【幻】モーニン・ブルーズ 2020/04/04

mb200404

前TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようございます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2020年4月4日

 を始めましょう。早いなあ、もう四月だ。でもこの重苦しさ・・・。

 とにかくこの騒動、収まってくれと、沈静化に協力して外出をしていない

 ので、テレビに接する事が多くなります。先週、テレビ東京の番組で過去の歌謡

 曲ショウの断片をまとめて流すのが放送され、しばらく観てました。そこで当方

 も大いに反応出来たのが、これです。

 「Y.M.C.A.」、オリヂナルのヴィレッヂ・ピーポーでどうぞ。

M01.Y.M.C.A.(4’46”)Village People

-J.Morali, H.Belolo, V.Willis-   Casablanca 314 522 039-2

N  「Y.M.C.A.」、ヴィレッヂ・ピーポーでした。いや素晴らしい。そのテレビ番組で

 は、この歌を西城秀樹が星条旗模様のカヴァ・オールの前をはだけて熱唱するんで

 す。当然ヒデキの周りは十代前半の子供達が大勢で「ワーイエムシーエイ」と揃えた振り

 で大騒ぎ。全員が狂ってた。わたしも観ていてコーフンしたな。多分この頃この

 放送局はまだ「東京12チャンネル」だった筈です。どの番組から抜いたのだろう。

 「Y.M.C.A.」は「Yヤング、Mメンズ、Cクリスチャン、Aアソシエイション」でして、青年

 キリスト教信者機構となります。確か横浜球場の側にも建物がありました。一般

 的には非常に健全な社会奉仕の団体なのでしょうけれど、ここが男性同性愛

 者の巣窟である、というような俗説がありまして、男色で売ったヴィレッヂ・ピ

 ーポー社中はそこに目をつけて「みんな集まって来いよ」と呼び掛けたのです。

 これを「ヤングマン」として、別の魅力で世に出したヒデキも偉い、よくやった。 

 本来の歌の背景を理解していたかどうかはこの際は問題なく、ドン・コーネリアスの

 ソウル・トレインに於いてもあのヒデキのフリが凱旋した位に、カヴァとして大成功でした。

 きのう昔のヴィディオで観た、日本ハム・ファイターズの主催試合で、ハーフタイム・ショウ的に

 グラウンド整備時間で唄ったヒデキは、カッコ良くて涙が出ちゃったよ。

 ヴィレッヂ・ピーポーには1977年「サンフランシスコ」でデビューした時から 、わたしも

 注目しておりました。各構成員の性格付け、楽曲、唄、演奏、衣装、映像そ

 して何よりも売り出し方、全てジャック・モラーリ以下、完璧なプロのお仕事です。

 LPジャケットも凝ってたなあ。キッスと同列のアメリカ大衆流行音楽製造の良き伝統が

 脈々と流れている完全犯罪です。わたしはこういうのに弱いという傾向もあ

 りますが、何より理屈抜きに踊らされるのですよ、誰でも。デッチ上げ企画に

 ありがちな自然消滅的終わり方も大いに結構。そこまで含めて「よく出来ま

 した」です。わたしは大好きですね。

 もう一曲聞いて下さい、隠れた名曲です。

 「キャント・ストップ・ザ・ミュージック」

M02.Can’t Stop The Music(3’36”)Village People

-J.Morali, H.Belolo, P.Hurtt, P.Whitehead-   Casablanca 314 522 039-2

N  この憂鬱な気分をぶっ飛ばしましょう。 元気よく始まりました2020年4

 月4日の「幻」モーニン・ブルーズです。「キャント・ストップ・ザ・ミュージック」、ヴィレッヂ・

 ピーポーでした。

  さて自宅待機要請におとなしく従っている人たちのために、世に蔓延るウェ

 ブサイトはさまざまな趣向を凝らして利用者拡大に躍起です。先週、わたしのと

 ころにも某サイト管理者から「こういう時にこそ聞いてもらいたい音楽をスポーティ

 ファイから10曲集めて、それにコメントして下さい」という依頼が舞い込みました。

 たぶん依頼者はね、「風に吹かれて」や「イマジン」みたいなケチの付けようがな

 い健全前向き音楽を並べて、それに真っ当な意見を述べてくれ、という意図

 だったのでしょう。

 そんな当たり前の事をわたしがする筈がアーリマセン。そもそもスポーティファイだって

