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前TM : ヲーキン・ブルーズ(夜に近いアサー仕様)P.B.B.B.
N おはようございます。アサー、ワツシイサヲです。夜の明けるのが大分遅くなって来
ました。関東地方、東京の本日の日の出は、午前5時59分30秒です。日没
は午後4時49分。太陽が空にあるのは、11時間足らず。「幻」開始時は、ま
だ「アサー」でなく「ヨルー」です。
そこで1曲。スモーキー・ロビンスンで「イッツ・ア・グッドナイト」。
M01.イッツ・ア・グッド・ナイト(5’56”)ウイリアム・スモーキー・ロビンソン
-W.Robinson- ビクター VIP-6715
N 「イッツ・ア・グッドナイト」、スモーキー・ロビンスンでした。1972年に自らが率いていた
ミラクズズを抜けて、彼らをエピック・レコ—ドに押し付けて気楽な独り身で過ごして
いたスモーキーが、本気になって制作を再開したアルバム『ウェア・ゼアズ・スモーク・・・』
の冒頭曲です。このアルバムからは「クルージン」の全米第一位ヒットが出て、この後
しばらくスモーキーは快進撃を続けます。このLPにはテムプスに唄わせた「ゲット・レ
ディ」に大袈裟な弦を乗せたロビンスン仕様もあったりして、面白い1枚でした。
その中で特に注目を集めたワケでもないこの「イッツ・ア・グッドナイト」がわたしは
好きで、当時の赤堤ワツシ番付では6週間ほど第一位を維持していました。繰り
返される分り易いリフに愛嬌がありますね。
さて、10月22日、23日、つまり先週の土、日は「ライヴ・マヂック」が開催さ
れ、好評裏に無事終えたようです。わたしは23日しか出掛けられなかったの
ですけれど、充実した実演体験を味わえました。ちょっと振り返ってみまし
ょう。
M02.Cherry Ball Blues(4’11”)Sonny Landreth
-S.James- Provogue PRD 7466 2
N 初日の幕開け、そして楽日のオオトリ、今回の目玉とも言えたサニー・ランドレスで、
最終の舞台でも演奏していた「チェリー・ボール・ブルーズ」です。作者のスキップ・ジ
ェイムズに関して、何やら始める前に喋っていましたね。彼の実演が、こんなに
大音量だとは想像していなかったです。驚きました。アムプはフェンダーのツイン・リヴ
ァーブが2台ですから、ギター・トリオとしては大した事ない装備ですけれど、とに
かく会場内を圧倒するギターの音でした。ただその制御が絶妙でね。演奏自体
はとても繊細な手さばきで行なわれた、見事なものでした。弦を弾く右手だ
けでなく左手でも音量を上手に操っていました。だから耳鳴りがするような
事もなく、わたしは一瞬ですが気持ちよく眠れた位です。加えてあの尖った
鼻が印象的で、密かに危険な薬品開発をしている化学者のような姿。
唄はそれほど上手ではありませんでしたが、各楽曲への素直な愛情が感じ
られて、気持ちよかったですね。今さらのようにブルーズ音楽の魅力を体感し
た思いです。
最新アルバムで採り上げていたエルモアのナムバーを聞き逃したのが残念でした。お
聞きになった方、どんなだったか教えくれませんか。
M03.Dust My Broom(4’07”)Sonny Landreth
-E.James- ProVogue PRD 7466 2
N サニー・ランドレスでわたしの聞き逃したかも知れない「ダスト・マイ・ブルーズ」でし
た。
さて、今年のもうひとつの目玉は、吾妻光良。初日はスウィンギン・バッパーズで、
楽日がレギュラー・トリオにピアノとパーカションを追加した特別コムボ。わたしが観られた
のはコムボの方だけだったのですが、それでもとても満足出来ました。お客さ
んの反応がとても暖かく、彼のこんな嬉しそうな表情は観た事がありません。
リパトゥワがオハコばかりではなかったせいか、譜面台を置いていたのが残念。下手
からはあの唯一の右手捌きが見えなかった。
気楽に好きなナムバ—を唄い演奏していて面白かったですね。途中「自分が一
番好きなのはキャッツ・アンド・ザ・フィドルだ」と言っていたのが、分らなくもない
が意外でもあり、印象に残りました。
ではそのザ・キャッツ・アンド・ザ・フィドルでお楽しみ下さい。
「ワン・イズ・ネヴァ・トゥー・オールド・トゥ・スウィング〜スウィングに年齢上限制限なし」。
M04.One Is Never Too Old To Swing(2’50”)The Cats And The Fiddle
-T.Grimes- Acrobat FABCD 196 4弦gtr.
