumoto, Y.Minami-  ソニー SRCL 4129

N  今朝の1曲目は、「憧れのラジオ・ガール」南佳孝でした。わたしにとってはか

 なり唐突な主題を持つこの歌は、確かシングル盤にもなりました。この前に「モン

 ロ・ヲーク」が郷ひろみの「セクシー・ユー」として売れてたから、南佳孝ここにあり

 と大ヒットを狙ったのでしょうか。

  『サウス・オヴ・ボーダー~国境の南』から『セヴンス・アヴェヌー・サウス〜七番街南』ま

 で、1970年代終わりから80年代初頭の間、南佳孝の音楽はかなり充実して

 いました。坂本龍一の編曲、一流音楽家の演奏も冴え渡り、ジャケットも凝って

 いました。『七番街南』に使われた「夜更かしをする人たち」には参った。素

 直に感服しました。

  南佳孝を冒頭に持って来たのには訳があります。先週末のNHK総合テレビ

 で時代劇の殺陣の演技に命をかけた大部屋俳優物語が放送されていました。

 超高速ヴィディオ・カメラなど同放送局が導入した最新の収録技術の宣伝色も強く、

 ひょっとしたら再放送かもしれませんが、わたしはとても面白く観ました。

  そのテレビ劇の題名が何と「スローな武士にしてくれ」だったのです。やられま

 した。これは南義孝が音楽を担当した同名映画の主題歌で、「ヲンチュー」の唄い

 出しが新鮮でした。前述の番組の最後でこれが被さってくるので、終了後し

 っかり聞こうと探したら、何と持っていません。「現」時代に確か使った覚え 

 あるんだけどな。図書館からかり出したのかな。とにかく、現物がない。そ

 れでCBSソニー時代のベスト盤を入手して聞き直した次第です。

  あ、京橋からの生放送、予定は着々と進んでいます。澤田修が4月からの

 レギュラー番組に起用されて慌ただしいようですが、リクエストなどは既に受付中です。

 宛て先を申し上げておきましょう。 

  104-0031東京都中央区京橋3-1-1 東京スクエアガーデン

  中央エフエム「オーサム・ビーツ、モーニン・ブルーズ」の係、「御中」

M02.スローなブギにしてくれ(3’11”)南佳孝

-T.Matsumoto, Y.Minami-  ソニー SRCL 4129

M03.スローなブギにしてくれ(3’02”)橋本仁

-T.Matsumoto, Y.Minami-  エイベックス  AVCD-1110

N  「ヲンチュー」が 続きました。ロック・ステディ調の「スローなブギにしてくれ」を唄っ

 ていたのは、大阪でアース、ウインド、アンド・ファイアのコピー集団を総師モーリス・ホワイト役

 で統率していた橋本仁という男です。忘れないでね、「御中」。

  さてやのとあがつま名義で出ている『遊星と蝶々』、これはなかなかの作品

 です。以前2曲ほど紹介した時も、重度聴取者の方たちから鋭い反応を頂き

 ました。ありがとうございます。

  その時に「矢野顕子自身はこれまで殊更に日本を意識した事はないのでは

 ないか」、と申しました。これはよくある取って付けたような「和風情緒」を

 演出しようとしなかった、という意味でして、少々言葉足らずだったようで

 す。

  南佳孝のCBSソニー時代ベスト盤を探しに行った時に、そのレコード店で流れてい

 たのが矢野顕子のデビュー盤『ジャパニーズ・ガール』でした。立ち読みをしたりし

 て比較的長時間店内にいたせいもあり、1976年当時の矢野顕子の音楽がジワジ

 ワとわたしに伝わって来ました。ちょうど青森の民謡を集めた2枚組も出たば

 かりですから、それも含めて『遊星と蝶々』をもう一度聞いて行きましょう。

M04.津軽ツアー(2’11”)矢野顕子

-A.Yano-  徳間 TKCA-70371

N  矢野顕子1976年の『ジャパニーズ・ガール』から「津軽トゥア」でした。演奏はリト

 ル・フィートです。このアルバム制作を取り仕切った三浦光紀によりますと、作業開

 始に当たって「誰と一緒に録音したいか」と尋ねたところ、矢野顕子は「ザ・

 バンドと演りたい」と答えたそうです。あらゆる意味で恐ろしいですね。

  さて今の「津軽トゥア」では後半が「ホーハイ節」に変わって行きます。青森に伝

 わる盆踊り歌の掛け声ですね。この流れが何とも自然で、木に竹をつないだ

 ようなチャチな和洋合奏ではありません。何よりも自信に溢れ、堂々とした矢野

 顕子自身が圧倒的です。この時彼女はまだ20歳そこそこなのです。ザ・バンド

 の代わりに「じゃあ」と指名されたリトル・フィートも精一杯の対応をしています。

 これも心地良い。

  さて2019 年の東京でもこの「ホーハイ節」が聞かれました。民謡クルセイダーズで

 す。アルバム『エコーズ・オヴ・ジャパン』から聞きましょう。

M05.ホーハイ節(5’12”)民謡クルセイダーズ

-trd.-  Pヴァイン  PCD-25239

N  民謡クルセイダーズの「ホーハイ節」、アルバム『エコーズ・オヴ・ジャパン』からでした。こ

 のグループのリード・ヴォーカルのフレディ塚本は民謡を正しく学んだ人間で、それが民

 クルの単なるゲテ物化を救っている、とわたしは見ています。今の「ホーハイ節」も

 なかなかの出来映えでした。後は演奏楽器の音色をもう少し何とかしてくれ

 ればなあ、と希望します。

  この40年以上前に世界の最先端で唄われていた「ホーハイ節」、矢野顕子が登 

 場した時、何人かは彼女の「津軽ルーツ」に着眼しましたが、本人の個性があま

 りに際立っていたので、このような伝承要素はその陰に隠れてしまっていた

 ような印象すらあります。矢野顕子自身にとっては、育つ途中で耳にしてい

 たこの掛け声が蘇った作用による、極く自然な表現だったと思われますが、

 今聞いてもその独創性には舌を巻くばかりです。

  さて、先ほど民クルの「フレディ塚本は民謡を正しく学んんだ」と申しました。

 似非民謡が蔓延っている今の世の中では、ちょっと風変わりな日本調の音楽

 がすぐ民謡的と解釈されますが、そんな甘いものじゃない。まず発声からし

 て西洋の音楽とは全く異なりますし、鍛え上げられた節コブシが響かなければ

 成立しない世界なのです。

  そこんとこを矢野顕子はよおく分かっている。前回お聞きいただいた「弥

 三郎節」では本人が実に上手に唄っていましたが、次の「あいや節」では白

 戸琴菜という今年13歳になる少女がリード・ヴォーカルを担当しています。どうぞ。

M06.あいや節(5’02”)やのとあがつま  

-trd.-  スピードスター / ビクター VICL-65280      

M07.津軽あいや節(3’22”)佐藤りつ

-trd.-  華宙舎 / オフノート  OK-6

N  やのとあがつま、新譜『アステロイド・アンド・バタフライ』から「あいや節」でした

 弱冠13歳の白戸琴菜の確信に満ちた歌声も、お見事です。

  続けましたのは『真説じょんがら節』から佐藤りつという人の「津軽あい

 や節」でした。昭和8年、1933年の録音です。いきなりこういう物に接しま

 すと、今に生きるわたしたちは誰でも戸惑うのが事実です。ただ何度か聞い

 ていますと、理解も深まり面白さも感じるようになります。その切っ掛けと

 なるひとつは「ことば」ですね。今の津軽あいや節ですと、まだ細部は分か

 り難いでしょうが、次の「山づくし」なら多少は親近感を持って貰えるでし

 ょうか。

M08.津軽小原節(山づくし)(2’49”)津軽家小すわ  

-trd.-  華宙舎 / オフノート  OK-6

N  春日山、嵐山、高尾山、大江山、そして富士の山、最後に津軽のオハラ岩木山

 と締めるあたりは構成の妙ですね。ことばの訛り具合も面白いですし、何し

 ろ発声が驚異的です。津軽家小すわで「津軽小原節〜山づくし」でした。

  このオハラ節というのは日本全国にあるようです。瞽女さんが移動しながら唄

 い、それが各地に残って伝わっているという説が正しいそうですが、わたし

 は西郷輝彦の「青春小原節」のせいでしょうか、ずっと鹿児島の俗謡歌だと

 思っていました。「西郷隆盛はおいらの兄貴・・・」のところを覚えてますね、

 まだ。

M09.津軽じょんがら節(踊用)(3’08”)佐藤りつ

-trd.-  華宙舎 / オフノート  OK-6

N  さて津軽といえばじょんがら節です、これは高度な三味線の演奏技術が要で、

 日本全国の腕利き三味線師たちがこぞって競い合います。河内にも上手いの

 がいますよ。今の佐藤りつの「津軽じょんがら節」は踊り用の編曲が施され

 ていまして、三味線は名手で知られる高橋竹山でした。「あいや」「おはら」「じ

 ょんがら」と青森、津軽を代表する三つの節を最新の2枚組『真説じょんが

 ら節』からお届けしました。

  やのとあがつまの『遊星と蝶々』から、次は誰でもご存知の「斎太郎節」

 です。伊豆の温泉旅館のテレビコマーシャルでもお馴染みですね。

M10.斎太郎節(4’49”)やのとあがつま

-trd.-  スピードスター / ビクター VICL-65280 

N  前半のピアノの低音部ではなぜか山下洋輔を連想した、やのとあがつま「斎太

 郎節」でした。

  さて今回の『遊星と蝶々』には、ショーゲキ的な『ジャパニーズ・ガール』にも収め

 られていた楽曲「ふなまち唄」が再録されています。これは彼女の創作曲で、 

 「幻」のデビュー・アルバムのために録音されたのですが、企画自体が没になった

 為に『ジャパニーズ・ガール』の初出は「ふなまち唄pt.2」になっていました。そ

 れで今回の録音は「ふなまち唄pt.3」となっています。

  1976年のパートII、2020年のパートIIIと続けてお聞きいただきましょう。

M11.ふなまち唄pt.II(5’53”)矢野顕子

-A.Yano-  徳間 TKCA-70371

M12.ふなまち唄pt.III(4’58”)やのとあがつま

-trd.-  スピードスター / ビクター VICL-65280  

N 後半部分は青森ねぷた祭、弘前ねぶた祭で飛び回る「ハネト〜跳人」の囃し

 言葉を持ち込んで、これまたドラマチックながら自然に流れて行きます。こういう

 作品を20歳で作れたのは、やはり天才矢野顕子だからでしょうか。彼女の自

 然さを何よりも尊重する完璧な考え方が素晴らしい釣り合いで表現された新 

 作『遊星と蝶々』、あなたも是非、ご自分の時間の中でゆっくりとお楽しみ下

 さい。とても豊かな心持ちになれます。

  また、彼女が導いたとも言える日本独自の響きに挑む洋楽経験者が増えて

 来ている現状は、ある意味でこの国の誰もが待っていたものです。形はどう

 あれ、ここから世界の最先端で堂々と表現出来るわたしたちだけの音楽が生

 まれて来る事をわたしは期待します。

  では同系統の新星、カルラ・トリオでお聞き下さい。

  「八風吹不動〜八つの風老けども動かず」

M13.八風吹不動(5’45”)カルラ・トリオ

-M.Yagi-  カルラ 番号なし

M14.Circle Game(2’52”)Buffy Sainte-Marie

-J.Mitchell-  Vanguard  VMD 74004  2

N   バフィー・セイントメアリの「サーコー・ゲイム」でした。今週、1本の映画を観ました。

 春に公開予定の「ラムブル」という作品です。これは北アメリカ大陸先住民、俗に

 アメリカ・インディアンと呼ばれていた民族から出た音楽家に焦点を当てた、興味深い

 ものです。

  ヨーロッパから北米大陸を侵略した白人たちは、アフリカから黒人を連れて来て奴

 隷として働かせ、差別虐待すると同時に、元からそこに住んでいた民族を追

 いやり、土地を奪い取ってアメリカ合衆国を築いたのです。この映画を見ると、

 その歴史の中でいわゆるインディアンは、黒人よりも差別され蔑まれていた事実が

 分かります。黒人のふりをして白人をやり過ごした、なんて話が出て来るく

 らいですから。

  ただ音楽の世界では才能に恵まれた人間が何人も出て、白人主体の音楽史

 を塗り替えて行ったのです。その辺りは痛快でもありますが、この 102分の

 映画では実績を築いた人間、その周辺の証言を元に、如何にアメリカ・インディアンた

 ちが普通の水準から遠く離れた暮らしを続けざるを得なかったかが、分かっ

 て来るのです。

  わたしたちは民族的な伝承による自らの存在性〜アイデンテティを失って久しく、

 そんな事に拘る事は必要ないと行った価値観の中で生きているので、長いこ

 と先に住んでいたのにその土地を追われ、身について親しみのある文化も隠

 さなければならない辛さが分かり難いかもしれません。でもね、例えば福島

 の原発事故で町を追い出され、戻れなくなっている人たちの現状を思い浮か

 べれば、多少は想像がつくでしょう。アイヌや琉球の人々への対応も無関係では

 ない。アメリカ・インディアンたちの通って来た道はもっと過酷でした。

  60年代後半に登場したバフィー・セイントメアリは、アメリカ・インディアンのフォーク歌手として

 この映画の中でも重要な役割で登場します。「サーコー・ゲイム」は映画「いちご白

 書」の主題歌としてこの国でもヒットし、彼女も有名になりました。ただしその

 前には、やはりアメリカ・インディアンが鍵となる映画の主題歌を唄っています。

  「ソルジャー・ブルー」。

M15.Soldier Blue(3’22”)Buffy Sainte Marie

-B.Sainte-Marie-   Vanguard  VMD 74004  

M16.Mr.Can’t You See(3’10”)Buffy Sainte Marie  

-B.Sainte-Marie-  Ace / Vanguard  VMD 74004   

N  アメリカ・インディアン クリー族のバフィー・セイントメアリで、映画「ソルジャー・ブルー」の主題歌、

  そして「ミスタ、キャンチュ・シー」でした。

   彼女は60年代後半にFBIやCIAから目をつけられていた程の急進的な存

 在でもあります。だからこその主題歌抜擢だったのでしょう。一方で弾き語

 り主体の音楽にも出自を反映させ、ジューズ・ハープを演奏します。口でくわえ

 て糸を引っ張って音程を調節する「口琴」と呼ばれる楽器ですね。頭蓋骨を

 響かせると良い音が出ます。彼女がピンク・フロイド、急遽招集されたデッチ上げ1910

 フルーツガム・カムパニと出演した伝説の箱根アフロディーテでもこの楽器演奏を披露して

 た記憶があります。

  ではそのジューズ・ハープを巧みに使った名曲をどうぞ。

  リンダ・アンドリンダーズで「夕陽よいそげ」。

M17.夕陽よいそげ(2’53”)ザ・リンド&リンダーズ  

-M.Kijima, H.Katoh-  TECH 32412/3

M18.ジプシー・アイズ(3’43”)ジミ・ヘンドリックス  

-J.Hendrix-   MCA 24029   

N   リンダ・アンドリンダーズで「夕陽よいそげ」でした。そして、やはりアメリカ・インデ

 ィアンの先祖を持つジミ・ヘンドリクスで「ジプシー・アイズ」でした。彼はスーパースターとし

 て映画に登場します。しかもクライマクスはウード・ストゥークでの「星条旗よ永遠なれ」。

 アメリカ・インディアンと黒人の混血という、アメリカ合衆国を支えた民族ルーツの叫びを国

 歌にぶちかました演奏は、今でも色褪せていません。

  バフィー・セイントメアリ、ジミヘンを始めとしてたくさんの再認識をさせてくれるこの

 映画につきましては公開前にもう一度お話したいと考えています。どうぞお 

 楽しみに。 

M19.When I Need You(5’13”)Michael Broomfield

-A.Hammond, C.B.Sager-   ソリッド CDSOL-5611 

N  ペタシ 66さん、マイク・ブルームフィルドの「ミスタ・ジョンスン、アンド・ミスタ・ダン」の収

 録盤を教えて下さってありがとうございます。それを探しながら、他にも彼

 が残していたアルバムを入手しました。フロリダのTKレイベルから出ていた『カウント・

 タレント・アンド・ディ・オリヂナルズ』です。今朝はそこからスライド・ギターが冴えてい

 る「はるかなる想い」でした。原曲はリオ・セイヤー1977年のヒットですね。

M20.モンロー・ヲーク(3’30”)南佳孝

-E.Kisugi, Y.Minami- ソニー SRCL 4129                                    

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  今朝の最後は南佳孝の「モンロー・ヲーク」。この郷ひろみ仕様をわたしは思い出せ

 ません。別に知らなくてもいいか。「ヲンチュー」の頃には、南佳孝自身もテレビの

 歌番組によく出ていましてね、それを観た友人が「こいつは口を開ける前に

 声が出て来る」としきりに言ってました。一理あると判断したわたしは懸命

 に追っかけましたが、納得する場面に遭遇する事はなかったですね。いつも

 ながらの与太話です。

  さてコロナ騒動に明け暮れる状況下で、わたしは今週、自分なりの万全の対策

 をとった上で、運転免許の更新を済ませ、映画の試写会にも出かけました。

 それぞれ異常なしでした。今夜も3人以上が集まる寄り合いがあったのです

 が、会場が使えなくなってしまい、流会です。とにかく皆さんもお気をつけ

 下さい。こういう時こそラジオです。

  一週間の動き、特にオリムピック「延期」を始めとして、いろいろ言いたい事は

 山ほどありますが、今週は河野太郎防衛大臣の「カタカナ語粉砕」発言に拍手だ

 な。防衛大臣になってから警戒していたけど、今回は合格だ。「都民ファースト」

 に始まって「クラスター」「オーヴァシュート」「ロックダウン」などの横文字が得意の、カイロ大

 学を首席で卒業された雌狸さんよ、あんたには次の一文を送ろう。

  「この人たちはまた、意味のわからない片言のカタカナ英語を使って人をまく

 のが上手です。上手というよりは、それが本当に立派でかっこいいと思って

 いるらしく、心ある人がくすくす笑ったり、軽蔑したりしていることを知ら

 ないのです」大岡 信の日本語相談(朝日新聞社 朝日文芸文庫)からだよ。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

https://firestorage.jp/download/84b773c1b6d4217441b28bd3a60d3a9db85688af

  ダウンロード・パスワードは、ujx53cicです。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。



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【幻】モーニン・ブルーズ 2020/03/21

mb200321

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようございます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2020年3月21日