 知らなかったんだから。大家さん澤田修の指示に従ってたどり着いたスポーティフ

 ァイと向き合いながら、さて何をしようかと考えました。そこで閃いたのが、

 最新のヒット曲を聞いてみよう、という主題企画でした。「トップ・ヒッツ・ジャパン」

 という音楽ファイル括りの棚が最初に出てきた事もありますが、わたしは今の流

 行をほとんど知らないので、この機会に一度聞いておこう、と考えたのです。

 スポーティファイ「トップ・ヒッツ・ジャパン」から順番に出てきた10曲を聞いて、その

 感想をまとめ、依頼者に送り返しました。すると、あろう事か「これは使え

 ません」とひと言だけ、しかもメイルでの返答でボツにされたのです。依頼時に

 は直接電話をかけてきたので、「コミュニケイションというものを分かってんじゃねえ

 か」と応じてやったのに・・・。

 不採用の理由は、わたしも分からない訳ではありませんがね。でも癪に障

 る。そこで重度「幻」聴取者の皆さんに、特別に公開します。

 以下。なお文中のカタカナは全角を使用しております。

 スポーティファイ10選 

 外出が躊躇される時に音楽に親しんだり読書をするのは正しい過ごし方だ。正しい。

 浦島太郎も自宅でおとなしくしていたら、音楽解説のご指名を頂いた。ありがたくお 

 受けするが、何しろ「Spotify」自体を全く知らずここまで来たのだ。辿る先を教え

 て貰い、慣れない画面操作をして使えるようにはなった。感染防止の碑のひとつに成

 れれば幸いである、

 しかし、どこにどんな音楽があるのかが分からない。Night Rainという項目を見

 つけ「レイニイ・ナイト・イン・ジョージア」でも聞くかと思いたち出向いたが、そ

 こは実際の雨の音ファイルが並んでいる棚だった。「激しい雨」や「森に降る雨」な

 ど何種類か聞いたら結構面白かったので、この解説でもしようかと考えたが、あまり

 に唐突だろうと気づき、断念した。

 そこでこの機会を利用して、日頃全く聞かない、そして今後もおそらく聞かないは 

 ずの音楽を聞いてみる事にした。それはいま巷で支持を受けている類のいわゆる流行

 り歌である。幸いな事に「トップ・ヒッツ・ジャパン」というファイル棚が見つかっ

 た。ただし、何しろ頭の中に殆ど関連情報がないので、陳腐な感説となるのは必至だ。

 それを前提に進めてみる。けっこう面白いかも知れない。

 では早速「Spotify」の「Top Hits Japan」から流れ出て来た10曲について無責 

 任な感想を述べて行くことにしよう。

 01.I Love…. / Officials髭男dism

 初めての人たちです。名前をどう読んだら良いのか分からなかった。楽曲ももちろ

 ん初体験。バチバチに流行ってるらしい。唄声が子供っぽいが現代の平均だろう。特

 に個性的ではない。主題は90年以降の世代の音楽に共通する「ひとりせつながり」

 だが、ワタシは苦手。演奏は殆ど機械。4分42秒は長過ぎる。

 02.High Hope / パニック! アット・ザ・ディスコ

 開始後1分で「ママセイ、時は移ろい」と聞こえて、この国の音楽かと思ったが、

 そうではないらしい。唄、演奏ともにテンパリっぱなしで、聞く者の自由な解釈が入

 り込む余地はない。空気感も不足気味で高い音圧の前に直立させられている感じだ。

 でもヒット・パレイドでこういうのが輝くのだろうね。

 03.Blinding Lights / ザ・ウイークエンド

 意識的と思われる80年代風のリズムが走り、シンセサイザが線の細い旋律を奏でる。

 手を替え品を替えて趣向を凝らした作品を発表していたA&M時代のジョー・ジャク

 スンを連想した。唄は上手。構成も簡単で、故に心に印象が残る。意図的な中途半端

 感を漂わせて完奏形で終る辺りも考えられていると見た。

 04.Wannabe / ITZY

 「Top Hits Japan」の扉を飾っている女性たちだ。20年以上前に確立された典型的

 なユーロディスコ調で、驚くほど殆どそのまんま。プロの仕事感覚で作られ、たくさ

 んの構成要素が含まれているけれど、通して訴えてくるのは四つ打ちのキック・ドラ

 ムだけのような気もする。誰が唄っても変わりないだろう。

 05.Stupid Love / レディー・ガガ

 既に名前を知っていた唄い手だ。それは世界中に振りまかれた話題を通してで、作品

