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【幻】モーニン・ブルーズ 2019/12/07

mb191207

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようざいます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2019年12月7日を  

 始めましょう。

  あっと言う間に12月、昔からわたしはこの時期になるとシワスイサヲと・・・あ、

 それはないですね。師走です。寒い北風が吹いて来ます。火の用心、火の用

 心、火の用心・・・。

M01.状況詩「しはす」(3’57”)ランキン・タクシー

-T.Shirahama-   ワツシ / ヴィヴィド WACD-002

M02.Shake Your Money Maker (2’28”)The Paul Butterfield Blues Band

-adpt. Butterfield, M.Chivalree-  Elektra 7294-2

N  ランキン・タクシーのお馴染、ではないか、「状況詩『しはす』」に続きましては、先

 週予告しました通り今朝の焦点、エルモ・ジェイムズの名作の「シェイク・ヨ・マニ・メイカ」、 

 ザ・ポール・バタフィールド・ブルーズ・バンドのカヴァ演奏でした。怒ってるみたいな

 ポール・バタフィールドのヴォーカルがいいですね。ご存知の通り、これはダウンタウン・ブー

 キー゙ウーギー・バンドの「スモーキン・ブーギー」の原曲です。が、歌の旋律が全然別物

 ですから、彼らのオリヂナルとしてよろしいでしょう。ただイントロから唄い出しま

 では「シェイク・ヨ・マニ・メイカ」のパクリ、と言われても仕方ないですね。わたしも

 初めて聞いた時は驚きました。その「スモーキン・ブーギー」が1974年です。エルモ

 本人のヴァージョンはともかく、それ以前にこのバタフィールド・ブルーズ・バンドの「シ

 ェイク・ヨ・マニ・メイカ」カヴァ演奏は日本でも紹介されていました。

  それともうひとつ、イギリスのブルーズ・バンド、フリートウド・マックの仕様も70年に 

 は日本で発売されていました。宇崎竜童たちはどちらをお手本にしたのでし

 ょうか。

M03.Shake Your Money Maker (2’57”)Fleetwood Mac

-unknown-  Columbia 88697625922

N  フリートウド・マックの「シェイク・ヨ・マニ・メイカ」でした。こちらの方が律儀な演奏です

 ね。ボトムリフのビートがビンビン来ます。カッコ良い。

  さて今朝の主人公エルモ・ジェイムズのオリヂナルはどんなでしょうか。本当はこれ

 にも更なる原曲があるようですが、エルモは完全に別の楽曲に仕上げています。

 一度失敗して中断するテイク1、「OK」直ぐに始めてとなったテイク2と続けてお

 聞き下さい。

M04.Shake Your Money Maker(2’50”)Elmore James

-E.James-  SNAJ 722 CD

M05.Dust My Broom(2’43”)Elmore James 

-E.James-  SNAJ 722 CD

N  「シェイク・ヨ・マニ・メイカ」、エルモ・ジェイムズの原曲でした。この魅力を悟ってリパト

 ゥワに入れたふたつのブルーズ・バンドのセンスは流石ですね。エルモが録音したのは

 1961年ですから、数年たってのカヴァとなります。どうやって原録音に辿り着

 いたのでしょうか。 SPでも聞いたのかな。

  続けたのは、生涯エルモ・ジェイムスの名刺がわりともなった「ダスト・マイ・ブルーム」

 の最初の録音でした。「シェイク・ヨ・マニ・メイカ」の10年前、1951年8月のサニー・

 ボーイ・ウイリアムスンII世のセッションでの録音です。彼のハーモニカが実に効果的ですね。

  最終コーラスで繰り返される

   俺は知ってるんだ 長生きは出来ないってね

  このフレイズが伝えたかった事は一体何なのか、わたしにはまだ分かりません。

 同時期には他のブルーズメンも似たような事を唄っていましたから、その頃の流

 行りの言い回しだったのかも知れませんが、聞く度に哲学的な暗示を感じて

 います。

  この「ダスト・マイ・ブルーム」は当時のR&Bチャートの上位に入って、いわゆるヒッ

 ト曲になりました。以降この「ブルーム調」はエルモのトレイド・マークのようになり、死

 ぬまでこの三連を弾き続けました。

  それにしても圧倒的なスタイルですね。これに敵うギター奏法はない、と言って

 も正しいでしょう。ですからエルモと来ればジャジャジャ ジャジャジャ ジャジャジャ ジ

 ャジャジャとなりました。確かにその通り。ただ、いわゆるブルーム調でない他の

 楽曲にも共通する三連感覚ですし、彼は唄に於いても強力な魅力があります。

 わたしは子供の頃から、そちらにも大いに惹かれておりました。

  では彼の唄が冴え渡る2曲をどうぞ。どちらも大空に関連しています。

 「ザ・サン・イズ・シャニング」 

  そして、「スカイ・イズ・クライング」

M06.The Sun Is Shinig(2’44”)Elmore James

-James, Lewis, Robinson-  Not Now Music NOT3CD149

M07.The Sky Is Crying(2’49”)Elmore James

-James, Lewis, Robinson-  SNAJ 722 CD

N  このキョーレツな唄。エルモ・ジェイムズで「ザ・サン・イズ・シャニング」、「スカイ・イズ・クライ

 ング」でした。「タフ」と呼ぶのに相応しい情感が込められています。いや凄い。

  イギリスで出ていた『タフ』と名付けられた編集盤があります。ひとりでおっか

 なびっくり入った京都のロック喫茶の薄暗い空間に例の三連ギターが鳴り響いて

 「これは聞いた事があるぞ」と壁を見ると、「只今演奏中」の額に掛かってい

 たのはそのLPでした。「エルモ・ジェイムズというのか。そういえばあのレコードで・・・」

 と、その時以来この男の名前はわたしの心に刻み込まれ、忘れられなくなっ

 たのです。

M08.Sho Nuff I Do(2’53”)Elmore James    

-Whittaker-  Not Now Music NOT3CD149

N  エルモにしては比較的甘いトーンで始まる「ショウ・ナフ・アイ・ドゥ」、これも有名な歌

 です。同時代のブルーズメンは皆そうでしたが、今残されている彼の膨大な録音

 には同じ曲が何種類もあります。それでも昔の名前で出ています的音楽家に

 よくある再録感が乏しく、全てが「オリヂナル吹き込み」で通用しそうです。今

 の「ショウ・ナフ・アイ・ドゥ」は比較的音が新しいので1960年代の物と思われます

 が、非常に新鮮な味わいですね。生演奏感に溢れています。

  彼は生前の活動中に音楽家組合の決まり事をちゃんと守らなかったようで、

 何度か罰を受けています。会費の納入を怠ったり、契約を無視して他のレイベル

 に録音を行う事が頻発して、何度も資格を剥奪されますが、そんな事にお構

 いなく話があれば、直ぐ吹き込みに応じています。場所も生まれ育ったミシシッピ、

 ロスエインジェルズ、ヌーオーリンズとあちこちでやりました。本人は夜毎の拾い仕事を続

 けるギター弾きで、定住せずに声のかかった場所に流れて行く暮らしでした。

 バンドも一応「ブルーム・ダスターズ」という一流演奏家の集団を結成していました

 けれど、旅公演に同行する事は余りなかったようで、現地調達が主な形です。

 ヒット曲がありますから、まずそれで合わせる事が出来ます。その後は成り行き

 でしょう。何と言ってもエルモ・ジェイムズが居れば、ショウは全て成立です。

M09.It Hurts Me Too(3’05”)Elmore James 

-E.James, B.Robinson-  SNAJ 722 CD

N  今の「イト・ハーツ・ミー・トゥ」は、「ショウ・ナフ・アイ・ドゥ」と同じく、12小節では

 ない変則的な8小説ブルーズです。今回、ハウリン・ヲーフの「シティン・トップ・オヴ・ザ

  • ヲールド」と重なって聞こえて困りました。年代的にはヲーフの方が上ですが、

活躍はエルモの方が先です。これらの歌には何らかの関係があるのかも知れませ

ん。

  さて次は「アイ・ヘルド・マイ・ベイビ・ラスト・ナイト」、これも複数の録音がありま

 す。先ずは1959年の仕様をお聞きいただき、その後でオリヂナルとも言える52

 年の吹き込みを聞いてみましょう。

M10.I Held My Baby Last Night(2’53”)Elmore James

-E.James, Taub-  Fire & Enjoy

Not Now Music NOT3CD149

M11.I Held My Baby Last Night(3’25”)Elmore James

-E.James, Taub-  Not Now Music NOT3CD149

N  わたしが17歳の時に題名を聞くだけで興奮していた「アイ・ヘルド・マイ・ベイビ・

 ラスト・ナイト」、ふたつの吹き込みを聞いて頂きました。歌の内容はこじれた愛情

 問題なので、興奮するほどの官能性はなかったですね。

  これら同じ曲のふたつの録音を聞いて分かるのは、エルモの歌は決まった形を

 持っていない事です。歌詞は吹き込みの度に違っています。それで再録音感

 が乏しく全てがオリヂナル吹き込みに聞こえるのかも知れませんが、こういう部

 分も前近代的とは言えなくもないですね。

  あ、遅くなりましたがエルモ・ジェイムズは1918年1月27日生まれで、63年5

 月19日に亡くなっています。主にイギリスのハードロック・グループによって北米のブ

 ルーズ音楽が注目される少し前ですから、その恩恵にあやかってはいません。

  けれども、ザ・ローリング・ストーンズ結成のきっかけは、ブライアン・ジョーンズが持ち

 込んだエルモ・ジェイムズだったかも知れないと言われますし、ザ・ビートルズも「フォ

 ー・ユー・ブルー」の中で「Elmore James Gotta Nothing On This, Baby」なん

 て会話に出て来たりするくらい、死後の影響力は強く残りました。やっぱり

 あの三連リフが大西洋を超えてキョーレツに鳴り響いたのでしょう。わたしが彼と出

 会えたのも、イギリスの真面目なブルーズ・バンド、フリートウド・マックが導いてくれた

 からです。

M12.Happy Home(2’46”)Elmore James

-James-  Not Now Music NOT3CD149

N  ブルーム調ながら唄い出しにストップ・ブレイクを置いて変化をつけた「ハピィ・ホーム」

 でした。これも後期の再録音ですね。スライドが非常に滑らかになって来ていま

 す。子供の頃はこの歌を真似して演奏していました。今になって聞くと、自

 分のパートで拾った音が間違っていたのに気付きます。これじゃ演奏家にはな

 れませんです。

  さて、エルモについては「幻」男ロバート・ジョンスンとの関係がよく指摘されます

 が、その事実は今の所はっきりしていません。確かに運命的な示唆を持った

 主題や、三連のリフなど共通する部分は多いのですが、どういう関係にあった

 かは不明です。それでもエルモは有名な「十字路」を唄っています。

M13.Standing At The Crossroads(2’48”)Elmore James

-R.Johnson arr.by James, Josea-  Not Now Music NOT3CD149

N  唄う声が裏返っています。熱の入れ方が、ちょっと他と違う感じですね。乗

 り移っているのは、ジョンソンの霊でしょうか。

  気軽に考えたエルモ・ジェイムズ集、聞けば聞くほど興味が多岐に渡り深まって、

 こんな短い時間じゃ彼の全貌を照らし出すのは無理のようです。ただし彼の

 残した豊富な録音は、CD時代になって以前より手軽に聞けるようになって来

 ています。何より安価です。ボビー・ロビンスンのファイア・レイベルに吹き込んだ全曲