N 「ワン・イズ・ネヴァ・トゥー・オールド・トゥ・スウィング〜スウィングに年齢上限制限なし」、
1941年の吹き込みです。まだ黒人音楽が一般市場で認められる前、「ジャイヴ」
と呼ばれた、ブルーズとジャズを黒人特有の洒落た言語感覚とハ—モニ—で味付けし
た粋な「小唄」です。お聞きのようにこの後のジャズ・コ—ラスやドゥー・ワップに繋
がる近代黒人ヴォーカル・アンサムブルの祖です。この洗練感覚にはシビレますね。ウットリ
もします。
吾妻光良はバッパ—ズや他のセッションで、コ—ラスを尊重したリパトゥワをあまり採り上
げていませんでした。わたしの「意外」の根拠はここにあったのですが、そ
うだよね、やっぱりこういう声の絡みはたまんないね。納得です。回りの人
間も気軽に合わせて、一緒に唄って欲しいですね。おい、オカチ。
このザ・キャッツ・アンド・ザ・フィドルには今の「ワン・イズ・ネヴァ・トゥー・オールド・
トゥ・スウィング」を録音した41年からタイニイ・グライムスというギタリストが加わりまして、
増々強力になります。ブルーズとジャズとR&Bのどれもが出来てその何処にも
所属しない、ちょうどコーネル・デュープリーのようなギタリスト。愛想はないですけど
ゴリっとした太い音が魅力でした。吾妻光良がキャッツを好きなひとつの理由は、
このタイニイ・グライムスにあるのかな。
わたしの手許にある編集盤『ウイ・キャッツ・ウィル・スウィング・フォ−・ユー 1940-1941』
のジャケット写真を見ますと、ギターの弦の数が4本のテナー・ギターと呼ばれる仕様な
んです。音域は高めで調弦も異なります。ギタ—の指使いそのままでは弾けな
いでしょう。ザ・キャッツ・アンド・ザ・フィドルの響きの魅力は、このテナー・ギターか
も知れません。
ではもう1曲。これまた素敵な「イフ・アイ・ドリーム・オヴ・ユー」。
M05.If I Dream Of You(3’08”)The Cats And The Fiddle
-F.Sargeant, H.Marx- Acrobat FABCD 196
N 「イフ・アイ・ドリーム・オヴ・ユー」、ザ・キャッツ・アンド・ザ・フィドルでした。
さて、ギターと言えば、今年のライヴ・マヂックでは@驚く出会いがありました。
舞台裏に居たら、サニ—・ランドレスが大きめのフル・アコ—スティック・ギタ—を膝に置いて何
やら話し込んでいます。てっきり本番で使う楽器だと思って見ていて、ピ—タ—・
バラカンに「あれで演んのか」と訊ねたら、「いや、あれは違う。サラ・レクターの旦
那さんが持ち込んだ物で、チャーリー・クリスチャンが使ってたって」との返事にクリビツテ
ンギャウ。
傍らで談笑中の旦那に強引に割り込んで、そのギターについて聞きました。
何も知らない黒人小僧がハ—レムの質屋に持ち込むところに遭遇し、即買い上げ。
現物を調べ上げたら、チャーリー・クリスチャン所有と判明したそうです。当時の参考写
真もありまして、確かに同型の物を持っています。オクラホマでジョン・ハモンドに見
出されヌー・ヨークに出て来てから手に入れた楽器らしいです。メイカーはギブスンで、
当時同社は演奏家への楽器提供をしていなかったと言いますから、自費で購
入したんじゃないか、との話でした。
ちょっとだけ触らせてもらいました。これでチャーリーと握手をした事になりま
す。彼は他にもウエス・モンゴメリ—のL-5sとジミ・ヘンドリクスのストラトキャスターなどを持ち
込んでいました。それらを試したサニー・ランドレスもステイヂで「今日の俺はチャ—リ—・
クリスチャンやウエス、ジミヘンの使ったギターを触ったから、そこから非現実的超能力(モ
ージョー)が乗り移ってるぜ」と言ってましたね。
ではチャーリー・クリスチャンが同じ楽器を使っている可能性のある、1939年の有名
な音楽会「フラム・スピリチュアル・トゥ・スイング」から、ヴァイヴにライオネル・ハムプトンを擁し
た絶頂期のベニー・グッドマン六重奏団で3曲お聞き下さい。
「アイ・ガッタ・リズム」、
「フライング・ホーム」、
そして「メモリーズ・オヴ・ユー」
ベニー・グッドマン・セクステット、フィーチュアリング・チャーリー・クリスチャン、
ウィズ・オールド・ギブスンES-150です。
M06. アイ・ガット・リズム(3’15”) ベニー・グッドマン・セクステット
-Ellington- キング K26 6097/8
M07. フライング・ホーム」(3’12” ) ベニー・グッドマン・セクステット
