【幻】モーニン・ブルーズ 2016/02/13

mb160213

 

前TM : ヲーキン・ブルーズ(夜に近いアサー仕様)P.B.B.B.

 

N  おはようございます。モーニング小僧。ワトゥーシ・アイザヲです。輪投師藍蔵王です。

先週はこちらの突発事を暖かく見守っていただきまして、どうもありがとう

ございます。ほっといたしました。ただ、黙っていれば、何も混乱はなかっ

たですね。考えてみますと、無用にお騒がせしただけのようでもあります。

しかし、後になって知った事実では、更新が少々遅れていたようです。こ

れは何が原因なのだろう。しかも10分以上のはみ出しです。放送事故伝票が

足りないぞ。

更には、「モーテン」的曲目紹介の間違いが、発覚。これは全く気付かなかった。

わたしの中ではこの歌、既に「モーニン・ブルーズ」なんです。

「今朝起きたらさ・・・」で始まるでしょ。今回久し振りに正しい題名に

接しました。

では改めてまいりましょう、永遠のロバート・ジョンスンです。

「ヲーキン・ブルーズ」、夜に近いアサー。

 

M01.ウォーキン・ブルース(2’29”)

-R.Johnson-  CBSソニー  FCP 80046/7

 

M02.悲しき天使(5’08”)メリー・ホプキン

-G.Raskin-  Apple  CD APPS1

 

N  いやはや、恐ろしいですね思い込みは。「ヲーキン・ブルーズ」ですよ。「モーニン・ブ

ルーズ」ではありません。ロバート・ジョンスンでした。

その次に聞いて頂いたのはメアリ・ホプキンの「悲しき天使」、これも秋から冬に

かけて時期に流行りましたね。それでついこの季節には回る事が多くなりま

す。1968年ビートルズの始めたアップル・レコーズからの新人先頭打者メアリ・ホプキン。

イギーがテレビで観て「この娘いいわよ」ってポ—ルに電話したんじゃなかったか

な。何という時代的なお話でしょう。

その第一弾シングルが「悲しき天使」。世界的な競作となって、日本でも森山

良子がカヴァしたんじゃなかったですか。

「Those Were The Days…」のところが「思い出すわあの日の事・・・」

とか唄われてませんでしたか。今メアリ・ホプキンだぞ、と少々威張っていたんで

すが、木曜日のNHK第一放送で大友良英と奈良美智の生番組が有って、そ

こで「ストリーツ・オヴ・ロンドン」というわたしの知らない歌が流れていました。

先にやられちゃった。彼女、万博の年に来日してたそうです。

さてこの歌は、ロシア、その頃はソビエト社会主義共和国連邦ですが、そちらの

地域の旋法を使って書かれたとされています。ちょっと珍しい音色も聞こえ

ます。バラライカなのでしょうか。クラリネットが出て来る辺りはクレズマ的です。非常に

よく出来たアレンヂですね。同時期に発表されたザ・ビートルズのホワイト・アルバムでは、

ポ—ル・マカートニが、かつての植民地ジャマイカから移民がロンドンに持ち込んでいたスカ

を上手に採り入れた「オブラディ・オブラダ」を録音していて、ポップ音楽の「ワール

ド・ミュ—ジック」化が水面下で進行していた、と言えるかも知れません。

次の歌も当時の当り歌。ロシア系民族音楽的背景を持っている、と何かで読ん

だ記憶があります。ほんとかなあ。

 

M03.オーケイ!(2’36”)ザ・カーナビーツ

-R.Hoshika, Howard, Blaikley-  テイチク  TECH 3242/3

 

N  「オーカイ」ではなくて、「オーケイ!」、ザ・カーナビーツでした。これは紛れもなく本人

達の演奏ですね。原典はどこだろう・・・、イントロのリフは若干アラビックでもあり

ますからソ連が中東と接するグルジアあたりなのでしょうか。。アイちゃん始めカーナ

ビーツのメムバーは分ってたのかな。

オリヂナルはデイヴ・ディー・グループ。彼らは「オ—ケイ」「ザバダック」など不詳な異

国情緒をネタに、ヒット曲を作り続けていました。日本に題材を求めた「木更津の

伝説」というヒット曲もあり、こちらはジャガーズが鞭を振りながらカヴァ。現在で

は氣志團にそのひとしずくが流れているとか、流れていないとか。

なお、デイヴ・ディー、ドジ−、ビーキー、ミック・アンド・ディッチというのが正式なグ

ループ名だそうで、わたしは1982年まで、この事を知りませんでした。

 

