【幻】モーニン・ブルーズ 2020/06/06
- 2020 6/6
- カテゴリー : Diary (日記) . Mornin' Blues by IsaoWashizu
- 投稿者 : 大家
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mb2020606
前TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band
-R.Johnson- Rhino 8122 798434 0
N おはようございます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2020年6月6日を
始めましょう。6の6解決ゾロ目土曜日、アサーです。今朝はニキ・ホプキンズの偏執
狂的ピアノが冴え渡るゴーカなブルーズ・ナムバで始めます。
ジェフ・ベックです、「ブルーズ・デラクス」。
M01.ブルース・デラックス(7’31”)ジェフ・ベック
-Rod- 東芝TOCP-53094
N ジェフ・ベックでアルバム『トゥルース』から、「ブルーズ・デラクス」でした。ジェフ・ベック、
ギター、ベイスがロン・ウド、ドラムズがミク・ヲーラー、そしてヴォーカルがロド・ステュアート、更
にピアノがニキ・ホプキンズという最強の布陣のジェフ・ベック・グループです。素晴らし
い面子ですね。ただ今回、長い間わたしは間違っていた事に気付きました。
この5人のままで2枚目のルネ・マグリットの「聞き耳をたてる部屋」がジャケットに
使われたLP『コーザ・ノーストラ・ベック・オーラ』を吹き込んだと信じ込んでいました
が、そちらはドラムズがトニー・ヌーマンに変わっているのですね。東芝から出ていた
「リンゴ」アルバムを聞いていたのは16歳の時だから、50年間も勘違いしたまま
でした。お恥ずかしい。
ミク・ヲーラーはわたしの大好きなドラマーで、ロドのソロ作でずっと付き合っていた
男です。「イッツ・オール・オーヴァ・ナウ」の叩きっぷりは天下一品、文句なしです。
今の「ブルーズ・デラクス」も、ミクがドラムズ担当でした。良かったでしょ。
もう一曲ブルーズ・ナムバを続けましょう。
「アイム・レディ」、マディ・ヲーターズです。
M02.I’m Ready(3’37”)Muddy Waters and etc.
-M.Morganfield- MCA / Chess CHD-92522
N マディ・ヲーターズが取った事のない弟子たち、勝手に学んだ教え子たち、ポール・
バタフィルドやマイク・ブルームフィルドたちに担ぎ出されて制作した名盤『ファーザーズ・アン
ド・サンズ』からでした。こちらにつきましては、来週お話しします。とにか
くご機嫌でしたね、「アイム・レディ」。
さて、創業者コムビが退いてから、次の世代の経営となって新しい路線を、
と言いますか、音楽そのものの価値が大きく変わりつつある中で続いている
独立レイベルの祖、Pヴァイン・レコーズ。ここの新譜案内を見ていますと、かつてゴ
リガン・ブルーズしか出していなかった頃には想像もつかなかった領域の音楽が
発売されていて、時折驚かされます。そのひとつは日本で「アダルト・オリエンテド・
ロック」と改称された、北米西海岸風の巧みに造られたロックを土台とした軟派な
流行歌です。Pヴァイン創業者たちが忌み嫌っていた種類の音楽のはずですが、
今の制作陣にはこの手が好きな人がいるようですね。変われば変わるもので
す。
ではPヴァインの「アダルト・オリエンテド・ロック」今月の新譜から、
ティム・トレファーズで「オーサカ・ムーン」を聞きましょう。
なお「A.O.R.」は本来「アルバム・オリエンテド・レイディオ」の略称です。蛇足なが
ら申し上げておきます。
M03.オーサカ・ムーン(3’56”)ティム・トレファーズ
-unknown- Pヴァイン PCD-24955
N ティム・トレファーズで「オーサカ・ムーン」でした。冒頭の効果音は大阪の雑踏でしょう。
戎橋あたりで採取されたのでしょうかね。
「オーサカ・ムーン」と言えば、その昔に同名の洋楽曲がありました。ニック・セイント・
クラウスとかいう名の「A.O.R.」アダルト・オリエンテド・ロック音楽家が大阪限定国内発売
したアルバムがある程度の結果を出したので、直ぐに「有難う大阪」とばかりに
書き下ろして吹き込んだ物です。この一連の流れはわたしがFMラジオの洋楽
ディレクターに成り立ての頃の出来事で、実体験で知っています。ソニーの同系会社
エピックからだったな。
それとは別の「オーサカ・ムーン」、ティム・トレファーズでした。