 を収録した3枚組も先だって出たばかりです。また今なら本屋さんに彼を特

 集した「ブルーズ・アンド・ソウル・レコーズ」誌最新号が置いてあります。こちらに

 は特別付録でCDも付いています。今朝の放送で興味をお感じたら、ぜひお

 手に取ってみて下さい。

  さてわたしをエルモ・ジェイムズに導いてくれたフリートウド・マックは、この11月に昔

 の真面目なブルーズ・バンド時代の音源がまとめられて発表されました。「幻」

 とは別の土曜日の朝のfm音楽番組でも特集されていましたね。このグループ

 にはジェレミー・スペンサーという「エルモ・ジェイムズの真似しか出来ない男」がいまし

 て、そればっか演っていましたが、このグループが大きな商業的な成功を収め

 る前の1970年に早々と抜けています。そして直後に単独作品を発表しました。

 全編がエルモ風だろうと思われましたが、実際はロケンロー的に幅広い内容を持って

 いて、豊かな音楽的な背景を感じさせてくれました。そうなんだ、そのまん

 まを演っちゃダメなんですよ。

  ただギターのスタイル、これはどうしようもありませんでした。

  これを聞いて下さい。

  「ドント・ゴウ、プリーズ・ステイ」。

M14.Don’t Go Please Stay(2’39”) ジェレミー・スペンサー

-unknown- BSMF 7519

N  唄自体は悪くありませんね。いい雰囲気出してます。でもリヴァーブたっぷり

 の音色からしてギターはモロにエルモ・ジェイムズでした。それも良し。やはりエルモ病原

 体感染力の恐ろしさでしょう。ジェレミーはエルモがまだ極く一部の愛好家にしか知

 られていない頃からの信奉者でした。だから余計にあのスライド奏法は特異でし

 た。それだけに印象は深くキョーレツで、わたしの心にも引っ掻き傷を残したので

 すね。

  それが21世紀の今では、ブルーズ演奏におけるひとつの定番にもなりました。

 今もエルモ・スタイル感染者は更に拡大の傾向を見せていまして、こんな女性もいま

 す。イリア・ライチネンです。

  2014年のロンドンでの実況録音から、

  エルモ・ジェイムズの有名な「ハンド・イン・ハンド」を聞きましょう。

M15.Hand In Hand(2’33”)イリア・ライチネン  

-James, Josea, Ling, Taub-  BSMF 2515

M16.Too Much Alcohol(3’49”)J.B.Hutto & His Hawks

-J.B.Hutto –  BSMF 7594  

N  イリア・ライチネンのスライド・ギターが冴えた「ハンド・イン・ハンド」に続いては、これも

 先週お伝えした「アン・アーバー・ブルーズ・フェスティヴァル」の実況録音です。まずは

 やはりエルモ・ジェイムズの信奉者、ジョセフ・ベンジャミン・ハットーの「トゥ・マッチ・アルカホル」 

 でした。彼はエルモに実際に会ってギターついて尋ねたそうですから、直系ですね。

  今お聞き頂いた録音にはどなたも「酷い音だな」とお感じになったでしょ

 う。確かにこれは50年前、1969年の野外音楽会の、ただの記録用です。正

 規の音楽収録ではないのです。多分ポータブル・レコーダーを観客席に置いて、そこ

 で自動録音されたのでしょう。ですから側に座っているお客さんの会話や咳

 き込みなどがフツーに音楽よりも大きな音で入ってしまっています。特にこの「ト

 ゥ・マッチ・アルカホル」は舞台上の音が遥か遠くです。それでも伝わるエルモ・ビート、

 流石です。オリヂナル時代に比べてリズムの解釈が変わって来ているのも感じ取れ

 ますね。

  1969年8月には、愛と平和と音楽の3日間「ウードゥストーク・ミュージック・アンド・

 アート・フェスティヴァル」が開催されましたが、ここミシガン大学では「アン・アーバー・ブル

 ーズ・フェスティヴァル」が開かれていました。ブルーズ音楽に感化された同大学の転

 入生ジョン・フィッシェルが中心となってシカゴからブルーズメンを呼んで、開催された北

 米初のブルーズ音楽大会です。

  今回の2枚組アルバムは奇跡的に残っていた記録録音を念入りに再生した、そ

 の全貌を伝える物です。音が酷いのは当たり前で、わたしは「よくここまで

 聞けるようになったな」と感心しました。

  この時の録音の一部は、既に1981年に『マジック・サム・ライヴ』として発表さ

 れていました。その時の音の酷さといったら、雑音の向こうにマジック・サムが時々

 見え隠れする程度のものでしたから、同じ時の録音でここまで聞けるのは驚

 きです。もちろん最新のディジタル技術と担当者の忍耐の産物であります。

  その時の『マジック・サム・ライヴ』にも収められていた

  「アイ・フィール・ソウ・グド」を聞いてみましょう。

M17.I Feel So Good(4’56”)Magic Sam

-unknown-  BSMF 7594

N  凄まじいビートの放出です。この時マジック・サムはギターを持って来なかったそう

 です。ずっと私物では持ってなかったのかも知れません。その場で誰かに借

 りて舞台に上がったと伝えられます。一口にギターと言いましても同じ形をし

 ているものの、弦の太さや高さなど、神経質な人は自分用に調整された楽器

 でなくては触る事も出来ません。それを現場で借りてここまで弾き倒すとは、

 マジック・サム。本当に恐ろしいですね。この 「アン・アーバー・ブルーズ・フェスティヴァル」

 当時、彼がどの位の絶頂にいたかは知れません。この猛獣が獲物に噛みつく

 ような狂気のリズム、怖くなります。音質なんて吹っ飛びますね。

  この「アン・アーバー・ブルーズ・フェスティヴァル」に出演したほとんどのブルーズメンは

 それまで白人の若い聴衆の前で音楽を披露した経験などありませんでした。

 ですからどの出演者も戸惑いと喜びと感謝が交錯したMCが特徴で、それが

 とても微笑ましい。たぶん皆、自分が生きているうちにこんな機会が訪れる

 とは思ってもいなかったのでしょう。

  ミシシッピ・フレッド・マクダウェルです、「ジョン・ヘンリー」。

M18.John Henry(4’41”)Mississippi Fred McDowell

-trd.-  BSMF 7594

M19.Key To The Highway(5’40”)Sam Lay

-trd.-  BSMF 7594

N  この2枚組「アン・アーバー・ブルーズ・フェスティヴァル」の実況録音盤は、ブルーズ音楽

 が世界中で聞かれるようになる直前の姿を捉えています。白人の若い世代を

 前に一応の体裁は整えられていますが、音楽自体は取り繕う事も出来ず普段

 の流儀でやるしかないのでしょう、シカゴの黒人専門クラブでの表現のままです。

 この後、この音楽は新しい聴衆の前で次の段階へと変化して更なる底力を発

 揮していくのですが、ここに収められた1969年8月のブルーズは永遠です。

  「メディアで大きく報道される事はなかったが、この10年とは言わずとも今

 年最高のフェスであるのは間違いない」とダウン・ビートで評されたのは全く正しい。

 「ウドストーク」よりも有意義で実りの多い催事だったのです。

  カナダのウインザー・スター紙の「アメリカは黒人に対する借りを返し始めている」とい

 う表現も適切です。

  そして最後に、ジム・オニールの言葉をここに置いておきましょう。

  「60年代の生き残りたちは未だに“ウッドストックにいたかい?”と尋ねあって

 いる。私たちのようなブルースへ改宗した者ならこう尋ねる。“アナーバーにいたか

 い?”と」

  衝動に取り憑かれてこの「アン・アーバー・ブルーズ・フェスティヴァル」を開催してし

 まったジョン・フィッシェルに限りない賛辞と拍手を送ります。

M20.Hawaiian Boogie(Version 2)(2’21”)Elmore James

-E.James-  BMR 150

N  珍しくブルーズで彩られた2019年12月7日の「幻」、中締めには「ブルーズ・ 

 アンド・ソウル・レコーズ」誌最新号特別付録CDから「ハワイアン・ブーギー第二番」をお 

 届けしました。

M21.Wheels Of Laredo(4’15”)Highwoman

-T.Haseroth, B.Cadlie, P.Hanseroth-  Elektra  / LCS   0075678651748

N  先週ご紹介したハイヲーメンで「ウィールズ・オヴ・レイリド」でした。ハーモニー・ワークが際立

 っています。思わせぶりな唄の表情も妙に心に残ります。女性4人のスーパー・

 ヴォーカル・グループ、ハイヲーメンでした。

  そしてこちらは澤田修推薦の男性2人組、フローリダ・ヂョーヂア・ライン、今回は

 『ディ・アクースティク・セッションズ』と題して生音を主体にした録音です。

  「」ディス・イズ・ハウ・ウィ・ロール」。フィーチュアリング・ルーク・ブライアンでどうぞ。

M22.This Is How We Roll(3’37”)Florida Georgia Line feat.Luke Bryan

-T.Hubbard, B.Kelley, L.Bryan, C.Swindell-  BMLG 0843930046300

M23.Moonlight, Mistketoe & You(3’29”)Keb’ Mo’ feat. Gerald Albright

-K.Moore, A.Ollendoff-  Concord  00888072118065   

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  今朝も最後はケブ・モのクリスマス・アルバムから表題曲「月光と柊、そして君」でし

 た。この歌、お届けするのは初めてですね。なんか前に使ったような気がし

 ますが、ケブ・モの新曲、つまり新しいクリスマス・ソングです。偉いぞ、ケブ。

  日頃お世話になっている皆様へ2020年のお年玉、モーニン・ブルーズの生放送

 告知は皆さん既にご覧の通りですが、その前にもう少し広範囲の方々にお年

 玉をあげられる事になりました。秋に澤田修がヘヴェメトー飛礫を関東一円に投げ

 つけたラジオ日本の「DJズ・ファイル」と言う番組、そこに年明け早々、わたしの

 出番が回って来ました。信ずる者は救われるのです、エイメン。

  2020年1月の7、8、9、10日、週が明けて14、15、16、17日、更には

 21、22、23、24日、火曜日から金曜日の21時45分に放送です。「何をや

 ってもいい」というお話で、修も「普段のモーブルでいいんじゃないですか」な

 んて言ってますが、わたしはちょっと捻った企画を考案中です。聞いてね。

  わたしの初めての著作「河内音頭」、だんだん行き渡って来ている様です。

 既にお読み頂いた方々、どうも有り難うございます。先週の投稿にあったペタ

 シ66さん、「外題十八番」面白かったでしょう。何せここは原典の名作があ

 りますから、この一冊の中で一番充実してると、わたしも素直に認めます。

  たべるトンちゃんの「なぜ『十九の春』を楽しそうに歌われたのでしょう」

 という問いかけも新鮮でした。どうしてだったのだろう、と考えています。

  それから45979さん、「ナタリーがナタリー・ウッズ」というご指摘も有り難うござ

 います。彼女はナタリー・ドロンになった女性でしょうか。わたし映画の話が全く

 ダメでして・・・。DVD8枚組「カントリー・ミュージック」、見なきゃ。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

https://firestorage.jp/download/6c6e716cdbac0b6fb4bf169b3ceeb3905e9194fb

  ダウンロード・パスワードは、48w5vqcqです。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

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AwesomeBeats + Mornin’ Blues 生放送!