M04.Triple Lindig(3’01”)John Del Toro Richardson

-unknown- BSMF 2495

 

N  こちらも地域、年代不詳的な1曲。ブルーノートにたくさんあった50年代のオーガ

ン・ジャズのようでもありますが、これは、ジョン・デル・トロ・リチャードスンというギ

タリストの「トリプル・リンディグ」。デビュ−・アルバムからです。この新人が果たしてど

んな人間か、それは・・・、ちょうど時間となりました。来週もう少し詳し

くご紹介いたします。ワツシ総合研究所の調査によると、ミョ—レイのキレ−ドコロのココロ

を掴むだろう、という予想が成立しておりますが、果たして・・・。

さて、謎の投稿「You Won’t BE」について、ようやくお話しする時がやっ

てまいりました。

最初11月23日付の類似穴さんからのツイターを読んだ時、わたしは何の事か

分りませんでした。

その後のヒントとして授けられた原 恵一郎作劇画「ワシズ」第四巻23話も読

み直しました。これは太平洋を泳ぐ巨大な海亀の甲羅の上で卓を囲んで賭け

麻雀をするという設定の下に進行する話で、最後はダグラス松笠元帥が指揮を

執る米海軍艦隊からの攻撃をやり過ごして日本に帰還するという、荒唐無稽

な結末で幕を閉じます。

この麻雀勝負の中で盲牌と呼ばれる牌の目を指先で読むのでははなく、他

の牌と当る音でその目を判断出来るという絶対音感の持ち主が登場。ワシズの

前に立ちはだかって、大分苦戦します。いずれにせよ麻雀を知らないので仕

方ないのですよ。

この「絶対音感」という新たなキイワードも加わって、更に謎は深まりました

が、まず「You Won’t BE」というのは、この歌の事だのは分かりました。

 

M05.You Won’t See Me(3’27”)The Beatles

-J.Lennon, P.McCartney-  Capital 0946 3 603352 5

 

N  ザ・ビートルズで「ユー・ヲント・シー・ミー」でした。傑作LP『ラバ・ソウル』からです。

聞きながら、謎の投稿はおそらくこれを糸口に、ビ—トルズのコ—ラス・ハ—モニ—の分

析をせよ、とのご要望ではないか、と考えるに至りました。わたしは予てよ

り彼らをヴォ—カル・グル−プと断言して憚らない身です。ちょうど次号のエリスで、

遅れて観た『ザ・ビ—トルズ+1』について書いたばかり。有り難きお言葉として、

少々お話し致しましょう。ただ本格的な分析は、相当の時間を必要とします

ので、概論に留めさせて下さい。よろしいでしょうか。

ちょうど今の曲の頃から、彼らのコーラス・ワークは飛躍を始めます。北米R&Bヴ

ォ—カル・グループのハーモニーを自分たち流に焼き直すだけでなく、オリヂナリティの確立に

向けて、さまざまな試みが見られるようになります。次々と創り出される新

しい自作曲の数々は、独自の磨かれたバック・グラウンドヴォ—カルで、細部までより

はっきりとした形になって新しい響きを届けてくれました。

今の「ユー・ヲント・シー・ミー」はドゥー・ワップでよく用いられた声による伴奏を、

60年代のロックのセンスで置き換えた、という表現が相応しいでしょう。主旋律

裏の「ウー、ウー、ワ、ラーラ」というコ—ラスは当時とても新鮮でした。サビ終了部の追い

かけ唄い込みも効果的です。全体が素晴らしいベイス・ラインに支えられている事

も大きいでしょう。

このアルバム『ラバ・ソウル』では、もう1曲素晴らしい彼らのヴォーカル・ワークを聴

く事が出来ます。これです。

 

M06.ノーホエア・マン(2’42”)ザ・ビートルズ

-J.Lennon, P.McCartney-   東芝  TOCP-65300

 