-B.Goodman, E.DeLange, L.Hampton- キング K26 6097/8
M08.あなたの思い出(3’05”)ベニー・グッドマン・セクステット
-E.Blake- キング K26 6097/8
N ベニー・グッドマンの六重奏団で「アイ・ガッタ・リズム」、「フライング・ホーム」、「メモリーズ・
オヴ・ユー」でした。この日楽屋にあったES-150はとても良い状態で、そのま
ま使うのも充分に可能と思われました。「売り物なの」と訊ねたところ、「そ
れなりのお値段をお支払い頂けるなら」との事で、具体的な価格は不明です。
わたしが持っていても、猫に小判ですからその気はありませんが、興味のあ
る方は、ぜひどうぞ。駒場のドギ—・ギターズです。
さて直接は何の関係もないのですが、チャ—リ—・クリスチャンというとわたしが連想
するのはジャンゴ・ラインハルトです。ちょうど手に入れたばかりの『ジャンゴロジイ』
から、今ベニー・グッドマン・セクステットが演奏したばかりの「アイ・ガッタ・リズム」を聞
いてみましょう。素晴らしいジャンゴのソロに、ステファン・グラッペリのヴァイオリンが華を
添えています。
M09.I Got Rhythm(2’44”)Django Reinharrdt
-I.Gershwin, G.Gershwin- Sonny 88697843492
M10.About A Bird(3’40”)ファンタスティック・ネグリート
-unknown- Pヴァイン PCD-24547
N 1949年のジャンゴ・ラインハルトの「アイ・ガッタ・リズム」に続けましたのは、明らか
に今の音ですが、そのモチーフは古い音楽から採られています。某カロ・エメラルドを
プリンスがカヴァしたみたいな感じ。先週に引き続きファンタスティック・ネグリートです。
アルバムを通しますと、相当の手応えですね。何と言ってもヴォ—カルに説得力が
ある。今の黒人音楽主流的な浮ついたところは皆無です。当世では珍しくも
ない、マルチプレイヤーとしてあらゆる楽器をこなすのですが、この作品ではリズム楽
器他を、それぞれの専門家に任せているところに好感が持てます。マサ小浜と
いう日本人がギターを弾いています。解説に拠れば、彼の参加が成功に大きく
関係しているとか。
ではもう1曲どうぞ。これも真実味を持って迫って来ます。
「ザ・ニガ・ソング」。
M11.The Nigga Song(3’16”)ファンタスティック・ネグリート
-unknown- Pヴァイン PCD-24547
M12.Bad Moon Rising(6’31”)Steve Marriott
-J.Fogerty- Nau Nau Records NAUCD609
N ファンタスティック・ネグリートの「ザ・ニガ・ソング」、そして説得力では勝るとも劣らな
い「バド・ムーン・ライジング」、スティーヴ・マリオット、1984年の実況録音です。ムジ鳥
さんからの「ハムブル・パイもう一周」に変則的ではありますが、お応えしまし
た。当然この録音時にはパイはもう消滅していて、再結成されたスモール・フェイシーズ
もパッとせずに自然分解した後、スティ—ヴはこんな形の自由なギグを続けていた
ようです。ジャケット表は眼光鋭い顔写真ですが、その裏面には哀れな表情のスティ
ーヴが写っていて、少々残念です。多分アルコール中毒だったんでしょう。
でもお聞きのように唄とギター演奏は衰えていません。「鬼気迫る」という表
現が当てはまりますね。ジム・リヴァートンがベイス、ドラムスはフォーローンという男です。
ロンドンのディングヲールズというクラブでの収録。熱心なお客さんにも助けられて熱
の入った音楽が続きます。
もう1曲聞きましょう。スモール・フェイシーズ時代のナムバーです。
先々週「正規」仕様でお届けした「オール・オア・ナシング」。
M13.All Or Nothing(5’48”)Steve Marriott
-S.Marriott, R.Lane- Nau Nau Records NAUCD609
M14.イッツ・オンリー・ラヴ(3’05”)ゲイリー “U.S.” ボンズ
-J.Lennnon, P.McCartney- Pヴァイン PCD-17757
N 12弦ギタ—の音が爽やかだったこの曲は「イッツ・オンリ—・ラーヴ」、歌っていたの
はギャリー・ユー・エス・ボンズです。先週に引き続きアルバム『レット・イト・ビ~ブラック・