AwesomeBeats + Mornin’ Blues 生放送!

AwesomeBeats + Mornin’ Blues 新春特番

2020年(令和二年)1月10日(金曜) 24:00-29:00
※1月11日(土曜)00:00-早朝05:00まで
出演:澤田修、鷲巣功
中央エフエムから生放送!乞うご期待!



【幻】モーニン・ブルーズ 2019/11/30

mb191130

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようざいます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2019年11月30日を  

 始めましょう。寒いですね。23区最低気温記録保持を自称するこの仕事部屋

 では、手がかじかんで鍵盤操作が上手くいかず誤字脱字が頻発・・・あ、そ

 れはないですね。

  今月は西向くサムライで小の月、もう明日からは師走です。わたしはその昔、

 シワスイサオと呼ばれ・・・あ、これもないですね。

  さあ2019年11月の最後の最初はチャック・ベリーです。マイク・ジト企画制作の新

 譜『ロケンロー、ア・トリビュート・トゥ・チャック・ベリー』から、先週漏れてしまったこれ、

  「特に行くアテもないけれど」。

M01.No Patrticular Place To Go(2’50”)

Mike Zito and Friends feat. Jermiah Johnson

-C.Berry-   BSMF 2681

N  「ノー・パティキュラ・プレイス・トゥ・ゴウ」、マイク・ジトとジャミヤ・ジョンスンでした。「Jermiah

 Johnson」という有名な西部劇映画があるそうですが、このジャミヤ・ジョンスン

 は、同名のブルーズ・ギタリストです。歌も唄ってたようですね。ラフな仕上げ具合

 が大変宜しい。若い世代がディジタル録音でロケンローを演ろうとすると、美しくな

 り過ぎてしまいます。それじゃダメ。そこんとこがこのマイク・ジトの『ロケンロー、ア・

 トリビュート・トゥ・チャック・ベリー』は、いい感じでツボが抑えられています。

  今週、チャックの「『メムフィス』を探したら・・・」という投稿を頂きました。わ

 たしもその映像をすぐ観ました。投稿者ち冷えさんが仰る通り、カッコいい。グ

 ンバツです。また、これを観ていて、この人は世界で一番奇妙なギターの弾き方

 だ、という事実が明確になりました。いわゆる「ちゃんとした」奏法をしな

 いんですね。「分かってるけど、俺はこれでいいんだ」という感じです。真似

 をしようにも普通のギター弾きは憚かるでしょう。正しいメソッドと違い過ぎる。

 そんな思いと共に観たチャック・ベリーの「メムフィス」実演映像でした。

M02.Dream Baby(2’10”)Jerry & Reggie

-C.Walker- ACE  CDCHD 1537

N  殆ど同じ造りで、わたしはずっと先に例を挙げた「メムフィス」だと思っていた

 「ドリーム・ベイビー」、ジェリーとレヂーです。先週チャックの「キャロル」をお届けした『レヂ

 ー・ヤング~セッション・ギター・スター』から、こちらもビル・ブラックズ・コムボのジェリー・アー

 ノルドとレヂー・ヤングの演奏でした。その時には。ビル・ブラックがドラマーと申し上げ

 ましたが、彼はベイス奏者ですね。訂正します。ビル・ブラックズ・コムホのドラマーは、

 今のジェリー・アーノルドでした。

  さて「メムフィス」そっくりな「ドリーム・ベイビー」はロイ・オービスン1962年のヒット曲。

 チャックのは59年ですから、彼の方が早く世に出しています。ま、この際そんな

 事はどうでもいいですね。

  「ドリーム・ベイビー」、ロイ・オービスンです。

M03.Dream Baby(2’35”)Roy Orbison

-C.Walker-  Rhino R2 71493 

M04.Boys(2’11”)The Shirelles

-Dixon, Farrell-  One Day Music  DAY2CD154  

N  ち冷えさんは「メムフィス」の映像情報と共に「ガール・グループをガンガンやれえ」

 とゲキレーして下さいました。お応えしましょう、手元に『ウィル・ユー・ラヴ・ミー・

 トゥマロウ 〜 ガール・グループズ・オヴ・ザ・フィフティーズ・アンド・シクスティーズ』というコムピ

 があります。この間の片付けで出て来ました。3枚組だと思ってましたが、2

 枚組でした。

  まずはリンゴ・スターがリード・ヴォーカルを取った事で知られている「ボーイズ」、シュレ

 ルスでした。これはガール・グループに目がなかったジョン・レノンがリンゴに唄わせたん

 じゃないかな。1960年の録音です。

  さて次は 80年代後期にダイアナ・ロスがカヴァしてリヴァイヴァルしたこの歌です。

  ザ・ボベッツ、「ミスタ・リー」。

M05.Mr.Lee(2’16”)The Bobbetts

-Dixson, Pought-  One Day Music DAY2CD154 

M06.I Shot Mr.Lee(2’32”)The Bobbetts

-Pought, Pought, Dixon, Farrell-  One Day Music DAY2CD154 

N  ザ・ボベッツで、「ミスタ・リー」、そして「アイ・ショット・ミスタ・リー」でした。この「ア

 イ・ショット・ミスタ・リー」は、もちろん「ミスタ・リー」のアンサ・ソングです。ボベッツは自

 ら返事をしていました。

  ただし、今お聞き頂いた「ミスタ・リー」は、アンサ・ソングの「アイ・ショット・ミスタ・リー」

 が発売されて ヒットした後にボベッツが再び吹き込んでヒットさせた「ミスタ・リー」な

 んです。もちろん他のレイベルからですから揉めたらしいですよ。この時代の柳

 の下には、どぜうが何匹もいたようです。

  それにしても大好きな男性を、簡単に撃ち殺してしまう短絡な発想の恐ろ

 しさ。これも誰でも銃を手に入れられる国情の反映でしょうか。ただ関西の

 ヤクザは自動小銃を持っていますから、よその国の話だとも言えないようです。

  この「ミスタ・リー」は商業的な成立過程の前に、庶民、子供達の間で唄われて

 いた伝承的な戯れ歌ではないかな、という気がします。一応形をまとめた作

 者たちがいますけれどもね。子供達の歌う歌には結構残酷ですから良い人も 

 簡単に撃たれてしまうのでしょう。わたしたちも狸を鉄砲で撃って煮て焼い

 て喰ってしまう野生動物虐待の歌を大切にして来ました。

  さて50年代、60年代のガール・グループの歌は、このような奥は深いが表面

 上は他愛のない「キャー、あの子素敵。たまんない」という感じです。もちろん

 子供ならではの純で切実な思いを、夜更けの窓辺で唄い上げた名唱もありま

 す。

M07.There’s No Other Like My Baby(2’32”)The Crystals

-Spector, Bates-   One Day Music DAY2CD154  

M08.Maybe(2’51)The Chantels

-Barrett-  One Day Music DAY2CD154  

N  クリスタルズで「他にはもう誰も」、そしてガール・グループの「孤独の叫び」と言え

 ばこれしかないですね、「メイビ」シャンテルズでした。ドゥワップの女声版と言えなく

 もありませんが、ガール・グループはそれにもっとポップな味付けがされたスタイル

 だと、わたしは考えています。

  そのガール・グループの性格が変わるのは、60年代中期からです。モータウン快進撃

 の急先鋒スプリムズがヒットを連発し始めてからでしょうか。特にセンターの座を勝ち

 取ったダイアナ・ロスが成熟するに連れて全体に対象年齢も上がって行き、ガール・

 グループではなくウーマン・グループになります。つまりそれまでの、諸事情からメムバ

 が変わっても誰も気付かない、といった十把一絡げ的なノヴェルティ集団ではなく

 なって来たのですね。ここに50年代から60年代を彩ったガール・グループは終

 息します。

  フィル・スペクターはガール・グループの存在を最大限に利用して多くの試行錯誤を重

 ねました。ジョン・レノンもガール・グループから多くを学んだ事でしょう。思い返し

 て見ればビートルズが1964年に全米チャートで繰り広げたスプリムズとの1位獲得の戦

 いは象徴的です。

M09.Please, Mr. Postman(2’30”)The Marvelettes

-Holland, Bateman, Gorman,Garrett-  One Day Music DAY2CD154  

N  マーヴェレッツで「プリーズ・ミスタ・ポストマン」でした。これには面白い裏話がありま

 す。ビートルズ側からカヴァの許諾願いを受け取ったモータウンは会議で審議しました。

 社長のベリー・ゴーディー・ジュニアはあまり乗り気ではなかったのですが、多数に

 押されて承認、即座に「許そう」と返事を出しました。するとその日の午後

 にはビートルズの「プリーズ・ミスタ・ポストマン」が、録音され、プレスされ、袋に入れ

 られて、レコード店頭に並んでいた、というのです。どういう事でしょうか。

  さて『ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥマロウ 〜 ガール・グループズ・オヴ・ザ・フィフティーズ・