 を始めましょう。

  昨日が春分の日、でもその前、17日から昼の方が長くなっているんです。

 春分が「お彼岸の中日」ではないですね。秒単位を無視すれば、16日が12

 時間ずつかな。ところで、この「日の出日の入り」これはどうやって決定さ

 れているのでしょうか。理科で「日の出日の入り」が出て来た小学校六年生

 の時は毎月20日前後に海まで出かけて、日の出を実際に観測していましたが、

 管轄の気象台発表とはかなり差がありました。町中では建物などによっても

 誤差が出ます。緯度と経度で決められているのでしょうか。

  今日は5時42分が「アサー」、17時54分が「ヨルー」です。行きましょう、春

 らしくボッサ・ノーヴァです。まだ暗いね。

M01. Gimme Shelter(4’36”)Groovy Waters feat.Lizette

-M,Jagger, K.Richard-  PMBmusic MBB 9998

N  以前、大家の澤田修に教えて貰ってすぐに入手した『ボッサン・ストーンズ〜ディ・ 

 イレクトロ・ボッサ・ソングブック・オヴ・ザ・ローリング・ストーンズ』からです。ボブ・マーリー

 編と一緒に買いました。想像どおりの、実に安易な企画制作でしたね。ボッサ・

 ノーヴァという音楽は、本質がなくても形が作れてしまうという見本です。

  今の「ギミ・シェルタ」は、グルーヴィー・ヲーターズ・フィーチュアリング・リゼットというC調

 な名義になっています。CD盤自体はメキシコ製ですが、実際の録音はどこでしょ

 う。どこの国の人間が関わっているのでしょうか。謎の多い『ボッサン・ストーンズ

 〜ディ・イレクトロ・ボッサ・ソングブック・オヴ・ザ・ローリング・ストーンズ』でした。

  件の病魔コロナ・ウイルスの猛威が収まりません。こういう漠然とした不安が募る

 時、わたしがいつも思い出すのはこの「ギミ・シェルタ」という歌です。

   嵐がやって来るみたいだ 今日は大変な1日になりそうだ

   どこか逃げ場がなけりゃ おいらは吹き飛ばされてしまう

   戦争だ、みんな気をつけろ 全てを踏みにじる戦いだ・・・

M02.ギミー・シェルター(4’36”)ザ・ローリング・ストーンズ   

-M,Jagger, K.Richard-  ロンドン / ポリドール  P25L 25045  

N  1969年に発表された傑作LP『レット・イト・ブリード』の冒頭を飾るこの「ギミ・

 シェルタ」は、冒頭でフェイド・インして来るパカッション、トレモロのかけられたエレキの音から

 して不確定要素に溢れています。それにドラムズ、ベイスが加わると一定の音圧

 が洪水や津波のように激流となって押し寄せて来る。正に「問答無用」。その

 中で流されないように決死の踏ん張りでこらえるミック・ジャガーの叫びヴォーカルが

 聞こえて来ます。素晴らしい。制作担当のジミー・ミラーの能力も最大限に発揮さ

 れている感じです。

  この歌はミック・テイラー加入直後の1969年アメリカン・トゥアでも演奏されていて、映

 画「ギミ・シェルタ」の中では、フリー・コンサートをオルタモント・スピードウェイで行うことが数

 日前に決まって、その会場施工を突貫で行う場面に被されます。12 月のサンフラ

 ンシスコ郊外ですから結構寒いでしょう。陽が落ちて寒風吹き荒ぶ中、鉄骨を組

 み上げて行く作業映像の背景に流れる「ギミ・シェルタ」・・・、この場面がまた

 素晴らしい。迫り来る危機に押しつぶされそうになった切迫感溢れる音にな

 っています。でもなぜかどの盤にも収録されていません。LPからCD時代に

 なりDVDとの組み合わせで出た、この時実況盤『ゲット・ヤ・ヤズ・アウト』の豪

 華仕様にも入っていませんでした。それで3年後の72年の北米トゥアを収録し

 た実況録音『レイディイズ・アンド・ジェントルメン』を聞いてみたという訳です。

M03.ギミー・シェルター(4’51”)ザ・ローリング・ストーンズ   

-M,Jagger, K.Richard-  ユニバーサル  UICY-76339 

N  1972年の北米トゥアの実況録音『レイディイズ・アンド・ジェントルメン』から「ギミ・シェ

 ルター」でした。まだミック・テイラーがいる頃で、ボビー・キイズ、ジム・プライス、ニッキ・

 ホプキンズが入った8人編成のストーンズです。ショウ全体の内容、構成は改められま

 したが、73年1月の「幻」日本公演にはこの陣容で来る事になってました。

 日本武道館で、前座はフラワー・トラヴェリン・バンドです。

  それはともかく、この1972年の北米トゥアをミック・ジャガーはとても高く評価し

 ているそうです。この頃ストーンズはもはや不良少年たちの集まったビート・グループ

 ではなく、既に正真正銘の世界一のロックバンドでした。旅公演はドサ回りでは

 なくワールド・トゥアです。小さなコンサート会場から運動競技場を使う「アリーナ・ショウ」

 を開拓する、巨大なロック・ビジネスへの先駆でした。大きな舞台装置、照明、音

 響を使い、メムバだけでなく補充演奏家も加え、誰もが満足出来る迫力の舞台

 娯楽を創り上げたのです。ザ・ローリング・ストーンズ72年の北米トゥアがその後のロック

 / ポップ音楽の実演興行に計り知れない影響を与えたのは、火を見るよりも明

 らかでしょう。マイクー・ジャクスンやマードンナだってその例から漏れません。

  ただヒネクレ者のわたしとしましては、69年の北米トゥアの方がロックバンドとして相

 応しかったように感じます。ギタリストが交代するという大手術の後、ミックはそこ

 までの旧態依然とした芸能界的しがらみを断ち切って独立を目指し、自身の

 レコード・レイベルを起こし、活動はもちろん、存在をも自分たちで管理しようと

 しました。その第一歩として成功させたのがこの時の北米トウァですから、彼の

 気持ちは分からなくもありませんが、どうかなあ。いま聞くと確かに一定の

 音は出ていますが、緊張感が足りず、演奏が雑です。全体にスリルに欠けます。

 69年の時は音に危機感が漂っていて、それがロック音楽の骨格を支えていたよう

 に思えるのです。

  でもね、みんなこのストーンズに憧れた。この時には日本から大勢の音楽関係

 者が、西海岸まで観に行ってます。ヌウ・ミュージック・マガジーンやアサヒグラフの特集記

 事にもなった。非合法録音の海賊盤もたくさん出ていた。18歳のわたしは雑

 誌を読んでは海賊盤を聞き、世界一のロックバンドに想いを馳せていたのです。

  メムバ紹介の最後がキース・リチャード、そして間髪を入れず「バイバイ、ジョニー」が

 始まるところは、海賊盤で聞きました。今でもはっきりと覚えています。

M04.バイバイ・ジョニー(4’32”)ザ・ローリング・ストーンズ

-C.Berry-  ユニバーサル  UICY-76339

M05.Funnie Mae(2’05”)Booker T. & The MG’S

-B.Brown, W.Grassco-  Pヴァイン  PCD-4935  

N  ザ・ローリング・ストーンズ72年の北米トゥアから「バイバイ、ジョニー」でした。「ギミ

 シェルタ」の実況仕様を聞きたくて、おさらいしたストーンズの『レイディーズ・アンド・

 ジェントルメン』です。数少ないわたしの私物DVDに「ギミ・シェルタ」があります。

 こちらも、もう一度観てみよう。

  続けたのはブッカーTとエムジーズで、「ファニ・メイ」でした。勘の鋭い方はもうお

 分かりですね、ザ・ローリング・ストーンズの犯罪行為の筆頭に挙げられるのが、こ

 の「ファニ・メイ」をそっくりパクったこれです、

  「西海岸の宣伝屋助手」。

M06.ウエスト・コーストの宣伝屋(3’10”)ザ・ローリング・ストーンズ

-N.Phelge-  ロンドン / ポリドール  P25L 25035  

M07.2120 South Michigan Ave.(4’38”)

George Thorogood And The Destroyers feat.Chalie Musselwhite 

-N.Phelge-   Capital 50099902933825  

N  「西海岸の宣伝屋助手」に続けましたのは、同じく「ナンカ・フェルヂ」名義で作

 者登録がされている「南ミシガン通り2120番地」、ジョージ・サラグッドとデストロイヤー

 ズ、フィーチュアリング・クロマチック的音色のチャーリー・マッセルホワイトでした。数週間前にお届け

 しましたら嬉しい反応がありまして、今朝もお楽しみ頂きます。流石にこれ

 は盗作ではないでしょう、というか被害楽曲をわたしはまだ知りません。

  さて先週の『至上の愛』アリーサ・フランクリンにもたくさんのご反響を頂きました。

 やっぱり純な信仰心というのは人を打つのでしょうか。それはね、打たれた

 人たちが純粋な信心を持っているという証明だ、とも言えます。宗教を問わ

 ず、信じる人は救われるのです、ぬわんちって。

  タクシ・ドライヴァ45979号さんの投稿にありましたとおり、この場にミック・ジャ

 ガーが居合わせているんです。初日のカットでチラリと写ります。隣りはチャーリー・

 ワッツじゃないでしょうか。2日目はもう少し長く写ってます。お供を連れて仰々

 しくではなく、噂を聞きつけて足を運んでみた、そんな感じです。多分、先

 ほどの72年北米トウァの時の空き日だったのではないでしょうか。周りの誰も

 「あ、ミックだ」なんて騒いでいません。通りがかりの白人客といった感じでアリ

 ーサとジェイムズ・クリーヴランドの儀式を観ています。至近距離で何か感じたのかな

 あ。心を打たれたのかなあ・・・。別に興奮して踊り出したりはしていませ

 んでしたが、妙に嬉しかったですね。 

  市販されているこのDVDにはリージョンの問題が付きまとっているようです。

 販売元でも絶対に分かっているのに改めないのはなぜでしょうか。ご注意下

 さい。

  では明日の朝の礼拝のためにゴスペルを一曲お届けしましょう。

  アルバム『至上の愛』からアリーサ・フランクリンと南キャーフォーニャ・コミュニティ・クワイアです。

  2日目の「ワッタ・フレンド・ウィ・ハヴ・イン・ジーザス」、

 「慈しみ深き友なるイエスは・・・」の唄い出しで知られているこの歌は賛美歌

 312番として有名ですが、まるで違う歌に聞こえます、オリヂナルLPでは2枚目

 のエイメンでした。

M08.What A Friend We Have In Jesus(6’19”)Aretha Franklin

-trd.-   Rhino / Atlamtic R2 75627   

M09.Playing In A Band(4’04”)ライフ・レオ・バンド

-unknown-  BSMF 8040   

N  まるでオールマン・ブラザーズですね。殆ど「ラムブリン・マン」なこの歌は「プレイング・

 イン・ア・バンド」というもので、オランダのライフ・レオ・バンドというグループの新譜『俺

 たちが目指すとこ』からです。彼らは前作がオールマンズに捧げたアルバムだったそ

 うですから、オリヂナル曲がこうなってしまうのは、頷けなくもありません。で

 もねえ、オランダだよ、和蘭。ここは北米の黒人音楽に理解のある国で、古くは

 まるでオーティス・レディングだったハーマン・ブルードというR&B歌手がいましたし、女

 サクスフォン奏者のキャンディ・ダルファーもオランダ人でしたね。

  このアルバム『ウェア・ウィア・ヘディング』も、聞いているとリーダーでギタリストのライフ・

 レオのオールマンズへの思慕が強く感じられ、和蘭人のアイデンティティは具体的には伝わ

 って来ません。これは「自分自身でいるより、目標としてアイドル視している対

 象そのものになりたい」という、北米音楽、特に黒人音楽に憧れる人たちに

 共通した世界的な傾向です。

  わたしたちの周りにもいますね、そういう勘違いした人間たちが。自分自

 身の思想、言語、発声、音感と全く違う、そもそも体型、肌や瞳、髪の毛の

 色からして別物なのに無理な事だと思いますよ、ローマ字で名乗ったとしてもね。

  オランダ人なら、まだ人種的、文化的に近いかも知れません。そのせいでしょ

 うか、このライフ・レオ・バンドは聞いていると何か微笑ましい気分になって来る

 のも事実です。いつか彼らがその栄養を充分に吸収して、自分たちにしか表

 現出来ない世界を見せてくれる時を期待してもう一曲聞きましょう。

  同じく最新アルバム『ウェア・ウィア・ヘディング』から、「ファンキ・ガムボ」。

M10.Funky Gumbo(2’44”)ライフ・レオ・バンド

-unknown-  BSMF 8040    

M11.Tequila Con Yerba(4’00”)ファントム・ブルーズ・バンド  

-unknown-  BSMF 2693

N  和蘭憂歌団に続けましたのは「テキーラ・コン・イエルバ」ファントム・ブルーズ・バンドで

 す。彼らはタージ・マハルのバックバンドとして活動していた経験があります。グラミー

 やW.C. ハンディ賞なども貰っているそうです。ゴリゴリのブルーズだけではなく

 幅広い、グドールドR&B的音楽性を持っています。今は6人組。ドラムズ。ベ

 イス、鍵盤、ギターに、サクスフォンとトラムペットの管2本が入っています。

  「テキーラ・コン・イエルバ」というのはイエルバ茶で割ったテキーラでしょうか。美味し

 いのかな。ファントム・ブルーズ・バンド、新作『スティル・クッキン』から、今度はヴォーカル 曲

 をどうぞ。

  「バーッド・ブラーッド」。

M12.Bad Blood(3’37”)ファントム・ブルーズ・バンド

-unknown-  BSMF 2693 

M13.Born Under A Bad Sign(4’36”)Booker T. Jones

-W.Bell, B.T.Jones- Edth Street records / Amplified Distribution ESR- 51182

N  先々週、先週と続けてお届けしたブッカーTジョーンズの新作から、今朝は正に

 決定的な「悪い星の下に」を聴いて頂きました。ご存知の通り、原曲はアルバー

 ト・キングですね。その時の制作責任者はアル・ジャクスンでした。ドラムがエラくカッコイイ

 ですよ。

  これを書いたのがウイリアム・ベルとブッカーTでして、1966年のヒット曲になりまし

 た。クリームもカヴァしてましたね。わたしはゴールデン・カップスがそれをコピーしてた

 のを聞いてこの歌を知りました。

  今となっては存在自体が信じられない、若者向け朝のワイドショー「ヤング720」

 で演奏してたのを観て「これは宜しい」と興奮気味に学校に行ってから話し

 てたら、「オリジナルはアルバート・キングで、作者がブッカーTジョーンズだ」と知っている

 野郎が既にいました。悔しかったな。

  ブッカーTジョーンズの2020年仕様は、ほぼ原曲通りの構成の中で息子のテディ

 のギターが冴えてます。彼はこの世代では珍しくヘヴェメトー・ロックの過剰な影響が

 ありません。細かな音を大事にする辺りは父親譲りでしょうか。「悪い星の下

 に」、ブッカーTジョーンズでした。

  さてここ2カ月ほど、この国の報道を独占している新コロナ・ウイルス感染、これ

 ほど長い間、話題になり続ける事を誰が想像出来たでしょうか。まあこの国

 の対応の悪さが、それに拍車をかけている事実もありますけれどね。

  学校閉鎖による子供たちの自宅待機にも限度があるようで、屋外活動とし

 てテントを張っての本格的な野営が人気とか。これは面白い。ただ高度なインフラを

 前提とした無菌で清潔な文化生活に慣れている都会の現代人がいきなり野外

 に出ると面食らう事が多いので、どうぞお気をつけ下さい。まずね、電気来

 てないよ。ボーイスカウトに任せなさい。

  過去に伝染病でひどい目に何度もあっているヨーロッパは即刻封鎖を施行して、

 食い止めるのに必死です。「国土と国民を護るんだ」という行政機関の明確な

 姿勢の表れですね。にも関わらず「オリムピックを」なんて言っている島国が極東

 にあります。お笑いです。「予定どおり」だって。とっくに予定を踏み外して

 るのにね。「予定どおり」というのは、まず日程が守られての事だってのが分

 かってないですね。多分じきにWHOの意向にIOCが従わざるを得ないから、

 という言い訳で中止、あるいは延期が決定になるでしょう。おそらくもう決

 まってる筈です。現政権を護るために「どうやって誤魔化そうか」だけに頭

 をひねっているんです、立派な方々が国費を使ってね。未だに「開催反対」

 を唱えているわたしは、発表がとても楽しみです。

  そういった日本国政府の茶番劇とは別に、この世界大会でしか脚光を浴び

 られない地味な運動競技に携わる人たちの心情は如何ばかりか、と察します。

 たぶん相当には頭に来てるんじゃなかな。こういう時に「スポーツは政治と関係

 ない」という空言をほざくノータリンがいますが、現代の運動競技の国際大会は、

 政治が絡まなきゃ成立しないって事が分かってないようですね。今回の五輪

 の政治的な流れを、よおく認識して頂きたい。

  地味な運動競技に携わる人たちは競技の本質とは無縁の組織にずっと利用

 されて、最後は切り捨てられるのです。「他にやりたい奴はいくらでもいるよ」

 あるいは「そんな競技は必要ないね」とばかりに。IOCがまずそうだ。JOC な

 ど言うに及ばず。

  19日深夜に発表された専門家会議の「新見解」だって、露骨なスタンドプレイ

 で一方的に独善で決めた方針が非難の嵐を浴びたので、掌を返したような変

 更をしただけです。「休校解除は自治体の判断に委ねる」とか「イヴェントは慎重

 に」など、自らの責任を放棄して当事者たちに決定を任せるという、サイテーの

 政策です。しかもそれを他人に言わせる。何かあった場合は「だから俺は言

 ったんだよ」と必ず言い訳をするでしょう。要するに「俺の顔をツブすなよ」

 という事だけなんです。こういう時にこそ、鮮やかな政治手腕でわたしたち

 の国土、わたしたち国民を護って欲しいのですが、望むべくもないですね。

  さて外にも出られないイタリアでは、窓を開けて歌を唄ったり鍋釜を鳴らして

 共存を確認し合っていると聞きました。投稿欄に日曜日のグリ子さんも書いて

 くれていました。とても良いですね。「ゲイムは1日1時間」なんて基準を設け

 るより、よほど人間的だ。音楽が立派に機能してる。ただし、こういう時に

 唄える歌が私たちにあるかどうか、これも大きな問題です。わたしの番が回

 ってきたら「ホンダラ行進曲」で行こうかな。

  隣のフランスでは「コロナという戦争」との宣言で外出禁止令が出されていて、人

 の全くいない街頭の映像がテレビ画面では流されています。

M14.広場で(2’57”)バルバラ  

-J.Brel-  Elsur 010

N  渋谷のエルスール・レコーズからの新譜はシャンソーンです。このレコード店に通う熱心なシャ ン

 ソーンのファンがまとめた『シャンソーン拾遺集』という、題名も素敵なCDが出ました。

 日本に馴染みの深い、誤解の多いフランスの音楽の姿をもう少し多面的に楽しん

 で貰いたい、という選者の想いが伝わる内容です。そこからバルバラの「広場

 で」をお届けしました。作ったのは、ジャック・ブレルです。

  最近わたしは、この「広場」という概念が日本の都市には欠けていると感

 じるようになりました。報道番組などで庶民の意見を集める時、必ずと言っ

 て良いほど取材場所は、銀座通りの歩行者天国と新橋の蒸気機関車が展示し

 てある「SL広場」です。わたしも嫌いではありませんが、ここは「狭場」。

 ちっとも広くはありませんし、人々は慌ただしく通り過ぎて行くだけです。

 ヨーロッパの都市にはどこも広々とした「広場」があって、そこに様々なご用と

 お急ぎでない人たちが集っています。これは街という概念の違いではないで

 しょうか。しかし今は誰も居らず閑散とした状態のようです。

M15.パナム(3’42”)ジュリエット・グレコ     

-Ferre-  Elsur 010

N  『シャンソーン拾遺集』から「パナム」、ジュリエット・グレコでした。花の都パリーを唄った

 1960年の作品です。この『シャンソーン拾遺集』に超有名曲はなく、このように隠

 れた、少なくとも日本では話題にもならなかったけれども捨てがたい第二次

 大戦後の名作が20曲入っています。「拾遺集」という題名に相応しいですね。

  選曲者は蒲田耕二です。もうひとつの大きな特徴は、おそらく全てSP盤か

 らのサラ起こしであるにも関わらず、上等な音質が確保されている点です。気

 が遠くなるような雑音処理をやり遂げたのはモリタ・ジュンという人でした。

  今の「パナム」を唄っているジュリエット・グレコは、シャンソーン界に大きな波紋を投げ

 た革新的な女性歌手ですが、がマイルス・デイヴィスと出来てたなんて話は、この盤

 の解説で知りました。「死刑台のエレベイター」の時かなあ。凄い話だ。

  ではその畏れを知らぬギリシア系パリジェンヌ、ジュリエット・グリ子でもう1曲、

  年老いた踊り子が、自らの全盛時代を回想する歌、「オルガ」。

M16.オルガ(3’07”)ジュリエット・グレコ   

-Plante, Aznavour-  Elsur 010

M17.Some Of These Days(4’59”)Mike Bloomfield

-S.Brooks-  Demon FIEND CD 92

N  ジュリエット・グレコの「オルガ」に続いては「サム・オーヴ・ジーズ・デイズ」、以前ジム・

 クウェスキンの唄で聞いてもらっています。これは何とマイケル・ブルームフィールドの弾き語

 りでした。

  先週お届けした「土曜の夜の恋人に」には@驚く反響がありました。まずは

 ちびえ女史の替え歌。これには参った、参りました。「じゃがれごえ」、失

 礼いたしました。

  そしてペタシ66さんの詳細な解説にもクリビツテンギャウ。確かに番組の中で意味

 不明の長いジングル的なシークェンスが何箇所かありました。これはいつ突然コマーシャル

 が入っても全体の流れを損ねないように、各局の規定で要所要所に差し込む

 ステイション・ブレイク替わりの時間調整帯です。歌謡曲番組だと木村好夫のギター演歌

 なんかが使われていましたが、「馬場こずえの深夜営業」では、マイケル・ブルーム

 フィールドの「ミスタ・ジョンスン・アンド・ミスタ・ダン」、スティーヴ・グーッドマンの「イッツ・ア・

 シン・トゥ・テル・ア・ライ」、そしてジェシ・コリン・ヤングの「ソング・フォー・ジュリ」などだ

 ったそうです。

  これもペタシ66さんの記憶。凄い事覚えてますね。ありがとうございます。

 こういう爪弾き系器楽曲をよく知っていてセンス良く挟むラジオ職人が、その頃ま

 だ制作現場にいたという事でしょう。うーん。その「ミスタ・ジョンスン・アンド・ミス

 タ・ダン」の替わりにと、マイク・ブルームフィールドで「サム・オーヴ・ジーズ・デイズ」を

 お聞き頂きました。「ミスタ・ジョンスン・アンド・ミスタ・ダン」は何処に入っているん

 だろう。

  ペタシ66さんは、わたしがこの「土曜の夜の恋人に」から縁遠かった理由も

 推測してくれました。多分そんなところでしょう。当時は友人のレコードを借り

 て聞いていた事も一因かもしれません。

  大滝詠一がソニーと契約してナイアガラ原盤の音源を一挙に再発売した時、何枚か

 は「内容更新」を受けてオリヂナルとは異なった形になっている物がある、とい

 うのもペタシ66さんから教えてもらいました。今回「バー、バー、バー」を求め

 てわたしが手に入れた1996年版CD『ゴー・ゴー・ナイアガラ』に入っていたこの

 歌との再会は、嬉しかったですね。

M18.Cobra Twist (1’44”)大滝詠一  

-E.Ohtaki-  ソニー / ナイアガラ  SRLC 3500

N  「コブラ・ツイスト」でした。これをわたしはシングル盤「青空のように」のB面で

 聞いていました。誰かとプロレスの話をしていて発想が突如閃いたそうで、その

 頃の決め技「アバラ折り」をキイワードにして、既存のトゥイスト曲のフレイズで構成した

 大滝詠一得意の「モンタージュ」曲です。スリー・ファンキーズ「でさのよツイスト」や藤木孝

 「ママのツイスト」が盛り込まれているのがミソ。

  基本となったのは、リップコーズの「ヘイ、リル・コブラ」1963年でした。

M19.Hey Little Cobra(2’01”)The Lip Chords

-C.Connnors, M.H.Connors-  Sundazed  SC 6098

N  リップコーズの「ヘイ、リル・コブラ」、1963年にロス・エインジェルズ周辺でヒットしたホット・

 ロッド音楽です。リップコースは最初4人、途中から3人になったヴォーカル・グループで、

 制作関係者を見ると、責任者がブルース・ジョンストン、ギターがグレン・キャムベル、ジャック・

 ニーチェがセッション監督などという錚々たる布陣です。これからビーチ・ボーイズ人脈と

 の関連が深いのが分かりますね。

  後にビーチ・ボーイズのLP表題曲にもなったこの歌も吹き込んでいました。

  「リル・デュース・クープ」。

M20.Little Duce Coupe(1’55”) The Lip Chords

-B.Wilson.R.Christian-  Sundazed  SC 6098    

N  リップ・コーズの「リル・デュース・クープ」でした。これも1963年の録音でした。

  さてCD『ゴー・ゴー・ナイアガラ』で再会した「コブラ・ツイスト」は、1996年版で

 こんな仕様に生まれ変わっていました。これも嬉しかったですね。

M21.Cobra Twist[’81 MIX](2’12)大滝詠一

-E.Ohtaki-  ソニー / ナイアガラ  SRLC 3500

M22.Tinnitus(2’59”)Manou Gallo    

– M.G.Blacksmith –  DJIBOI  cj033-lc27125

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  「コブラ・ツイスト 81年ミクス」に続いたのはマヌ・ガロの『アフロ・グルーヴ・クイーン』か

 ら最終曲「ティニテュス」でした。実にクールでしたね。これは知人が「久しぶりに欲

 しくなって新品を買ったよ」と言っていた盤です。嬉しいじゃアーリマセンカ。今の

 世の中、パッケイヂ音楽は既に限りなくタダです。映像作品が「見放題」で無償

 になるのも間近でしょう。それでも盤を買って聞く、入場料を払って映画館

 で観る人はまだまだ居なくならない事を祈ります。わたしが生きている限り

 はね。

  屋台舟もライヴハウスもナーンにも悪くない。頼りにならない政府、医療機関、地

 方自治体は放っておいて、早くわたしたちでコロナを退治しよう。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

https://firestorage.jp/download/80c7fb1bc76adeedab8d8b48987c42819ca70870

  ダウンロード・パスワードは、p4nen5dyです。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

   もう少しだけど明るくなってます。

♪♪ Twitter “#blues761″の閲覧はコチラ♪♪

【幻】モーニン・ブルーズ 2020/03/14

mb200314

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようございます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2020年3月14日