M04.ニア・パーフェクト・シンクロナイゼーション(2’51”)中野公揮
-unknown- Pヴァイン PCD-25300 オーヴァダブ
N こういう種類の音楽がPヴァインから発売されるのにも、多少、驚きます。
中野公揮の「ニア・パーフェクト・シンクロナイゼーション」です。ピアノ1台でオーヴァダブを重
ねて、その上にノイズ的な具快音を載せる、極めて環境音楽的な仕上がりです。
作者の中野公揮という演奏家はパリで活動しているようですね。原盤はパリの
「No Format !」レイベルから出ています。「ニア・パーフェクト・シンクロナイゼーション」でし
た。
さて今朝もパコ・デ・ルシアを聞きましょう。先週までで、初めの5枚セットは
終了致しまして、これからは1981年から93年までの『ファイヴ・オリヂナル・アルバ
ムズ・ヴォリウム・トゥウ』からになります。今朝はそこから1枚目の『ソロ・クエイロ・
カミナ』です。
このアルバムは5人との共演、と言いますか、パコをリーダーとするセッション演奏の
録音です。これまでの実演などでは師弟関係がはっきりと見て取れまして、
パコ以外はあくまで伴奏者だったように聞こえましたが、今回は対等な立場
での応酬です。パコ自身もあの恐ろしい程の集中力はそのままに、更に伸びや
かなギター演奏を聞かせてくれます。
まず行きましょう、
「ルムバ」という但し書き付きの「コンヴィト」。
M05.Convite(rumba)(3’56”)Paco de Lucia
-P.d.Licia- Philips / Universal Spain S.L. 06007 5379797(set 5379796)
N パコ・デ・ルシア、アルバム『ソロ・クエイロ・カミナ』から「コンヴィト」でした。気心の知れ
た仲間とのしなやかな流れが特徴です。冒頭の和音には、ヨーロッパの香りが漂
っていました。この頃パコはもう世界中を旅して回っています。スペイン人以外
とも手を合わせていますから、その影響でしょうか。
さてアルバム『ソロ・クエイロ・カミナ』から、次は表題曲です。ここには唄が入って
います。今までお届けしたパコの楽曲はすべて演奏だけでしたが、この『ソロ・
クエイロ・カミナ』では全編ではないにしても、唄がフィーチュアされる部分があって、ギ
ター演奏との対比が絶妙です。こちらには「タンゴ」という但し書き付きです。
M06.Solo Quiero Caminar(Tangos)(6’17”)Paco de Lucia
-P.d.Licia- Philips / Universal Spain S.L. 06007 5379797(set 5379796)
M07.Your Smiling Face(2’45”)James Taylor
-J.Taylor- Columbia CK85223
N 2ヶ月近くかかって到着したジェイムズ・テイラーの『グレイテスト・ヒッツ・ヴォリウム2』
から「ヨ・スマイリング・フェイス」でした。こういう響きが先に述べた「アダルト・オリエン
テド・ロック」として日本では無条件に受け入れられたのです。コロムビアに移籍し
て保守的な音楽制作を始めたJ.T.はその核だったかも知れません。みんなこ
の種の洗練されて小洒落た音楽に憧れて真似をしていました。ちょうどR&B
が「ブラック・コンテムポラリー・ミュージック」へと変わって柔らかな手触りだけの音楽に
になる頃と時期が同じですね。北半球の先進国が保守化して行く頃です。パン
ク現象はその反動でもありました。
ただジェイムズ・テイラーは昨今の活動を見てもわかるように、本当に音楽が好き
なだけの純なアメリカ人なのです。『グレイテスト・ヒッツ・ヴォリ ウム2』を通して聞いてい
ると、いくつかの時代を経ても基本的には変わらない世界観、宇宙観が伝わ
ってきます。
それはそうと、今週わたしは古くからの友人の訃報に接しました。美しき
十代に互いに迷い悩んだ間柄の男です。数年前に再会して、付き合いも復活
したばかりでした。あまりに急な事で、まだ動揺している心を抱えながら、
J.T. の『グレイテスト・ヒッツ・ヴォリウム2』から、かけがえのない友人、遠藤均に送
ります。
「ネヴァ・ダイ・ヤング」。
M08.Never Die Young(4’24”)James Taylor
-J.Taylor- Columbia CK85223
M09.会いにゆく(3’17”)やのとあがつま
-A.Yano. H.Agatsuma- ビクター VICL-65280
N ジェイムズ・テイラーの「ネヴァ・ダイ・ヤング」、そしてやのとあがつまで「.会いにゆ
く」でした。