 アンド・シクスティーズ』からお届けした数々のお嬢ちゃん合唱団、最後はここに入

 れて貰えなかったガール・グループを紹介しておきましょう。

  マーサとヴァンデラズです。モータウンで事務職員として働きながら世に出る切っ掛け

 を窺っていたマーサ・リーヴスを中心とする3人組です。彼女たちはスプリムズの陰に

 隠れてしまって、モータウン史ではそれ程大きな存在として捉えられていませんが、

 実力は同等かそれ以上。複数の制作陣と渡り合って、いつも斬新な唄声を響

 かせていました。とても活発な印象がありますね。彼女たちを十把一絡げで

 ガール・グループと呼んでしまうのには、実は少し抵抗があります。時代的にも

 ガール・グループ以降の優れた音楽家集団でした。

  「幻」ではいつも「ダンシン・イン・ザ・ストリート」でしたが、今朝はしみじみと

  「ア・ラヴ・ライク・ヨーズ」をどうぞ。

M10.A Love Like Yours(2’30”)Martha Reeves And The Vandellas

-Holland, Dozier, Holland-  Motown 530 230-2

M11.Lush Life(3’55”)Harmony

-B.Strayhorn-  Blue Note / Fresh Grass  00602508001635

N  一聴しただけでは奇を衒った風変わりな組み合わせのように響くかも知れ

 ませんが、唄、ギターともに高度な技術に支えられていて、ふたりが絶妙の呼

 吸で合わせている「ラッシュ・ライフ」、ビル・フリゼルの『ハーモニー』からでした。

  ギターはビル・フリゼル、唄はペトゥラ・ヘイデンでした。不思議な魅力に溢れていま

 す。アルバム全体もこんな感じでして、本来わたしはこういうのが苦手なのです 

 が、なぜか惹かれまして手に入れて以来、何度も繰り返して聞いています。

 これまでにも何曲か聞いて頂きましたが、今朝はビリー・ストレイホーン作の「ラッシュ・

 ライフ」でした。

M12.Sweet Memories(3’27”)Blenda Lee

-M.Newburry-  Sambiniha Import  WRSI-5529

N  ミッキー・ヌーベリが作った「スウィート・メモリーズ」、ブレンダ・リーです。やっぱり彼女は

 歌が上手ですね。こういう慣れ親しんでいない楽曲ですと、余計に分かりま

 す。と言ってもこの歌はエミルー・ハリスやウイリー・ネルスンも唄っていますから、有名曲

 でしょうか。

M13.How Sweet It Is(3’17”)Blenda Lee

-Holland, Dozier, Holland-  Sambiniha Import  WRSI-5529

N  「君の愛に包まれて」という邦題のジェイムズ・テイラーのカヴァでもお馴染みの「ハ

 ウ・スウィート・イティーズ」でした。これもブレンダ・リーです。実はレコード屋のカントリー盤

 置き場で『ブレンダ・リー・シングズ・カントリー ~ アルティメイト・カントリー・コレクション VOL.2』

 というのを見つけました。今年の発売です。俺に黙っていつの間に、しかも

 第2集とは・・・、と思いながらききました。はっきり言ってしまえば、「アル

 ティメイト・カントリー・コレクション」ではないですね。ポール・マカートニやビージーズ、スティーヴィー・

 ワンダの歌なども入っています。それらがカントリー的に編曲されているわけでもな

 いし、今の「君の愛に包まれて」だって、普通のポップソング仕立てです。国内

 で付けた帯には「珠玉の名曲のカントリー・アレンジ・カヴァーを多数収録!」と言い訳

 がましい文句がありますが、ブレンダのポップ・ソング集とした方が宜しい。

  1950年代まで、特別な支援体制がない唄い手、殊に女性ですと、リパトゥワは

 いわゆるスタンダードでしかなく、それが広義の「ジャズ歌手」と呼ばれる所以と

 なります。ところがエラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンには誰もがなれる筈もなく、

 「ジャズ歌手」の看板を掲げたまま流行歌を唄うようになります。ミス・ダイナマイ

 ト、ブレンダ・リーはポップ・ソング「ダイナマイト」でデビューした時からジャズの唄い手

 ではありませんでしたが、強力な制作体制を待たずに歌手活動を続けて行く

 にあたって、ジャズの世界を利用したのではないでしょうか。唄い手を選ばな

 い名曲がゴマンとありますし、彼女ならそれらを上手に唄えます。

  その結果ジャズ・スタンダードを唄っていた時期がありました。「ジャズ歌手」と

 いう肩書きは非常に便利なのです。それと同じように「カントリー歌手」という肩

 書きも大いに有効ですが、ブレンダ・リーにとっては、「ちょっと唄ってみようか

 しら」程度の気分ではなかったのでしょうか。

  わたし自身は彼女の魅力はR&B調の歌曲で発揮される、という確信があり

 ますから、帯の「70年代に入るとカントリー歌手へと転身」なんて言葉は、全く信

 じません。カントリー音楽初心者のわたしには知っている楽曲もそれ程多くないで

 すし、ブレンダ・リー自身がカントリーを意識した唄い方をしている訳でもありません。

  それでも、これをどう唄っているのかには興味がありました。

M14.Before The Next Teardrop Falls(2’47”)Blenda Lee

-V.Keith, B.Peters-  Sambiniha Import  WRSI-5529

N  テクスメクスの色男フレディ・フェンダでお馴染み「涙のしずく」でした。ブレンダ・リー

 はスペイン語を使いながらメキシコとの国境も近いテキサス風情を表現していますが、過

 剰な感情表現に至らないように極めて平坦に唄っているようでもあります。 

 でもサビの辺りは往年のミス・ダイナマイトそのままでした。合格です。

  さて『ブレンダ・リー・シングズ・カントリー ~ アルティメイト・カントリー・コレクション VOL.2』

 いろいろとケチをつけるような紹介をして来ましたが、お聞きのように大変結

 構です。実は『VOL.1』を探してみるつもりです。

  では最初にお届けしたミッキー・ヌーベリの作品をもうひとつどうぞ。

  「ザット・ヲズ・ザ・ウェイ・イト・ヲズ・ゼン」。

    わたしはナタリーで、

    あなたはジェイムズ・ディーンのようだったわ

  ナタリーって誰だろう・・・。

M15.That Was The Way It Was Then(3’43”)Blenda Lee

-M.Newburry- Sambiniha Import  WRSI-5529

M16.Turn Off The News(Build A Garden)(3’43”)

Lukas Nelson & Promise Of The Real

-L.Nelson, & Promise Of The Real- Fantasy  00888072095 185

N  はい、元気よく男の子で参りましょう。ウイリーそっくりな唄声のルーカス・ネルスン

 率いる真実の証明楽団の新譜です。今回はヒット曲を連発していた頃のイーグルズ

 を彷彿とさせる響き、実にアメリカ大陸的です。これが今のカントリー音楽ですね。

  今の「ヌーズを消して庭を作ろう」でハーモニーを付けていたのはシェリル・クロウです。

 ツバチリにキマってました。気持ち良かっただろうな。

  もう1曲行きましょう。

  「ウェア・ダズ・ラヴ・ゴウ」。

M17.Where Does Love Go(3’43”)Lukas Nelson & Promise Of The Real

-L.Nelson, & Promise Of The Real- Fantasy 00888072095 185

N 「ウェア・ダズ・ラヴ・ゴウ」、ルーカス・ネルスンとザ・プロミス・オヴ・ザ・リアルでした。

 こちらはえらく浜田省吾的ですね。言葉以外はほとんど同じ、と言ってもい

 い。ルーカス・ネルスンとザ・プロミス・オヴ・ザ・リアルはこの新譜で、このような元気一

 杯の若々しい音楽を演ってます。ジャケット写真に写ったメムバは皆、カントリー野郎度

 120%で、都会的な洗練はありませんが、カッコいいですよ。中のセッション中の写真

 を見ると使っている録音機材が恐ろしく旧式なのです。それで充分なんだな。

  さて、ここのところひとりで騒いでいたケン・バーンズ監督作品「カントリー・ミュージ

 ック」、ブルーレイ8枚組で入手しました。少々値が張りましたが、思い切りました。

 5枚組のサントラCD、こちらも近々聞けそうです。映画の方は輸入盤で字幕なし

 なので、観る度に悪戦苦闘です。何よりも8枚物ですから時間がかかる。7

 枚目に進んだ頃には最初の方を忘れているのではないでしょうか。この週末

 から独占公開です。

  ではそのサントラからウイリー・ネルスンがマール・ハガードと唄っている、

  「ポンチョ・アンド・レフティ」。どんな場面で使われているのでしょうか。

M18.Poncho And Lefty(4’48”)Willie Nelson & Merle Haggard   

-T.V.Zandt- Sony / Legacy19075960422 

M19.Old Soul(5’45”)The Highwomen   

-M.Morris, L.Dick, L.Veltz-  LCS / Elektra  0075678651748

N  ウイリー・ネルスンとマール・ハガード、田舎男ふたりの「ポンチョ・アンド・レフティ」に続けま

 して、「オールド・ソウル」21世紀のカントリー・ガール・スーパー・グループです。その名もハ

 イヲーメン。この夏にジャケットを見た時に「ああ、これはウイリー・ネルスン、クリス・クリストファス

 ン、ジョニー・キャッシュ、ウェイロン・ジェニングズたちが組んだ『ハイウェイメン』の女版だな」

 とすぐに分かりました。モノクロームの写真もクリソツでしたから。カントリー界で今をとき

 めく女性歌手4人が組んだスーパー・グループだそうですが、わたしは正直言って

 誰ひとりとして知らない。あまり美形もいないし・・・。この前レコード屋で見

 たら値段がだいぶ下がっていたので購入した次第であります。

  とは言え四人とも大物ばかりですから、メムバが変わったらすぐに分かりま

 す。名プロテューサーを擁した制作陣が控えた一大プロジェクトなのです。CDという

 パッケイヂ・ミーディアがどんどん市場を失っていく中で、よくこういう事を仕組む

 なあ。勝算が立つのでしょうか。しばらく遠くから見守っていましょう。

  ではハイヲーメン、もう1曲。

  「天国は田舎の居酒屋」。

M20.Heaven Is A Honky Tonk(3’54”)The Highwomen  

-B.Carlile, R.Lamontagne, N.N. Hemby, B.Carlisle- 

LCS / Elektra  0075678651748

N  21世紀のカントリー・ガール・スーパー・グループ、ハイヲーメンで「ヘヴン・イズ・ア・ホンキ・ト

 ンク」でした。この一大プロジェクトがどうなるか、興味深いところです。しばら

 くは、太平洋の遠く彼方から見守っていましょう。

  さて来週のお知らせを少々いたします。本来なら今週お届けするはずでし

 たが、ガール・グループとかブレンダ・リーに惑わされまして、来週送りになりまし

 た。それはエルモ・ジェイムズです。

  雑誌「ブルーズ・アンド・ソウル・レコーズ」の150号がわたしの人生を変えたこの

 男の特集でした。それで珍しくしっかりと読みました。もう書いているのは

 知らない若い人たちばかりですけどね。それもこの三連男の影響力の凄さで

 しょう。そんな事もあって、エルモ・ジェイムズを聞いてみようかな、と思い立っ

 た次第です。どうぞお楽しみに。

  では「ブルーズ・アンド・ソウル・レコーズ」の150号の特別付録に付いていたCD

 から1曲。

  「ハワイアン・ブーギー」。

M21.Hawaiian Boogie(2’34”)Elmore James             

-E.James-  BSR150号付録BSR-150

N  「ハワイアン・ブーギー」、エルモ・ジェイムズでした。そしてもう一つの予告です。

 11月29日、昨日発売になりました2枚組『アナーバー・ブルーズ・フェスティヴォー1969』

 の実況録音も、あれ以来お届けしていませんでしたから、何曲か聞いてもら

 うつもりです。今朝は割と女性の声が多かったから、これで釣り合いが取れ

 るかな。

  オーティス・ラッシュです。

  「ソウ・メニ・ローズ、ソウ・メニ・トレインズ・・・」。

M22.So Many Roads, So Many Trains(4’31”)Otis Rush

-M.Paul, O.Rush-  BMF 7594

M23.Merry, Merry Christmas(4’34”)Keb’ Mo’                  

-K.K.Taylor- Concord  00888072118065

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  今朝も最後はケブ・モでクリスマス・アルバム『月光とヤドリギと君』からブルーズ・ナムバ

 の「メリー、メリー、クリスマス」でした。ココ・テイラーの作品ですね。

  先々週の訂正をします。場所はそれぞれお探し下さい。下記が正しい表記 

 です。えーい、イマイマしい奴らだ。登場順です。

 「大抵レッド・ゼペリン以降に参入して来たハード・ロック・・・」

 「ロケンローと同じように、子供だったジョンとポールを大いに刺激したのでしょう」

 「蘇らなかった」

 「誰にもこの形での継続はもう不可能だったでしょうね」

 「生涯」

 取り敢えず以上です。まだあるかも知れません。こういうのはシラケんだよね。

もう書店に出ているわたしの著作「河内音頭」も1頁目から脱字で、読む気を

失くしました。進めば進むほど訂正の山。手元の一冊は付箋で倍の厚さに膨れあがっています。ご購入された方々、大変申し訳ありません。願わくば版を重ねて頂きまして、その折に完全に直します。今、会う人みんなに謝ってるのよ。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/c641df02a30d23adc2e3c9dfa90be69369890f64

  ダウンロード・パスワードは、mhdhib2eです。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/ 

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

♪♪ Twitter “#blues761″の閲覧はコチラ♪♪

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は s-IMG_4170-500x375.jpg です
AwesomeBeats + Mornin’ Blues 生放送!