N  「ノーウェア・マン」でした。今朝はヴォ—カル・ワークのお話をするため、あまり評判の

良くないキャピトルからのステレオ・ミックス盤を使っています。右チャンネルだけにすると、

アナログ程ではありませんが、歌の部分がグッと出て来ますよ。まだ発声が結構

トーシロっぽかったりして、面白くもあります。ただね、この「ノーウェア・マン」、アメリ

カ盤の『ラバ・ソウル』に入っていないんですね。ここまでのLP収録曲がアメリカで

は勝手に組み替えられていたのは衆知の事実ですが、この歌の入っていない

『ラバ・ソウル』なんて考えられますか。当時の担当A&Rの顔を見たいね。

以上の理由により、今の「ノーウェア・マン」はアルバム『イエロ・サブマリ−ン・ソング・ブッ

ク』からステレオ・ミックスでお届けしました。映画の中ではジェレミーの歌でしたね。こ

の設定が良かった。

ここにも先ほどと同じような「ウーララ」バック・グラウンド・ヴォーカルが出て来ます。

この流れは遠く極東の島国にも波及し、21世紀の現在でも、夏の甲子園の応

援楽曲筆頭、山本リンダ「狙い撃ち」に脈々と継承されています。

世界各地を駆け足で駆け巡るだけの旅公演を続けながら、彼らは新しい音

楽の世界に踏み出していました。新しい楽器とか録音の方法もありますが、

ヴォーカルで何がどこまで出来るか、という可能性を彼らは自然と追い求めてい

ました。『ラバ・ソウル』がその第一到達点とすれば、更に加速度を持って進み『SGT.

ペパーズ・・・』で、ひとつ完成したと言えるでしょう。

ただし、彼らのコ—ラス・ハ—モニ—指向は田舎のビ—ト・グループだった頃から、ずっ

と培われてきた大切な要素でもあります。デビュ−・アルバムから聞きましょう。

「ディス・ボーイ」。

 

M07. ディス・ボーイ(2’13”) ザ・ビートルズ

-J.Lennon, P.McCartney-  東芝 TOCP-67601-04

 

M08.Yes, It Is(2’42”)The Beatles

-J.Lennon, P.McCartney-  Capital 0946 3 603352 5

 

N  「ディス・ボーイ」、そして「涙の乗車券」のB面だった隠れた名曲「イエス、イティー

ズ」、共にいかにもジョンらしい複雑に屈折した愛の歌でした。わたしにはこの

2曲がヴォーカル・ハーモニーも含めて「対」に聞こえます。

さて、次は正式な録音作品ではないのですが、混乱状態でも彼らはヴォ—カル・

グループ的側面を失わなかった実例です。「ヘイ・ジュード」のB面の「リヴォル−ション」。

『ザ・ビートルズ1+』のDVD2枚目に収められているもので、じっくり観たの

は今回が初めてでした。これね、演奏は既に録音してあった自分たちのカラオケ

なんだけど、映像収録時の、この時だけの歌なんです。だから当然シングルと違

います。『ホワイト・アルバム』に収められていた「レヴォル−ション1」のスキャット部分「ヴウ

ヮップ、シュビドゥウヮ」をリンゴも含めて楽しそうに合わせる姿がとても印象的で、

わたしはますますこの歌が好きになりました。

では聞いて下さい。DVDからのモノ—ラル音声です。

「リヴォル−ション」。

 

M09.Revolution(3’26”)The Beatles

-J.Lennon, P.McCartney-  Universal nonumber

 