 は1曲も通して聞いた事はない。モロに機械の音が続く。実演も多分カラオケ・ショ

 ウだろう。派手な私生活、公然での振る舞いで話題を提供する「セレブ」の、「実は

 歌手なんです」と定期的に発表された、想像通りの新曲だ。

 06.Closer – Tokyo Remix  / ザ・チェインスモーカーズ  新田真剣佑

 勿体を付けたような唄い出しで始まる日本語英語折衷の歌だが、全体の3/4は英語に

 なっている。各章の終了部分のリズム、旋律は面白いので、ここに刺激的な響きの言

 葉を絡めれば、もっと印象的な出来映えになった筈だ。日本語でね。この楽曲の閃き

 になっているリフをとことん磨いたら、仕上がりは違ったかも。

 07.さよならの今日に / あいみょん

 まず唄はよろしい。言葉のリズムは面白いのだがバック演奏と関係が希薄で残念。

 惹句にももうひと工夫欲しい。説明的なところが目立ってしまう。全体からすると、

 唄われている「伝説のプロボクサー」が出て来る舞台設定ではないようにも感じる。

 ギター1本でも良いのはないか。5分41秒は長過ぎる。

 08.Birthday / Mr.Children

 ミスチルまだ健在のようです。大したものです。唄い方はこの国の「ロック」の中道。 

 「It’s My Birthday」というキメは意味不明、きっと作者にとっては大切なんでしょ

 う。編曲も意識的なのか凡庸で、少なくとも大袈裟な弦は不要。唄の途中から言い訳

 が始まる感じ。こういう歌がウケるというのは分かる。

 09.No Judgement /ナイル・ホーラン

 ロングトーンが少なく、隙間のある気持ち良い響き。そこを風が吹き抜けて来る。ま

 ず陰影ある表情の声に好印象。リズムも秀逸。伸びやかなメロディもよろしい。どこ 

 の唄い手だろう。大いに興味が湧いた。後半の短い時間でしっかり盛り上げて、あっ

 さりと終わる。2分台で完奏とは驚きだ。悪くない。

 10.どろん / King Gnu

 時代、社会に追い込まれて切羽詰まった、今のこの国の若年層の共通感情が伝わって

 来る。多少まだ表現にためらいがあるようだが、自信を持っていい。もうちょっとで

 良くなるのは確実。何人編成だろう。実演を観たい。録音技術や音量じゃなく、音楽

 でしか伝えられない「何か」が唄われている。次も楽しみ。

 携帯電話店ではこの類いの流行り音楽がずっと鳴らされていて、わたしはそれだけ

 で拒否反応が出るのだけれど、その場に30分もいると、何も感じなくなる。それも

 怖い。この国の大衆流行音楽と政治の水準が、もう少し上がってくれないかな、と思

 い始めて久しい。今回「トップ・ヒッツ・ジャパン」を聞いた限りでは、まだその願

 いが果たされていないのは分かった。しかし、このような機会がなければ最新の流行

 り音楽に接する事のない、自分の生活態度の方が問題なのかも知れない。

 何れにせよ、現在の新型コロナウイルス感染による自粛体制は、早く収まる状態を

 希望する。皆さんもお気を付けて。元気でまたお会いしましょう。

                                           2020年 3月28日 鷲巣功 

   という事でした。この後で各楽曲や演奏者の周辺事実をいくつか知りまし

 て、ひとりで恥ずかしい思いをしましたが、何の知識もなく感じたままです

 ので、これはこの状態にしてお見せ致します。たくさんをご存知の方々、お

 笑い下さい。流行りの音楽状況は、恐れていたほど理解出来ない状態ではな

 かったのも事実でした。

 さて、こちらは「幻」モーニン・ブルーズ2020年4月4日です。まずはこれをどうぞ。

M03.ローハイド(2’40”)ブルース・ブラザーズ

-T.Washinton, D.Tiomkin-  ワーナーAMCY-2747/8

N  ブルーズ・ブラザーズで「ローハイド主題歌」でした。映画の中では、南部の居酒屋

 を巡るドサ回り急造楽団が得意とするR&Bが全くウケなくてブーイングの嵐とな

 ります。引っ込めーとばかりにビール瓶投げつけられたり・・・。そこで「そ

 うだカントリーだ」とばかりにこの「ローハイド」を唄って窮地から逃れる、という場

 面でした。面白かったですね。この後彼らが「スタンド・バイ・ヨー・マン」を唄っ

 て平穏に閉店につなげる、という流れには記憶がありませんでした。この間