AwesomeBeats + Mornin’ Blues 生放送!

AwesomeBeats + Mornin’ Blues 新春特番

2020年(令和二年)1月10日(金曜) 24:00-29:00
※1月11日(土曜)00:00-早朝05:00まで
出演:澤田修、鷲巣功
中央エフエムから生放送!乞うご期待!



【幻】モーニン・ブルーズ 2019/11/23

mb191123

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  全国9500万人の皆様、おはようございます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブル

 ーズ2019年11月23日を始めましょう。

  今日は「勤労感謝の日」です。キンローしてますか、あ、セコムしてましたか。こ

 の日はアメリカの「レイバー・デイ(Labor day)」に準じて作られた戦後の祝日だと、

 わたしは長い事信じ込んでいましたが、古くは皇室の「新嘗祭」だったので

 すね。これは下手をするとコーシツやテンノーにその年の豊穣した五穀を収める儀式

 とされてしまいますが、農耕国である日本ならば、農民、庶民の収穫祭なの

 です。皆様の日頃のキンローを讃え、送りましょう。

  ソニー・ロリンズです、「イズント・シー・ラヴリイ」。

M01.Isn’t She Lovely(6’39”)Sonny Rollins

-S.Wonder- Milestone  OJCD-893-2 

C.I. Johnson gtr.