アメリカが歌うビ—トルズ』から聞いて行きましょう。このカヴァも知らなかったなあ。
原曲はLP『ヘルプ』のB面に収められていましたね。確かオリヂナルは2分も
ない短い演奏時間じゃなかったかな。わたしはテレビでアマチュア・バンドが演奏し
たのを観て、この歌が好きになりましたが、作者のジョン・レノン自身が「大した
作品ではない、どうでもいい」とか言っていたとかで、ほとんど無視されて
います。でも「通り過ぎるのを見るだけで体温が上がっちゃうよ。それは本
当の愛だからさ」と唄うジョンの心には嘘がないように感じられます。あのひ
ねくれ者のとてもウブな感性がそのまま出ていて、だから本人は恥かしくて
敢えて「嫌いだ」、と言ってるんじゃないか、とさえ思います。ギャリー・アメリカ
債もその辺を抑えているんでしょうか、素直に仕上げています。1981年のLP
『デディケイション』に収められていて、イギリスではシングルとなり、43位まで上がっ
たそうです。でも、ジョンが亡くなった後でしたね。
さてこのアルバムのタイトルにもなっている「レット・イト・ビ」、これはポ—ルがアリサ・
フランクリンを想像しながら作った曲と言われています。実際にアリサもカヴァしていて、
ゴスペル世界でもよく唄われています。今回『レット・イト・ビ~ブラック・アメリカが歌う
ビ—トルズ』に収められたのは、黒いジェイムズ・テイラーことビル・ウィザーズのヴァ—ジョ
ンでした。ありがちな、モットモらしい、真正面からのアレンジではなく、実に軽快
に仕上げていて、ある意味ではこちらの方が正しいのではないかとも感じま
した。
では聞いて下さい。
ビル・ウィザーズで「レット・イト・ビ」。
M15.レット・イット・ビ—(2’31”)ビル・ウィザーズ
-J.Lennnon, P.McCartney- Pヴァイン PCD-17757
M16.アンド・アイ・ラヴ・ヒム(6’27”)エスター・フィリップス
-J.Lennon, P.McCartney- ワーナー WPCR 27598
N フェーダ−操作が拙く、ツナギに失敗。大変失礼致しました。先週のスタジオ仕様に
続けての「アンド・アイ・ラヴ・ヒム」のライヴ、エスター・フィリップスでした。敢えてこの
アルバム『レット・イト・ビ~ブラック・アメリカが歌うビ—トルズ』に入っていないトラックをお届
けしましたが、こういうのはサラリと仕上げなきゃね。重ねてお詫び申し上げま
す。ロス・エインジェルスのクラブ、フレディ・ジェッツ・パイド・パイパ−で収録されたライヴ・
アルバムからです。「ハ—トに灯を点けて」のフレイズを折り込んだりして、なかなか
の出来映え。即興的発案でしょうか。
今週は男声歌手中心に、と考えていましたが、どうもこのアルバムでは女性の
作品の方が優れているようですね。ですので、次はモ—タウンの三人娘を登場させ
ます。
ザ・スプリームズで「愛なき世界」。
M17.愛なき世界(2’45”)ザ・スプリームズ
-J.Lennon, P.McCartney- Pヴァイン PCD-17757
N ザ・スプリームズで「愛なき世界」レノン・マカ—トニが作ってピーターとゴードンに唄って
もらった曲ですが、元々はビ—トルズのリパトゥワだったそうですね。途中からステイヂ
でも採り上げなくなったといいます。勿体ないなあ。まだジョンとポ—ルが仲良
くしていた頃の空気が漂います。
先週このアルバム『レット・イト・ビ~ブラック・アメリカが歌うビ—トルズ』を「黒人たちが
採り上げたレノン・マカ—トニ作品集」と紹介しましたが、済みません。実はジョ—ジ・
ハリスンの楽曲も収録されていました。ひとつはキョーフの「サムシング」アイザック・ヘイズ
版です。十分超の例の仕様。主旋律が始まるまでに2分23秒も待たなくては
なりません。そしてもう1曲は、珍しいエラ・フィッツジェラルドの
「サーヴォイ・トラフル」でした。
M18.Savoy Truffle(2’48”)Ela Fitzgerald
-G.Harrison- Pヴァイン PCD-17757
M20.He’s So Fine(1’53”)The Chiffons
-Mack- History Of R&B Records RO 15
N エラ・フィッツジェラルドの「サーヴォイ・トラフル」に続いては、シフォンズの「いかした彼」。
ジョ—ジのソロ・デビュー・ヒットとなった「マイ・スウィート・ロード」の原曲ですね。この