先週の「今夜おしえて」の3本ノックには、フェスロンゲさんからフィービ・スノウへの
ご賛同を頂きました。「世界で一番」なんだそうです。ありがとうございます。
フィービは決して商業的に成功した唄い手ではないでしょうが、このように潜
在的な支持者が多かったようです。わたしが持っているベスト盤の和文解説を
書いている滝上よう子と言う人もそうでしたね。この人は西新宿のFM放送
局のレコード室にいた方で、わたしは「返却が遅い」と、しょっちゅう追っかけ
られていたのですが、心の底から音楽が好きで特にフィービを愛していました。
フェスロンゲさんと同じく、「世界で一番」なんでしょう、きっと。
先週の「今夜おしえて」 を向き合って聞いて、今更のように彼女のブルーズ
感覚には舌を巻きました。わたしが彼女の事を気に留めたのは、ラジオから流
れていたこの歌を耳にした時からです。
M10.ドント・レット・ミー・ダウン(5’50”)フィービ・スノウ
-J.Lennon, P.McCartney- ソニーSICP 8005
N ジョン・レノンの最高傑作のひとつ、「ドント・レット・ミー・ダウン」です。アポー・ビル 屋
上セッションの原仕様に纏わり付いていた粘着性を濾過してあっさりさわやかに、
しかもブルーズ・フィーリングたっぷりに聞かせてくれたフィービ・スノウ。彼女をはっき
りと意識したのはこの時です。そのラジオ番組はNHK-fmの「軽音楽をあなた
に」だったかな。
さて先ほど紹介したベスト盤に入っている実況録音には面白いものがありま
す。彼女がデビュー・アルバムで唄っていた、
「グド・タイムズ」、サム・クックのオリヂナル作品です。
M11.グッド・タイムス(6’18”)フィービ・スノウ
-S.Cooke- ソニーSICP 8005
N 「グド・タイムズ」これは1977年のヌー・ヨーク、カーネギー・ホールでの録音です。
クアイアというほど大所帯ではないものの、男女混成の合唱隊を従えて、本編に
入る前にルバートのカデンツァを存分に聞かせるフィービ・スノウ。ブルーズ・シンガレスの面目
躍如です。
多分ね、フィービはずっとこういう歌を唄っていたかったんじゃないかなあ。
「ポエトリー・マン」がヒットしてしまったので、女性シンガ・ソングライタの流れに加えら
れてしまって、当惑していたのではないのか、とも思います。もちろんそう
いう側面がないわけではないのですが、本人はヒットする作品を書くより、好き
なブルーズとかR&Bを唄っていられれば良かったんじゃないかな。
ではこのベスト盤の最後に収められている、多分先の「グド・タイムズ」と同じ
公演のアンコールにひとりで出て来て唄ったのでしょう、デビュー・アルバムの表題曲
「サンフランシスコ・ベイ・ブルーズ」です。唄い終わった後の笑いが、とても素敵です。
M12.サンフランシスコ・ベイ・ブルース(3’33”) フィービ・スノウ
-J.Fuller- ソニーSICP 8005
M13.サンフランシスコ・ベイ・ブルース(3’01”)ピーター、ポール・アンド・マリー
-J.Fuller- ワーナー WOCR-14347
N ブルーズ・エンディングをカッコ良く決めてくれたのは、ピーター、ポール・アンド・マリーの
「サンフランシスコ湾ブルーズ」でした。この歌はジェシー・フラーのオリヂナルで、唄う人によ
って形が変わっても構わない、古いブルーズのような成り立ちを持っています。
そんな中で今のP.P.M.の仕様が最も洗練されていて、ポピュラーでしょう。わた
しはこの歌を一度でいいから上手に仕上げたかったな。ただいつものように
周囲に理解者が全くおりませんで、未だにこの願いは実現しておりません。
M14.The Twist(2’37”)Chubby Checker
-H.Ballad- Not Now Music NOT2CD565
N 突然の「ザ・ツイスト」、チャビー・チェッカーでした。実は以前の大滝詠一「コブラ・ツイ
スト」以来、わたしの頭の中ではずっと「ツイスティン・ダンス・パーティ」開催中でして、
毎朝目覚めてから床に就いて眠り始めるまで、ずっとツイストなんです。そこで
今朝はそれを皆さまにもお届けいたします。
この踊りは、1959年頃に北米で流行り始めたと伝えられます。多分白人
若年層の流行でしょう。それが1960年、チャビー・チェッカーの「ザ・ツイスト」で世界
的な流行になったのです。わたしが生まれて初めて同時代的に知った、イカれ
た踊りでもあります。ただまだ就学前の出来事ですから、実際にダンス・ホールで
踊ったりはしていません。小学校に上がった頃にマセた友達が「タバコをもみ消
すように足を動かすんだよ」なんて説明してたのを聞いた記憶があります。