N  「可愛いアイシャ」、ソニー・ロリンズでした。わたしの「可愛い愛車」はラレーのクラブ・

 スポーツ、もう10年以上乗ってます。今年は前照灯を付け替えました。あ、関

 係なかったですね。

  今の「イズント・シー・ラヴリイ」は、ソニー・ロリンズ1977年の発表『イージー・リヴィング』

 の冒頭曲です。トニー・ウイリアムズのドラムズ、当時新進気鋭のポール・ジャクスンがベイス、

 そしてクセ者ジョージ・デュークの鍵盤という、それぞれが高度な演奏技術を持った

 大物ではありますが、ちょっと音楽的な共通点が見出せない顔ぶれのセッションで

 す。ギターのC.L.ジョンスンというのは、ここでしか知りませんが、なかなかに突

 っ込みのキツい音を出してますね。ブルーズです。この前にロリンズが出したのが

 『ザ・ウェイ・アイ・フィール』という、ソニロリ好きなダンモ・ファンが聞いたら顔をしかめ

 る「フュージョン」的な内容の作品で、パトリース・ラシェンも参加していました。この頃

 ロリンズは新しい事をやりたかったんですよ、きっと。

  確か『イージー・リヴィング』を出す前に来日してます。わたしは新宿厚生年金

 会館での公演に潜り込んで観ました。スタンド・マイクロフォンではなくてテナーの朝顔に 

 つけたピックアップで自分の音を表に出していました。MCもそれで、つまりサクス

 フォンの吹き出し口に顔を突っ込んで喋るのです。それがサーヴィスたっぷりで、シー

 リアスな名盤『サクスフォン・コロサス』で夢想している姿とはかけ離れていて驚きました。

  その時に既にこの「可愛いアイシャ」を採り上げていて、いつも最後はこれで

 終わる構成じゃなかったかな。ダンモ・ファンはあまり肯定的に捉えてはいません

 でした。何しろエレベですからね。それだけでダメなんですよ、あの人たちは。

  多分この録音はそれから後に行われたのでは無いでしょうか。多少その時

 の演奏と手触りが異なっています。リズムの解釈とかがね。

  「イズント・シー・ラヴリイ」、以前「幻」でこの歌の評判が上がった時、「そう言

 えばソニロリも演ってたな」と、思い出して手に入れたアルバム『イージー・リヴィング』

 からでした。

  さて、先週の「50年後のアビー・ロード」は、皆様からの好意的な反響を頂く

 事が出来ました。ありがとうございます。以前のジューシィ・フルーツ騒動でも思い

 知りましたが、やっぱりヒットするのは大事ですね。大向こうウケを甘く見ちゃい

 けない。

  「リミクス、リマスターですよ」と澤田修が教えてくれました。その裏には「あんた、

 そんな事も知らないの」というケーベツがアリアリでした。えろうすんませんです。

  それじゃ、お前はこれを聞いた事あんのか・・・、と問いましょう。

M02.アイル・ゲット・ユー(2’06”)ザ・ビートルズ  

-J.Lennon, P.McCartney-  東芝TOCP-71052

N  ザ・ビートルズで「アイル・ゲット・ユー」です。「シー・ラヴス・ユー」のB面で、ジョニー

 ちゃんが好きだったという以外、なんでもない1曲です。が、この録音には

 決定的な間違いが放置されたまま世に出て、もう56年経ちます。サビの部分

 でジョンとポールの唄う詞が違うのです。ジョンは「When I’m gonna “make” your

 mind」なんですがポールは「When I’m gonna “change” your mind」なんです。

 ここのところは多分オーヴァダビングで吹き込んでいると思いますが、ジョンが間

 違えたのでしょう。ポールがそれに気付いて、一瞬「おっ」とばかりに怯んで

 いるようにも聞こえます。それがとても面白い。遮音ガラスの向こうの調整室

 では制作陣がこの間違いにその場で気づいたようですが、ジョージ・マーチンは「い

 いよ、いいよ」とそのままにした、というのを「ザ・ビートルズ・レコーディング・

 セッションズ」で読んだ事があります。残念ながらこの時のオリヂナル・テイプは紛失と

 いう事になっていて、今それぞれを確認する事は出来ませんので、これから

 もこのままでしょう。『アビイ・ロード』ほどの完璧な作業をした彼らにも、こん

 な誤りがあった、というマメ知識でした。

  さて、先週お話しした3枚組『トゥイスト・アンド・シャウト ~ ビートルズを刺激した

 60曲』、やはりこれは楽しいアルバムです。今までに知らなかった楽曲も多く、

 「そうか、これがアレになったのか」と頷けるネタにも気づかされます。こうい

 うのを喜んでいる自分には多少気も引けますが、今朝もここからお聞き下さ

 い。

  リヴァプール時代のジョンはガール・グループが好きでね、これにはそういうのが沢

 山入ってると思ってましたが、意外と少なく3枚目にチョロチョロとあっただけで

 す。今朝はそのチョロチョロをお届けしましょう。

  まず1チョロは知れるず、シュレルズの「ベイビ、イッツ・ユウ」バート・バカラックの作です。

M03.Baby, It’s You(2’43”)The Shirells   

-B.Bacharach, H.David-  MCPS  BT3145

N  シュレルズの「ベイビ、イッツ・ユウ」でした。

  では『トゥイスト・アンド・シャウト ~ ビートルズを刺激した60曲』からの2チョロ、

  クッキーズで遅延す、「チェインズ」。こちらはキャロル・キング作品です。

M04.Chains(2’33”)The Cookies

-J.Goffin, C.King-   MCPS  BT3145

N  幾分シーリアスな「ベイビ、イッツ・ユウ」シュレルズ、そして愛の拘束に耐えながら、「半

 ば嬉しい」悲鳴をあげている「チェインズ」クッキーズ、いずれもオリヂナル・アーティスツで

 お聞き頂きました。

  ジョンはガール・グループだけじゃなくてヴォーカル・グループ全体が好きだったよう

 で、正規の録音で残されてはいませんが、ノヴェルティ味満載のザ・コースターズなん

 かをよく唄っていたようです。ただ彼らがカヴァして有名になったヴォーカル・グル

 ープの歌といえば、次にお届けする「これ」を置いて他には無いでしょう。

  『トゥイスト・アンド・シャウト ~ ビートルズを刺激した60曲』にも入っている、ミラクー

 ズの「ユーヴ・リリー・ガッタ・ホールド・オン・ミー」、ゾンビーズがコピーして、それをゴール

 デン・カップスがコピーし損なったモータウン・リヴュウからの実況録音です。

M05.You’ve Really Got Hold On Me(5’45”)The Miracles

-W.Robinson, B.White-  Motown M5 215V1

N  ミラクーズの「ユーヴ・リリー・ガッタ・ホールド・オン・ミー」でした。途中でサム・クックの「悲

 しき叫び」につながるところで「キャーッ」と湧く嬌声が実にいいですね。1963

 年アポロ劇場での実況録音でした。

  さて「幻」ではかなり優先的なおもてなしをしているギタリストのマイク・ジトが

 やってくれましたよ、チャック・ベリーに捧げた作品集です。それも日頃の付き合

 いのある実力派をゲストに呼んで20曲を仕上げています。今の時代ですから、

 演奏がハードなエレキのソロ主体になってしまうのはやむを得ませんが、その押さえ

 どころが絶妙で、素晴らしい作品に仕上がっています。みんな本当に嬉しそ

 うに演ってる。聞いてると、こっちもニヤニヤしてしまいます。

  まずはこれをどうぞ。

  アンダーズ・オズボーンをフィーチュアした「メムフィース」。

M06.Memphis(3’05”)Mike Zito and Friends feat. Anders Osborne  

-C.Berry-   BSMF 2681

N  マイク・ジト、アンダーズ・オズボーンをフィーチュアして「メムフィース」でした。小気味いい

 リズムが全体を締めていました。これなら無理解な女房に娘と引き離された主

 人公のゲンメツ親父も立ち直れそうです。

  さあマイク・ジトのチャック・ベリーに捧げた作品集から次は、ポール・マカートニの「バック・

 イン・ザ・ソヴィエト社会主義共和国連邦」の閃きに繋がった、「バック・イン・ザ・アメ

 リカ合衆国、ユー・エス・エイ」、エリック・ゲイルズというギター弾きが客演しています。

  アメリカ、バンザーイ。

M07.Back In USA(3’02”)Mike Zito and Friends feat. Eric Gales  

-C.Berry-   BSMF 2681

N  「バック・イン・ザ・ユー・エス・エイ」、これにはややこしい名前の新進ギタリスト、

 エリック・ゲイルズが参加していました。このマイク・ジトのチャック・ベリーに捧げた作品

 集は、正式な題名が『ロケンロー、トリビュート・トゥ・チャック・ベリー』でして今年のクリスマス、

 12月25日の発売です。ロケンロー三太に感謝。

  続けて行きましょう。ロベン・フォードが引っ張り出されてます。若くして弾み

 で結婚すると、何が起こるか分からないよ、それも人生だけど、と唄う

  「ユー・キャン・ネヴァ・テル 〜 セ・ラ・ヴィ」。

M08.You Can Never Tell(4’00”)Mike Zito and Friends feat. Robben Ford 

-C.Berry-   BSMF 2681

N  小出斉が書いた「意味も知らずにロックンロールを歌うな!?」(リットー・ミュージ

 ック刊 2017年)では、「それが人生 ってね 何が起こるかわからない」とキメ

 られている「ユー・キャン・ネヴァ・テル 〜 セ・ラ・ヴィ」でした。ここの空きマスは、

 原書通りです。

  先ほども言いましたように、この『ロケンロー、トリビュート・トゥ・チャック・ベリー』は、

 非常にうまくツボが抑えられていまして、ともすればかつてのハードロック台頭期

 のように安易なブルーズコードの繰り返しになってしまいがちなチャックの作品を、

 それぞれの歌の主題を踏まえた録音に仕上げています。収録作品にもひと捻

 りありますね。その代表的なトラックをどうぞ。

  ティンズリー・エリスをフィーチュアした「約束の地」。  

M09.Promised Land(3’29”)Mike Zito and Friends feat. Tinsley Ellis

-C.Berry-   BSMF 2681

M10.Carol(2’09”)Bill Black’s Combo  

-C.Berry-   MSI 1260

N  ちょっとサウンドが変わって、「キャロル」、映画「ヘイル、ヘイル、ロケンロー」の中で、

 チャックがキース・リチャーズを虐めて苛めてイビリ倒す場面の練習曲です。

  これは今回のマイク・ジト企画制作の『ロケンロー、トリビュート・トゥ・チャック・ベリー』か

 らではなく、今年亡くなった南部のギター名手、レジー・ヤングの参加したセッションを

 集めたアルバム『セッション・ギター・スター』からです。今年になって発売されました。

 一緒に演奏していたのは、ビル・ブラックズ・コムボ。エルヴィス・プレズリの初代バックバ

 ンドのドラムズ担当者が組んだトリオですね。エルヴィスがRCAと契約したために追い

 払われてしまったビルが七光りの消えぬ間にと、この名前で活動していて、レジ

 ー・ヤングはそこに雇われたのです。

  レジー・ヤング、彼は「巧者」という言葉がピッタリ当てはまるギター弾きで、楽曲

 の主題を瞬時に捉えて、気の利いたフレイズ展開をします。でも決して表に出て

 「どうだ」的な弾き方はしない。そこがまた「通」の心をくすぐりました。

  わたしは南部のR&Bセッションでその名前を何度も見ていましたから、てっき

 り黒人だと思っていましたが、れっきとした白人です。チャック・ベリーの楽曲が

 しっくり来るのは、両人種をよく分かっているからかもしれません。レジー・

 ヤングの参加したセッションの傑作を集めた『セッション・ギター・スター』からはまた何曲か

 お届けしましょう。

M11.I’m So Proud(3’35”)The Main Ingredient   

-C.Mayfield-   BSMF 7599

N  はい、日本ではジェフ・ベックとティム・ボガートとカーマイン・アピスのいわゆるBBAが

 カヴァして有名になった「アイム・ソウ・プラウド」、今俳優で売れているクーバ・グディ

 ング・ジュニアのお父さんがいたヴォーカル・トリオ、メイン・イングリーディエントでお送りしま

 した。これは『ムーヴ・オン・アップ~ ザ・ソングズ・オヴ・カーティス・メイフィールド』とい

 うこちらも偉大な庶民音楽家に捧げられたコムピ盤からです。こちらは先のチャッ

 ク・ベリーとは違いまして全てが新規録音ではありませんが、念入りな選曲が為

 された高品質な内容です。

  イムプレッションズで売り出したカーティス・メイフィールドは 1990年代に入って男を上げ

 たアーティストの筆頭でして、ここではその証明に若い世代によるカヴァが沢山収録

 されています。ですが、今朝は彼と同時代にソウル・ミュージックを更新した同志た

 ちの歌をお聞き下さい。新しい唄い手に関しては少々調べが必要でもありま

 すので。

  まずグラディス・ナイトとピップスで「オン・アンド・オン」、ここでのピップスのバックグラウ

 ンド・ヴォーカルはとてもいいですよ。

  そしてステイプル・シンガーズで、「レッツ・ドゥ・イト・アゲイン」、こちらは確か映画の

 サウンド・トラックになっていた筈です。

  二曲続けてどうぞ。

M12.On & On(4’17”)Gladys Knight & The Pips    

-C.Mayfield-   BSMF 7599

M13.Let’s Do It Again(3’28”)The Staple Singers  

-C.Mayfield-   BSMF 7599

M14.オレンジ・ブロッサム・スペシャル(3’36”)ジョニー・キャッシュ

-E.T.Rouses-  Sony SICP 2701/3

N  「オン・アンド・オン」、「レッツ・ドゥ・イト・アゲイン」、ともに『ムーヴ・オン・アップ~ ザ・ 

 ソングズ・オヴ・カーティス・メイフィールド』からお届けしました。それに続いた録音は

 ジョニー・キャッシュのフォルサム刑務所での慰安公演実況でした。カントリーの定番曲「オレンジ・

 ブロッサム・スペシャル」です。囚人たちが熱狂していますね。脱走を煽る「ミドナイト・

 スペシャル」なんかを唄ったらここの刑務所はどうなっていたでしょうか。

  実はここでキャッシュは先週お届けした殺人事件の歌、「ザ・ロング・ブラック・ヴェ

 イル」を唄っているんです。親友の妻との不義密通を隠し続けて死刑になって

 しまった男の歌を囚人の前で、です。すごい神経ですね。それを認める刑務

 所側も大したもんだ、本当に。

  聞いて下さい、キャリフォーニァ州立フォルサム刑務所での実況録音です。

  「ザ・ロング・ブラック・ヴェイル」。

M15.黒く長いヴェール(3’43”)ジョニー・キャッシュ

-M.Milkin, D.Dill-  Sony SICP 2701/3    

N  クライマクスになっていく途中で囚人が喜んで手を叩きます。それにキャッシュは応え

 てひと喋り。その後この歌の主人公は絞首刑にされます。「俺以外誰も知ら

 ない事だ」と言いながら死んでいくのです。囚人を前にしてこれを唄うんで

 すよ。いや、想像するだけで、なんと言いますか、いや表現できない雰囲気

 に包まれますね。

  もっと凄いのはあと25分で死刑執行される死刑囚が唄う「あと25分」を、

 やはりここで披露している事です。見物客の中には死刑囚も必ずいたでしょ

 うが、主人公が24、23、22、とカウントダウンしていくこの歌をですよ、恐ろしい

 としか今のわたしには言えません。しかし囚人たちは別にしんみりと聞いて

 いるわけではありませんで、結構ウケも取ってます。分かんねえなあ、俺には。

M16.あと25(3’53”)ジョニー・キャッシュ

-S,Silverstein-  Sony SICP 2701/3

N  ジョニー・キャッシュ、フォルサム刑務所での実況録音で「あと25分」でした。今朝は

 2009年に完全盤として出たCD2枚組を使ってお送りしました。ここでいろ

 いろと話す事を考えていたんですが、1968年1月の収録現場の状況を思い浮

 かべると、何も言えなくなりました。

  気分直しにはなりませんが、そもそもの発端となった、ザ・バンドの「ザ・

 ロング・ブラック・ヴェイル」を聞き直しましょう。レフティ・フリゼルのオリヂナル・ヒット仕様

 を聞いている時には、こんな事になるとは全く考えていなかったのです。

  では改めて、ザ・バンドです、「ザ・ロング・ブラック・ヴェイル」。

M17.The Long Black Veil(3’05”)The Band

-M.Milkin, D.Dill-  Capital 7243 525390 2 4

M18.It Wasn’t God Who Made Honky Tonk Angel(2’32”)Kitty Wells

-J.D.Miller-  Legacy 19075960422

N  ザ・バンドの「ザ・ロング・ブラック・ヴェイル」、そしてキティ・ウェルズの「居酒屋の

 天使を創造されたのは神様ではないことよ」でした。往年のカントリー女性歌手特

 有の舌足らずカマトト唱法、これで刑務所からは少し離れる事が出来たかな。

  テレビのドキュメント・シリーズ「カントリー・ミュージック」、なんとか観られないものかと

 手を回しましたが、どうやら無理のようです。ただ本国ではDVDになって発

 売されてますね。ブルーレイも出ています。値段が少々お高いのですが、仕方ね

 えな、買うか。

  ただ海外への発注になりますので不安があります。リージョン・コードの問題も

 あるしなあ。いつか買って観られなかった盤もあります。もう何だったか忘

 れちゃいましたけど、まだ観ていないのは確か。

  今のところはこの圧縮版CD2枚組で想像するしかありません。でも観たい。

M19.Streets Of Bakersfield(2’51”)Dwight Yoakam With Buck Owens

-H.Joy-  Legacy 19075960422

N  テレビのドキュメント・シリーズ「カントリー・ミュージック」のサウンド・トラックからドゥワイト・ヨーカム

 とバック・オウエンズ、世代を超えたデューオで「ベイカーズ・フィールドの表通り」でした。

 確かヨーカムはオウエンズと一緒にアルバムを作ってましたね。多分どこかにある筈です

 から、探してみます。

  さてこの「カントリー・ミュージック」のサウンド・トラック圧縮版CD2枚組は同じ楽曲で

 始まり、終わります。演者は違いますが、これまたカントリーの定番。今朝は最後

 にその冒頭曲と最終曲をお届けします。

  死んだ母親を墓場に送りながら親族が唄う、

  「ファミリー・サークル」、ザ・カーター・ファミリー、そしてニティ・グリティ・ダート・バンドです。

M20.Can The Circle Be Broken(3’09”)The Carter Family 

-trd.-  Legacy 19075960422

M21.Will The Circle Be Broken(4’47”)The Nitty Gritty Dirt Band 

-trd.-  Legacy 19075960422

M22.I’ve Got My Love To Keep Me Warm(4’17”)          

Keb’ Mo’ feat.Melissa Manchester

-I.Berlin- Concord 00888072118065

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  今朝も最後はケブ・モのクリスマス・アルバムから、「アイヴ・ガット・マイ・ラヴ・トゥ・キープ・

 ミー・ヲーム」でした。一緒に唄っているのは、メリサ・マンチェスターです。と言っても「幻」

 聴取者の中で、何人が知ってるかなあ。わたしは以前のリビー・タイタスの時と

 同じくらいの驚きがありました。まだ唄ってんだ・・・と。

  先週の「幻」、文章の間違いが沢山ありましたですね。読み直して恥ずかし

 かった。それぞれ細かく直そうと思いましたが、誤字脱字ではちょっと嫌な

 連想がありまして、来週にでも詳しくいたしましょう。後枠の時間も短いし。

   あ、わたしの初の著作、もう良識ある本屋さんには並んでいるようです。

 既にご購入頂いた方たちもいらっしゃいます。ありがとうございます。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。  

http://firestorage.jp/download/72040fa9ed3648592e0d84af1cf973c4818e9f83

 ダウンロード・パスワードは、sgwwg11iです。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

♪♪ Twitter “#blues761″の閲覧はコチラ♪♪

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AwesomeBeats + Mornin’ Blues 生放送!

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AwesomeBeats + Mornin’ Blues 新春特番

2020年(令和二年)1月10日(金曜) 24:00-29:00
※1月11日(土曜)00:00-早朝05:00まで
出演:澤田修、鷲巣功
中央エフエムから生放送!乞うご期待!