 を始めましょう。義務教育機関の閉鎖、運動競技の無観客試合や音楽催事の

 中止など、新コロナウイルス感染防止対策が本格化して来ました。ここまでに打つ手

 があった筈、と感じているのはわたしだけではないでしょうが、とにかくこ

 れ以上の拡大は避けたいですね。手洗い、うがい、庶民の出来る事をして防

 ぎましょう。こういう時には家でラジオです。

M01.Barbra Ann(2’15!)The Regents

-F.Fassert-   Collectables  COL-CD-9922

N  「あ、2月29日の放送とおんなじだ」、と気づいた人は、・・・いませんね。

 「あ、台本間違ってる」と騙された人も、・・・いませんね。正真正銘の「幻」

 モーニン・ブルーズ2020年3月14日、ですよ。なあんて無観客一人相撲はこの

 くらいにします。リジェンツで「バーブラ・アン」でした。

  これを今朝の冒頭でお送りしたのには訳があります。先日の「バーブラ・アン」

 横山千本ノックの後で、身近な人間から「『バーブラ・アン』良かったけど、大事な

 のがひとつ抜けてたよ」と声をかけられました。その時に彼が引き合いに出

 した歌をわたしは全く知らなかったんです。俄然、探究心に火がつきまして

 探しました。ネット上で非常に悪い音質でほんの少し聞く事が出来たんです。

 すると余計に好奇心が燃え上がって、なんとしてでも手に入れたい、とな

 ります。その後は割と簡単でした。しかも安価に「大事なひとつ」は入手

 出来ました。

  これです。

M02.土曜の夜の恋人に(3’30”)大滝詠一

-E.Ohtaki-  CRCL-3500    

N  はい、「バーブラ・アン」を語るなら忘れちゃならない「大事なひとつ」、それが

 大滝詠一「土曜の夜の恋人に」でした。この歌は1976年に出た『ゴウ、ゴウ、

 ナイアガラ』に収められています。馬場こずえが出演していたTBSラジオの深夜番

 組主題歌ですね。「土曜の深夜」という括りですが、番組の中では本人が「日

 曜朝3時から5時」と言っていました。これは正しい。わたしも「シンヤ」では

 なく「ソーチョー番組」のつもりでお送りしております。

  主題歌を特別制作させてくれるなんて、予算があったんでしょうね。後テーマ

 も大滝詠一のオリヂナル曲のようでした。こちらの前テーマ曲は全体、特にリズムは、

 同じ時期に放送されていた野末陳平の番組のテーマ曲「チン、チン、チン、ウパッパ・ルバ

 ルバ」に影響を受けてますね。それを「馬場こずえ」で「バー、バー、バー」と

 「バーブラ・アン」を持ってきたのが、流石の大滝詠一です。カズーの動きも面白

 い。唄声もこの時期の大滝詠一ですね。

  馬場こずえという人は、その後NHKの「若いこだま」を受け持ったりし

 た、この世界でもかなりの重要人物なのですが、わたしは今日まで濃厚接触

 がなかったのですよ、意外でしょう。いま残されている録音を聞くと、ほと

 んどひとりで喋りっぱなし。勘はいいですね、なかなかに鋭い。進行も上手 

 だ。ただし積極的に音楽を紹介する人間ではないですね。流れているのはか

 なり捻られた楽曲ばかりですが、たぶん本職の選曲屋がお仕事でしているの

 でしょう。

  このアルバム『ゴウ、ゴウ、ナイアガラ』自体は当時聞いていた筈ですが、肝心のラジ

 オ番組を知らなかったので、印象が薄かったようです。「土曜の夜の恋人に」

 大滝詠一でした。

M03.会いにゆく(3’16”)やのとあがつま

-A.Yano. H.Agatsuma-  スピードスター / ビクター  VICL-65280  

N  お届けしましたのは、「会いにゆく」。やのとあがつまという名義の二人組、

 矢野顕子と三味線弾きの上妻宏光です。この新譜に関しても、わたしは知ら

 なかった。「予約受付中」というのを目にして大慌てで予約を入れたんです。

  尊敬する矢野顕子です。彼女がこういう事をしてくれた、先週のジェイムズ・

 テイラーと同じく聞く前から期待大でした。この新譜から何曲か聞いて行きまし

 ょう。

M04.いけるかも(3’25”)やのとあがつま

-A.Yano,-  スピードスター / ビクター  VICL-65280   

N  やのとあがつまの「いけるかも」、『小惑星と蝶々』という題目をもつ矢野顕

 子と上妻宏光のアルバムからお届けしました。これまでも自由に音楽をやって、

 その都度わたし達を満足させてくれ来た矢野顕子です。今回も当然、絶対的

 な質を落とさずに仕上げています。こちらも流石です。ただ今回は上妻宏光

 という三味線弾きとがっぷり組んだ制作、この新譜の知らせを耳にして、わ

 たしの期待は膨らみました。

  と言いますのは、これまで矢野顕子は他に較べようのない独特な音楽を創

 って来ていますが、決して日本的な情緒に頼って来た訳ではなく、矢野顕子

 という個人の感性の表現でした。それが海外では非常に日本的なものと解釈

 されたのは仕方ない事でしょう。なんせデビュー作が『ジャパニーズ・ガール』です

 からして。

  わたしたちが彼女の音楽に接して驚くのは、矢野顕子という個人の感性の

 異端さであり、日本的な感性に共感した訳ではなかった筈です。彼女もこと

 さら「日本的」なものを意識した事はなかったんじゃないでしょうか。今回

 参加した人たち、造られ方は、CDの詳細記載でした知り得ませんが、成功し

 ています。そう聞こえます。比較的矢野顕子的なここまでの2曲をお聞き頂 

 いまして、お分かりの方も多いでしょう。過度な緊張感がありません。

  一方、わたしですら興奮した上妻宏光という三味線弾きとの手合わせです

 からそれなりの和風な作品もいくつか収められています。民族音楽というも

 のはそんなに甘くありませんで、面白半分にかじっただけでは成立しません。

 そういう事を充分に理解した上で、彼女が実に上手にコブシ、フシを表現してい

 る「弥三郎節」を聞いてみて下さい。初めはその道の本格的な民謡歌手が唄

 っているかと思った程です。

M05.弥三郎節(3’30”)やのとあがつま

-trd.-  スピードスター / ビクター  VICL-65280  

M06.The Wilds Of Wonder(3’06”)Sonny Landreth  

-S.Landreth-  Provogue  PRD75822  

N  やのとあがつま「弥三郎節」でした。今回の作品『アステロイド・アンド・バタフライ』

 は、以前にも紹介した『民謡源流考』や『真説じょんがら節』と並べてじっ

 くり聞いてみたいですね。近いうちにその機会を設けましょう。お楽しみに。

  続けたのはサニー「学者」ランドレスの新譜『ブラックトップ・ラン』から「ザ・ワイルズ・

 オヴ・ワンダー」です。確かな腕前のスライド・ギターが冴えていました。風貌からは

 想像出来ないロック感覚に溢れています。わたしはどうしても彼の公立大学

 講師のような学者然とした風貌に引っ張られてしまいまして、その自然体で

 こういう音楽を演奏している姿が不思議に見えます。

  さて、先週このアルバムと一緒にご紹介したブッカーTジョーンズの新譜『ノート・バ

 イ・ノート』は、わたしにとって本当にゴキゲンなアルバムです。先週の「B-A-B-Y」

 や「タイム・イズ・タイト」の他に、スタクス時代のこんな歌が入っていたのには驚きま

 した。

M07.These Arms Of Mine(2’43”)Bokker T.Jones feat. Ty Taylor   

-O.Redding, –  EDR / Amplified Distribution  ESR-51182

N  オーティス・レディングの、本来はB面ですけど、事実上のデビュー・ヒットとなった自

 作曲「ジーズ・アームズ・オヴ・マイン」、ブッカーTジョーンズの新譜『ノート・バイ・ノート』

 からタイ・テイラーのヴォーカルをフィーチュアしてお送りしました。アレンヂはほぼ原曲通り、

 タイトルを唄い出す冒頭部分では誰もが「オーティスじゃないか」、と思い浮かべるで

 しょう。でも立派にタイ・テイラーの歌になっています。こんなカヴァにめぐり合え

 るなんて、長生きもしてみるものですね。ブッカーT自身もライナに「わたしの大

 きな心残りは、この録音をオーティスに聴かせられなかった事だ」と書いているの

 も充分に頷けます。

  とは言え今はもう2020年、原曲の発表から50年以上が経っているのです。

 今回の新譜はブッカーTの息子、テディ・ジョーンズが中心になって作られているよ

 うですね。新世代と力を合わせた合作です。先週の「ハバナ・ムーン」で才能豊か

 な彼のギターの片鱗はお楽しみ頂きました。今朝は彼の自作曲を聞いて貰いま

 しょう。唄も彼自身が歌っています。

  アルバムの最終曲、「パラライズド」。

M08.Paralyzed(3’30”)Bokker T.Jones feat. Teddy Jones    

-T.Jones-  EDR / Amplified Distribution  ESR-51182  

N  ブッカーTジョーンズの新譜『ノート・バイ・ノート』から息子テディ・ジョーンズのヴォーカル

 をフィーチュアして「パラライズド」でした。

  さて、アリーサ・フランクリンの『アメイジング・グレイス』と言えば、絶頂期にあった彼女

 が教会で行なった公演を収めたLP2枚組ですね。CD時代にその時の録音の

 ほぼ全てが増強されて出ていました。その時に収録された映像が最近発表さ

 れまして、出回っています。わたしの手元にも来ました。既に話題となって

 ていましたが、暫くは観ずにいました。それはずっと抱いていたLPの印象が

 あまりに神々しかったからです。わたしは内実を充分に認めるものの、敬遠

 していました。多分そんなに何回も聞いていない筈です。近づくのが半ば怖

 かった位の、特別な存在です。それに画がついたとなると、もっと切実に迫

 られる事が想像されまして、DVDはずっと机の上にありました。それを先週、

 思い切って観ました。

  流石に圧倒的な説得力でして、2日間行われたゴスペル集会のほぼ全編、通し

 て2時間以上の映像からは、瞬時も目が離せませんでしたね。この様を「素

 晴らしい」と賞賛するのは容易いでしょうが、北米の黒人音楽の底にはこう

 いうものが流れているんだ・・・、わたしからすればどうしようもない距離

 があります。しかしここにある真実は、否定出来ません。圧倒されながらも

 複雑になって来る情感、思考。それを和らげてくれたのが、アリーサと南キャーフォーニ

 ャ・コミュニュティ・クワイアの唄声でした。

M09.Precious Load, Take My Hand~You’ve Got A Friend(8’37”)

Aretha Franklin with Rev. James Cleveland

-T.Dorsey, C.King-  Rhino / Atlantic  R2 75627    

N  トーマス・ドージー作の古典「プレシャス・ロード」とキャロル・キングの「ユーヴ・ガタ・フレンド」 

 を上手くひとつにまとめたアリーサ・フランクリンと南キャーフォーニャ・コミュニュティ・クワイア。この

 ゴスペル公演のクライマクスです。どの声からも純粋な信仰心が溢れ出ています。し

 かも自然な進行で、どんどん登りつめて行く。わたしたちは全く敵いません。 

  ここでお説教を挟んだりして、全体を引っ張ってるのが、ジェイムズ・クリーヴラ

 ンド牧師です。この公演はアリーサの独演会ではなく、どちらかと言えば、彼の講

 話会が主体で、特別ゲストにアリーサ・フランクリンが招かれた、とするのが正式でしょ 

 う。ジェイムズ・クリーヴランド師も唄い手で、ピアノも弾くゴスペル音楽家です。集会 

 は彼が有り難いお話を垂れてから、「ではアリーサに唄って貰おう」といった感

 じで進めて行きます。

  演奏を受け持つのは、ドラムズがバナード・パーディ、ベイスはチャック・レイニー、ギター

 がコーネル・デュープリー、コンガにパンチョ・モラーレス、そしてオルガンはケニー・ルーパー、アレグザ

 ンダ・ハミルトンがクワイアの指揮を担当。R&Bセッションに較べれば音数が遥かに少ない

 演奏ですが、それぞれの心が熱く煮えて来るのがわかりますね。

  それでは圧倒的存在感のジェイムズ・クリーヴランドをフィーチュアして、

  「プレシャス・メモリーズ」。

M10.Precious Memories~ Ending(8’26”)

Aretha Franklin with Rev. James Cleveland    

-trd.-  Rhino / Atlantic  R2 75627  

N  「プレシャス・メモリーズ」アリーサ・フランクリン、ジェイムズ・クリーヴランドでした。このクリーヴ

 ランド師、思いのほか気さくな服装で出てきます、法衣、いや牧師の司祭着で

 はありません。ちょっと面食らいますね。話し方もごく普通で、不自然な誇

 張もありません。こういうお説教はやはりマーチン・ルーサー・キング師があの素晴ら

 しい声で絶対的な形を作りました。黒人初の米大統領に何度もなり損ねたジェ

 シー・ジャクスン師もその影響を受けていました。ジェイムズ・クリーヴランド牧師のはそ

 ういった流れとは違う、別のスタイルですね。

  ゴスペル界ではこのように著名な牧師で音楽家という存在は珍しくなく、各 

 地の教会を訪れて講話を垂れ、クアイアの指導をするのが日常的なお仕事になっ

 ています。更に条件が整えば、「ではここでLP1枚」とばかりに録音して自

 主的レコード制作までつなげる例も、かつては多く見られました。またゴスペル

 教会で唄われるのは古くからの賛美歌だけではありませんで、新しい楽曲も

 多く、常に更新が為されている世界ですから、彼のような同時代的牧師音楽

 家は必要なのです。

  ではよく知られた牧師音楽家、アンドレ・クローチの2005年のアルバム『ソウルフリイ』か

 ら彼の自作による「スルウ・イト・オール」を聴きましょう。   

M11.Through It All(3’23”)Andre Crouch   

-A.Crouch-  Light 5914

M12.One Of These Days(2’20”)Caravans feat.ShirLey Caesar 

-P.D.-  Savoy SCD 7012

N  「スルウ・イト・オール」、ゴスペル伝道師アンドレ・クローチでした。その後にお聞き頂いた

 のはゴスペル・ヴォーカル・グループの名門キャラヴァンズで「ワン・オヴ・ジーズ・デイズ」、

 同じ題名を持つ歌がゴスペルにたくさんありますが、これは古いスタンダードです  

 ね。殆どシャウトしっ放しのリードシンガーは、シャーリー・シーザーでした。実に魅力的な

 歌声です。

  ではキャラヴァンズ・フィーチュアリング・シャーリー・シーザーでもう一曲、

  「ハレルヤ、イッツ・ダン」。

M13.Halleluja It’s Done(4’05”)Caravans feat.Shirley Caesar

-E.Williams-  Savoy SCD 7012     

M14.墓標の影(3’39”)クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル

-J.Fogerty-   ビクター VICP-62073  

N  先週お届けした「タイム・イズ・タイト」はみなさんの心にかなりの印象を残せた

 ようです。良かった。関連したお便りも頂きました。

  火野さんが送ってくれた、ヤング・ミュージック・ショウのエムジーズの演奏場面、これ

 です、観ましたよ。48年振りかなあ。この頃はまだ家がカラーテレビではなかった

 ので、仲の良かった友達の家に見せて貰いに行きました。大瀬康一の「月光

 仮面」時代と同じです。

  出番を控えたクリーデンスのメムバみんながソデから憧れの眼差しで観ているのが

 いいですね。エムジーズがすぐそこで演奏しているんです。気持ち、分かるな。

 番組本編ではこの前にクリーデンスとエムジーズがスタジオでセッションする場面があって、

 そこで演奏されたのが今の「墓標の影」だった筈です。確かオーヴァラップで実演

 場面と繋がってたんじゃないかな。「墓標の影」、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴ

 ァル 、傑作アルバム 『グリーン・リヴァ』からでした。

  その他ポークパイさんご指摘のスタイル・カウンシルね、彼らは殆ど60年代のソウル・

 ミュージックをなぞってました。最初の「マイ・エヴァ・チェインジング・ムーズ」なんて音

 そのものがカーティス・メイフィールドのシカゴ・ソウルでした。ですから当然これも「タイム・

 イズ・タイト」の影響下にあるのは明白です。 

  ポークパイさんは同じ「タイム・イズ・タイト」をシングル盤でも紹介してくれまし

 たね。わたしは何年も探し歩いたアルバムでようやく聞けました。その時手に入

 ったのはK-Telの廉価版だったかな。今朝はベストCDからですので、シングル仕

 様とは微妙に違うかもしれませんが、聞いて下さい。

  「タイム・イズ・タイト」、ブッカーTとエムジーズ、1969年の作品です。

M15.Time is Tight(3’16”)Booker T. & The MG’S

-B.T.Jones-  Pヴァイン  PCD-4932      

M16.Hip Hug-Her(2’58”)Booker T. & The MG’S

-S.Cropper,B.T.Jones,D.Dunn,A.Jackson-

Wonderful Bird Records WOU-8010        

M17.Mrs.Robinson(3’42”)Booker T. & The MG’S   

-P.Simon-  Pヴァイン  PCD-4932   

N  途中からダンゴ・ミクスで繋げましたのは、「ビートにしびれて」、こちらは1970

 年発表の実況録音です。サンフランシスコでの演奏かな。そして「ミセス・ロビンスン」。エムジ

 ーズは、こういう既成のヒット曲の料理の仕方がとても上手でした。彼らの音楽

 は、一時「カースティーリオのカートリッヂ用」なんて言われてましたけれど、選曲、リズム

 のアレンジは群を抜いて独創的でした。

  やはりエムジーズはいい、とてもいい。世界中の音楽狂たちが彼らのようにな

 りたかった気持ち、分かります。

M18.The Horse(2’44”)Booker T. & The MG’S   

-J.James-  Pヴァイン  PCD-4932    

N  当時流行っていた踊りにあやかって命名された、「ラーヴ・イズ・オールライト」とい 

 う題名のヴォーカル曲のB面カラオケ、「ザ・ホース」でした。これも堪らない出来です

 ね、踊りは馬に乗って手綱を操る仕草をするんです。「現」時代にこれを回し

 て、八木新之助プロデューサーと踊ったのは、今も忘れられません。

  つい調子に乗って続けたブッカーTとエムジーズ、ひとまずお休みにしますが、

 これで締めといたしましょう。正に決定的な「グルーヴィン」。

M19.Groovin’(2’44”)Booker T. & The MG’S 

-F.cavalliere-  ワーナー WPCR-27551   

M20.Everytime We Say Goodbye(5’39”)John Coltrane

-C.Porter-  Atlamtic  1361-2      

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  「幻」3月14日、最後の1曲は、「エヴリタイム・ウイ・セイ・グーッドバーイ」、ジョン・

 コルトレイン、1961年のアルバム『わたしの好きな物』からでした。ここでピアノを弾

 いていたマッコイ・タイナーがこの6日に亡くなっていました。わたしは彼個人の音

 楽をそんなに沢山聞いていたという訳ではありませんが、頻繁にヌー・ヨークに行

 っていた頃にブルー・ノートの日程表を見ると、殆ど必ず彼の名前がありましてね。

 それもいつもビッグバンド編成でした。その頃すでにこの演奏形態は時代遅れ

 になっていましたが、彼にはビッグバンドでなければ表現出来ない音楽があっ

 たようです。「ああ、どうしてもこれでやりたいんだな」と、毎回妙な納得を

 していました。それで彼の名前を聞くとブルー・ノートが連想されるのです。一度

 でも観ときゃ良かったな。享年82、安らかにお休み下さい。

  東京書籍から出ている向井康介著「大阪芸術大学」を読み終えました。こ

 れは大変面白い。いま映像作家で活躍している著者が、四国の田舎から大阪

 の河南町にある大阪芸術大学に入って過ごした4年間の記録です。旅先の本

 屋で立ち読みして約束に遅れた程に読ませる一冊です。ここの大家さん澤田

 修もこの学校の出身ですので、いま貸してあります。多分もう読み通した事

 でしょう。みなさんにもお薦めしておきます。

  エリスの最新号が公開になっています。Http://bccks.jp/bcck/162940/info

 行ってパスワード「an87cを入れてくれれば、読む事が出来ます。

  「幻」今朝の特別付録は、以下の隠し場所、どうぞお楽しみ下さい。

https://firestorage.jp/download/c0dff1800dfac446e6eb74910ea7fc4c52a01ed5

  ダウンロード・パスワードは、w9nn789wです。

  一向に終息の兆しすら見えない新型コロナ・ウイルス性肺炎の猛威、イタリアはかなり

 深刻な状態のようです。夏の世界的な催しだけを優先しているこの国の政府

 の対応なんかあてになりませんから、ひとりひとりの力で感染を防ぐだけで

 す。何よりまず、手洗いとうがいで凌ごう、みんな。

  さて今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

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【幻】モーニン・ブルーズ 2020/03/07

mb200307

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようございます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2020年3月7日