この国ではやや遅れて1961~2年に流行ったのかなあ。スリー・ファンキーズの「でさ
のよツイスト」も62年ですしね。一世を風靡した割にブームはあっという間に終息
しまして、その途端に古臭くなりました。64年公開の映画「ビートルズがやって
来る ヤア! ヤア! ヤア!」の中では、ビートルズの4人を含めて、もう誰もツイストを踊っ
ていません。「ツイスト・アンド・シャウト」なんていう傑作を唄ってたのにね。
しかし、明確なエイトビートに載って腰を捻るツイストは、若者と若ヅクリな心と共に
不滅です。ではもう一度踊りましょう。
「レッツ・ツイスト・アゲイン」。
M15.Let’s Twist Again(2’19”)Chubby Checker
-Mann, Appel- Not Now Music NOT2CD565
M16.Let’s Twist Again(2’12”)The Ventures
-Mann, Appel- Not Now Music NOT2CD565
N 「前の年の夏の日に踊ったみたいに、もう一度ツイストを踊ろうよ」という「レ
ッツ・ツイスト・アゲイン」、チャビー・チェッカー61年のオリヂナル、そしてヴェンチュアズ62年のカ
ヴァでお聞きいただきました。
さて「レッツ・ツイスト・アゲイン」と言えば、忘れちゃいけないのがこちらです。
「レッツ・オンド・アゲイン」。
M17.レッツ・オンド・アゲイン(‘81リミックス)
(5’04”)ナイアガラ・フォーリン・スターズ feat.アミーゴ布谷
-Mann, Appel, Ohtaki- ソニー SRCL3502
N なかなか素直に終わらないナイアガラ・フォーリン・スターズで「レッツ・オンド・アゲイン(‘81
リミックス)」でした。これは実によく出来ています。リード・ヴォーカルのアミーゴ布谷は
お調子者の音頭取りを完璧に演じています。発声、唱法ともに吉幾三的です
ね、あ、逆かあ。
では今朝のツイスト・パーティの発端となった「コブラ・ツイスト」をもう一度。
M18.コブラ・ツイスト(2’12”)大滝詠一
-E.Ohtaki- ソニー SRCL3500
M19.Soul Twist(2’48”)King Curtis
-C.Ousley- Not Now Music NOT2CD565
M20.チャンベレケ(3’08”)コルティーホ・イ・コンボ
-unknown- PCD 25295
後TM Born In Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band
-N.Gravenites- Rhino 8122 798434 0
N 「コブラ・ツイスト」に続いては、キング・カーティスで「京城ツイスト」、そして最後はコルテ
ィーホ・イ・コンボで「チャンベレケ」、1959年録音のアフロ・クーバン・ダンス音楽です。LP
『エン・ヌーヨーク』からお届けしました。リード・シンガーは、イスマエル・リベーラです。
後半が早朝ダンス・ホールになってしまった今朝の「幻」モーニン・ブルーズ。
特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。
https://firestorage.jp/download/9ac2ee615b576bf87f1c7f00dbd1243020c14a9e
ダウンロード・パスワードは、jyh9wcb5です。
今朝もちょうど時間となりました。
こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/
「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。
そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。
♪♪ Twitter “#blues761″の閲覧はコチラ♪♪
OAした作品画像一覧のダウンロードはこちらからよろしくお願いいたします。
→ https://5.gigafile.nu/0705-d928858812eca1fb8c57a35e78fd0dd68
フィービースノウのサンフランシスコ米ブルース。
今週もありがとうございます。
やっぱりフィービースノウは世界で一番です。
麻婆豆腐を作くる時に山椒だけはけちってはいけないそうです。
なので生の山椒をたくさんたくさん入れて作りました。
近所のパン屋のバケットと赤いワイン。
幻と一緒にピリピリ素敵な日曜日の午後。
鷲巣さん澤田さん 今週もブルースありがとう。
感謝でございます。