N  「リヴォル−ション」、良かったでしょう。相当に荒い音ですけれど、それがまたね。

これのリード・ギターはジョンなんですね。知らなかった。

ちょうどこの頃かな、彼らはトウィッケナムの映像ステューディオに楽器を持ち込んで、

不毛の悪循環セッションを始めます。後に映画「レット・イト・ビ」として劇場公開さ

れますが、ここでは殆どが、お互いの鞘当て、嫌がらせ、意地の張り合いに

終始し、観ている方もウンザリさせられます。でもね、コーラス・ハーモニーに関しては

否定的悪感情なしで、自然に寄り添って仕上げられて行く過程を確認する事

も出来るのです。

どの曲でも自分がリードでない限り、自然と当たり前のようにコーラスに回って

歌をバックアップし、楽曲がより良い響きになるために声を重ねて行く。これは

美しい場面です。あれほど対立して、全員が建設的な努力を放棄していたセッシ

ョンでも、歌声を合わせる歓びは、人の心を前向きにしてくれるんでしょうか。

そもそも、複数の人間が唄えばそれ相応のハ—モニ—が自然に生まれるのは、一

種の常識と考えてもいいかも知れません。古来から和声を持たなかった純邦

楽の伝統など遠の昔に断ち切られてはいますが、大衆芸能の最高峰が5人の

ユニゾン・グループというこの国では、通り難い論理かな。とにかくビートルズは当

たり前の事としてハーモニ—を高度に導きました。どうですか、ビートルズ、ヴォーカル・

グループ論、説得力あるでしょ。そうでもないか。

この時期のもうひとつの有名なセッションは、アップル・ビル屋上で行われた、無料

実演ショウ「お昼のいこい」です。ここでも昔からの仲の良さが復活したかのよ

うな絶妙の和声を聞かせます。更には彼らのライヴ・パフォーマンスの凄さも驚愕に

値します。

この時まで彼らは2年間ほど、揃って人前で演奏した事ないんですよ。し

かも全部未発表の新曲をリハーサルすらなく、いきなりの本番突入です。それでも

『ネイキド』盤が出され、何の不足もなく鑑賞出来る録音を残しているのです。

オーヴァ・ダビング、差し替え、繫ぎ合わせで、なんとか「ライヴ」盤を作ってる

奴らとは、ケタが違う史上最強の演奏集団でしょう。

ではスコットランド・ヤードも踏み込んだ混乱現場から1曲聞きましょう。

「ドント・レット・ミー・ダウン」。

 

M10.Don’t Let Me Down(3’19”)The Beatles  Naked

-J.Lennon, P.McCartney-  Apple 07243 596713 2 4

 

N  ロンドン、セヴィル・ロウのアップル・ビル屋上から「ドント・レット・ミー・ダウン」でした。

「ユー・ヲント・シー・ミー」を起点に、ヴォ—カル・グル—プ、ビートルズについてお話し

て来ました。それぞれのパートとかヴォイシングに関しては、また時間をかけてお

伝えしたいですが、人間が生で肉声を合わせて行くと、不思議な事に出る声

が揃って来るんです。おそらくより美しい響きを察知して、声帯が自律的に

変わって行くんですね。長く続いている上手なヴォーカル・グル—プを聞けば、す

ぐにこの現象は感じ取れます。人数分の声というよりも豊かな倍音を持った

ひとりの声のように聞こえて来ませんか。

セッション・ヴォ—カリストという人たちは、この種の発声調整を無意識の内に瞬間的

に行っているのでしょう。程度の差は大いにありますが、シロートでも同じで、

ちょっとやれば仲間とハーモニーを取る時、普段とは別の声になっている筈です。

ビートルズの場合はそういう修練が、過酷な下積み時代に続けられていました。

またこの頃のリパトゥワは、ジョンのガール・グループ好きを反映したものが多かった

ので、そこで男声合唱以外の要素を多く吸収した事も考えられます。何より

もその種のカヴァを唄う時、みんなとにかく嬉しそうでした。これが一番です。

ではその代表的な1曲、

「プリーズ・ミスター・ポストマン」、ヴォーカル・グループ、ザ・ビートルズ。

 

M11.プリーズ・ミスター・ポストマン(2’37”)ザ・ビートルズ

-B.Holland, F.Gorman, W.Garret, G.Dbbins, R.Bateman-  TOCP-67601-04

 

M12.All You Need Is Love(2’36”)Sugarpie And The Candy Men 

-J.Lennon, P.McCartney-  La Douce IRM 1402 CD

 

N  ビートルズに続いては、なかなか気の効いたカヴァで「愛こそはすべて」でした。

これは『レット・イト・スイング』というビートルズ楽曲ばかりを採り上げたカヴァ・アルバ

ムからです。メドリーも含めて全13トラック、16曲。なかなか良い出来です。また

ゆっくりと聞いてもらいましょう。

さてジョンが「あんたに必要な物はこれだけだ」だという「愛」、その実態は

どんな物なのでしょうか。

 

M13.What Is Love(3’26”)エイ・ジェイ・クローチ

-A.J.Croce-  BSMF 6046

 

N  エイ・ジェイ・クロウチで、やはり「愛とは何だろう」でした。彼は自身でこう答え

ています。

「人はそれを愛と呼ぶ」。

 

M14.Some People Calls It Love (4’15”)エイ・ジェイ・クローチ

-A.J.Croce-  BSMF 6069

 