 を始めましょう。観客なしで行うプロスポーツ、出場選手はどんな思いなのでし

 ょうか。阪神タイガーズの人たちがね、一番調子狂うって言ってた人がいます。

 「普段増笛や太鼓で大騒ぎしてるでしょう。ラッパ吹いたり風船とばしてる中

 でやってるから、全然その気にならんとちゃうか」ってね。確かにそうです。

 お客の応援もなければ野次もない。まるで高等学校の練習試合ですからね。

 その割に2月29日には本塁打が5本も出てたりもしましたが。明日からの大

 相撲は悲惨だろうな。本当に可哀想です。

  こういう娯楽系の催事を御える事は大義名分が成立し易いので簡単に言え

 ますが、関係者たちの経済活動が掛かってます。感染対策万全の国会や官邸、

 党本部の間を公用車で移動している、絶対安全地帯にいる人間は、何か感じ

 ているんでしょうかね。

  もうそろそろ、明らかに手遅れな、馬鹿げた、その場しのぎの、大向こう

 受けを意識した対応発表を「ここらで止めてもいいコロナ」。

M01.自動車ショー歌(2’45”)小林旭

-T.Hoshino, G.Kanoh-  クラウン CRCN 40051

N 小林旭「自動車ショー歌」でした。現代文の口語訳を致します。

    あの娘を自分の愛玩女にしたいからといって

   毎日ただ通っているだけなのは馬鹿ではないか

   身も心も痺れた状態で待っていても

   後で冷たい仕打ちを受けるのに決まっている

   だからと言って酒を浴びるが如く呑むのも程々に

   この辺りで止めたらどうだろうか

  恐ろしい歌ですね。当時はもちろん、今でもNHKでは絶対唄えないでし

 ょう。これが発表されたのが1965年。わたしの記憶にもあります。結構なヒ

 ットもしてたようで、町の大きなレコード店の売り上げ番付にも載ってたな。

  あくまで一般的な名前だけですが、今では既に無くなっているメイカー、ブランド、

 モデルが出て来るのもご愛嬌です。以前御紹介した「恋の山手線」の二番煎

 じと言えなくもありませんが、「おやマーキューリーな人だこと てなてなおだてに

 すぐルノー」などという辺りには、感心せざるを得ません。間奏で「若い民謡」

 風になるのもオツなところ。

  もちろん、この歌を成立させているのは「アキラの無意識過剰」な人間性があ

 っての事、脱帽です。「パンデミック」とか「クラスター」なんて縁遠いカタカナで真実を

 煙に巻くダマシ方というのは、80年代までの低俗無能広告屋のする事です。そ

 れ以前の「自動車ショー歌」のぶっ飛んだ言語感覚を見習って欲しいですね。

  さて「無意識過剰のアキラ」、もう一曲行きましょう。

  「さすらい」です。

M02.さすらい(3’34”)小林旭       

-S.Nishizawa、K.Tsubouchi, S.Komabayashi-  クラウン CRCN 40051  

N  小林旭の「さすらい」でした。

  「夜がまた来る思い出つれて・・・」と唄い出されると、この人は決して

 「無意識過剰」ではないな、と素直に納得出来ます。ただ、どうやって感情

 移入をしているのか、他人には分からない。そこがこの人の最大の謎です。

  さて「さすらい」と言えばもうひとつ別の歌があります。今のアキラは詞西澤

 爽、曲が植内要、狛林正一で1960年に発表されたものですが、その5年後

 にも同じ題名のヒット曲がありました。唄っていたのはこの人です。

M03.エイトマンのうた(2’40”)克美しげる            

-T.Maeda, T.Hagiwara-  東芝TOCT-8513

N  「エイトマンのうた」、唄はミスタ・エイトマン克美しげるでした。数年前に通信屋のテレビ・

 コマーシャルで使われていたのを思い出した人たちも多いでしょう。

  「エイトマン」は人気漫画がテレビアニメイション化されたもので64年に日本中を席捲し

 ました。ふりかけの丸美屋提供の30分番組があって、それを見逃さないため

 に毎週木曜日の夕方には、わたしも遊び場から走って帰りました。

  「警視庁捜査一課の刑事は七人ずつ7つの課に組織されている。そのどこ

 にも属さない八番目の刑事が、エイトマンなのだ」という触れ込みです。それまで

 の「鉄腕アトム」や「鉄人28号」が完全なお子様仕立てだったのに較べると、

 かなり大人っぽい雰囲気が漂っています。でもこの「エイトマン」は改造人間で、

 危機が迫るとスーパーマンみたいに「ヘンシーン」します。体は鋼鉄で出来ているので、

 物語も事件推理より派手なロボット同士の超現実的殺陣が売りだった筈です。ワツ

 シ少年はフォノシート本を買って貰っていて、繰り返し何度も聞いていましたね。

  先日中古盤屋でこの時代のテレビ漫画主題歌を集めたLP箱物を見つけたの

 ですが、表紙には漫画「エイトマン」の絵がありませんでした。唄っていた克美し

 げるは洋楽の日本語詞カヴァをしていた唄い手で、声に象徴されるように爽や

 かなイメヂがあって、ワツシ少年の好きなひとりでした。しかし女と博打にだらし

 なく、身を売るまでして彼の歌手生命を支えていた愛人を殺して収監され、

 出所後に今度は覚醒剤使用で再逮捕されました。その後2013年に亡くなって

 いたのが報道されています。「呑み、打つ、買う」の全部で失敗したのです。

  殺人事件直後に彼の録音作品は市場から消えました。今もそれは続いてい

 て、「さすらい」は古いドーナツ盤を手に入れないと聞く事が出来ません。先日

 槙原敬之が2年越しの捜査で逮捕された時も、すぐにメイカーから全作品の「廃

 盤」処理が宣言され、店頭在庫以外はもう買えなくなりました。楽曲の関係

 者が犯罪に関与していた場合、テレビ番組の主題歌なんかでは問題にもなるで

 しょうが、作品全てを市場から抹殺しちゃうのはどうかなあ。例えば克美し

 げるの「さすらい」は、とても良い唄ですよ。でも聞けない。

  「犯罪」当事者に依存してお給料を貰ってた人たちも多いでしょうにね。

 この類の事件が起きた時に、「本人とは一切関係ありません」なんてわざわざ 

 公式発表や無差別送信をするところもあります。「掌を返す」というのはこう

 いう事です。これは一種の裏切りですし、周りにいたのにそこまでに気づか

 ず何もしなかった人たちにも、大きな責任はあるでしょう。

  あ、「エイトマン」でした。作詞が前田武彦、作曲が萩原哲晶、悪い筈がない。

 特に作曲が素晴らしい。頭の「ファイト、ファイト、エイト、エイト」は萩原哲晶の発案で

 はないでしょうか。彼が「戦時中にイヤという程やらされたので、知らぬうち

 に行進曲は得意になった」とどこかで話していました。確かに「ホンダラ」「ゴマ

 すり」「大冒険」と、彼が関わったクレイジーの行進曲は、出来が宜しい。でも克

 己しげるの声が歌に健全な色をつけています  

  この主題歌はなぜかCDになっていて、今も聞けるようです。この国は子

 供には寛容なのでしょうか。エイトマンのフォノシートに入っていた主題歌じゃない挿入

 歌を聞いてみたいので、昭和アニメ全集を手に入れようかな・・・。

M04.Many Worlds(3’01”)Sonny Landreth

-S.Landreth-  Provogue  PRD75822

N  サニー・ランドレスの新譜が出ました。『ブラックトップ・ラン』、「舗装道路走行」でしょ

 うか。ジャケット裏には遠くまで続く舗装された道が描かれています。5年振りの

 録音作品だそうです。おととしですか、恵比寿で聞かせてくれたのは。あの

 学者然とした姿、演奏態度が今も瞼に残っています。

  お聞き頂いたのは「メニー・ワールズ」全体の印象は「あー、やっぱランドレス」で

 す。もちろんギターを何本も持ち替えて様々な音色を聞かせてくれますが、全

 体の統一されたランドレス像は変わりません。学者然とした姿、演奏態度が見え

 ます。適度な緊張感が心地良いですね。

  さて次の一枚もわたしにとってとても嬉しい新譜でした。

  まず聞いて下さい。カーラ・トーマスでお馴染みですね「B-A-B-Y」。

M05.B-AB-Y(3’12”)Bokker T.Jones  

EDR / Amplified Distribution  ESR-51182

N  「B-A-B-Y」、ブッカーTジョーンズの新譜『ノート・バイ・ノート』からでした。唄って

 いたのは、アヤナ・アイリッシュです。ブッカーTジョーンズ自身の「ノート」によれば、カーラ

 の「B-A-B-Y」は、彼のスタクスでの最も輝ける編曲なんだそうです。確かに可愛

 らしさと南部R&Bの泥臭さが調和した魅力的な仕上がりです。ほぼそのまま

 を2019年にキャリフォーニャで演奏、録音していますが、ちっとも懐メロ的ではなくて、

 力強い響きです。

  このアルバムは、彼の職業音楽家としての実績を固めたメムフィスのスタクス・レーベル期

 のおさらいを、息子のギタリスト、テディと一緒にまとめたもののようですが、こ

 んなに元気一杯の新しい1曲も入っています。

M06.Havana Moon(4’27”)Bokker T.Jones       

EDR / Amplified Distribution  ESR-51182

N  演奏開始と終了部分のハチロク・ビートがなんとも気持ち良い「ハバナ・ボート」でし

 た。ご存知の通りチャック・ベリーが原曲ですね。これは意外でした。ブッカーTジョ

 ーンズとチャックの関係は今まで知りませんでしたからね。ひょっとして息子テディ

 の持ち寄った楽曲かもしれません。彼の個性的なギターはこのアルバム全般で大活

 躍です。なお今の「ハバナ・ボート」では、レニー・カストロがパカッションを担当していま

 した。

  さて偶然レコード屋さんの店頭で見つけたこの『ノート・バイ・ノート』、即座に購入

 を決めたのは、この曲の完全版とも言える仕様が入っていたからでもありま

 す。ブッカーTもこれを録音するのは最後じゃないかな・・・。

M07.Time Is Tight(9’04”)Bokker T.Jones         

EDR / Amplified Distribution  ESR-51182

N  名曲「タイム・イズ・タイト」、ブッカーTジョーンズ自身も何回か録音していますが、 

 これが決定的な仕様となるでしょう。えらく大曲風になってますが、嫌味は

 ありません。この匙加減がブッカーTジョーンズの身上ですね。

  この楽曲「タイム・イズ・タイト」は1971年にNHKテレビの「ヤング・ミュージック・ショ

 ウ」の第一回で、クリーデンス・クリアヲータ・リヴァイヴォー公演が放送になった時、前座を

 務めたエムジーズが演奏した場面を未だに克明に覚えています。4人はオリヂナル・

 メムバでね。中間部の長いブレイク部分で感極まったアル・ジャクスンが立ち上がっその

 場でぐるりと体を回す場面が、実に印象的だったなあ。それ以来、この「タイム・

 イズ・タイト」を探し続けたんですが、なかなか決定的な録音に出会えませんで

 した。 映画「アップ・タイト」のサントラとかブルーズ・ブラザーズのとか、どれも今ひ

 とつ。それが今回の新譜収録の長尺物で満足出来ました。嬉しいですね、ホント。

  さて、ブッカーTジョーンズの職歴で割と知られていないのが、ウイリー・ネルスンのスタン

 ダード曲集『スターダスト』を制作した事です。1978年ブッカーT、はリタ・クーリッヂの妹

 だかお姉さんのプリシラと結婚した事もあって、R&Bの世界をちょっと離れて

 いました。その頃の大仕事がこれです。ブッカーTの暖かな人間性、幅広い音楽

 た点が意外性と共に大きく評価され、ブッカーTの役割はあまり知られませんで

 した。

  今回の『ノート・バイ・ノート』では、その時の表題曲を再び録音しています。

  お聞き下さい、2020年の「スターダスト」。マット・バーニンガーが唄います。

M08.Stardust(4’25”)Bokker T.Jones       

EDR / Amplified Distribution  ESR-51182        

N  唄い出しで「ウイリーじゃないの」、と聞き間違えそうなマット・バーニンガーの声が

 聞こえる「スターダスト」、ブッカーTジョーンズの新譜『ノート・バイ・ノート』からお届けし

 ました。

  さて、シャボン玉ホリデーで有名になった超有名定番曲に続いて、お待たせしま

 した。ジェイムズ・テイラーの新作『アメリカン・スタンダード』を聞いて行きましょう。先

 週の放送で予習してますから、どんな問題が出ても。皆さん大丈夫ですね。

  まずは「イッツ・オンリ・ア・ペイパ・ムーン」、笑ってしまう程、モロにJT調です。

M09.It’s Only Paper Moon(3’11”)James Taylor     

-H.Arlen, Y.Harburg, B.Rose-  Fantasy 0088807214519

M10.ジャマイカ事情(4’20”)ランキン・タクシー       

-T.Shirahama-  ワツシ WAZCD-002 

N  ジェイムズ・テイラーの新作『アメリカン・スタンダード』から、笑ってしまう程JT調な「イ

 ッツ・オンリ・ア・ペイパ・ムーン」でした。素晴らしい。しかしその次に出てきたの

 は、ランキン・タクシーの「ジャマイカ事情」、ジェイムズ・テイラーのあの声の余韻をぶち消す

 効果は絶大です。実はこの「ジャマイカ事情」には、発表当時から盗作疑惑があ

 ります。

   ドア開ければ熱い風が やって来ました、またジャマイカ

   たった1回行っただけでも胸一杯の懐かしさ

  などと調子のいい事を言ってますが、ここのところの旋律をよおく確かめ

 て下さい。

  ね、「イッツ・オンリ・ア・ペイパ・ムーン」と同じでしょ。クリソツなんてもんじゃない、

 そのまんまです。ランキン・タクシーはレゲ以外の音楽趣味はわたしより年上感覚で、

 いわゆる「モダン・ジャズ」を普段自然に聞く世界にいましたから、知らず知ら

 ずのうちにこの旋律が体に沁み着いていたのでしょう。

  「ジャマイカ事情」収録のランキン・タクシーの革命的デビュー盤『家事だぁ』の制作に

 立ち会っていたわたしは「この旋律は完全に『イッツ・オンリ・ア・ペイパ・ムーン』だ

 から、そういう記述をしておこうよ」と何度か本人に進言したのですが、彼

 の「いいよ、大丈夫だよ」で、今も「詞曲:白浜隆」になっているのです。

 ただ、これまで誰からもこの点を指摘された事はありません。唄があまり上

 手くないと、同じ歌でも違って聞こえるようですね。

  話が横道にそれました、ジェイムズ・テイラーの新作『アメリカン・スタンダード』から続

 けてお送りしましょう。先週、以前からのわたしが親しんでいた同じ歌をアルバ

 ムの収録順にお聞き下さい。

  まず「わたしの青空」

  そして「今夜教えて」

  「あなたのお側に」

  「ガッド・ブレス・ザ・チャイルド」

  そして

  「オールマン・リヴァ」以上4曲です。

M11.My Blue Heaven(2’43”)James Taylor   

-Whiting, Donaldson-  Fantasy 0088807214519  

M12.Teach Me Tonight(2’58”)James Taylor    

-Cahn, Depaul-  Fantasy 0088807214519  

M13.The Nearness Of You(3’52”)James Taylor  

-H.Carmicheal, N.Washington-Fantasy 0088807214519  

M14.God Bless The Child(3’21”)James Taylor      

-B.Holiday-  Fantasy 0088807214519

M15.Ol’ Man River(2’53”)James Taylor            

-J.Kern, O.Hammerstein-Fantasy 0088807214519        

N  「マイ・ブルー・ヘヴン」

  「ティーチ・ミー・トゥナイト」

  「ニアネス・オヴ・ユー」

  「ガッド・ブレス・ザ・チャイルド」

  「オールマン・リヴァ」以上4曲、ジェイムズ・テイラーの新作『アメリカン・スタンダード』から

 続けてお送りしました。こうやってお届けして行くと、NHK-FMの「軽音楽

 をあなたに」風ですね。また古い話で恐縮しました。

  如何でしたでしょうか、『北米定番歌謡曲集』は。もちろんこれが全てでは

 なくて、あと9曲のスタンダーズが収録されています。原題が「Standerd」と単

 数になっているところが多少気になります。『北米基準』なのかな。

  久しぶりに買ったミュージック・マガジーンでも詳細が解説されていました。ただ

 わたしの今の印象と言いますと、普段とそれほど違わないじゃないか、とい

 うのが本当のところです。ボブ・ディランのカヴァ・アルバムの方が特殊な感覚に溢

 れていたような気もします。

  この前のジェイムズ・テイラーのアルバムはいつものように自作曲中心でした。その

 中にひとつだけあったカヴァが、次の「ワイルド・マウンテン・タイム」です。

M16.Wild Mountain Thyme(2’57”)James Taylor    

-F.McPeaks-  Concord / Universal  0888072352704

N  「ワイルド・マウンテン・タイム」、ジェイムズ・テイラーのこの前のアルバム『ビフォア・ディス・ワー

 ルド』からお届けしました。これはもともと古いアイルランド民謡ので、それが今

 は整理されたこのような形になって伝わっているようです。こういうのを自

 曲で固めた作品集の最後に持って来るセンスもわからないではないですが、ジェイ

 ムズ・テイラーは素晴らしい楽曲を作る一方で、このように自由にカヴァ・ソングを取

 り上げて来ました。先週の「おおスザンナ」もその一例ですし、チャック・ベリーの「プ

 ロミスト・ランド」なんかもあったな。

  この『アメリカン・スタンダード』の前には『カヴァーズ』という既に他人が唄った発

 表済みの楽曲ばかりのアルバムも作っています。その冒頭曲がこれでした。

  テムプテイションズ1965年のヒット曲、オーティス・レディングも唄ってましたね、

  「イッツ・グロウィング」。

M18.It’s Growing (4’08”)James Taylor

-W.Robinson, W,Moore-  Hear Music / Universal  0888072308299

N  「どうやらテイラー家では頻繁にモータウンのヒット曲が流れていたのではないか」、

 妹や弟たちの音楽活動からも、そんな様子が伺えます。ジェイムズ・テイラー、2008

 年のアルバム『カヴァーズ』から、テムプテイションズの「イッツ・グロウィング」でした。

  長い間音楽活動を前向きに続けるのは本当に難しい事です。歳を取ると、 

 人間どうしても保守的になったり、後ろを向いたりするものです。そういう

 時に手っ取り早く昔好きだった歌をなぞるのは、よくあるやり方です。この

 半ば唐突に出たカヴァ・アルバム『カヴァーズ』は、「JTよ、お前もか」と思わせる

 に充分でしたが、そのすぐ後に『ビフォア・ディス・ワールド』を出したりするわけ

 ですから、今回の『アメリカン・スタンダード』も彼自身の単なる保守化ではないでし

 ょう。何よりも聞いていて他のアルバムとそれほど違わない、という部分がその

 証明であるように思えます。

  では『カヴァーズ』から、もう2曲どうぞ。

  「サマタイム・ブルーズ」、

  そして「ウイチタ区鉄道線路保守要員」。

M19.Summertime Blues(2’40”) James Taylor

-E.Cochran, J.Capehart-  Hear Music / Universal  0888072308299

M20.Wighita Lineman(3’41”)James Taylor       

-J.Webb-   Hear Music / Universal  0888072308299

M21.How Sweet It Is(3’30”)James Taylor     

-Holland, Dozier, Holland-  Warner 3113-2 

M22.Shower To The People(4’32”)(3’52”)James Taylor

-J.Taylor-  Warner 3113-2 

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  ジェイムズ・テイラー『カヴァーズ』から、「サマタイム・ブルーズ」、「ウイチタ・ラインマン」でした。

  そしてJTのカヴァと言えば、わたしはこれです、「君の愛に包まれて〜ハウ・

 スウィーティーズ」、1975年の作品で、偽装受験勉強中にカメちゃんのオールナイト・ニッポン

 で聞いたのが初めてです。わたしは今もその時の事を克明に覚えています。

  最後は偉大なるシンガ・ソングライタに敬意を評して彼の自作曲、「愛の恵みを~シャ

 ワ・トゥ・ザ・ピーポー」、1976年のシングル仕様でお聞きいただきました。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

https://firestorage.jp/download/8e0097df80857d5678bc699a90bda1b3c1e57889

 ダウンロード・パスワードは、2qnvm01sです。

  今朝の仕様音楽素材の参考写真は、届いてるかなあ。送信環境が普段と違

 いますので、朝になって「幻」画面にあったら問題なし、もしなかったら、

 月曜日までに送るようにします。果たして・・・、

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

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【幻】モーニン・ブルーズ 2020/02/29

mb200229

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようございます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2020年2月29日

 を始めましょう。義務教育機関の閉鎖、運動競技の無観客試合や音楽催事の

 中止など、新コロナウイルス感染防止対策が本格化して来ました。ここまでに打つ手

 があった筈、と感じているのはわたしだけではないでしょうが、とにかくこ

 れ以上の拡大は避けたいですね。手洗い、うがい、庶民の出来る事をして防

 ぎましょう。こういう時には家でラジオです。

M01.バーバラ・アン(2’07”)リジェンツ 

-F.Fassert-  ワーナー  WMC5-87/8

M02.Barbra Ann(3’22”)The Beach Boys      

-F.Fassert-  Capital 0602547517630

N  「バーバラ・アン」、リジェンツ1961年のヒット曲です。後半ヲーフマン・ジャックが乱入して

 来たこの仕様は映画「アメリカン・グラフィーティ」のサウンドトラックからです。まだ浅い夜

 に町中を流す車のラジオから聞こえて来ましたね。そしてビーチ・ボーイズの『パー

 ティ』から同じ「バーバラ・アン」、こちらは1966年のカヴァです。シングルにもなって

 います。ラジオのリクエスト番組で上昇しいたのを覚えています。「バー、バー、バー」

 で始まるところが分かり易くて、好きだったな。

  ビーチ・ボーイズの『パーティ』というアルバムは、「出せば何でも売れる」という人

 気沸騰中だったビーチ・ボーイズが、満足な準備も出来ないのに新譜を出さなき

 ゃならなかった事情から、「だったら仲間を集めて宴会を開いて、それを録音

 しちゃえばいいよ」とばかりに、メムバの家に楽器を持って集まって飲食をし

 ながら、気に入った歌をその流れで唄い、演奏。それで制作完了という過程

 で作られた、素晴らしい発想ではあるけれど、安易な1枚、と信じていまし

 たが、今回、全80トラックの2枚組完全盤を聞きまして、5回もセッションが行われ

 て、結構念入りに造られていた事を知りました。メムバも演奏中は半分ラリッてた

 んじゃないかと思っていましたが、そうではなかったですね。

  「バーバラ・アン」は3つのトラックがありまして、歌詞の確認をしながらだんだ

 んと仕上がって行くのが分かります。コーラス・ハーモニーは最初からキマッていまして、

 流石です。ファルセトーが効果的ですね。オリヂナルにはない最後のブルーズ・エンディング

 は殆ど即興のようです。ここもいいセンス。

  実は身近な人間があるところでリジェンツの原曲を耳にして、「ビーチ・ボーイズよ

 り断然カッコ良い」と感動していたものですから、妙に確認してみたくなりまし

 て、『パーティ』の完全盤を手に入れてみた次第です。オリヂナルを知ってからずっ

 とリジェンツで聞いていたので、ビーチ・ボーイズでこの歌を聞いたのは、少なくと

 も40年ぶりですね。意外と良かった。「ビーチ・ボーイズやるじゃないか」と、 

 素直に納得しました。この歌、簡単に出来そうですが結構難しくて、だいぶ

 前にわたしも仲間とやってみたんですが上手く行かなくて、最後は喧嘩にな

 って終わった苦い経験もあります。

  今更ですけどこのリジェンツ、白人の5人組なんですね。萩原健太が書いた「ア

 メリカン・グラフィティから始まった」(2016年エレキング・ブックス)には、この楽曲やグル

 ープ周辺のゴタゴタがかなり詳しく紹介されていて、大変面白いですよ。元々は

 ブロンクスで結成されたイタリア系の青少年ドゥワップグループでした。

  ではヲーフマンが絡んでこないオリヂナル仕様でお楽しみ下さい。

  「バーバラ・アン」、ザ・リジェンツです。

M03.Barbra Ann(2’15!)The Regents

-F.Fassert-   Collectables  COL-CD-9922

N  ザ・リジェンツで「バーバラ・アン」、ザ・リジェンツでした。2番目に出て来る歌詞に

   Danced with Betty Lou

   Tried Peggy Sue

   But…..