 ユーチューブを観ても思い出せなかった。わたしは何をしてたんでしょうか。

 この「ローハイド」は日本でも放送されていたテレビ番組の主題歌です。西部劇

 ですね。わたしはたぶん観た事ない筈です。若き日のクリント・イーストウドが出てい

 た事も知りませんでした。これをお聞きいただいたのは、先週も少しだけご

 紹介した映画「ラムブル」について今朝いろいろとお話ししたいからです。

M04.Rumble(2’20”)Link Wray & His Ray Men

-M.Grant, L.Wray-  Rhino RNLP 70138

N  映画「ラムブル」の主題曲、リンク・レイとヒズ・レイ・メンの「ラムブル」でした。恐ろし

 い響き、楽曲構成、そして演奏。どれも暴力的ですね。わたし自身、初めて

 これを聞いた時には「なんだこりゃ」と、この音楽の存在が信じられません

 でした。1959年の発表時には青少年の暴力的興奮を煽る、という理由でラジオ

 での放送が制限されたそうです。多くのロック演奏家がこの「ラムブル」に痺れて

 自らもギターを執った、とも言われています。大抵はハードロックの人間ですけどね。

 澤田修はどうなんだろうか。

 これを弾いているリンク・レイという男が北米先住民、ショーニー族のアメリカン・インディア

 ンなのです。1959年に北米大陸では、後から来て彼らを北部へ追いやった白

 人難民の世界が大体出来上がってまして、先住民のオリヂナル音楽が表に出る事

 はありませんでした。この「ラムブル」は危険な青少年の間でヒットしたので、リンク・

 レイはテレビ・ショウにも多く出演しています。ただし残っている映像では、「北米

 先住民」という出自を隠しているような感じです。映画「ラムブル」は、ここか

 ら始まります。

M05.It Won’t Be Long(3’26”)チャーリー・パットン

-C.Patton-   Pヴァイン  PCD-3743

N   「イト・ヲント・ビ・ロング」でした。ビートルズじゃありません。まして、バボー・

 ガム・ブラザーズでもありませんよ。ブルーズ音楽の祖、チャーリー・パトンです。この

 巨匠はチョクトーという部族の血を受け継いでいます。だからブルーズが北米先住民

 の創造だ、とは決して申しませんが、映画の中で今の「イト・ヲント・ビ・ロング」

 とおんなじ旋律を北米先住民の老婆が口ずさむ場面があります。その類似度

 合には@驚きます。そもそもこの「イト・ヲント・ビ・ロング」、マディヲーターズの「ローリ

 ン・アンド・タムブリン」とほとんど同じ旋律です。あのインディアンのばあさんがクリーム

 を聞いてる訳がない。これは明らかに北米先住民の持っていた節のひとつな

 んでしょう。

 さてチャーリー・パトン、もう一曲行きます。

 「ダウン・ザ・ダート・ロード・ブルーズ」。

M06.Down The Dart Road Blues(2’51”)チャーリー・パットン

-C.Patton-   Pヴァイン  PCD-3743

N  チャーリー・パトンで「ダウン・ザ・ダート・ロード・ブルーズ」でした。似たモチーフでした

 ね。この節は彼の重要なネタだったみたいです。チャーリー・パトンは1887年生まれ

 と言われていまして、ブルーズ音楽で録音の残っているものとしては最古参の

 唄い手です。結構たくさんのSP吹込みをしていまして、古い割には形がきち

 んと整えられているようにわたしは感じます。過度に荒々しくないのも特徴。

 その後のブルーズ・メンへの具体的な影響はそれほど大きく残っているとは言え

 ませんが、後世にこの音楽の概念を決定づけたという功績は、偉大などとい

 う言葉では言い表せないほど計り知れないものがあります。

 今の「ダウン・ザ・ダート・ロード・ブルーズ」ではギターの本体を打楽器のように

 叩く音が聞かれました。この打楽器的ギター奏法もパトンの特徴です。

 北米の西部開拓時代には、黒人奴隷たちの打楽器使用は禁止されていまし

 た。それはトーキン・ドラムで彼らが会話をする事を白人が恐れたからです。それ

 は集団決起の合図にとしても機能します。同じ理由でキリスト教会内部への持ち

 込みも長いあいだ固く禁じられていました。八百長相撲の打ち合わせをモンゴル

 語でやられているようなものです。何も分かりませんからね。

 それと同じように北米先住民、アメリカン・インディアンにも打楽器の使用は禁じら