N  エイ・ジェイ・クロウチで「愛とは何だろう」、そして「人はそれを愛と呼ぶ」でし

た。実はこれ順序が逆でして、「人はそれを愛と呼ぶ」は、ライ・クーダーやロス・

ロボスのデイヴィド・ヒダルゴ、ロベン・フォードなどが参加した、1995年の『ザッツ・

ミー・イン・ザ・バ−』から。そして「愛とは何だろう」は2014年の発表です。

まだ彼の心の中でも答えは出ていないようです。

その愛を模索中のエイ・ジェイ・クロウチ、突然ですが来週19日から丸の内のコトンク

ラブで実演公開です。若くして亡くなったお父さんのジム・クロウチがこの国でも

比較的知られていますから、熱心なファンは潜在的にいる事でしょう。今のよう

な歌を生で聞来たかったら、ぜひお出かけ下さい。

さて、こちらもお待たせしました、ナタリ—・コ—ルです。4回目になりましたね。

こんなに採り上げた番組は他にないでしょう。わたし自身、30年振りですよ、

「レッツ・フォール・イン・ラヴ」、「シンス・アイ・フェル・フォ−・ユー」以外のナタリーを聞いたのは。

いろいろな想いが交錯しましてね、ただ亡くなって悲しい、懐かしいだけ

ではありませんでした。今回は特にそんな気持ちの強くなる実況録音盤から

お届けしましょう。1978年、カリフォーニャのユニヴァーサル・シティとニュージャージーはチェリー・

ヒルでの収録です。

まずデビュ—・アルバムの表題曲、「インセパラボー」。

 

M15.Inseparable(2’59”)Natalie Cole

-C.Jackson, M.Yancy-  Soulmusic.Com Records  SMCR 5009D

 

M16.Cry Baby(5’13”)Natalie Cole

-B.Berns, J.Ragovoy-  Soulmusic.Com Records  SMCR 5009D

 

N  ナタリー・コール78年のライヴから「インセパラボー」でした。そしてその次は「クライ・

ベイビー」、ガーネット・ミムズのオリジナルですがジャニス・ジョプリンでの方が遥かに有名。

ナタリーも、明らかにそちらからの影響丸出しで唄っていました。お客さんたち

の反応も、驚きと賞賛が入り交じっていまして、意外に感じた方も多い事で

しょう。でも1950年生まれの彼女は、十代の終わり頃にロックの洗礼を浴びて

いる筈ですから、決して不思議な事ではない筈です。ロスエインジェルズ育ちですし。

ただこの実況録音盤に接した時、抜群のスイング感、R&B的歌唱力は、完全

に「血」だったんだ、という事実に、わたしは気付かされました。恵まれて

いると言えばそれ迄なのですが、彼女が育って行く過程で獲得し自分で鍛え

上げたのではなく、天から授かった物なんです、これらの才能は。

R&Bの実況盤と言えば、各楽曲で前奏、主題、展開部、間奏と、すべてを

提示した後、演奏が単純な繰り返しを続ける終了部分で、歌い手は聴衆に語

りかけるように歌の主張を即興で繰り返して煽り立てます。ここがクライマックスで、

聴衆と歌い手の間に深いコミュニケイションが生まれて来ます。ナタリ—もこのライヴで、同

じ手法を用いて絶頂へと導きます。こういう部分での彼女のステーヂ・マナーは完

璧ですし、歌唱表現は驚異的と言っていい程のレヴェルです。が、しかし、なぜ

かひとりで空回りしているような印象がするのです。彼女には何の瑕疵もあ

りませんが、極限的なヴォーカルをこなしているだけに、時に痛々しくさえ感じ

られます。

満員の聴衆もそこまでは望んでいないような空気もあって。R&Bの実況盤

に漂う特有の臭いが立ち上がって来ないんです。猥雑さに欠けるという表現

はあまり適切ではないですが、天から授かった才能の逆作用とでも言ったら

良いのでしょうか。R&Bを通して共有されていた黒人の庶民感覚は80年代

から大きく変わって行きます。その前奏曲のようにも響きました。

順調だった彼女の道もこの実況盤の後あたりから険しくなって、長いスランプ

を経験します。薬物依存や肥満という健康障害もありました。1988年に「ピ

ンク・キャディラック」で復活後は存在感を増し、大御所として君臨しましたが、わ

たしには「天才的に唄の上手い女性」としか映りませんでした。アリサ・フランクリン

やグラディス・ナイトらの持っている味わいとは、明らかな差異があったのです。

ただ振り返れば、この後にウィットニー・ヒューストンを筆頭として登場した女声歌手

たちの先導役を、立派に務めていたのですね、ナタリーは。

せっかく紹介しているのに、若干否定的な内容になってしまいました。で

も生の姿を捉えたこの実況盤には、まだまだ素晴らしい瞬間がたくさんあり

ます。続けてもう少し聞いて下さい。

まだお届けしていなかった大ヒット曲「ミスタ・メロディ」、

そして「ディス・ウィル・ビ」。

 