   ベティ・ルーと踊って   

   ペギー・スーも試してみた

   だけど・・・、という行りがあります、

  冒頭でWent  to a dance looking for romance

 とあるので、てっきりわたしはずっどンス・パーティで周りの女性に声を掛けて

 は誰からも相手にされないモテないダメ男の哀れな状況を想像していました。た

 だよく考えてみると、そもそも「バーブラ」というのは女性です。健太の本に

 もリジェンツの結成メムバだったフランク・ファサートが妹の事を歌ったらしい、と記されて

 います。引っ込み思案だったのかな、この子は。

  ですから本当は「せっかくダンスに行っても同性の友達とはしゃいでるだけ

 のバーブラ・アン、彼女たちは男の子たちと遊びたがってるんたよ、バーブラ・アン、

 さあ僕の手を取って・・・」と語りかける優しき第三の男の歌なのでした。

 また恥をかくところでしたが、今回この誤った解釈が正されて良かった。 

  一方「バーブラ・アン」の主題を間違って捉えていたおかげで、いつも連想し

 ていた古い歌があります。

M04.What Your Name(3’13”)Dug Sahm 

-Johnson-   ポニー / ヴィレッヂ・グリーン PCCY-00093

N  「ワッチョー・ネイム」、ダグ・サーム1990年の『ジューク・ボックス・ミュージック』からお届

 けしました。

   君、なんて名前だったっけ 

   絶対、前にあってるよね

   メリーじゃないね、スーとも違う 

   思い出せないなあ

  というこの唄い出しからわたしは、辺り構わずナムパをかけるC調男を思い

 描いていました。前の誤解したバーブラ・アンと似た状況です。こういういい加

 減な態度はダメです。恋する相手にはまごころを持って接する事が必要なので

 す。

M05.What Your Name(2’17”)Don & Juan

-Johnson-   Collectables COL-5519

N   「ワッチョー・ネイム」、こちらは1962年に全米7位を記録したオリヂナルです。これ 

 を唄っていたのが、ビルのペンキ塗りをしていた黒人二人組で、その名もドンと

 ホァン、ドンファンです。この芸名も何とC調か。岡田真澄もマッツァオです。ただし唄

 は純でして、いい加減な動機ながら、かなり切実に迫ります。ダグ・サームも

 途中からマジになって本気度が上がってました。何か思い出してんのかなあ。

  冒頭の「バーブラ・アン」から澤田修の「横山千本ノック」風な流れになって来た

 今朝の「幻」、もうひとつ行きましょう。先週ヘンリー・トーマスでお届けした「ジョン・

 ヘンリー」です。これにち冷えさんから「私の知ってるのと違う」、というお便り

 を頂きました。これは古い伝承歌で、たくさんの人たちが唄っています。し

 かも、それぞれが微妙に違っているのが大きな特徴です。

  主人公は黒人の線路工夫。有名なエピソードには蒸気機関と渡り合って勝利す

 る話がありまして、肉体労働階級の英雄的に奉られています。19世紀の人間

 ですから、もう少し史実に基づいた確かな物語があってもいいように思えま

 すが、半ば神話的に語られています。当時の奴隷制度を正当化するために存

 在した、と言えなくもないでしょう。

  最も古い録音は1924年と言われます。先週のヘンリー・トーマスのが29年です

 から、かなり初期のものですね。60年代にフォークの人間たちが挙って採り上げ、

 この国でも知られるようになりました。そこでさらにそれぞれの独自の「

 解釈」が加えられ、諸説が入り乱れる要因となったようです。

  今朝はその「ジョン・ヘンリー」をいくつか聞いて行きましょう。

  まずはピート・シーガー1957年の録音です。

M06.John Henry(4’28”)Peat Seeger

-trd.-  Properbox 184

N  半ば語り物のようなピート・シーガー1957年版「ジョン・ヘンリー」でした。この吹

 き込みの16年前に、ウディ・ガスリーが録音しています。次はそちらをどうぞ。

M07.John Henry(2’46”)Woody Guthrie   

-trd.-  Not Now Music NOT5CD915

N  ウディ・ガスリーの「ジョン・ヘンリー」、1941年の録音でした。

  構成、進行はほぼ同じですが、通常このように広く慕われる歌にありがち

 な覚えやすく愛嬌のあるリフレインがないですね。それがこの歌の決定的な流布を

 阻んだのかな、今聞いていてそんな思いも過ぎりました。

  次はかなり新しくなります。2009年に出たジム・クウェスキンのアルバム『エンジョイ・

 ヨー・セルフ』に収められていた「ジョン・ヘンリー」です。ピート・シーガーやウディ・ガスリー

 の流れを正当に受け継いだ東海岸のインテリ・フォークシンガーであるジム・クウェスキンは以

 前にも吹き込んでいる筈ですが、21世紀になっての新作にこの伝承歌を選び

 ました。  

M08.John Henry(5’23”)Jim Kweskin 

-trd.-  Properbox 184

M09.Mama, Let Me Lay It On You(Baby, Let Me Follow You Down)(4’43”)

Hot Tuna

-B.Dylan-  BSMF 6187     

N  「横山千本ノック」的「幻」、如何でしたでしょうか。ジム・クウェスキンの「ジョン・

 ヘンリー」は、あまり物語に踏み込まず、慣れ親しんだ古い歌を久しぶりに唄っ

 てみた、そんな感じがしました。

  それに続けましたのは、ボブ・ディラン70歳を祝ったアルバムから「ママ、レット・

 ミー・レイ・イト・オン・ユー」、ホット・ツナでした。発売された2011年当時、まだグループ

 として存在したのでしょうかね。フィドルもちゃんと入っていました。

  さて、先々週だったかな、久しぶりにCDを整理した、とお話ししました。

 その後また以前と同じく散らかりつつありますが、その時の動機は、この盤

 が見つからなかったからです。

M10.All Of Me(5’31”)Dina Washington        

-Simons, Marks-  フォノグラム PHCE-10015 

N  「オール・オヴ・ミー」、ダイナ・ヲッシントン, 1958年のヌーポート・ジャズ・フェスティヴァルの実

 況録音です。映画「真夏の夜のジャズ」のチャック・ベリーと並ぶクライマクス場面でお馴

 染みですね。この盤がどこに入ったのか行方不明になってしまいました。こ

 れが直ぐに取り出せないと、わたしは困ります。この時は他のダイナ盤も集団

 でいなくなってました。整理した結果、無事救出されましたので、先ほどお

 送り致した次第です。探しながら思い出していたのが、同じ「オール・オヴ・ミー」

 のこの仕様です。

M11. All Of Me(4’23”)憂歌団

-N.Sakai, G.Marks-    徳間 TKCA-30169    

N  憂歌団1981年のアルバム『夢・憂歌』から「オール・オヴ・ミー」でした。かなり

 飛躍した詞(ことば)が乗っかってますが、当時はまだ「秀勝」だった木村

 の唄が素晴らしい。わたしはとても好きですね、この「オール・オヴ・ミー」。以前

 にもお話ししたと思いますが、某クラブの楽屋で木村秀勝がヲーミング・アップ的に

 これを唄っているのを至近距離で目撃した事があります。例えようもなく良

 かった。それ以来、決定的な「オール・オヴ・ミー」と言えば、ダイナと憂歌団です。

  さて無事救出されたダイナ・ヲッシントン、こちらも聞いて頂きましょう。

  「ティーチ・ミー、トゥナイト」。

M12.Teach Me Tonight(2’47”)Dina Washington  

-Cahn, Depaul-  Golden Stars  GSS 5287

M13.My Blue Heaven(2’06”)Fats Domino    

-Whiting, Donaldson-  Properbox  138

N  ダイナ・ヲッシントンで「ティーチ・ミー、トゥナイト」、そしてファッツ・ドミノーで「わたしの青空」

 でした。これは「夕暮れに・・・」と父親がよく唄っていましたね。それで

 覚えたようなものです。1967年頃だったかな、日立の洗濯機に「青空」とい

 う名前が付いた機種があって、そのコマーシャルにも最後の「私の青空」を「日立

 の青空」と変えた歌が付いていた記憶があります。サンヨー・テレビの「日本」以

 降、やまとことばで家庭電気製品に命名するのが流行っていました。

  さて、このようなスタンダード、定番曲を並べたのには訳があります。鷲巣功

 著の「河内音頭」の書評を読もうと本当に久しぶりに月刊「ミュージック・マガジー

 ン」を読んだら、ジェイムズ・テイラーの新譜紹介記事に出会いました。北中正和大

 先輩が、丁寧に書いています。わたしはその情報を全く知りませんで、すぐ

 に入手しようとしたのですが、何と入荷/発売が2月28日つまり昨日の金曜

 日だったのです。

  以前の「現」時代には、放送局に行く途中に偶然見つけて買って来て、ま

 だ聞いてもいない盤をいきなり回した事もありました。確かナット・キング・コール

 の赤坂コパカバーナでの実況盤だった筈です。「想像を超えて酷かったらそこで止

 める」なんて断りを入れてね。

  生放送なら度胸を決めて、こういう面白い事も出来ますが、今回はちょっ 

 と間に合いません。そこでマガジーンの記事を読みながら、ジェイムズ・テイラーの新

 譜に収録されている各曲の自分の決定盤を並べてみよう、と考えました。流

 石に今回の新譜『アメリカン・スタンダード』にはひねくれ者のワツシイサヲでも知っている

 超有名曲がズラリ。わたしの音楽的変遷、それによって形成された好みもはっ

 きりしました。しばらくお付き合い下さい。

  今の「ティーチ・ミー、トゥナイト」、そして「わたしの青空」ともに新譜の収録曲で

 す。ジェイムズ・テイラーはどんな風に仕上げているか、とても楽しみです。

  来週、一緒に聞いて行きましょう。

M14.Old Man River(4’45”)The Temptations   

-J.Kern, O.Hammerstein-   Motown 314549515-2    

M15.Nearness Of You(3’09”)Norah Jones   

-H.Carmicheal, N.Washington-   Blue Note 7243 5 32088 2 0

M16.God Bless The Child(5’56”)Blood, Sweat and Tears  

-B.Holiday-  Columbia  CK 9720

N  ザ・テムプテイションズで、「オールマン・リヴァ」、ノーラ・ジョーンズで「ニアネス・オヴ・ユー」、そ

 してブラッド、スウェット・アンド・ティアーズの「ガッド・ブレス・ザ・チャイルド」でした。

 流石に名曲ですね。確かな手応えがあります。

  ジェイムズ・テイラーは、数年前にも『カヴァーズ』というアルバムを出していました。

 それと今回の『アメリカン・スタンダード』とどう違うのか、そこにも興味があります。

 数々の斬新なオリヂナル曲で時代を変えたジェイムズ・テイラー。彼自身も「アメリカン・スタン

 ダード」をたくさん書いています。一方で時空を超えて親しまれる名曲を分け

 隔てなく採り上げる彼の姿勢には非常にずっと前から好感を持っていました。

  そんな一例を聞いて下さい。

  スティーヴン・フォスターの「おお、スザンナ」です。

M17.Oh! Susanna(2’02”)James Taylor         

-S.Foster-  Waner 7599-27183-2

M18.Lodi(3’13”)Creedence Clearwater Rivival

-J.Fogerty-  ビクター VICP-62073 

N  ジェイムズ・テイラーの「おお、スザンナ」に続いては、20世紀のスティーヴン・フォスター、

 ジョン・フォガティの「ローダイ」、クリーデンス・クリアヲータ・リヴァイヴァルでした。庶民、労働

 者たちの生活を自身の歌に投影し、一方で大自然を唄ったジョン・フォガティ、昔

 から言っているのに誰からも同意を得られないわたしのスティーヴン・フォスター説、

 皆さんは如何お感じでしょうか。

  さて前半でも出て来たち冷えさんが熱心にリクエストしてくれたアーマド・ジャマル

 の「サタデイ・モーニング」、調べましたら、あちこちで結構なお値段が付いていま

 した。しかし、幸運な事に極めて納得出来る安価で手に入れる事が出来まし

 た。ジェイムズ・テイラーの新譜がらみで今朝は時間もたっぷりあります。ちょっと

 長いですが、お届けしましょう。

  アーマド・ジャマルの「サタデイ・モーニング」です。

M19.Saturday Morning(10’24”)Ahmad Jamal    

-A.Jamal-   Jazz Vilage   JV 570027   

M20.Variations On A Theme By Erik Satie (1st Movement)

Adapted From Tris Gymnopedies(1’38”) Blood, Sweat and Tears

-E.Satie-  Columbia  CK 9720              

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  今朝の最後、10分以上あった「サタデイ・モーニング」の後は、ブラッド、スウェット・

 アンド・ティアーズで「エリック・サティ三つのジムノペディ主題による変奏曲第一楽章」で

 した。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

https://firestorage.jp/download/3e031fd23050425a8907c7a5c4160cd497abbec4

  ダウンロード・パスワードは、9r62k1vwです。

  あ、使用音楽素材の写真、ファッツ・ドミノーが抜けていました。済みません。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

 そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。



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【幻】モーニン・ブルーズ 2020/02/22

mb200222

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようございます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2020年2月22日

 を始めましょう。

  先週の「フライング」「南ミシガン通り2120番地」にはタカハシミチオさんからお便りを

 頂きました。ありがとうございます。よく覚えていてくれましたね。感謝で

 す。こういう風に意外な反応はわたしを喜ばせてくれます。もう一度、どう

 もありがとうございます。

  さて、今朝は懸案から参ります。お待たせ致しました、タクシ・ドライヴァ45979

 さん、これですか。

  「フィッシング・ブルーズ」、ヘンリー・トーマスです。

M01.Fishing Blues(2’44”)ヘンリー・トーマス     

-C.Smith-  Pヴァイン PCD-20079

N  何箇所も針が盤をこする音がしますね。古いSP盤から起こしたのでしょう。

 「フィッシング・ブルーズ」、 ヘンリー・トーマスでした。これで合ってますか、タクシドライヴ

 ァ45979さん。

  わたしはラヴィン・スプーンフルの「フィッシング・ブルーズ」を聞いた事がないのです。

 バタフィールドたちと一緒に収録されているLP『ワッツ・シェイキン』にも入っていませ

 んね。あなたはどこで聞いたのですか。

  今のヘンリー・トーマスは1900年代の始め、27年から2年間ほど吹込みをしてい

 ます。生まれは何と19世紀、1874年だそうです。お聞きになってお分かり

 の通り、ギターを弾いて唄いますが、更に変な音が聞こえます。これはクウィル

 (Quill)と呼ばれる、綿の糸を巻きつける筒、糸巻きですねこれを組み合わせ

 た縦て笛的な楽器らしく、今は南米のサンポーニャのような形の完成品も出回って

 います。

  ヘンリー・トーマスが実際に吹いたのがどんな形をしていたかは不明ですが、多分

 ハモニカのように首から吊って鳴らしていたのではないでしょうか。割としっか

 りした音程です。特定の調が決まっていて曲に応じて、持ち替えをするので

 しょう。ただ長音階の列で並んでいるので、いわゆるブルーノート的表現は無理な

 ようです。故に一般的なブルーズのイメヂらしからぬ、ほのぼのとした明るさが

 漂います。

  今の「フィッシング・ブルーズ」は意味深長な内容ですが、このクウィルの音色で救わ

 れているような気もします。ではそのクウィルが活躍するヘンリー・トーマス初期の録音

 を聞いてみましょう。

  有名な「ジョン・ヘンリー」です。 

M02.John Henry(2’43”)Henry Thomas       

-trd.- Pヴァイン PCD-20079

M03.It’s All In The Game(3’00”)Tommy Edwards 

-C.Sigman-  Acrobat ADDCD3192

N  謎の多いブルーズマン、ヘンリー・トーマスの「ジョン・ヘンリー」に続いては、先々週、フォー・ 

 トップスでお届けした「恋のゲイム」でした。唄はトミー・エドワーズ、これがオリヂナル・

 ヒットのようです。実はワタクシ何故か先週のエディ・アーノルドと混同していまして、だ

 いぶ前にエディのベスト盤を買った時も「何故『恋のゲイム』が入っていないんだ

 ろう」と訝しがった程なのです。改めて調べると、トミー・エドワーズ説に出合い

 ました、この人は全く聞いた事がなかったのです。

  トミー・エドワーズは、サム・クックが主体性を持った音楽活動の開拓をする前の黒人

 娯楽歌手の典型で、黒人ならではの声、節で白人のためにポピュラー曲の美しい

 旋律を唄う運命を背負って生きました。同時期に活躍した人間としてレイ・チャー

 ルズがいますが、この人は完全に別格です。アーメット・アーティガンという正しい理解

 者も常に側にいましたしね。

  そのトミー・エドワーズのベスト盤には、これでもか、とばかりに白人好みの歌曲

 が並んでいます。こんな1曲もありました。

M04.I Really Don’t Want To Know(2’14”)Tommy Edwards  

-D.Robertson, H.Barnes-  Acrobat ADDCD3192

N  ご存知「知りたくないの」です。カントリー好きだったソロモン・バークの同じ唄に較

 べると、過剰な甘さが気になります。多分造り手側の想定している聴衆像が

 違うのでしょう。ソロモンのはバプテスト教会に集まった黒人庶民ですが、トミーのを

 聞いていると、白人マダムがラウンジ・テイブルで「あら、いい歌ね」と呟くのが聞

 こえるみたいです。とても滑らかで流れるような唄自体は決して悪くはあり

 ませんが、やはり社会状況を考えるとどうしても白人に媚びて食いつなぐ宿

 命が見えてきてしまいます。この時代、ナット・キング・コールですらギリギリのとこ

 ろに居たんですから。

  この『ザ・トミー・エドワーズ・シングル・コレクション 1951-62』は、彼がこの期間に

 MGMレコードに残した吹き込み52曲で構成されています。ライオンが吼えるメトロ・

 ゴールドウィン・メイヤーズの音楽部門ですから、娯楽路線重視に変わりはありません。

 このトミー・エドワーズもそこで運命を決められてしまったようです。全体にアレンヂ

 がどうしても釈然としませんが、流石に佳曲が多く収録されています。

  こんな歌も入っていました。フレディ・フェンダの十八番、

  「シークレット・ラーヴ」。

M05.Sectret Love(2’44”)Tommy Edwards 

-S.Fain, P.F.Webster-  Acrobat ADDCD3192

N  そして、大いに意外だったのはこれです。

  「恋の殺虫剤」。

M06.Now And Then There’s A Fool Such As I(2’39”)Tommy Edwards

-W.Trader-  Acrobat ADDCD3192

N  「恋の殺虫剤」なんて邦題が付いている訳のない、「ナウ・アンド・ゼン、ゼアズ・

 ア・フール・サッチ・アズ・アイ」でした。これを「ナウ・アンド・ゼン、ゼアズ・ア・フール

 『殺虫剤』」と唄うのですよ、洋楽オヤヂたちが。

  もう絶対に店終いをしてるはずの洋楽カラオケ屋が渋谷駅の南口にその昔あり

 まして、仕事の先輩たちに連れて行かれた事があります。「おう鷲巣、お前も

 なんか行け」なんて言われて、たまたま目にした曲目表にあったのが、「ナウ・

 アンド・ゼン、ゼアズ・ア・フール・サッチ・アズ・アイ」でした。すると酔っ払ったオヤヂ

 たちが「おう、殺虫剤か」なんて大騒ぎになりました。わたしの唄自体は誰

 も聞いてはいないのですがね。

  これまでこの歌はエルヴィス・プレズリでしか聞いた事ありません。その仕様は

 楽曲、唄、編曲、演奏すべてケチの付けようがない出来映えです。特にエルヴィス

 がノリノリで唄ってるのが気持ちよく伝わって来ます。間奏の手拍子は、絶対に

 本人だな。オリヂナル・ヒットのハンク・スノウもどこかにあるはずです。聞いてみよう。

  今朝はエルヴィス・プレズリでどうぞ、

  「ナウ・アンド・ゼン、ゼアズ・ア・フール殺虫剤」。

M07.Now And Then There’s A Fool Such As I(2’32”)Elvis Presley

-W.Trader–  RCA  07863  66050

M08.野崎小唄(2’57”)田端義夫

-S.Imanaka, Y.Ohmura-  キープ2CD-464  

N  「殺虫剤」に続けて「野崎小唄」、田端義夫でした。

  新型コロナウイルスの感染は今も絶頂に至っておらず、警戒状態が続いています。

 健康な皆さんはぜひ手洗い励行で防御して下さい。

  それはそうと、個人タクシー協会の新年会から感染が拡がったのは事実のよう

 ですが、その報道の際には、あたかも屋形船での新年会が悪かったように言

 われています。それに対して、わたしは毎回「違うだろう」と、憤っており

 ます。こういう時に発言力がなく抵抗出来ない存在を悪者にして虐めるのが

 大手報道機関の常套手段です。気を付けて下さい。

  個人タクシー協会と屋形船支援のために、「野崎小唄」をお聞き頂きました。「ど

 こを向いても菜の花さかり」ですから、季節的にもぴったりです。個人タクシー

 協会、屋形船、絶対に悪くないぞ。悪いのはここまで放置して彼岸が過ぎる

 のを待っている、この国の構造だ。

   わたしはこの「野崎小唄」のオリヂナルとされる東海林太郎版で父親がよく唄

 っていたのに親しんでいましたワン・コーラスなら覚えています。ただし田端義夫

 の今のは、多分全盛期を過ぎた頃の吹き込みでしょう。唄は流石の節回し、

 脱帽です。ただしバタやんの「春」と言えばならこれでしょう。

M09.十九の春(3’53”)田端義夫

-trd.Y.Mototake-  キープ 2CD-464

N  「十九の春」田端義夫でした。沖縄俗謡歌という事です。田端義夫が琉球を

 旅公演した時に聞き染めて持ち歌にした、という説があります。実にいい歌

 ですね。男が女の歌を歌う歌謡曲の悪しき伝統的手法も、これだけは許して

 やる。わたしと師、朝倉喬司を繋いでくれた恩義のある一曲です。

  さて、「春を待つこころ」に因んだ楽曲をもう一つ、リチャード・ロジャーズ作曲

 の「スプリング・イズ・ヒア」そして「ヨー・ストーリー」のメドリー、

  アーマド・ジャマルの即興ピアノでどうぞ。

M10.Spring Is Here / Your Story(5’00”)Ahmad Jamal

-R.Rodgers, Hart, B.Evans-  キングKKE 096 (JV570140)