 れていたようです。それでチャーリー・パトンはギターを太鼓のように叩いて、「水牛

 が獲れたから、みんなで解体しよう」と知らせたようです。

 インディアンの血を引くチャーリー・パトン、3曲めはやはりギターの打楽器的用法が目立

 ちます。これは大洪水の事を伝えているのでしょうか。だとすれば河内音頭

 と同じ新聞(しんもん)読みですね。

 「ハイ・ヲーター・エッヴェウェア」。

M07.High Water Everywhere pt.I(3’04”)チャーリー・パットン

-C.Patton-   Pヴァイン  PCD-3743

M08.Georgia On My Mind(3’32”)Mildred Bailey 

-F.Carmichael, Gorrell-  Unionsqure METRTN022

N  チャーリー・パトンの「どこも水浸し」に続いて、アメリカ・インディアン系のジャズ・シンガ

 ーの祖、コー・ダリーン族のミルドレッド・ベイリーの「我が心のジョージア」でした。彼女

 は初めての非アフリカ系ジャズ歌手だそうです。今の「ジョージア」ではあまり北米

 先住民的表現が感じられませんでしたが、ヌー・ヨークの非合法酒場で仕事をして

 いて、やはりアメリカ・インディアン固有の唄い方をしっかりと身に付けていた、と言

 われています。

 手元にずっと前に手に入れたラフ・ガイド・シリーズの『ネイティヴ・アメリカン・ミュージッ

 ク』というCDがあります。盤自体は21世紀のものですが、各トラックはもっと

 古い録音で、おそらく1960年代以降の採取ではないかと思われます。18枚

 のアルバムから1曲づつ選ばれた構成のコムピレイションです。アメリカ・インディアンたちは移

 民の分際である白人たちに追いやられ散り散りになってしまい、生活様式自

 体が継承されなくなり、音楽も黒人たちのように商業的に評価されませんで

 したから発展もなく、衰えていく一方でした。たぶんそれぞれの収録当時に、

 かろうじて残っていた音楽の一部が、ここに刻まれているのでしょう。ここ

 からしばらくは、このラフ・ガイド・から聞いて行きます。ご一緒にどうぞ。

 まずは女性の澄みきった美しい声で唄われます。

 ジョアンヌ・シェナンドーで、「タカナッツリーサ」、いずれもアルファベットをローマ字的に読んだだ

 けですから発音は正しくないでしょう。ご注意下さい。

M09.Takanatslitha(4’00”)Joanne Shenandoah

-trd.-  World Music Network RGNET 1029 CD

N  北米先住民アメリカ・インディアンに伝承されている「タカナッツリーサ」、ジョアンヌ・シェナンドー

 でした。どこかしら、ハワイの伝統音楽との連想を掻き立てられましたね、わた

 しは。電気楽器によるアレンヂや効果音は本来の物では無いでしょうが、ジョアン

 ヌ・シェナンドー、彼女は素晴らしい音程感覚を持っています。

 こういった綺麗な女声の独唱は、ジョーン・バエズにもつながります。彼女に

 は北米先住民の血は流れていないのかな。若い頃の顔写真を見ても少しそん

 な気がしますが・・・。

 今の「タカナッツリーサ」と直接の関係はないでしょうが、モチーフになんとなく類似

 性があるのではないか、と感じたのが次の「ヴィクトリ・ソング」です。ブラックスト

 ーン・シンガーズという取って付けたような名前の合唱集団が唄います。

M10.Victry Song(2’42”)Blackstone Singers   

-trd.-  World Music Network RGNET 1029 CD

N  カナダのクリー族の合唱団ブラックストーン・シンガーズの「勝利の歌」でした。擬音を

 叫びながらただ騒いでいるだけのように聞こえますが、おそらく少ない音韻

 を使って具体的な物事を表現しているのでしょう。彼らは1987年から北米先

 住民の儀式でこうした音楽を披露し続けて来たそうです。

 さて次の歌こそ誰に取っても、最も北米先住民アメリカ・インディアン的な音楽では

 ないでしょうか。これも擬音的な声が主ですが、旋律やリズムと一緒になって

 意味が成立しているのではないか、そんな気がしました。「何か」を伝えてい

 るのは確かです。手首、足首に巻いたビーズの音が気持ち良いですね。

 ヌー・メキシコを本拠地とするガルシア・ブラザーズで