問題はジョージが「我が盗作」とあっさり認めて落着。あそこまで同じだと逃
れようがなかったのでしょう。ただわたしには、作っている時に盗用の故意
はなかったように思えます。おそらくは記憶の片隅に残っていたメロディーが
膨らんで、「マイ・スウィート・ロード」に形を変えて行ったのではないでしょうか。
分ってたらこんなみっともない事はしない筈ですし、訴えられて「そう言え
ば、あの時・・・」と気付いたのではないか、と思えるのです。もし「俺は
ビ—トルズの一員だぞ、下がれ、下がれ」という奢りがあったとしたら、それは
いけませんがね。
これは『ビ—トルズ・ビギニングズ』という連作CDの第七集「ノーザン・ソングズ」
に収録されています。「ビ—トルズ楽曲の元ネタを暴く」といった主旨で、様々な
考察の下に32ものトラックがあって、「なるほどね」「それには無理があるよ」と
言った諸説、実例が詰め込まれています。
例えば、これが何だか分りますか。
M21.Moonlight Sonata Backwards(1’03”)演奏者不詳
-Beethovenn- History Of R&B Records RO 15
N ベイトーヴェンの有名な「月光」です。ただし録音テイプを終了部から逆に再生し
ています。それが『アビー・ロード』B面のメドリー導入部に置かれた「ビコーズ」に
なる、という学説です。当時ジョンはテ—プをうっかり逆さまに掛けることがよ
くあった、と言いますから頷けなくもないですが、「月光」をミュ—ジック・テイプ
で持っていたかどうかですね、争点は。
このCDを使って、以前にも何かお話したような気がして来ましたが、今
朝は最後までこのまま行かせて下さい。
では次の2曲から、初期のヒット曲が思い浮びますでしょうか。
M22.Goldberg Variations Quodlibet(0’46”)Glen Gould
-Bach- Sony 88697147452
M23.Honey Hish(3’17”)Fats Waller
-Waller- History Of R&B Records RO 15
後TM:ボーン・イン・シカゴ(アサー仕様)P.B.B.B.
N まずは、グレン・グールドの「ゴルトベルグ変奏曲」、正式には「バッハ作曲二段鍵盤
付クラヴィチェムバロのためのアリアといくつかの変奏」です。これが「シー・ラヴス・ユー」
の原曲だと、このアルバムでは主張しているのですが、どうでしょう。実際には
部分的に類似した旋律が聞こえなくもないといった程度で、作品同士の共通
点は希薄に思えます。
次のはファッツ・ヲーラーの「ハニ・ハッシュ」でした。こちらは「抱きしめたい」の原
曲になっているとの説です。確かに唄い出しがよく似ています。ハムブルグ時代
にはファッツの歌を採り上げていましたから、推測は成立するかも知れません。
でもこれに手を加えて「抱きしめたい」を書き上げたのではないでしょう。
頭の隅に漠然と残っていたモチ—フが閃きになった、と言ったところかな。先ほ
どの「マイ・スウィート・ロード」と同じレヴェルだと思えます。
このCDの解説冒頭にある「どんな芸術家も、白紙からは何も作れない」
という格言には、わたしも全面的に納得します。「芸は盗むもの」だとも思い
ますし。例えばローリング・ストーンズでこんな事やったら、大変ですよ。ほとんど
疑惑確定です。
ここまでの身勝手な個人的解釈で1枚のアルバムが作れて、それがまた他人に
取り沙汰されるというのも、ビートルズの影響力の恐ろしさなのでしょう。
さあ今朝はこれにて終了。ちょうど時間となりました。
今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。
http://firestorage.jp/download/b4226230e236b63f5c6662b9bb8b03163de74659
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揚げるのも落とすのも速かったですよ。リョーコーです。
こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/
「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週もあなただけに。

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