N  「スプリング・イズ・ヒア」そして「ヨー・ストーリー」、アーマド・ジャマルでした。多分に即

 興的でしたが、ベイスとのデューオでしたから、ある程度の決め事があらかじめあ

 って、全て気分で進行したのではないでしょう。それにしても気持ち良さそ

 うに弾いていましたね。羨ましい。

  さてアーマド・ジャマルはピッツバーグ生まれのピアノ弾き。わたしの大好きな一人で

 す。世代的には1930年生まれですから、今年90歳になります。人によって

 はチャーリー・パーカーと同列に並べてその偉業を評する人もいる程の音楽家です。

  この「スプリング・イズ・ヒア〜ヨー・ストーリー」のメドリーは『バラード』という最新盤

 で聞けます。ゆったりしたい時、あるいはとてもせわしない時に思い切って

 聞いてごらんなさい、過ぎて行った時間が見えます。

  お忙しい現代人のあなたは、そんなことばかりもしていられませんね。

 刻一刻と訪れる新しい時を刻むかのような、別のピアノ曲で今日のリズム、テムポー

 に戻りましょう。4月ブルーノート東京にやって来るビル・ローレンス・トリオです。ロンドン

 のロニー・スコットのクラブでの実況録音盤から、

  「チャイナ」をどうぞ。

M11. China(6’40”)ビル・ローレンス・トリオ  

-unknown- BSMF 2

N  ピアノ・トリオというジャズの最小編成ながら、ベイスがイレクトリックという現代仕様の

 ビル・ローレンス・トリオで「チャイナ」でした。短いモチィーフを執拗に繰り返す辺りが現代

 的、いや今の人的といった方がいいかな。すべてが計算されているようで機

 械的に進行するのも今の音楽家風です。

  さて次は女の声。もう10年以上のカリアを持つ唄い手、ロビン・マッケルの新しい

 アルバムは全曲がカヴァです。そこからまず、ビリー・ホリデイで知られる、

  「ドント・イクスプレイン」。

M12.Don’t Explain(5’46”)ロビン・マッケル  

-B.Holiday,A.Herzog jr.-  BSMF 5090

N  「言い訳は言わないで」でしょうか。「ドント・イクスプレイン」、ロビン・マッケルでした。

 終了部分に被ってくる女声のバック・グラウンド・ヴォーカルがいいですね。大変に効

 果的です。

  夜遅く帰って来る同居人に対して、「分かってるわ、問答無用」と相手の説

 明を拒否するこの歌、確かにシャツに付いた口紅という物証を挙げられてしまっ

 ては、言い訳も出来ません。ただ今の世の中には求められても説明をしよう

 としない図々しい嘘つきがのさばっています。

  シンゾー、全ての事実を説明せよ、完璧に、だ。

M13.Mercsdes Benz(3’23”)ロビン・マッケル  

-J.Joplin-  BSMF 5090

N  同じロビン・マッケルのアルバム『アルタレイションズ』から、このカヴァは珍しいですね、

 ジャニス・ジョプリンの「ベンツが欲しい」でした。オリヂナルは無伴奏でしたが、こち

 らはヌー・オーリンズ調の厚めのサウンドが唄を支えています。

  欲しいのは、「メースウィーディース・ベンツ」と「カラー・テレビ」かあ。ジャニスは奇妙な

 塗りを施したポルシェ356を持ってたんじゃないかな。歌の内容と少々矛盾です

 ね。詳細不明ですけれど。

  さて先日、模型製造会社退職後、今は嬉々として古物商を営んでいる親友

 からLPレコードをかなりの量、貰いました。その中にとても興味深い盤があり

 ました。それらは近々集中的にお届けする予定ですが、ある朗読の裏で流れ

 ていた器楽曲に吸い寄せられました。

  昔のラジオの時間調整で多用されていたこの旋律、響き、・・・これですよ。

 調べてみたら、なんと例によって、ずっと前から持っていた盤に入っていた

 のです。

  ビリー・ヴォーン楽団です。

  「星を求めて」。

M14.星を求めて(2’12”)ビリー・ヴォーン  

-Hatch-  ユニバーサル UICY-80038 

N  耳にした事あるでしょう、「星を求めて」ビリー・ヴォーン楽団です。そうか、

 こういう題名だったのか。もう忘れないぞ。なんでも1960年公開の 英映画

 「恐怖のサーカス」の主題曲だったそうです。こんな優しい旋律が流れる中、動

 物、子供、有色人種の虐待される場面が続いたのでしょうか。白人は恐ろし

 いですね。それではサヨナラ、サヨナラ、サヨナラ・・・。

  それはともかく、今回の出会い、いや再会はなぜかとても嬉しかったです。

 曲目、演奏者が特定できた事もホッとひと安心でした。裕一くん、どうもあり

 がとう。

  さて、先週はラムブリン・ジャック・エリオットの「くよくよするな」をお聞き頂いた

 ボブ・ディランの還暦祝いアルバムから今朝も一曲どうぞ。

  ジョン・ゴーカです。

  「ジャスト・ライク・ア・ヲーマン」。

M15.Just Like Woman(4’15”)John Gorka

-B.Dylan-  BSMF 6187  

N  ジョン・ゴーカで「ジャスト・ライク・ア・ヲーマン」でした。やっぱり、ボブ・ディランはい

 い歌を作るなあ、心からそう感じますね。20世紀に入ってからしばらくは、 

 そういう実績を気分でぶち壊すような姿勢で音楽を続けていたようにも感じ 

 ましたが、彼の創り出した傑作は不滅です。来日公演は、もう売り切れか。

 観たい気がするなあ。 

  さて年初めにCDなどの整理をしたばかりですが、1ヶ月も経つとまた散ら

 かってしまって、先週また片付けを敢行致しました。気に入っても忘れてし

 まっていた盤に「再会」するのもこんな時です。

  あーそう言えばあったなコレが、で今朝はメイヴィス・ステイプルズの新譜から、

  「ブラザーズ・アンド・シスターズ」。

M16.Brothers And Sisters(3’32”)Mavis Staple

-B.Harper-  ANTI CAT.# 876790-2 

M17.Let It Rain(4’53”)Mina Agossi          

-B.Few-  Naïve NJ 621911  

N  メイヴィス・ステイプルズで「ブラザーズ・アンド・シスターズ」、そして片付けで「再会」

 した正体不明の黒人女性歌手ミーナ・アゴシの「レト・イト・レイン」でした。このオーストリ

 ア制作のアルバム『レド・アイズ』は、なぜ購入したのか分かりません。店頭の棚に

 並んでいたのを、ニーナ・シモンと間違えたような記憶がありますが、それは他の

 だったかな・・・。女性ヴォーカルをまとめて整理していて出て来ました。パースネ

 ルを読みますと、ドラマーが「オノエ・イチロー」という日本人でした。演奏自体、そし

 てミクス的にも控え目なドラムズですけれど、遅ればせながら極東の島国からエイル

 を送っておきましょう。フレー、フレー、イチロウ。

  今の「レト・イト・レイン」で「It’s Rain All Round The World」なんて唄われる

 と、「It’s Rainnin’ All Over Of The World」という行りがフィードバックして来ま

 す。続けて傑作LP『リズム、カントリー・アンド・ブルーズ』から、

  「レイニー・ナイト・イン・ジョージア」、サム・ムーアとコンウェイ・トゥウィティでお送りしましょう。

M18.Rainy Night In Georgia(5’12”)Sam Moore & Conway Twitty  

-T.J.White-  MCAビクター

M19.Goin’ Home(3’54”)Aaron Neville 

-trd.-   Tellit  Records7243 8 20381 2 2 EGO 20381

M20.遠い恋人(6’20”)マーヴィン・ゲイ    フィードバック

-M.Gaye, G.Fuqua, S.Greene-  ユニバーサルUICY-94041

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  「雨のジョージア」に続きましては、「遠き山に陽は落ちて〜ゴーイン・ホーム」、

 エアロン・ネヴィルでした。遠くの雷が印象に残ります。いい出来ですね。春雷には

 もう少しかな。その前に「春一番」ですね。

  そして今朝の最後に、史上最大の「キャーッ」が聞ける、マーヴィン・ゲイの1974

 年実況録音で「遠い恋人」をお届けしました。この「ディスタント・ラヴァ」と唄い

 出した時の嬌声は、シェイ・スチューディアムのビートルズ公演時の比じゃありません。文

 句なしに史上最大です。わたしはかつて、ここだけ何度も聞き返した事があ

 ります。

  そう言えば、マーヴィンの最新の未発表ライヴの時の映像が大久保のソウル・バーに

 ある、と以前申し上げました。それをこの間確認しに行きましたら、わたし

 の勘違いでした。今回観たら印象もまるで違っていて、つくづく記憶はあて

 にならない、と痛感した次第です。わたしに限っての事かもしれませんが。

  今お届けした1974年のライヴはマーヴィン自身の状態も含めて、最高の出来です。

 演奏陣も理想的な面子。ベイスはここでもジェイムズ・ジェイマスン、ヒムセルフ。素晴らし

 い。

  さて今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

https://firestorage.jp/download/efb9ec6cc85109e4f1282d82f370001a90a20b28

  ダウンロード・パスワードは、wgkcrjccです

  今朝もちょうど時間となりました。

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 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

   わたしは妙齢の女性から、しっかり三日月ホテルに誘われています。

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【幻】モーニン・ブルーズ 2020/02/15

mb20215

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようございます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2020年2月15日