 「バスケット・ダンス」。

M11.Basket Dance(6’34”)The Garcia Brothers

-trd.-  World Music Network RGNET 1029 CD

M13.ヒア・マイ・トレイン・ア・カミン(9’46”)ジミ・ヘンドリックス 

-J.Hendrix- ユニバーサル MVCZ-190042/3    

N  ガルシア・ブラザーズの「バスケット・ダンス」、そしてジミ・ヘンドリックスで「ヒア・マイ・トレ

 イン・ア・カミン」でした。これは1969年ウードゥストゥークの実況です。凄いね。曲自体

 はよく実演されていたようで、アタランタ・ポップ・フェスティヴァルの録音もあります。

 でもこっちの方がいいな。一緒に演奏しているのは、ろくなリハーサルも出来なか

 ったジプシー・サンとレインボウズですが、ここではベイスのビリー・コクスとドラムスのミチ・

 ミチェルだけがジミに付いて行っているようです。ふたりとも見事なくらい溝にハマ

 ッてますね。本当にカッコいい。

 ジミ・ヘンドリクスがチェロキー族の血を引いているというのはよく知られた事実です。

 チェロキーというのはかなり有名な一族で、ビバップ時代にチャーリー・パーカーが得意と

 していた一曲に「チェロキー」というのがあります。イギリス人の作曲ですけどね。

 四輪駆動車ジープのモデル名にもあった。ジミの独特な出で立ちも、「ああ、インデ

 ィアン的だな」と分かりますが、この映画「ラムブル」の中では彼の親族が出て来

 て、子供の頃から、芸人だったおばあさんの舞台衣装を面白がって身につけ

 ていた、なんて話が語られます。これで誰でも納得出来ますでしょう。

 さて黒人たちほどではないですが、北米先住民アメリカ・インディアンの優れた音楽

 感覚、少しは分かって来たような感じです。次にお聞き頂くのはその民族性

 で売り出したロックグループです。

 まずこれです。「ポイズン・アイヴィ」。

M14.Poison Ivy(3’00”)Red Bone

-J.Leiber, M.Stoller-   Epic / FLOATM 6221 

N  ヤキ族とショショニ族の北米先住民アメリカ・インディアンから成るロックグループ、レッド・ボーン

 で、「ポイズン・アイヴィ」でした。これは日本でもシングル盤として発売されてい

 ました。わたしはかつて持っていた。三軒茶屋のゴミ屋みたいなところで中古

 盤を50円で買いました。楽曲が「ポイズン・アイヴィ」だったからなんですが、

 ジャケットには「インディアンのロックバンド」と大書きされていましたね。

 彼らもこの映画に登場します。世に出て始めのうちは普通のロックグループと同

 じような活動をしていましたが、途中から羽飾り他の民族衣装を身につけ、

 実演の冒頭ではアメリカ・インディアン音楽を披露する構成となったとそうです。これ

 は民族性を認識した結果というよりは、芸能の特異なネタに出自を使っただけ 

 でしょうが、メムバはスッキリとこの要素を採り入れていたようです。

M15.Chant 13th Hour(5’33”)Red Bone

-unknown-  Epic / FLOATM 6221 

N  「インディアンのロックバンド」、レッド・ボーンで民族性が伝わる「チャント13番」でした。

 映画には他にギタリストのジェシ・エド・デイヴィスが出て来ます。タージ・マハルが初めの

 頃に相棒としていた個性的なギタリストです。白人の芸能界で薬物中毒になって

 亡くなってしまいましたが、彼は音楽領域を超えた個性的な演奏であちこち

 から呼ばれて弾いてました。確かな腕前と独特のタイム感が売りでしたね。

 さてここからは先週もお届けしたバフィ・セイント・メアリです。彼女もこの映画で

 はしっかりと出て来ます。「サーコー・ゲイム」で世に出てから、常に出自と現代社

 会の関わりを己の主題と考えて音楽活動を続けて来たバフィ・セイント・メアリは、最

 後の場面で最新の実演を披露します。電子鍵盤楽器を弾きながら歌っている

 のですが、その姿は、ほとんど呪い師のようです。今も沖縄にいる「ユタ」と

 いうのはおそらくこんな姿ではないでしょうか。

 ではクリー族のバフィ・セイント・メアリで、

 「ネイティヴ・ノース・アメリカン・チャイルド」、

 そして「民族隔離〜ジェノサイド」という言葉も出て来る1966年の