【幻】モーニン・ブルーズ 2019/11/16

mb191116

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようざいます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2019年10月19日を  

 始めましょう。今朝はこの秋に50年ぶりに再び全英第一位を記録した、アルバ

 ムを集中してお届けします。わたしが15歳の時に初めて買った輸入盤です。

 ザ・ビートルズの事実上最終作品『アビイ・ロード』、実はわたし、このCDをこれ

 まで持っていなかったのですが、今回は敢えて国内盤を買いました。今朝は

 新譜、リマスター仕様でお楽しみいただきましょう。

  まずは冒頭曲「カム・トゥゲザー」。

M01.カム・トゥゲザー(4’20”)ザ・ビートルズ

-J.Lennon, P.McCartney-  ユニバーサル UICY-79051/2

N  ザ・ビートルズ、アルバム『アビイ・ロード』から「カム・トゥゲザー」でした。今朝は新

 譜、最新の「50 周年記念 2CDデラックス・エディション」でお届けしています。レコー

 ド屋の店頭で視聴した時に、「あ、いい音になってるな」というのは直感で分

 かりました。その後自分のシステムで聞いてみて、「これはリマスタリングだけではなく

 て、ミクスをやり直してるんじゃないか」という考えが心に拡がりました。もち

 ろん50年前のオリヂナルを念頭に置いてはいるでしょうが、最新技術で出来ると

 ころまでやってみた、そんな感じです。

  ビートルズですから当時のマルチ・トラック・テイプはアンタッチャボーで保存されているでし

 ょう。ただそれを正規のものとしていじるのは、どんなものかなあ、という

 気持ちは誰にもあるはずです。雑音などが少なくなって音楽そのものに触れ

 る事が出来る、という利点は確かにあります。ただ以前の状態で長く聴き込

 んでいると、細部に違和感が生まれるのも事実です。ボーナス・トラックと称して追

 加未発表分があったりすると、全体の印象も変わってしまいます。

  ですから今回の「50 周年記念 2CDデラックス・エディション」も、当初は細部に

 多少、抵抗が残りました。しかし幸いな事に、全体からはオリヂナル仕様への強

 い尊厳が感じられましたし、追加未発表分は別の1枚になっていた点もあっ

 て、50年前の印象を大きく変えるものではありませんでした。

  何よりもここに記録された音楽の力は、そんな甘いものじゃなかった。50

 年前に抱いた感動は色あせる事なく今も漲っていました。そもそもこの「名

 盤」を通して聞くのが、何十年ぶりでしたからね。今朝は「幻」の『アビイ・

 ロード』考察です。

M02.マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー (3’28”)ザ・ビートルズ 

-J.Lennon, P.McCartney-  ユニバーサル UICY-79051/2

N  「マクスウェルズ・シルヴァ・ハマー」でした。これね、始まって1分20秒のところで

 ポール・マカートニが「writing 50times…」と唄うところで笑ってるんです。この新

 譜でもそこはそのままでした。この歌は映画「レト・イト・ビ」でも何回か練習

 してましたね。その状態からすると、よくここまで仕上げたなあ、という思

 いもまた新たでした。この録音にジョン・レノンは参加していなかったそうです。

 この「50 周年記念 2CDデラックス・エディション」のライナで初めて知りました。「い

 いよ、このままで。これで完成だよ」とポールが言っているのが聞こえます。

  流石に全てに於いて音は良くなってます。今の「マクスウェル」などに顕著です

 が、この時に初めて使われたムーグ・シンセサイザの音がオリヂナル盤よりも大きく聞こ 

 えるのは、気のせいでしょうか。更にはオーヴァー・ダブしたフレイズの始まりと終

 わりがクッキリと聞こえるので、「ここ、やり直し」と声をかけたくなる部分もあ

 ります。でも3回も聞くと違和感はなくなりました。

  先ほども言いましたように、これはわたしが初めて買った輸入盤でした。

 町のレコード店に予約を入れてね、一日千秋の心で待ち続けたんです。到着

 したのはアメリカ盤S0-383、だからどこにもクレジットはありませんがキャピトルのプレス

 ですね。輸入盤だから歌詞カードがありません。「全曲掲載」の譜面誌「ガッツ」

 を買ったりして歌とコードを覚えました。手元に来たのはちょうど今頃、秋が

 深まっていく季節でした。発売と同時に手に入れられたのはこの前の『ホワイト・

 アルバム』に続いて2枚目でした。『レト・イト・ビ』も直後から持っていますが、

 これは未だに誰のLPか分からない物です。

  その頃わたしは中学校の3年生ですから、人生の、世の中の複雑で深いと

 ころは全く分かりません。けれども『アビイ・ロード』の圧倒的な迫力には、ぶ

 っ飛んでいました。でも周りに音楽好きは数えるほどしか居なくて、奴らは

 大抵レッド・ゼペリン以降に参入して来たのハード・ロック愛好者ですから、この魅力

 が分からないんです。それには悲しい思いをしましたね。

  最初に好きになったのはこれでした。

  「オウ、ダーリン」。

M03.オー!  ダーリン(3’36”)ザ・ビートルズ 

-J.Lennon, P.McCartney-  ユニバーサル UICY-79051/2

N  「オウ、ダーリン」でした。ジョン・レノンも「ポールのすごいやつ」と呼んで感心して

 いたこの「オウ、ダーリン」には、人生の機微などがわかるはずもない15歳の田

 舎少年の純な心にも大きな感動をもたらしまして、「この激情は大好きな人を

 抱きしめている時の心だと思うんだ」と級友に真剣に説明をしていたら、隣

 に座っていた女子生徒から「あんたは本当に嫌らしい事を考えてる人だね」

 と卒業するまでケーベツされ続けました。今でもわたしの意見は間違っていない

 自信があります。しかし、これには参った。

  それから3年ほど経った時に「『オウ、ダーリン』は、これだったのか」と目か

 ら鱗のように気付かされた歌があります。

  これです、エルヴィス・プレズリの「ワン・ナイト」。

M04.One Night(2’31”)Elvis Presley

-D.Bartholomew, P.King-  BMG  66050-2

N  エルヴィス・プレズリで「ワン・ナイト」でした。そもそもこの歌は「ワン・ナイト・オヴ・

 シン」でして、「背徳の一夜」です。「シン」とは「非婚姻関係における性愛行為」

 ですから、興奮の余韻と非道徳行為への後悔が入り交じった複雑な心中が主

 題です。エルヴィスが唄った時には「ワン・ナイト・ウィズ・ユー」と歌詞を変えて、うる

 さいP.T.A.を黙らせています。

  エルヴィスの「ワン・ナイト・ウィズ・ユー」は、十代のジョンもポールも大好きだった筈で

 す。しかしジョンは同じような主題を唄おうとするとひどく感傷的になってし

 まいます。「ディス・ボーイ」や「イエス、イティーズ」などはその好例ですね。それら

 は決して悪くない。汚れなきジョンの心が正直に現れています。

  それはともかく、この手のロッカ・バラッドが、リル・リチャードやラリー・ウイリアムズの

 ロケンローと同じように、子供だったジョンとポールを大いに刺激したのででしょう。

 ポールはここで、燃えたぎる若い愛を思いきりぶつけました。この激しさ、熱

 さ。他に敵うものはありません。「今でもわたしの意見は間違っていない自信

 があります」。

  さて、では「ワン・ナイト・ウィズ・ユー」、こちらは如何でしょうか。

M05. ワン・ナイト(3’21”) キャロル

-D.Bartholomew, P.King-  フォノグラム 30LD-21

N  キャロルのデビュー・アルバムから「ワン・ナイト・ウィズ・ユー」でした。これは素晴らしい

 出来ですね。ジョニーちゃんがまずいいね。そして若干変更された主旋律、そし

 てそれに絡むハーモニー、全体を司るリズム、そしてギター・ソロ、どこに出しても恥ず

 かしくない仕上がりです。初めて聞いた時には、「ワン・ナイト」からの連想では

 なく、「オウ、ダーリン」を思い出しました。

M06.ビコーズ(2’46”)ザ・ビートルズ  

-J.Lennon, P.McCartney-  UICY-79051/2

N  さて名盤『アビイ・ロード』B面に移ります。こちらはジョージの「ヒア・カムズ・ザ・

 サン」の次から9曲がメドリーになっています。その第1曲が今の「ビコーズ」にな

 りますが、わたしにはあのメドリーはどうしても「ユー・ネヴァ・ギミ・ヨ・マニ」で始

 まるように思えるのです。敢えて言えば「ビコーズ」は序曲かな。

  細部まで繊細に配慮の行き届いた構成を持ったジョン・レノンの歌です。ラリッて

 ない時に作ったのかな。それともキョーレツにキマッた時のヒラメキでしょうか。何れに

 せよ、これほど美しい音楽もないでしょう。複数のカヴァがあるようですが、

 わたしはひとつも聞いた事がありません。と言いますか、この他の仕様を聞

 く必要があるのでしょうか。

  創作の契機は不明ですが、ジョンの心の中にはずっとこういうモティーフがあった

 んじゃないか、そんな気がします。そこで興味深い1曲を聞いて下さい。

  デイヴ・クラーク・ファイヴです、「ビコーズ」。

M07.Because(2’24”)Dave Clark Five

-Clark- Universal 1781774

N  デイヴ・クラーク・ファイヴで「ビコーズ」でした。実際には何の関係もないただの同

 名異曲ですが、この歌をジョンが知らない筈がありません。何しろベスト盤には

 「ビートルズのジョン・レノンは、俺たちのことを脅威だ、と言っていた」というデイ

 ヴ・クラーク自身による特記があるくらいですから。非常に小さなヒラメキとして、

 この歌が『アビイ・ロード』の「ビコーズ」につながっていなくもない、というの

 が、「わたしの邪推」のひとつです。

  さて未発表、未完成のセッションが記録された2枚目の盤には、この「ビコーズ」

 の演奏だけのトラックが入っています。ビートルズはよくやるように「まずは演奏を

 しっかり決めてから、その後で唄を入れる」やり方ではなく、基本的に全て

 唄いながら演奏していた、とわたしは考えています。それは映画「レト・イト・

 ビ」を観ても明らかですし、同時に唄い、演奏をしているからこその瞬間的

 爆発力が感じられるからでもあります。ですからこの演奏だけのトラックは多少

 意外でした。尤も、あのハーモニーを同時演奏で出来るとしたら脅威的でもありま

 すね。ではその「ビコーズ」の演奏だけのトラックをお聞き頂きます。

M08.ビコーズ(2’46”) ザ・ビートルズ 

-J.Lennon, P.McCartney-  ユニバーサル  UICY-79051/2

M09.ユー・ネヴァ—・ギヴ・ミー・ユア・マネー(5’18“)  キック・ドラム

-J.Lennon, P.McCartney-  ユニバーサル  UICY-79051/2

N  「ビコーズ」の演奏だけのトラックと「ユー・ネヴァ・ギミ・ヨ・マニ」のリハーサル風景でし

 た。始まる前にジョンがずっとふざけて唄っているのはジャズ・スタンダードの「貴

 方の勝ちよ」ですね。きっと調整室に向けて「いいぜ、オウケイ」と返事をした

 時にこの歌が引っ掛かってきて、それを繰り返していたのでしょう。多少ラリ

 ってる感じもします。キックドラムの音がとても良かったですね。