 を始めましょう。

  先週、ここの澤田修大家に会いまして、しばらく話をしました。わたしが

 今読んでいる「大阪芸術大学」という傑作新刊の他、いろいろな話題が出ま

 した。その中でザク・ブラウン・バンドの新作が本国では割と手厳しい評を受けて

 いる、という話が出ました。売れ筋に寄りすぎてる、とカントリー側から言われて

 るそうです。そうかなあ。今朝はアルバム冒頭曲の「ザ・ウズ」で始めます。

  この歌のどこが悪いんだ。

M01.The Woods(3’14”)Zac Brown Band

-Z.Brown-   BMG / Zac Brown 538477552

N  「あの野郎のゴミ箱には他の男の宝物が詰まってる」と始まる「ザ・ウズ」、

 本国ではあまり評判の良くないらしいザク・ブラウン・バンドの新譜『梟』からで

 した。

  「みんなは森から出て暮らすけど、俺はその中に入って行くぜ」とヤケクソ的

 にも聞こえる捨て台詞も繰り返されます。どういう心理状況なんでしょうか。

  「装丁で書物の内容を判断してはいけないよ」と使い古された常套句も出

 て来ます。この言い回し、割と欧米人は好きですね、幾つも例があります。

  さて、次は3週続きのトニー・マコウレイ作品をお届けしましょう。彼が世に出る

 切っ掛けとなったのは、ザ・ファウンデイションズの「星のベイビー」、1967年の全英

 第一位獲得曲です。このC調な邦題には呆れるしかありませんが、それ故で

 しょうか、比較的早く日本でも知られるようになりまして、オリヂナルはもちろ

 ん、テレビの歌番組ではグループサウンズのカヴァを何度も耳にしました。フィリピンから

 出稼ぎに来ていたデ・スーナーズはデビューLPでも吹き込んでいなかったかな。

  今朝はオリヂナルをどうぞ、ザ・ファウンデイションズです。

  「星のベイビー」。

M02.星のベイビー(2’35”)ファウンデーションズ

-T.Macaulay, J.Macleod-  テイチク  25CP-10

N  ザ・ファウンデイションズで、「星のベイビー」でした。いい歌ですね。このザ・ファウン

 デイションズというのは、人種が入り混じったグループの先駆としても知られてい

 ます。この領域ではベニー・グドマンが自分のコムボに黒人をメムバとして迎え入れ

 たのが1930年代の半ばで、一応これが世界で初めての人種混合演奏家集団と

 なっています。ケン・バーンズの記録映画「カントリー・ミュージック」を観ると、南部に

 はそれ以前にも人種混合があったようですけれど、正式な録音をしたのは、

 ベニーのバンドが初めてでしょう。意外な事に人種混合演奏家集団はそれからし

 ばらく表には出て来ませんで、ザ・ファウンデイションズが「星のベイビー」で当てて、

 その属性として混合編成が注目されました。メムフィスの黒人/白人二人ずつのエムジ

 ーズだってその前にヒットを出していたのにね。

  一方、ロンドンにはカリブ海からの移民が多く住んでいて、そういう区域はヤバ

 イけどカッコいい音楽が溢れていました。ビートルズの「ハロー、グッバイ」や「オブラディ・

 オブラダ」を聞けば、その種の危険な場所に出入りしていたジョン・レノンやポール・ 、

 マカートニが影響を受けていた事が分かります。

  ポピュラー音楽の世界での人種混合団体はなかなか実現しませんでしたけれ

 ど、60年代後期に社会の「平等」とか「公平」が堂々と叫ばれるようになっ

 て登場したのが、ザ・ファウンデイションズでした。同時期にはイクヲールズというグループ

 も「ベイビ、カムバッック」のヒットを出していました。ここにはジャマイカ生まれのエディ・

 グラントがメムバでいまして、イクヲールズという名前自体が、「等しい事」、つまり「人

 類みな兄弟」的思想によるものだったとか。

  そんな背景を持つザ・ファウンデイションズ、わたしは今回、後年に編集されたベス

 ト盤を手に入れまして、初めてラジオ以外で聴きました。8人という当時として

 は大所帯のビート・グループが、幅広い音楽性とともに成長した感じの、多面性

 を持つ面白いグループですね。ライヴでは「ハーレム・シャッフォー」や「ラーヴ・イズ・オールラ

 イト」採り上げてました。またお聞き頂く事にしましょう。

M03.Lunatics(3(3’34”)The Specials

-N.E.Staples,T.Hall,L.Golding-    UMC 7721090

N  「ルーナティクス」、唄と演奏はこちらも人種混合音楽家集団、スペシャルズです。昨年

 出た『アンコール』というアルバムからです。先日ある集まりで某英国人と同席しま

 して、その時に精神病院の話になって、覚えていた「ルーナティクス・ハズ・テイクン・

 オーヴァ・ディ・アサーイラム」と唄ったら、「それ、スペシャルズが新しいアルバムで演って

 んだよ」と教えられ、探し出しました。原曲はファン・ボーイ・スリー名義で、1981

 年のヒットでしたか。プロモーシォン・ヴィディオの出来が良かった事を覚えています。

 想ひ出の「スタジオ・テクノポリス27」時代の話ですね。

  ザ・スペシャルズはその頃から活動しているグループですが、最新盤には3人、

 白人がふたり、黒人がひとりの写真しかありません。この人たちは集合拡散

 が激しくて、名前もスペシャルズ、スペシャルA.K.A.の他にスペシャル・ビートなどいくつ

 かあります。ファン・ボーイ・スリーもスペシャルズのメムバで結成されたらしいですね。

 今は中心メムバが写真の3人という事なんでしょう。写っているそれぞれの表

 情は険しく、ディフィカルト・ボーイ・スリーですね。

  このアルバム『アンコール』はスタジオ録音とオマケ扱いの実況録音の2枚組です。実演

 は、10人で演ってました。こちらはノリノリのウケウケです。そちらはまたの機会と

 いたしまして、今朝はスタジオ収録から聞いていただきましょう。

M04.Embarrassed By You(3’04”)The Specials

-T.Hall, H.Panter,L.Golding,N,T.Larsen,M.Adams-  UMC 7721090

N  冒頭にドラムズの音が入りましたが、本来はイントロなしで唄から入ります。わた

 しの送出機誤操作でした、失礼。

  スペシャルズ、アルバム『アンコール』から「エムバレイスド・バイ・ユー」でした。これはジャ

 マイカ音楽の影響が強く打ち出された仕上げです。やっぱりこういう唄はイギリス

 の白人では無理でしょう。あの独特のスピード感もね。

  スペシャルズは昔から楽天的なバンドではありませんでしたけれど、今回も通し

 て聞いていると、どこか英国の陰を見るような気分になって来ます。登場し

 て来た当時の世の中の暗さはまだ解決されていないのでしょうか。EUを正式

 に離脱して、これからのイギリスには新しい正念場が待っています。

  スタジオ収録の最後に収められていた、「ウィ・セル・ホープ」をどうぞ。 

M05.We Sell Hope(4’36”)The Specials  

-T.Hall, H.Panter,L.Golding,N,T.Larsen-  UMC 7721090

M06.Femme(2’30”)Manou Gallo     

-unknown-  Cj033-lc27125

N  「ウィ・セル・ホープ」、ザ・スペシャルズに続けて、『アフロ・グルーヴ・クイーン』マヌ・ギャ

 ロで「フェメ」をお聞き頂きました。以前にブーツイー・コリンズとの「カム・トゥゲザー」

 をお聞きいただいた、あのコート・ジヴォワール共和国の女性ベイス奏者、マヌ・ギャロで

 す。アルバム全体は北米のファンク的な器楽演奏形態がどうしても目立ちますが、そ

 の所々に差し込まれている、アフリカ大陸ならではのハーモニー感覚の歌曲がとても気

 持ちよく響きます。こういうのをなんでもなく、サラリと演ってのけるのが流石

 です。羨ましいなあ。北米のファンク的な器楽演奏もここで聞く限りでは、アメリカ

 的な表現を凌駕して、ファンク深いルーツであるアフリカ大陸の地響きになっています。

 これには、もう敵わないですね。

  『アフロ・グルーヴ・クイーン』マヌ・ギャロから、今朝は短い物をもう2曲お聞き頂き

 きましょう。

  まずは「ディジェ、ディジェ」。

M07.Dje Dje(2’59”)Manou Gallo  

-unknown-  Cj033-lc27125

N  マヌ・ギャロの『アフロ・グルーヴ・クイーン』から今朝の3曲目は「イエール」、これにはカ

 メルーンのサクスフォン奏者、マヌ・ディバンゴが参加しています。すぐに分かりますよ。 

 では、どうぞ。

M08.Yale(3’30”)Manou Gallo feat.Manu Dibango

-unknown-  Cj033-lc27125

M09.津軽イタコ口ヨセ(3’18”)葛西孝三郎        

-trd.-  華宙舎  / オフノート OK-6   

N  コート・ジヴォワール共和国のマヌ・ギャロとカメルーンのマヌ・ディバンゴに続いては、青森県

 の葛西孝三郎です。先週は研ぎ澄まされたようなビート感覚が素晴らしい「じ

 ようんがら節」をお聞き頂きましたが、今朝は語り口調も同等に素晴らしい

 「津軽イタコ口ヨセ」です。この葛西孝三郎という人の芸はたいした物ですね。始

 めは言葉も分からないのですけれど、確かな滑舌にノせられてついつい聞き入

 ってしまいます。何よりもご本人が言語を理解して、主体的に語っている姿

 勢が荘厳です。

  これは「イタコの口寄せ」でありまして、死者をこの世に呼び戻して語らせる

 宗教儀式のひとつですね。誰を呼び出したんでしょうか。

  さて、先週もお届けした『民謡源流考』からも短い謡曲をお届けしましょ

 う。ツイターでご指摘の通り、この全集の主宰者は町田佳聲、「まちだかしょう」

 という研究者です。わたしは今、本作品の周辺事実を知りたいのですが、ど

 うも辺りにはありそうもないので、時間のある時に国内最大の図書館へ出か

 けようと考えています。そこで何か分かりましたら、すぐにお伝えしましょ

 う。

  今朝お聞き頂くのは、

  まず新潟県の「二上がり甚句」、峯村利子。

  次に長崎県の「五島はいや節」、山本ヨシ。

  そして熊本県の「球磨六調子」、木山勝清です。

M10. 二上がり甚句(1’33”)峯村利子   

-trd.-  MEG MGCL-412036 

M11.五島はいや節(1’04”)山本ヨシ

-trd.-  MEG MGCL-412036  

M12.球磨六調子(1’10”)木山勝清

-trd.-  MEG MGCL-412036 

N  さて、先週お伝えしたように、9日に御茶ノ水へカルラ・トリオを聞きに行ってま

 いりました。レコード屋の店頭実演ですからいい音は諦めていたんですけれど、

 これがなかなかの響きでして、充分に楽しめました。とても良かったですよ。

  3人の演奏家もそれぞれに好人物、多く参加していた熱心なファン達ともいい

 交流が出来てました。和太鼓を組んだセット・ドラムズ、電子ピアノ、そして篠笛と

 いう変則編成ですが、独創的な空間形成は見事でした。わたしの耳には具象

 スレスレの演奏ですが、リードのモチーフが分かり易くポップなので、聞いていて迷って

 しまう事もありません。

  当日その場で買ってサインを貰ったCD盤からお届けしましょう。今月、2月

 の事ですね、「キサラギ」。

M13.生更来(5’38”)Karura Trio   

-M.Mori-  Karura KATR 1001  

N  カルラ・トリオで「キサラギ」でした。これは「2月」を表す言葉ですけれど、「如月」

 を始めとして表記法には何種類かあるそうです。作者の森学は草木や無視た

 ちが再び蘇る「生更来」が好きなんだ、と農業従事者らしく語っていました。

 必ずやって来る春を待つ、今頃にぴったりの一曲ですね。

  次は少し長い演奏ですが、カルラ・トリオの世界に遊んで下さい。

  「蓮の花」。

M14.蓮の花(9’06”)Karura Trio

-M.Mori-  Karura KATR 1001  

N  カルラ・トリオで「蓮の花」、如何でしたでしょうか。先程は「なかなかの響き」

 と申しましたが、実際に変則的な3人編成なのに全く不足感がなく、それぞ

 れの緻密な演奏が心地良かったですね。アンサムブルはかなり研究されている感じ

 ですが、今のような長尺ですとやはりそれぞれの感覚が頼りです。ここに必

 要なのはこの音だけ、そういう掟が徹底しているようにも感じました。ただ

 し、決して禁欲的な雰囲気が支配的ではありませんでしたよ。

  さて次も変則ピアノ・トリオです。ベイスがいません。左手でその低音ラインを弾い

 て、そこに右手、ドラムズ、サクスフォンが絡みます。

  ドイツはベルリンを本拠とするマティ・クライン、新しい録音から、

  「アフリカン・タクシトリップ」をどうぞ。

M15.African Taxitrip(4’27”)マティ・クライン

-unknown-  BSMF 5089   

N  南アフリカ的な響きで終わった「アフリカン・タクシトリップ」、宜しかったですね。アルバム

 は、全11曲入り。最後は「ホーム・イズ・ウェア・ザ・ビート・イズ」なんて洒落たタイ

 トルの楽曲です。ニクいね。

  さて、来日間近なボブ・ディランです。48番の受付順を買えた、と喜んでる奴

 がいたな、誰だっけ・・・。その来日とは全く無関係ですが、便乗してここ

 で再発になるカヴァ・アルバムが2枚あります。ひとつは60歳の誕生日に送られ

 た物、もうひとつはその10年後の70歳のお祝いでした。通して聞きますと、

 独特の節回し、と言いいますか出て来る旋律の滑らかさが印象に残ります。

 やはり偉大なるメロディ・メイカーなのですね。

  では彼の先輩格のジャック・エリオットの「くよくよするな」を、出会った時のエピ

 ソードと共にお聞き下さい。

M16.Intro~Don’t Think Twice, It’s Alright(5’54”)Ramblin’ Jack Elliott

-B.Dylan-  BSMF 6187  

M19.Batman Theme(2’03”)Link Wary & His Raymen   

-Hefit-  Can Pilz / Charley Holdings  44 7441-2

N  メロディ・メイカーに続いて突然出てきた蝙蝠男、バットマンです。子分のロビンも一緒

 でした。これがシングル盤でヒットした仕様でしょうか。だいぶ前に海外で買った

 ブルーズ・ギターの安易コムピ盤に入っている録音ですし、テレビのサウンド・トラックみた

 かったですね。ちょっと自信がありません。

  なぜ、この勧善懲悪物語の主人公、蝙蝠男が出てきたかと言いますと、そ

 の訳は、これです。

M20.ジョーカー(2’37”)セルジオ・メンデス  & ブラジル’66

-Newley, Bricusse-   ユニバーサルUICY-3701  

N  セルジオ・メンデス & ブラジル’66の「ザ・ジョーカー」です。わたし、この前のアカデ

 ミーは「ジョーカー」に行くと思ってたんですよ。観た人たちが全員、深く考えさ

 せらているのを知って、「俺の考えてるジョーカー像とは違うんだな」と思ってい

 ましたし、こういう難しい主題が今の映画賞には相応しい、と独断していま

 した。わたしはジャック・ニコルスンのジョーカーがまさにぴったりに見えていたんです。 

  でもオスカーは貰えなかった。そこで、追悼にセルジオ・メンデス & ブラジル’66の「ザ・

 ジョーカー」です。その露払いに蝙蝠男と子分のロビンにも登場願った訳です。

  今の「ザ・ジョーカー」はイギリスミュージカルのための歌だそうで、今回の映画とは

 何の関係もありません。セルジオ・メンデスとブラジル’66でした。このグループはバンマ

 スのセルジオ・メンデスだけが不動で、他のメムバはしょっちゅう入れ替わっていたよ

 うです。と言いますか、固定メムバである必然性がなかったと思われます。名

 前もその前にはブラジル’65を名乗り、その後にはブラジル’77と変わったくらい

 ですからね。これ、幾つまで行ったのでしょうかね。「88」というのは聞いた

 事ないなあ。ブラジル2000というのも知らない。思い切って「ブラジル令和元年」

 なんてしたらウケたかも、あ、それはないですね。

M21.デイ・トリッパー(3’08”)セルジオ・メンデス & ブラジル’66  

-Lennon, McCartney-   ユニバーサルUICY-3701

N  これは「ザ・ジョーカー」と同じくA&Mからのファースト・アルバムに収められている

 「デイ・トリッパ」です。世界的なボッサ・ノーヴァの流行に乗ってセルジオ・メンデス & ブ

 ラジル’66はヒットを連発しました。そのひとつの核がビートルズ・ナムバの意表を突く

 カヴァでした。今の「デイ・トリッパ」はそれほど趣向を凝らした、というもので

 もないでしょう。間奏はモロにラムジー・ルイス的ですしね。一方「ザ・フール・オン・ザ・ 

 ヒル」は独自のシタールのリフが加えられた独創的な編曲で、こちらもヒットしました。

  セルジオ・メンデス & ブラジル’66は、明らかに少なくとも日本のヒット・チャートをリード

 していましたね。では「ザ・フール・オン・ザ・ヒル」、ビートルズの『マジカル・ミステリ・

 トゥア』から、オリヂナル仕様で聞きましょう。

M22.ザ・フール・オン・ザ・ヒル(3’00”)ザ・ビートルズ     

-Lennon, McCartney-   東芝  TOCP-71049   

M23.フライング(2’13”) ザ・ビートルズ

-Lennon, McCartney, Harrison, Starr-   東芝  TOCP-71049  

M24. 2120 South Michigan Ave.(4’38”)George Thorogood And The Destroyers

-N.Phelge- Capital 5099902933825

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N   ビートルズの『マジカル・ミステリ・トゥア』から「ザ・フール・オン・ザ・ヒル」、それに続い

 ては「フライング」そして、「南ミシガン通り2120番地」、ジョージ・サラグッドとザ・デ

 ストロイヤーズでした。これら2曲にはわたしの幼い頃の想いが詰まっています。

 前テーマ曲をビートルズの「フライング」、そして後テーマをザ・ローリング・ストーンズの「南ミシガ

 ン通り2120番地」にしたラジオ番組を持つのがわたしの夢だったのです。それ

 が何処かで「アサー」になってしまったのですよ。

  今の「南ミシガン通り2120番地」はジョージ・サラグッドが2011年に出した「讃

 えよチェス」アルバム表題曲、ハーモニカは、チャーリー・マッセルホワイトです。実は今週までこの

 存在すら知りませんでした。また本家ザ・ローリング・ストーンズの「2120番地」は、

 イギリスのデッカからでたオリヂナルLPには入っていない、という事も今回初めて分

 かった事です。勉強になりました。

  新型コロナ・ウイルス被害が国内でも出ています。これね、わたしにはこの国の政

 治システムの現状、つまり欠陥をさらけ出しているようにしか見えないのです。

 医療科学だって、新薬開発だって、わたしたちは世界水準にある筈です、絶

 対に。それを認めない、使わせない、機能させないのは、すべて政府です。

  今回の特別機による帰国者の滞在地を探して、交渉し、何とか収容して貰

 ったのは、押し付けられた地方自治体です。「当日に言われた」なんて言語道

 断だね。「チャーター機を送る」なんてその場で思いついてエエカッコだけしたい、全く

 専門的な知識はおろか、判断力すら持ち合わせていない担当省庁の長、つま

 り大臣たちは、その後の処理を役所に押し付ける。トーダイ出のノーナシばかりが揃

 った役所は、地方自治体に作業を落とす。現場は大混乱なのにこの理不尽を

 訴えると、中央省庁から睨まれて助成金などに影響が出る。だから滅茶苦茶

 な状態でも何とか収めようとする。酷いもんです。現場で実際に人々と接す

 る地方自治体が一番大変でしょう。横浜港をさまよう船に関しても、日が経

 てば何とかなるという根拠のない中央の判断が軸になっていて、乗客にシウマイ

 弁当も食べさせず、全く無駄な時間を過ごさせているだけです。結果として、

 病気自体への対応が遅れて、被害が拡大する。感染するのは国民ひとりびと

 りなのです。この悪循環。記者会見や議会での答弁を見ても、情けなくなる

 だけです。すべて忖度の連鎖です。その頂点にいるのが、すぐ怒り出して品

 のない言動に出る、最低の宰相、安倍晋三です。

  検査も受けられずにホテルに押し込められた人たちを勝浦の人たちが海岸か

 ら励ましたのは良かったね。砂浜で太鼓を叩いて激励する、これ素晴らしか

 った。勇気の源、太鼓本来の使命をも果たしました。誰が呼びかけたんだろ

 うか。まず「幻」から、表彰状を送ります。

  特効薬の認定がモタモタしていますが、丁寧な手洗いで感染が防げるそうです。

 ひとりびとりにすれば簡単な事。これで防ぎましょう。そして世界の感染病

 対策のお手本を見せてやろうじゃアーリマセンカ。

  さて今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

https://firestorage.jp/download/cf2b2994de9e1e8402287c0fcea44f1eff59e4e0

  ダウンロード・パスワードは、n8pt7iw0です。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

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【幻】モーニン・ブルーズ 2020/02/08

mb200208

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようございます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2020年2月8日