 「マイ・カントリー、ティス・オヴ・ゼイ・ピーポー・ダイング」、

 交流のあった北米先住民アメリカ・インディアンの血を引くカナダ人、ニール・ヤング作の

 「ヘルプレス」、

 4曲めは

 「ヒーズ・アン・インディアン・カウボーイ・イン・ザ・ロディオ」、 

 以上続けてどうぞ。

M16.Native North American Child(2’10”)Buffy Sainte Marie     

-B.Sainte-Marie-  Vanguard  VMD 74004   

M17.My Country; ‘Tis Of Thy People Dying(6’43”)Buffy Saint-Marie  

-B.Sainte-Marie-  Vanguard  VMD 74004    

M18.Helpless(3’06”)Buffy Saint-Marie

-N.Young-  Vanguard  VMD 74004     

M19.He’s An Indian Cowboy In The Rodeo(2’00”)Buffy Saint-Marie

-B.Sainte-Marie-  Vanguard  VMD 74004  

N  バフィ・セイント・メアリ、「ネイティヴ・ノース・アメリカン・チャイルド」、「マイ・カントリー、ティス・オヴ・

 ゼイ・ピーポー・ダイング」、「ヘルプレス」、「ヒーズ・アン・インディアン・カウボーイ・イン・ザ・

 ロディオ」、4曲続けてお聞き頂きました。 

 映画「ラムブル」公開にちなみまして、北米先住民に関連した音楽をお届けし

 て来ました今朝の「幻」モーニン・ブルーズ、アメリカ・インディアンの血を引く音楽家と言

 えば忘れてはいけない大物がいます。

 それはエルヴィス・プレズリ。わたしはずっとイタリア移民の末裔だと思っていまし

 たが、違いました。確かにあの時代にメムフィスにイタリア系移民がいるのはおかしい

 ですね。容貌からするとイタリア人ぽいんだけどなあ。

 ではアメリカ・インディアンの血を引くエルヴィス・プレズリが、平尾昌晃調に唄います。

 「ロンサム・カウボーイ」。

M20.Lonesome Cowboy(3’01”)Elvis Presley        

-Tepper, Bennett-   BMG  66058-2 

N  エルヴィス・プレズリで、「ローンサム・カウボーイ」でした。

 さて、先週の冒頭曲「憧れのレイディオ・ガール」というのは、関西ラジオの森山

 かずみDJだというお便りをポークパイさんから頂きました。

 「森山かずみ」、わたしは全く知らなかった人です。80年代にエフエム東京に進

 出した、という話も聞きました。ひょっとしたら出会っていたかも。

 南の佳孝はなんで知ってたんだろう。あの歌が1990年発表だから、東京で

 聞いていたのかな、その印象を松本隆に伝えて書いてもらった・・・、いや

 全部推測です。先日の「バー、バー、バー」馬場こずえといい、未だ知らない大先

 輩が大勢いますね。また教えて下さい。お願い致します。

 澤田修のレギュラー番組が始まりました。今日の19時から放送です。

 https://zip-fm.co.jp/program/culture_tokyo/ 聞いたって下さい。

 名古屋のインタ・エフエムが局を閉じたらしいですね。新潟のPORTエフエムも「停波」

 宣言を出していました。コロナ騒動で同様の事件が頻発するかも知れません。

 こうやって重たい気分で日々を過ごしていても、来るものはやって来ます。

 わたしは来週が誕生日。あるマヂナイ師によれば、今年はツバチリに調子がいい筈

 だったのですが、年明け早々大陸からのコロナにやられています。日頃の心掛け、

 行いが宜しくないせいでしょうか。

 年齢に合わせたリクエストをいただいております。これに引っ掛けて、わたしの

 2020年は誕生日過ぎから、そう思い直すことにしましょう。

 ナット・キング・コール・トリオで「ルート66」。

M21.Route 66(2’59”)Nat King Cole 

-B.Troup-  英ロック誌MOJO2013年7月号のオマケ

後TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  「賢いこのウイルスは人間の油断と不和を待っているように思えてならない」