M17.Mr.Melody(4’23”)Natalie Cole

-C.Jackson, M.Yancy-  Soulmusic.Com Records  SMCR 5009D

 

M18.This Will Be(3’33”)Natalie Cole

-C.Jackson, M.Yancy-  Soulmusic.Com Records  SMCR 5009D

 

M19.Still In Love(3’46”)Natalie Cole

-C.Jackson, M.Yancy-  BGO BGDCD1032

 

N  昨年の大晦日にロスエインジェルズで亡くなったナタリー・コールで「ミスタ・メロディ」、そし

て「ディス・ウィル・ビ」、ライヴ・アルバムからお届けしました。その後は3枚目のアル

バムから「スティル・イン・ラヴ」でした。始めのアルバム3枚を2枚組に詰め込んだ、

とても充実したCDが出ています。気になりましたらどうぞお聞き下さい。

ここはわたしの好きなナタリーが、ずっと居てくれます。ゆっくりお休みね。

訃報関連が続きます。といっても、先週お知らせ済みの方なんでご安心を。

28日に亡くなっていたモーリス・ホワイトは、実はアース、ウインド・アンド・ファイアの前に、

ラムジー・ルイス・トリオで来日経験があります。1968年9月に約2週間ほど滞在し、

国内各地を回っていました。その時の演奏は実況録音されて『ラムジー・ルイス・

イン・東京』というタイトルで発売されています。この頃ラムジーはシカゴのチェス・レコーズ

と契約関係にあって、その代理権を持っていた日本ビクタ—から発売されまし

た。本国でも出たかどうかは不明です。使用したマイクロフォーンの型番までが記載

されているジャケット裏の解説は、あの糸居五郎大先輩。それによりますと「小

柄なドラマ—のモーリス・ホワイトはチョーク・ストライプのグレーのスーツ、淡い色のサングラスの中か

ら人の良さそうなまなざしです」とあります。後に宇宙服で身を包み、地風

炎を率いて世界制覇をする男とは、まだ誰も知らない頃、1968年9月18日

新橋のサンケイ・ホ—ルでの演奏を、聞いてみましょう。

ラムジー・ルイス、ピアノ

クリーブランド・イートン、ベイス

そしてモーリス・ホワイトがドラムズ

この公演で作られた、というよりも後でそれらしい名前が付けられた即興

ブルーズ曲をどうぞ。

そのタイトルは、なんと「ソウル銀座」。

 

M20.ソウル銀座(4’53”)ラムゼイ・ルイス・トリオ

-R.Lewis-  ビクター SMJ-7501

 

M21.Sun Goddes(7’38”)Earth, Wind & Fire

Special Guest Soloist Ramsey Lewis

-M.White, J.Lind-   Columbia CK 85805

 

後TM:ボーン・イン・シカゴ(アサー仕様)P.B.B.B.

 

N  あまりモーリスの出番がなかった「ソウル銀座」の後は、先週と同じ曲目ですが、

同じく実況録音の「太陽の女神」、こちらはアース、ウインド・アンド・ファイアの演奏

でした。お聞きのように、特別ゲストでラムジーが参加しています。1975年5月

23日のニューヨーク公演からでした。本当に気持ちのいいリズムですね。ベイスはヴァー

ダイン・ホワイト、ドラムスはラルフ・ジョンスンというアース全盛期の黄金コムビ。放っておくと、

永遠に演奏を続けていそうな感じです。いいなあ。ラムジーも完全に溝にハマって

ますね。

先週の言い間違いは以下の通り

外部に頼まなくたって(閉じ鉤括弧を外す)

まず、ヲーキン・ブルーズ

慌てて仕上げたにしては少ないなあ。とは言え全てではないかも。見つけ

たら、そっと教えて下さい

先週のきっこ復活事件、あれはこひさんの説明で分りました。周遊してこ

っちから押し掛けようかな。

ここのところ特別付録のダウンロード数が多くなっています。何処の誰かは分

かりませんが、1回ごとに報告が来るのです。え、その数ですか。それはもち

ろん、首都圏で9人、全国で8万人ですよ。

 