 を始めましょう。

  突然、寒くなったようですね。わたしはその日に多少暖かい場所にいたの

 で実感がありませんでした。自転車で12km先の仕事場で通ってた頃の記憶

 では最高気温が9度ある日は暖かい。これが7度だと「寒い」日になります。

 そういう日は朝が辛いのですが、段々と暖かくなっていく途中ですから走り

 出せば、なんとかなります。逆に夜、陽が落ちると急激に冷え始めますね。

 6度というのはどんなだろうかな。

  さて「2月もよろしく」、もちろんでございます。燃え上がります、

  エディスン・ライトハウスです、「恋のほのお」。

M01.恋のほのお(2’51”)エジソン・ライトハウス

-B.Mason, T.Macaulay-  ワーナー   WPCR-17928

N  エディスン・ライトハウスで「恋のほのお」でした。1970年の大ヒットです。イントロからし

 ていい音ですね。ピアノのオーヴァ・ダブは技師の仕事ですね。ひょっとして正式

 なオーディオ装置で聞いたのは今回が初めてかも知れません。ずっとポンコツの携帯

 ラジオでしたから。

  50年以上前の話ですが、誰でも16歳くらいになるとこういう海外のヒット曲 

 を聞き始めるんです。わたしは当事、既にエルモア・ジェイムズ・ショックに打ちのめさ

 れていましたから、ナムパな即席洋楽ファンをエラソーにケーベツしていましたが、それ

 でもしっかり頭骸骨に刻まれていて、50年経っても所々は一緒に唄えます。

 若い柔らかな脳味噌の素晴らしさでしょう。

  以前もお話ししましたね。俺の事を好きなんだと自惚れていた「あの娘」

 が、リクエスト番組に「恋のほのお」希望のハガキを出して、それを送った相手は

 わたしの全く知らない男だったという笑い話、それを実際に放送で聞いた、

 この有名な出来事をご存知の筈です。若い心とラジオの交流は、本当に凄かっ

 たのですよ。

  さてその「恋のほのお」は、先週ほんの少し掘った音楽制作者、トニー・マコウレ

 イの最も有名な作品と言っていいでしょう。エディスン・ライトハウスというのはデッチ上

 げ、1910果実ガム会社と似たようなもので、架空の音楽家集団です。でもチャー

 ト上の動き大変宜しく、こうやって50年後にも流れているのです。

  さて次も先週からの流れでお届けしましょう。

  オレンヂ・カウンティ・ブラザーズです。

  「ラーヴ・ポーション・ナムバ・ナイン」。

M02.恋の特効薬(3’59”)オレンジ・カウンティ・ブラザーズ

-J.Leiber, M.Stoller-  コロムビア  COCP-38175

N  1978年のアルバム『クルージン』から「恋の特効薬」、オレンジ・カウンティ・ブラザーズで

 した。先週「コーヒー・ルムバ」からの媚薬関連でザ・クローヴァーズの同じ歌をお届け

 したら、「カワサキロケンローラーハギリョウ」さんから速攻でお返事を頂きました。ジョニー大

 倉がキャロル解散後のソ作品『ポップン・ロール・コレクション』でカヴァーしてたって。そうで

 す。わたしもこのジョニーちゃんのLP、持ってましたよ。なかなかの意欲作と

 いう印象が残ってます。ここからオリヂナルになっていく流れを続けて欲しかっ

 たな。 

  「恋の特効薬」自体は、鈴木やすしの「勝ち抜きエレキ合戦」で聞いたのが最

 初かな。唄のない器楽曲だったかも。イギリスのビート・グループ、サーチャーズの仕様 

 が北米の黒人ラジオ局で流れているのを聞いた事もあります。でも、これはや

 っぱりクローヴァーズだなあ、と確信していた矢先に出会ったオレンジ・カウンティ・ブラザ

 ーズの仕様、ぶっ飛びましたね。

  和文訳詞はグループ・リーダーでリードヴォーカルの飯田雄一。横浜は保土ヶ谷の虎狼

 です。あの久保田麻琴が「天才」と称する男ですから、感覚の良さ、鋭さは

 保証付。早くしてテキサスやメキシコ辺りの音楽に注目していて、自分のグループに付

 けた名前がカリフォーニャはオレンジ郡のオニーサン達、かっこいいですね。そして、とかく

 壁を作り たがるこの国の音楽好きには珍しく、このように幅広く黒人音楽

 もしっかり自分の音楽栄養にしていました。ずっとわたしの尊敬している人

 物でもあります。

  それはそうと、ジョニーちゃんの「恋乃特効薬」、ヒサーシぶりに聞いてみたくな

 りました。

  では、次も先週からの話題でつなぎます。

  デイヴィド・ディーで「オン・ヨー・ウェイ・フィッシング」。

M03.On Your Way Fishing(4’16”)David Dee

-D.Eckford, E.Williams-  Pヴァイン PCD-1253 

N  「オン・ヨー・ウェイ・フィッシング」、デイヴィド・ディーでした。1987年のLP『シア・プ

 レジャー』からです。このアルバム日本で1年遅れて出ました。その時の題名が『フ

 ィッシング・ザ・ブルーズ』で、今の「オン・ヨー・ウェイ・フィッシング」が表題曲のように

 扱われていました。わたしも87年当時に買ったLPですが、この歌しか記憶

 にない、といいますか果たして他のトラックをちゃんと聞いたかどうかも覚えて

 いません。オリヂナル盤はジェイ・ブラックフットの「タクシー」で知られたエッヂ(Edge)から

 出ていました。

  だからというのでは全くありませんが、首都圏で9人の重度聴取者のタクシ・  

 ドライヴァ45979号さんに「fishing bluesという楽曲のオリヂナルは誰か」と訪ね

 られたのですが、わたしは瞬時にどの歌か分かりませんでした。タージ・マハルが

 同じ題名の歌を歌っているようですが・・・。多分別のだろうと確信があり

 ましたが、わたしの心に浮かんだのは、今の「オン・ヨー・ウェイ・フィッシング」だっ

 たのです。それで、お届けした次第です。

  さて、わたしもたくさんの音楽関係制作物を通販で買っているアマゾンから、

 ジミ・ヘンドリクスのバンド・オヴ・ジプシーズの完全盤が出てるぞ、というお知らせ

 が頻繁に届きます。

  ジミの他に、バディ・マイルスがドラムズ、盟友ビリー・コックスがベイスというこのトリオは、

 ある意味でジミの当時の理想を具体化しようとしたものであった、とわたしは

 考えています。本当の思いは、イクスフペアリアンスが空中分解した後、ウードゥ・ストゥーク 

 に出た編成、ギタートリオにパッションがふたり入ったグループをもう少し突き詰めて欲

 しかったのですけれども、彼らなりの事情があったらしく、その次の形とし

 て人前に出て来たのはこの三人組でした。

  この頃のジミは相当に慌ただしい生活を送っていたようですから、「準備万

 端」という状態ではなかったにしても、それなりの勝算は持っていたでしょ

 う。ただ結果としてはこの時の、1969年の大晦日と翌日の1970元旦にヌー・

 ヨークのフィルモア・イーストに出演しただけでした。その時の全ての演奏が収められて

 いる「完全盤」を「買え買え」とアマゾンの営業AIから迫られています。

  興味は大いにあ 流けれど、どうしようかな・・・、というのが本音で、今

 ひとつ踏み切れないでいます。枚数、価格が第一の障害ですが、たぶん延々

 と続くハードロック的な響きや進行に気後れしているのかも知れません。

   では70年当時に出ていたLP一枚モノから聞きましょう。

   バディ・マイルスの書いた楽曲です、「チェインヂズ」。 

M04.チェンヂズ(5’14”)バンド・オヴ・ジプシーズ 

-B.Miles- MCA MVCE-24030 

N  「チェインヂズ」、バンド・オヴ・ジプシーズでした。実はこれがバディ・マイルス作品だ

 というのは、だいぶ後になって知りました。と言いますのは、キング・カーティスが 

 サンフランシスコのフィルモア・ウェストで録った実況LPのB面アタマに同じ曲が入っていまし

 て、わたしはずっとそちらで親しんでいたからです。こちらも1971年3月の

 実況録音で、後に「完全盤」が出ました。すぐに飛びつくようにして求めま

 した。入っていましたね、未発表の素晴らしい演奏が。

  3月7日の録音です、キング・カーティスとキングピンズで、「ゼム・チェインヂズ」。

M05.Changes(7’14”)King Curtis & The King Pins

-B.Miles-  Rhino RHM2 7890

N  既に発売されていたものよりも長く、熱い演奏の「ゼム・チェインヂズ」、キング・

 カーティスとキングピンズ、1971年3月7日のフィルモア・ウェストです。特にオルガンのビリー・

 プレストンとギターのコーネル・デュープリーが素晴らしい。狂ってます。特にカーティスからビ

 リーにソロを渡す時のデュープリーのピックアップ・フレイズの鋭さ・・・、 ひょっとした

 らソロ・オーダーを間違えて弾き始めたのかも知れませんけれど、「今んとこ、も

 う一回」と、ここだけを抜き出して何回も聞いた事があります。こういうの

 を見つけちゃうと、バンド・オヴ・ジプシーズの「完全盤」も聞いてみたくなり

 ますね、罪なものです。果たして・・・。

  さて、わたしも繁く通っているレコード店、渋谷のエルスールではこれまでも独自

 のコムピ盤を企画編集して発売して来ました。『フィーリン集』がよく知れれていま

 すが、他にもありますよ。昨年も精力的な制作を続けておりまして、アフリカは

 コンゴの1946年からの62年までの2枚組が出していました。

  録音は想像するよりも遙かに良く、エルスール自慢のマスタリングとも相まって抵抗

 なく聞けます。音楽の形は、日本では「リンガラ」と呼ばれる、後に北米ではファ

 ンクにつながっていく種類、「ルムバ」の類ですね。まだ完全イレクトリック化する前で

 して、生音のアンサムブルが主体です。いわゆるブラスバンドの形態をまだ脱してい

 ないのが、なんとも微笑しく響きます。

  いずれもよくまとまった演奏に仕上がっていまして、どうやって練習した

 のか、統率はどのように執られていたのか、そんなところに興味があります。

  ではオルケストレル・オデオン・キノスの1946年の録音、いずれも女性の名前を題名に

 した2曲を聞いて下さい。既にポップ・ソングの構成が採られているのにご注「耳」。

  「ファトゥーマ」、

  そして、「ジャナ」。

M06.Fatuma(2’36”)オルケストレル・オデオン・キノス  

-unkown-  El Sur Records 009

M07.Jeanne(3’01”)オルケストレル・オデオン・キノス         

-unkown-  El Sur Records 009    

M08.忍者大作戦(3’23”)Karura Trio

-unknown- Karura Records  KATR1001

N  4分の5拍子を採り入れた得体の知れないアンサムブルの奇妙な音楽が流れまし

 た。これはカルラ・トリオという日本人三人組です。ピアノと太鼓と篠笛という編成。

 おそらく世界で唯一でしょうね。それぞれにキャリアのある演奏家たちですが、

 このトリオとして初めてのアルバムを2018年に発表しています。その中から「忍者

 大作戦」をお聞き頂きました。明日2月9日の午後2時から御茶ノ水ディスク・

 ユニオンのジャズ東京で無料の実演です。今の録音にはメムバ以外の人も加わってい

 る様ですが、果たして3人でどんな音を出すのでしょうか。わたしもなんと

 か行って観るつもりでいます。

  なお、彼らのうち、篠笛担当の森学(もりまなぶ、でしょうか)は農業を

 しながら音楽活動を続けているそうです。わたしはそこにも興味が湧きまし

 た。 

  さて、トーキョー・エフエムのトランス・ワールド・ミュージック・ウェイズの打ち合わせをしてい

 た時に、番組司会者の田中美音里がマチダカセイ「町田佳聲」という人の名前を出

 しました。しかし恥ずかしながら、わたしは当人を知らなかったのです。そ

 れで調べたところ、60年代にたくさんの民謡録音をしていて、LPの全集を

 出している、ところまで分かりました。それが今、CD-Rの状態でなら手に入

 ると聞き、注文しました。しばらく待った後、入荷したのは全4枚。いずれ

 も現地まで出かけて、フィールド・レコーディングされているようです。たぶん本来は、

 佳聲自身による詳細な考察がつけられていたのでしょうが、今のCD-Rには、

 聞き取った歌詞しか掲載されていませんで不明な点も多いのですが、収めら

 れている芸の生なましさは、特筆すべきでしょう。願わくば録音周辺詳細が

 知りたい。これらはじっくり聞いて、また折に触れお届けします。今朝は下

 田の座敷芸の傾向が強い、

  「下田節」、小川淡流です。

M09.下田節(3’11”)小川淡流

-trd.-  Mego / コロムビア  MSCL-61026

N  町田佳聲監修『民謡源流源流考』から小川淡流で「下田節」でした。同傾向

 のアルバムをもうひとつ紹介しておきましょう。

  『真説じょんがら節』という2枚組です。これは津軽の民謡である「じょ

 んがら節」の係累でこれまでに録音されてレコードとして発売されていたもの

 を集めて編集した、なかなかに手応えのある物です。わたし自身もこの地方

 の音楽と向き合うのは初めてなのですが、企画制作者のひとりに知り合いの

 名前があるのに興味を持って、入手しました。わたしの知るところでは、彼

 はR&B、それも南部のマイナーな、いわゆるディープ・ソウルのファンだったはずな

 んですが、こんな趣味もあるのかと驚きました。この次に会ったらそんな話

 もしてみたいですね。でもその前に、この2枚組をしっかり聞いておかなく

 てはいけません。

  今朝は、第一回青森県民謡大会で優勝した葛西孝三郎です。ビート感覚が素

 晴らしい、「じようんがら節」をどうぞ。

M10. じょうんがら節(2’27”)葛西孝三郎

-trd.-   華宙舎 / オフノート OK-6

M11.心のなやみ(5’05”)憂歌団

-trd.-  徳間 TKCA-30169  

M13.Trouble In My Mind(2’35”)Eddy Arnold

-A.Milburn, R.M.Jones- Cmplete Country  SCOUNTCD010

N  微妙に違いますが、同じ歌ですね。「心のなやみ」憂歌団、そして「トラブル・

 イン・マインド」でした。こちらはエディ・アーノルドでした。

  ラジオ日本でのディージェイズ・ファイルでカントリーの定番曲をお届けしたところ、「こ

 ういうカントリーのスタンダード曲を紹介する番組があったらいいのに」というご意見

 を賜りました。確かにその通りですが、今「こういうスタンダード曲」を分かっ

 てる人が放送現場にいないのではないでしょうか。ニワカ田舎音楽愛好家のわた

 しが代行しているくらいですからね。

  同時に「エディ・アーノルドを聞きたくなった」というお声も聞きました。そこ

 で、ちょうど手許にあるエディ・アーノルドの定番集から、よく知られている楽曲

 をお聞き頂きましょう。

  まずは、これです。

M14.I Really Don’t Want To Know(2’42”)Eddy Arnold

-D.Robertson, H.Burns-   Cmplete Country  SCOUNTCD010

N   ご存知「知りたくないの」、なかにし礼の訳詞、菅原洋一の唄で日本でもヒ

 ットしましたね。1953年に書かれた歌ですから、随分後になって日本で知られ

 たようです。わたしはもっぱらソロモン・バークの仕様で聞いていました。最初は

 彼が唄っているのが信じられなくてね。「何故、黒人がシャンソーンを」なんて狭量

 な考えだったのであります。

  さてエディ・アーノルドの田舎音楽定番集を続けましょう。次はこれです。

M15.You Don’t Know Me(2’41”)Eddy Arnold 

-C.Walker, E.Arnold-   Cmplete Country  SCOUNTCD010

N  「ユー・ドント・ノウ・ミー」でした。これはこのエディ・アーノルド版が初出らしいです

 ね。1955年の発表です。ただ、わたしは誰か他の人で知ってる。レイ・チャールズ

 も唄ってるけど、彼じゃない。誰だっけな、録音状態の悪い、門外漢の唄だ

 った筈です。調べてみましょう。楽しいね、こいうのは。

  さて次もエディのオリヂナルヒットです。この『ザ・スムース・オペレイタ』というエディ・

 アーノルド定番集は完璧を誇る「コムプリート・カントリー」というレイベルの製品ですが、

 大きな間違いがあります。しかも冒頭部分からなんです。

  それは2箇所に記載されている1曲目「Mammy Please Stay Home With

 Me」が「Each Minute Seems A Million Yeras」なんですね。これじゃあ

 「Copmplete」の名が泣くってもんですよ。ニワカ愛好家にとっては、レコードは

 絶対な物ですからね。

  では気を取り直して行きましょう。

  イーチ・ミニットゥ・シームズ・ア・ミリオン・イヤーズ〜一日千秋」。

M16.Each Minute Seems A Million Years(2’55”)Eddy Arnold              

-A.Watson-   Cmplete Country  SCOUNTCD010

N  さて非常に手強かった「カントリー・ミュージック」のブルー・レイ8枚組を、ようやく見

 終えました。総時間6360分を削り出すのは暇な我が身でも大変でした。何し

 ろ途中で邪魔が入らないように、一人の時間を作らなければいけません。は

 っきり言いまして、殆どが現存者の独白で綴られるこのドキュメンタリは、英語に

 堪能でない人間にとっては、見続けること自体がとても辛い作業です。しか

 もわたしは英文字幕の存在に気づかなかったので、余計に重労働でした。

  とは言え早いうちから次のエリスで採り上げようと決めていましたから、「ま

 だ全部観てません」じゃ「ワツシイサオ」の名も泣くってもんですよ。努力と忍耐

 で通しました。ちょっと突発事があって、大々的なフィーチュアではなくなりまし

 たが、エリスの原稿も提出しました。

  さてこの番組中に出てきて長く話しをする二人の女性の歌を、短縮版の2

 枚組サウンド・トラックから聞きましょう。

  まずは、キャシー・マティアで

  「ウエア・ハヴ・ユー・ビーン」。

M17.Where’ve You Been(3’46”)Kathy Mattea

-J.Vezner, D.Henry-  Sony 1907560422

N  そしてもうひとり、この番組後半の鍵ともなるジョニー・キャッシュの娘、ローザンヌ・

 キャッシュです。実際に彼女の話は相当長かったですね。字幕でおさらいだ。実況

 録音仕様でどうぞ。

  「アイ・スティル・ミス・サムワン」。

M18.I Still Miss Someone(2’44”)Rosanne Cash 

-J.Cash, R.Cash J.r.-  Sony 1907560422

N  「アイ・スティル・ミス・サムワン」ローザンヌ・キャッシュでした。

  皆さまもようやくにはご存知かとは思いますが、わたしは十代半ばからほ

 ぼ20年くらい、北米黒人の音楽を中心に聞いて来ました。ですから、今こん

 なに白人のカントリー音楽に夢中になっている自分が信じられないくらいです。た

 だし、そのくらいの奥深い、根源的かつ急進的な領域である事は、この作品

 「カントリー・ミュージック」を通して再認識いたしました。多分これからも聞いて行

 く事になるでしょう。よろしくお付き合いのほど、改めてお願い致します。

  では、その狭量なわたしを目覚めさせてくれた1994年、ドン・ヲズ制作の傑

 作アルバム『リズム、カントリー、アンド・ブルーズ』から、そのハイライトです。

  「ファニー、ハウ・タイムズ・スリップス・アウェイ」。

  アル・グリーンとライル・ラヴェットが唄ってくれます、どうぞ。

M19.Funny How Time Slips Away(4’33”)Al Green & Lyle Lovett    

-W.Nelson-   MVCM-466

M20.Funny How Time Slips Away(3’31”)The Spinners    

-W.Nelson-  Atlantic  7 82332-2 

M21.It’s All In The Game(2’44”)Four Tops  

-G.Charles, G.Dawes-C.Sigman-  Motown B0000488-02

M22.Still Water(Love)(3’10”)Four Tops

-F.Wilson,W.Robinson-  Motown B0000488-02

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N   今朝の最後は、ヴォーカル・グループで締めさせていただきました。

   アル・グリーンとライル・ラヴェットが唄った「ファニー、ハウ・タイムズ・スリップス・アウェイ」、同

 じ歌をスピナーズでお送りしました。1982年のシングルです。

  そしてフォー・トップスは「恋のゲーム」、そして「スティル・ヲーター(ラヴ)」、こちらは

 共に1970年の発表でした。「恋のゲーム」のオリヂナルを、長い間エディ・アーノルドと

 勘違いしてたもんですから、ずっと慣れ親しんでいたフォー・トップスで聞き直し

 ました。リーヴァイ・スタブスの泣き節は、いつ聞いても絶品ですね。わたしにはこ

 の2曲を、毎晩、必ず聞いていた3ヶ月間があります。19の頃かな。カントリー

 も良いけど、やっぱりR&Bは違うな。我を忘れて、すっかり良い気持ちにな

 ってしまいましたよ。

  さて、今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。  

https://firestorage.jp/download/72d1736ee638c3fbd004c7c7894603d578f8cfab

   ダウンロード・パスワードは、q7tjv5d3です。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

♪♪ Twitter “#blues761″の閲覧はコチラ♪♪

【幻】モーニン・ブルーズ 2020/02/01

mb200201

前TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようございます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2020年2月1日

 を始めましょう。

  一月は往ぬる、二月は逃げる、三月は去るなどと言いまして、年の始めは

 慌ただしく過ぎ去って行くというのが昔からの習わしです。今朝はもう2020

 年2月。1日とは言え、早いものです。今年は特に早かった。ただし、今月は

 2月と申しましても夏季オリムピックのある閏年ですから、29日までありまして、

 カレンダーも3月とは違います。ご用心下さい。

  などと落語調で始まりました「幻」、1曲目はザク・ブラウン・バンドです。

  「サムワン・アイ・ユースト・トゥ・ノウ〜どっかの誰かさん」

M01.Someone I Used To Know(3’37”)Zac Brown Band

-Z.Brown-  BMG 538477552

N  「サムワン・アイ・ユースト・トゥ・ノウ」、ザク・ブラウン・バンドでした。最新アルバム『梟』

 からです。前のアルバムが売れたのでしょうか、今回はジャケットが凝っています。

 演劇の舞台装置みたいな背景にメムバ全員が勢ぞろいして、特別誂えでしょう

 か、それぞれが念入りな衣装を着ています。なかなか見応えのある作品です

 ね。

  今世界の大きな傾向として、音楽のパッケイジ・ミーディアがなくなりつつありま

 す。いわゆる「配信」で済ませよう、という考えです。それはこれからを考

 えれば正しいかも知れませんが、こういうジャケットの面白さがなくなってしま

 う、という事につながります。自分の所蔵品はPC内部の表だけ、なのです。

 大変に寂しいですね。あなたは如何お考えでしょうか。

  さてこのザク・ブラウン・バンドの『梟』アルバムをお聞きいただきましたのには、

 個人的な理由があります。年明け早々の混乱で散らかり放題にしていたツケで

 しょうか、しばらくこの充実した内容の新作、現物の盤が行方不明だったの

 です。それが玄関用のディスプレイにある事が分かりまして、早速救出、そして

 今朝お聞き頂いた、という訳です。

  そしてもう1枚、同じような騒ぎの元となった盤があります。

  それにはまず、こちらを聞いて頂いてからお話ししましょう。

  ハーマンズ・ハーミッツです、「ミセス・ブラウンのお嬢さん」。

M02.ミセス・ブラウンのお嬢さん(2’41”)ハーマンズ・ハーミッツ  

-T.Peacock,J.P.Jones-  ユニバーサル UICA-1435/6

N  「ミセス・ブラウンのお嬢さん」、ハーマンズ・ハーミッツ1965年のヒットでした。1月11日

 の生放送保の時、澤田修が忘れ物を取りに行った際、代打を勤めまして、そ

 の場に持って行った盤から選んで流した楽曲に今のグループのリード・ヴォーカリスト、

 ピーター・ヌーンの「ミート・ミー・オン・ザコーナー・ダウン・アト・ジョーズ・カフェ」というのが

 ありました。ピーター・ヌーン自身をよく知りもしないのに「とても彼らしい仕上

 がりですね」なんてテキトーな事を言っていましたね。それはただ単に今の「ミセス・

 ブラウンのお嬢さん」と印象が似ていただけなのです。曲目も覚えていなくて、

 プレイリストでは「不明」のままでした。ムジ日野トリさんが教えてくれて分かった

 位ですから。そもそもはその時に使った盤がこれまた行方不明になってしま

 ったからなのです。それがザク・ブラウンの『梟』と同じく突然生存確認がなさ

 れまして救出出来たのです。

  その盤とはトニー・マコウレイという作家/制作者の作品を集めたものでした。た

 だ手に入れてからじっくりとは聞いていなくて、「あれえ、目当てのあの歌が

 入ってないじゃないか」程度の印象しかなかったのです。生放送の日もちょ

 うど目の前にあったので使ったのが正直なところ。そこに並んでいた唄い手

 の中で、唯一知っていたのがピーター・ヌーンだったのです。

  ではその盤に収められている彼の歌をもうひとつ聞きましょう。

  「ミート・ミー・オン・ザコーナー・ダウン・アト・ジョーズ・カフェ」のA面曲です。

  「ブレイム・イト・オン・ザ・ポニー・イクスプレス」。

M03.Blame It On The Pony Express(3’05”)Peter Noone

-T.Macaulay, R.Greenaway,R.Cook-  MSI  MSIG 1216

 N  「ブレイム・イト・オン・ザ・ポニー・イクスプレス」、ピーター・ヌーンでした。エディスン・ライ

 トハウスの1970年のヒット曲「恋のほのお」によく似ていますね。それもその筈、

 このトニー・マコウレイという男はそちらも制作していたのです。他にも沢山のヒット曲

 に関わっているのですが、このアルバム『トップをねらえ あなたの知らないトニー・

 マコウレイ名曲集1965-1974』にはそういう物が入っていません。

  その訳は「私たちティーンズヴィルにとっての一番の喜びは、知名度が低くてあ

 まり聴かれていない音源を発掘すること—-つまり、ラジオであまり放送され

 なかった名曲をみなさんにお聴かせするすることにある」とライナに明記されて

 います。ひねくれ者たちですね、上等だ。

  そういう理由でこの『トップをねらえ あなたの知らないトニー・マコウレイ名曲集

 1965-1974』にはヒット曲がないのです。そもそもフライング・マシーンの「笑って、ロー

 ズマリーちゃん」が入っていると勘違いして買っわたしは、当惑しましたけれど、

 このトニー・マコウレイという男を、その分だけよく知る事が出来たようです。今の

 「ブレイム・イト・オン・ザ・ポニー・イクスプレス」は74年ですから、「恋のほのお」の

 4年後、二番煎じである、という事も含めて、ですね。

  ではその間違いの元ともなった「笑って、ローズマリーちゃん」をどうぞ。

  フライング・マシーン、1969年のヒット曲です。

M04.笑ってローズマリーちゃん(2’58”)フライング・マシーン   

-G.Stephens, T.Macaulay-  ワーナー  WPCR-17928

N  フライング・マシーンの「笑って、ローズマリーちゃん」でした。このグループ名が、かの

 ジェイムズ・テイラーがかつて所属していた音楽集団と同じだったので、わたしは長

 い間、「J.T.はこんな軟派な音楽やってたんだ」と信じていました。それも今

 では笑い話です。

  さて、以前も紹介したフューチュア・ジャズの旗手、ニュー・グラフィック・アンサンブルをま

 た聞いてみましょう。今朝のはアリシャ・ジョイというマンチェスターの女性をフィーチュアした

  「ホテル・リプレイス」です。

M05.Hotel Laplace(5’23”)ニュー・グラフィック・アンサンブル feat. Alysha Joy

-unknown-  Pヴァイン  PCD-20419

N  確実な演奏、高度な音楽性、そして強い社会意識、さらには幅広い感性、こ

 れらが共通する新しいジャズ。今の「ホテル・リプレイス」もそういった要素を持っ

 ています。加えて複雑なアレンヂや効果音などの使用で、より独創的な仕上がり

 でした。ラジオ日本の放送では「フューチュア・ジャズとはよく言った」と話していた

 わたしですが、若干認識を改めまして、こういうのはあくまでも現代のジャズ

 の形のひとつなんだ、と考えるようになっています。これからどんな変化を

 するのかが楽しみでもあります。

  さてそれと同時にわたしが興味を持って見守っているのが世界中にいるカリ

 ブ海の音楽を演奏する集団です。こちらも前に紹介していますね、スペインの

 スカ・バンド、ジ・オールディアンズです。

  今朝聞いて頂きますのは、「ウェン・ザ・スプリング・カムズ・バック」。

M06.When The Spring Comes Back(3’04”)ジ・オールディアンズ

-unknown-  Pヴァイン  PCD-83026

N  「春がまた来る頃」、今の時期にふさわしい曲名です。ジ・オールディアンズ

 でした。今年は大方の長期予想通り「暖冬」でしたね。これからもう東京で

 はコートが必要ないかも知れません。わたしは若い頃から、コートは一生分持って

 ました。それも重くて厚い、革の奴とかね。無駄になったなあ。

  さてジ・オールディアンズは先ほども言いましたようにスペインのグループ。写真では

 7人が写っています。女性がリード・ヴォーカル、他は4リズムにパカション、そしてパツ

 ラのようです。もう1曲聞きましょう。

  「イージー・ラヴィング」。 

M07.Easy Loving(3’38”)ジ・オールディアンズ

-unknown-  Pヴァイン  PCD-83026

N  「イージー・ラヴィング」、スペインのジ・オールディアンズの最新アルバム『ルーツン・ソウル(ナイス

 ン・イージー)』からでした。アルバム・タイトル通りの音ですね。このように彼らは洗

 練された音を特徴としています。ジャメカ音楽のひとつの側面がこういうところ

 に現れている、と言って良いでしょう。

  スペインには他にもスカを演奏するグループがあります。以前もお届けした世界の

 スカを集めたコムピ盤『スカ・アラウンド・ザ・ワールド』から拾って行きましょう。

  まずはアカツという男9人の演奏家集団です。

  「アシー・エレス・トゥ」。

M08.アシー・エレス・トゥ(4’22”)アカツ     

-J.Santamaria-  オフィス・サンビーニャ PM 982

N  アカツでスペイン語のスカ、「アシー・エレス・トゥ」でした。彼らはスペインのバスク地方を本拠

 地にしているようです。

  ジャメカは元々スペインの領土でした。今も首都キングストンの隣にはスパニッシュ・タウンと

 いう小さな町がある筈です。ラテン民族との混血も多いですね。睫毛が長いから

 すぐ分かる。ジャミーズ・レイベルの創始者、キング・ジャミーはきっとスペイン系ですね。

 レイベルを構えている場所も「セイント・ルシア」という地名でした。

  スペインのスカ・バンド、今度はカタルーニャ地方で活動するザ・ペッペー・ポッツがフランス

 の同傾向のグループASPOをフィーチュアした、

  「鵞鳥の出汁」。

M09.ダック・スープ(4’57”)ザ・ペッペー・ポッツ・フィーチャリング・ASPO

-M.L.Gore-  オフィス・サンビーニャ PM 982

N  ザ・ペッペー・ポッツ・フィーチュアリングASPOで「ダック・スープ」でした。

  はっきり言ってしまえば、このようにリズムにはっきりとした特徴を持つ音

 楽は形を造るのが比較的容易です。レゲも同じですが裏に来るアクセントをはっき

 り打ち続ければ、ジャメカ音楽になります。スウィングのように具体的な楽音ではな

 く意識の中で演奏する方が難しいのではないでしょうか。まあ、それ以前に 

 ジャメカ音楽の愛想の良さでみんな満足、という部分もあるかも知れません。

  また管楽器を含む大所帯という演奏形態も重要でしょう。人種も性別も混

 合でいいから、そこに居るみんなで楽しくやろう、という基本精神が世界中

 の若者の共感を掴んでいるようです。これもジャメカ音楽の愛想の良さとつなが

 っているかも知れませんね。

  では今度はイターリアのスカです。

  「ティーネイジ・キクス」、ブルー・ビーターズです。

M10.Teenage Kicks(4’05”)Blue Beaters

-O’Neill-  Records Kicks  RKX048

N  少々パンク的な「ティーネイジ・キクス」、ブルー・ビーターズでした。70年代半ばから80

 年代のロンドンではジャメカの音楽が大いに受け入れられました。折からあちらで

 はパンクがパンクしていた頃です。ジャメカは長い政情不安が続き、庶民の不平不満

 が日常化していました。その中でカウンター・ビートの強い音楽が生まれるのは当然

 です。ロンドンも大英帝国の没落で行き先を見失った若者たちがレゲやスカに共鳴

 したのはよく分かります。ブルー・ビーターズの演奏にもそんな雰囲気が感じられ

 ました。

  さて極東の島国にもカリブの音楽から多くを吸収している音楽家が大勢いま

 す。今朝はその代表格として、和田マコト率いるカセット・コンロスを聞きましょう。

  アルバム『カリプソ・ア・ゴーゴー』から、「ハイライフ」です。

M11.ハイライフ(5’18”)カセット・コンロス

-M.Wada- Con-Los Jazz International  CLJI-002

N  カセット・コンロスで、アルバム『カリプソ・ア・ゴーゴー』から、「ハイライフ」でした。リーダー

 の和田マコトはレゲ、スカの他にカリプソから多くを学んでいます。このレゲやスカの前

 に隆盛を誇ったカリプソは世界中で流行った民族音楽の祖かも知れませんね。

  確かに特に歌を作っていく過程では、この語り物音楽から得る部分は沢山

 あるでしょう。ジャムプ・ブルーズの雄、吾妻光良もカリプソを大いに参考にしてい

 るようです。

  さて極東の島国で生まれたカリブ・インフルーエンスド音楽にはこんな物もあります。

M12.スバル・サンバー(5’37”)Kunihiro Izumi  

-I.Kkunihiro-  Kitakara Records K-32

N  クニヒロ・イズミの「スバルサンバー」です。これにはやられましたね。お見事です。

 富士重工製造軽商業車スバル・サンバーへの限りない愛情を語っています。わたし

 も初めての自動車はスバルでした。初代の傑作360の次の世代、「R2」という

 名前でしたね。軽の規格がまだ360ccの頃です。最後は高速道路で大スピンを

 やらかして、お釈迦になりました。色々と逸話は多いのですが、ここでは控

 えておきましょう。

  クニヒロ・イズミは渋さ知らズのメムバでもあったという管楽器奏者。今の「サンバー」

 でもサクスフォンは結構本格的な音でした。でもそのほかはトーシロ芸のような緩さで

 す。緊張感の高い音楽を続けていた人が突然こういう表現をするのは珍しく

 はありませんが、それにしても面白い。

  但し、彼クニヒロ・イズミも言うときゃはっきり言います。

  「うそはやめてくれ」と。

  そうです、オリムピック招致委員界で世界に向かって嘘をついたこの国のソーリダイ

 ジンに、みんなで一緒に「うそはやめてくれ」と言いましょう。

  でも「あれは方便です」なんて言われたりするかもね・・・。甘く見られ

 たモノですね、この国の民は。

  「うそはやめてくれ」。

M13.うそはやめてくれ(5’30”)Kunihiro Izumi

-I.Kkunihiro-  Kitakara Records K-32

N  山梨県北杜市流ダブ「うそはやめてくれ」でした。次は新潟風フラメンコをお聞

 き下さい。

  徳永兄弟で、「赤とんぼ」。

M14.赤とんぼ(5’44”)徳永兄弟  

-trd.-  Pヴァイン PCD-25287

N  健太郎と康次郎の徳永兄弟、なかなかのアンサムブルで「赤とんぼ」でした。フラ

 メンコ・ギターというのは長い修行を重ねて会得出来るもので、最高峰に立てば高

 度な精神性も求められます。以前スペインのフラメンコ・ギター奏者のパコ・デ・ルシアが

 「スーパー・ギター・トリオ」と称して、ジョン・マクラフリン、アル・ディメオラと世界公演を行

 なった時は、その精神性の部分で他の二人は足元にも及ばなかったですね。

  但し、こういった生楽器の演奏ですと、どうしても超絶技術を尊ぶように

 なって、聞く方も禁欲的にストレスを溜め込んでしまう傾向になりがちですが、

 彼ら徳永兄弟は上手に現代の録音技術を取り込んで、面白いアルバムを作りまし

 た。それが『ギターラ・フラメンカ』、先月末に発売されています。ぜひ一度聞いてみ

 て下さい。

  では徳永兄弟でもう一曲、

  今度はご存知、「コーヒー・ルムバ」。

M15.コーヒー・ルンバ(2’21”)徳永兄弟   

-J.M.Perroni-  Pヴァイン PCD-25287

N  徳永兄弟で「コーヒー・ルムバ」でした。いい出来でしょう。

  しかしながらこの歌は、やはりこれでしょう。

M16.コーヒー・ルンバ(3’48”)西田佐知子          

K.Nakazawa, J.M.Perroni-   ユニバーサル UICZ-6041

N  西田佐知子で「コーヒー・ルンバ」でした。誰でも1日1回は飲むコーヒーが媚薬、

 惚れさせ薬だったとは・・・。世界は大変な事態になるのではないでしょう

 か。

  媚薬といえばこちらも有名ですね、ザ・クローヴァーズです。 

  「ラヴ・ポーション・ナムバ・ナイン〜媚薬第九番」、そう「恋の特効薬」。

M17.Love Potion NO.9(1’56”)The Clovers

-J.Leiber, M.Stoller-  One Day Music  DAY 2CD274 

M18.ヤガレ・テゼタ(6’53”)ザ・セレナイツ・バンド        

-unknown-  Pヴァイン  PCD-24919 

後TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  逃げる2月の最初の放送、最後はエチオピアのジャズ・ファンク集団ザ・セレナイツ・バンド

 で、「ヤガレ・テゼタ」でした。石間秀機風のギターソロが耳に残ります。本人に聞か

 せたいなあ。東アフリカに位置するエチオピアは極めて独特な音楽性を集約していま

 して、中東の影響をモロに感じさせるかと思いきや、今の「ヤガレ・テゼタ」でも

 ありましたように、歌謡曲的な旋律が突然出てきたりします。だからと言っ

 て両者を安易に結びつけてはいけませんけれどもね。このザ・セレナイツ・バンド、

 アルバムを聞いてみたいですね。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

  http://firestorage.jp/download/48b5c73397e65fcec8564639d99025ea9ad7ffd4
  ダウンロードパスワードは、0k1z1f6cです。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

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『河内音頭』  鷲巣功(著)
2019/11/20  本体 3,000円+税  ISBN:978-4-909483-44-7