 ハワイ在住の今村太一医師の言葉です。重いですね。

 「明日、抱きしめ合えるように今日は離れていよう。明日、もっと走れる

 ように、今日は立ち止まっていよう」これは少し感染者が減って来たイタリアで

 叫ばれた言葉です。みんな、ここで我慢して、この暗い雲が晴れるのを待ち

 ましょう。

 今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

https://firestorage.jp/download/d624a814ddba49cc7266af05c0538bcf7a2d0e16

 ダウンロード・パスワードは、ruhr0hd3です

 今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

 そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

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    • フェスロンゲ
    • 2020 4/4 2:26pm

    今週も更新ありがとうございます。
    ウイークエンドサンシャインの録音聴いてから幻にします。
    しばらく週末はお家でラジオ。

    LOVE&PEACE

    • ワツシイサヲ
    • 2020 4/4 2:39pm

    申し訳ありませんでした。先ほどようやく更新されました。数週間前に引き続きの不祥事です。3時の「アサー」を
    待ち焦がれている方々には、何も言えません。今後はこのようなことが起きませんように、心掛けます。

    • ムジ鳥 a.k.a. AMトレイン
    • 2020 4/5 9:37am

    【幻】更新 感謝・多謝です

    「スポーティファイ10選 噺」面白かったです。
    レディー・ガガとミスチル以外はほとんど知りませんでした。
    ザ・ウィークエンドはオーサムさんの番組で聴いたことがあるかも…。「Officials髭男dism」はツイッターでメムバーに髭生やしている人いないと流れてきたので画像検索して見たことはあります。あいみょんはラジオで流れてきたのは聴いたことがあるような…。

    スポーティファイにも今のチャートにも馴染めないっすね…。一応、ナイル・ホーランとKing Gnuをメモメモ…。

    チャーリー・パトンのところでの話も興味深かったなぁ…。

    「コロナ禍のラジオ受難」が少し心配。コミュニテrFMの方は大丈夫でしょうか?

    今、自分が「スポーティファイ10選」で長尺の曲を選ぶなら入るかもしれない曲が、この【幻】で出会ったW.C.カラスさんのラジオ番組でオンエアされてます。ご関心ある方は下記で。聴けるのは今日(4月5日)のあと2回です。

    【W.C.カラスの #駄々漏れBluesアワー】

    4月5日(日)AM11時半から!
    #富山シティエフエム 再々放送 毎週日曜 AM11:30〜
    こちらで聴けますhttps://www.jcbasimul.com/radio/819/

    4月5日(日)夜の9時から!
    #FMとなみ 再々放送 毎週日曜 21時〜
    ここで聴けますhttps://www.jcbasimul.com/radio/818/

    AZUMI 久下惠生 『義兄弟エレキ説法 雨の鴬谷』特集 で「AZUMI説法・おかんのブルース」という22分の曲が流れます。
    (個人的な「新聞(しんもん)読み」的な…)

    とにかく、こまめな手洗い、うがい、マスク、十分な睡眠。皆様 ご自愛ください。放射能じゃありませんが、新型コロナウフィルスは今のところ「強い・エライ・誰も差別しない・誰にも見えない・匂いもない」ですから…。

      • ムジ鳥 a.k.a. AMトレイン
      • 2020 4/5 11:48am

      すみません(汗)
      【W.C.カラスの駄々漏れBluesアワー】
      #富山シティエフエム では新年度から日曜日は
      「AM11時半から」から「AM10時半から」に放送時間の変更があったようです。

    • 日曜日のグリ子
    • 2020 4/5 9:18pm

    たこをたくさんのパセリとニンニクと黒コショウで。
    少しのイタリアンワイン。
    ビールはやっぱりコロナだで。

    映画ブルースブラザーズ。
    どこか劇場でフィルムを廻しておくんなまし。

    • ペタシ66
    • 2020 4/5 11:37pm

    66歳の御誕生日おめでとうございます。
    ペタシ66

  1. ありがとうございます。わっしーも管理人さまも、皆さまもお身体ご自愛ください。

    • 類似穴
    • 2020 4/7 7:32pm

    気から病がアー 出るわいなアー

    • フェスロンゲ
    • 2020 4/7 9:34pm

    仕事帰りの自転車で見た今日の月

    少し欠けていましたがとても強い月光でした。
    明日が今年一番のスーパームーンでしょうか。
    楽しみです。

    • ハギリョウロケンロー
    • 2020 4/9 3:10pm

    来週月曜は45年目の1975.4.13。
    燃え尽きるキャロル 、から何かヨロシク、であります!

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