今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/7a00103520cfecc64e3ec53c90e2d4217b6070e2

ダウンロードパスワード 0syxw36f

今朝もちょうど時間となりました。

こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週もあなただけに。

 

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    • リス
    • 2016 2/13 3:14am

    アサー!!! 
    DL安定の6分、いただきました。ありがとうございます。
    あとからゆっくり、DJは聴きます(読みます)かね。

    • 類似穴
    • 2016 2/13 4:09am

    流行にビンカンなワタクシは現在ブギウギ流感。ロッキン肺炎にならないように気をつけねば。

    ラジオで聴いたと記憶しているのですが、「人は(その人が)大好きな歌を聴いていて、一緒に歌う時、メロディーではなくコーラスを歌う。」
    当然コーラスパートがないとそこを歌えないのですが、言われてみれば、ビートルズを聴くとウーララ、ラララララしてしまうのです。ほぼアイノテです。(汚い声で、、、、客観的に聞くと最悪です。)
    シンガーズアンリミテッドを聴いても歌えませんが、ビートルズだと歌うなといわれても歌ってしまう。
    ビートルズも基本は”ハモったり、コーラスすると楽しいから、キモチイイから”歌うなと言われても歌ってしまう??

    レミーがカントリーの女性コーラスを聴くと泣いてしまうと言っていた記憶。。。

    • ヴェンテン
    • 2016 2/13 4:54am

    ビートルズたっぷりのあとにナタリーまたまた大盛りで多謝であります。ぎゅっと詰め込んだ二枚組CD、ほしいものリスト入りです。ホイットニーもまた聴きたくなった。小林克也ちゃんが、「ウィッッニー」みたいに発音するのがカッコ良くてよく真似たものです(^^)(笑)。

    • クリやん
    • 2016 2/15 9:58pm

    今週もありがとうございます。
    しゃべくりを読むのも、音楽を聴くのも楽しみです。
    今後とも、よろしくお願い足します。

    • 八王子60オーバー
    • 2016 2/19 12:19am

    今週もナタリー・コール堪能いたしました。有難うございます。決して否定的な意味ではなく「猥雑さに欠ける」という感じ良くわかる思いがします。そして、それは育ちの良さが漂うナタリーの魅力でもあるようにも思います。

    映画「ア ハード デイズ ナイト」のとても印象的なシーンに流れる「デイス ボーイ」、堪らなく好きな曲です。ヴォーカルグループとしてのビートルズ、新鮮なお話です。
    彼らのコーラスも「フォア フレッシュメン」のコーラス、etc.本当に得も言われぬ魅力がコーラスにはあります。
    次回のお話楽しみにお待ちしています。

    • プロフェッサー ロンゲ
    • 2016 2/19 9:43pm

    和声 )) 愛は、、、。 (( 同調

    鷲巣功様 澤田修様 こんばんは。
    2月13日の放送何度も何度も聴いてます。

    【ジョンとポール】
    今回の放送も愛がたくさんこもった永久保存板。
    コーラスに焦点を絞ったビートルズ特集はとても素晴らしいです。
    小学生のころから大好きなビートルズは自分ではあたりまえになって
    しまっていたので改めてありがたや。
    デビューからルーフトップライブまでの流れはDJの手腕。
    そしてプリーズミスターポストマンで再発見です。
    ジョンとポールの和声はビートを加えてマーヴェレッツを超えてますね。
    ほんとカッコイイな。 
    (おし入れからおで音の赤ばん出して聴こうかな)

    【壷と溝】
    朝の電車で読んでいて声をだして笑ってしまいました。
    これは間違いじゃなくて鷲巣さんのコネタですね。
    溝にはまるのはイノシシやレコード針だけじゃなく
    のりのりラムジー。
    モンティパイソンでもやれない鷲巣さんのオリジナル。
    ぎゃぐ。

    【モータウン】
    来月(3月)に1965年のライブインパリがでるみたいですね。
    3枚組でアールヴァンダイク名義(6)の演奏も入ってるようです。
    買うかな。
    でもテンプテーションズはなんで入らないの?
    教えて鷲巣さん。

    チャオ!! チャオ!! ではまた来週。

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