  さて例のメドリーを通して聞いてみましょう。子供の頃のわたしには「ゴールデ

 ン・スラムバーズ」の後に繰り返されるモティーフが主題のように聞こえたものですか

 ら、勝手に組曲「ユー・ネヴァ・ギミ・ヨ・マニ」と呼んでいました。ただし今回オリヂ

 ナル通りに復刻されたジャケットを見ても、「メドリー」とは書かれていません。それ

 ぞれが素晴らしい作品であるのは言うまでもありませんが、それぞれを独立

 した楽曲として仕上げるだけの集団での創作意欲はもう蘇らなかったのでは

 なかった、そこまでの集中力を維持するのは無理だった、そこでメドリーという

 新しい形式に挑戦する、という動機付けで仕上げた、とわたしは見ています。

  作業中にはメムバも「ロング・ワン」と呼んで、一通りのつながった楽曲として

 練習をしていたのが2枚目のセッションを聞いていると分かります。わたしは個々

 を別々に録って、ジョージ・マーチンとポールがテイプの編集で繋いだと考えていまし

 た。

  では『アビイ・ロード』B面のメドリーです。

M10.ユー・ネヴァ—・ギヴ・ミー・ユア・マネー ~サン・キング~ミーン・ミスター・マスタード

 ~ポリシーン・パン ~シー・ケイム・イン・スルー・バスルーム・ウインドウ ~ゴールデン・スランバー

 ~キャリー・・ザット・ウェイト ~ジ・エンド(16’20”) ザ・ビートルズ  

-J.Lennon, P.McCartney-  ユニバーサル  UICY-79051/2

N  『アビイ・ロード』B面から、「ユ・ネヴァ・ギミー・ヨー・マニ ~サン・キング~ミーン・ミスタ・

 マスタード ~ポリシーン・パン ~シー・ケイム・イン・スルー・バスルーム・ウインドウ ~ゴールデン・スラムバ

 ーズ~キャリー・・ザット・ウェイト ~ジ・エンド」でした。それほど長くは感じませんね。

 全体が16分ですから、一曲平均1分40秒ほど。このメドリー形式を採用したの

 は大成功だったようです。

  この後20秒ほど無音が続きまして、その後にポールがユーモアいっぱいの「女王

 陛下」を披露します。手動式レコードプレイヤーを使っていた友達は何年もこのアンコー

 ルを知らずにいまして、いつか上げ忘れたトーンアームが突然「ハー・マジェスティ」を再

 生したので、大いに驚いていました。「得をした」なんて言ってましたが、ジ

 ョーシキですよ。

M11.Albatross(3’14”)Fleetwood Mac  

-P.Green- Columbia 88697625922

N  これはフリートウド・マクの「信天翁」、『アビイ・ロード』が発売された1969年に全

 英で1位になったシングル曲です。「サン・キング」を録音する時にジョンはこの器楽

 曲からのヒラメキで、リヴァーヴいっぱいのギター演奏をしたらしいです。なるほどね。

 でもわたしは、このマックのインスト曲を1位にした大英帝国民も偉い、と思います。

M12.Pinball Wizard(3’01”)The Who

-P.Townsent-  MCA  MCAD-10801

N  こちらはフーのロック・オペラ『トミー』から「ピンボールの魔術師」。これは作業の直前

 に発売された話題作で、「ポリシーン・パン」の冒頭のギター・コードはそれに負けじ

 とジョンが奮起して12弦を鳴らしたそうです。このあたりから察するに、ジョン

 は割と俗なヒットチャートを聞いていたようですね。いや、こういった新しい音楽が

 毎日生み出されていたのが、この頃のスウィンギン・ロンドンだったのでしょう。

M13.She Came In Through The Bathroom Window(2’43”)Joe Cooker

-J.Lennon, P.McCartney-  MCPS  BT3145

N  こちらはジョー・コカーがリオン・ラッソーの一座と一緒にフィルモアで吹き込んだ「シー・ケイ

 ム・イン・スルー・バスルーム・ウインドウ」、管楽器がマリアッチ風なのには、今頃気づきまし

 た。彼はジョージ・ハリスンに録音前の「サムシング」を聞かされていて、既に吹き込

 みも終わっていたそうです。ただ発売は『アビイ・ロード』の発売の後になりま

 した。そのお礼でしょうか、ジョーは一時期この「風呂場の窓から不法侵入し

 てきたファンの歌」を実演の場でよく披露していました。

  さて、ザ・ビートルズはこのアルバム『アビイ・ロード』でグループの命を終えました。

 録音制作中には誰もこれが最後だ、とは思っていなかったようですが、の継

 続はもう不可能だったでしょうね。例えば「ユ・ネヴァ・ギミー・ヨー・マニ」の歌詞

 は、企業体アップルの再建に登場した会計士アラン・クレインとの揉め事について書か

 れていますし、ジョージは録音作業中に一度グループを脱退しています。

  それでもこんな傑作を創り上げるなんて、流石ですね。『レト・イト・ビ』、あ

 れはオマケです。

  さていつもながら若干変則的な集中試聴、今朝は「50 周年記念 2CDデラッ

 クス・エディション」の『アビイ・ロード』をお聞き頂きました。日本のチャートではどこま

 で健闘したか知りませんでしたが、冒頭でお話しましたように本国イギリスでは

 50年経って再び第一位に輝いています。やっぱりこの盤に記録された音楽の

 力は衰えていない事の証明ではないでしょうか。

  実はわたしはこのアルバムを障害もう一度聞く事はないだろう、という予感が

 あったのです。全てが頭の中に入っていた事も関係していますが、今更『アビ

 イ・ロード』聞いてどうするの、とハスに構えた思いが強かったですね。ところが

 また聞いてしまいました。初めて聞いた時と同じ季節だった事もあって、何

 度も繰り返し、大変楽しませて頂きました。この作品に意見を述べたのも初

 めてです。きっと今朝の「幻」もずっと忘れられない思い出になりますでし

 ょう。皆さんのおかげです。ありがとうございます。この後また封印された

 りしてえ・・・。

  さて、レコード店には、この『アビイ・ロード』を中心に魅力的な海賊的CDが並

 んでいました。どうしても気になりますね、こういうのは。そこで逸る心を

 抑えて、「今日は他のを買わない」と慎重に見ていたのですが、『トゥイスト・アンド・

 シャウト』という3枚組を見つけました。副題が「ビートルズを刺激した60曲」と

 あります。こういうのに弱いんだな、どうも。わたしはビートルズやローリング・

 ストーンズがカヴァした原曲を聞くところから音楽の泥沼にハマったので、ほとんど

 のオリヂナル楽曲は持っていますが、値段が安かった事もありまして、この3枚

 組もつい買ってしまったのでした。

  その中からお届けしましょう。バディ・ホリーです。

  「メイルマン、ブリング・ミー・ノー・モー・ブルーズ」。

M14.Male Man, Bring Me No More Bluse(2’15”)Buddy Holly

-Katz, Robert, Clayton-  MCPS  BT3145

N   遠隔地にいる恋人からの便りを心待ちにしている「プリーズ、ミスタ・ポストマン」

 とは全く逆の内容です。

   配達人さんよ、憂鬱を持って来ないでおくれ

   俺にはブルーズはもう要らないんだよ、頼むぜ

  わたしは「プリーズ、ミスタ・ポストマン」を本当に嬉しそうに唄うジョンが大好きな

 のですけれど、これを聞いていたから、余計に嬉々としてるのか、とも思い

 ました。バディ・ホリーで「メイルマン、ブリング・ミー・ノー・モー・ブルーズ」でした。

  その他、この3枚組『トゥイスト・アンド・シャウト ~ ビートルズを刺激した60曲』に

 入っていた珍しい物といえば、これがあります。おそらく生涯聞く機会のな

 かった1曲でしょう。幸か不幸か、それをここで聞いてしまいました。皆さ

 んも同じサダメを受けてもらいましょう。

  シャーリイ・ジョーンズです。「ティル・ゼア・ヲズ・ユー」。

M15.Till There Was You(3’00”)Shirley Jones

-Wilson-  MCPS  BT3145

M16.El Paso(4’39”)Marty Robbins

-M.Robbins –  Legacy 19075960422

N  さていつもの「幻」に戻って、テレビドキュメント映画「カントリー・ミュージック」のサントラ

 盤からです。今朝はちょいと足を伸ばして、メキシコ国境が見える辺りで聞いた

 「エル・パッソ」、マーティ・ロビンスでした。この盤を手に入れて、もう3週ほど立ち

 ますが、聞く度に「カントリー音楽」の間口の広さ奥の深さを思い知ります。

  今週はこの歌との出会いが新鮮でした。

  「ザ・ロング・バック・ヴェール」、レフティ・フリゼルです。

M17.The Long Back Veil(3’13”)Lefty Frizell

-M.Wilkin, D.Dill-  Legacy 19075960422

N  あれ、この繰り返しのところは、どこかで聞いたことあるなあ、と一生懸命

 になって思い出しました。「そうだ、バンドだ」、と閃いたのは3日後。時間が

 かかる脳ですね。CPU交換が必要かな。

  『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』の7曲め、確か「ウイ・キャン・トーク」がB面の

 1曲めだったから、その次ですね。この「ザ・ロング・バック・ヴェール」が「ザ」

 抜きで収められていました。今のギッチョのフリゼルの仕様はある程度流行ったら

 しく、オリヂナル・ヒットとされています。他にはジョニー・キャッシュも唄っているらしい

 ですね。

  この歌の背景には親しい友人間の痴情関係の果てに起きた殺人事件があり

 ます。「死」という事実は、人間に様々な影響を及ぼします。カントリー音楽では、

 俗に「マーダー・バラッド」という殺人事件を基に作られた歌の領域があるくらい

 です。よほど殺人事件が多かったのでしょうか。その大半の原因は富や快楽

 などのために膨張した煩悩が原因です。日本でしたらさしづめ「河内十人斬

 り」でしょうか。あ、この「ザ・ロング・バック・ヴェール」では被害者はひとりで

 す。

  実は今朝の主人公ザ・ビートルズにも同じ背景を持った歌があリまして、すぐ

 に思い出したのは「山狸 ~ ロッキー・ラクーン」でしょうか。マギルという自分の女を

 取られた腹いせに仇を殺しに行く物語です。その狸が意を決し、銃を手に相

 手の部屋に乗り込んで・・・、ちょうど時間となりました。

M18.Go Rest High On That Mountain(5’13”)Vince Gill

-V.Gill-  Legacy 19075960422  

N   先々週、先週と新譜からお届けしたヴィンス・ギルもこのサウンド・トラック盤に参

 加して、「あの高い山の上でお休みよ」と、新譜と同じように丁寧な唄を聞か

 せてくれています。和音を鳴らすギターの響きが良いなあ。ますますこのドキュメ

 ント映画、観たくなりました。

  さて今朝の最後は、ひと足早いクリスマス・ソングです。好調なケブ・モが初めての

 クリスマス・アルバムを届けてくれました。これは嬉しいプレゼントです。まずは1曲

 めの「プリーズ、カム・ホーム・フォー・クリスマス」を聞いてください。

M19.Please Come Home For Chrismas(3’00”)Keb’ Mo’ 

-C.Brown, G.Redd- Concord 00888072118065

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  ケブ・モ、良いですね。今年の暮れはこれかな。

  先週の携帯電話器事件には大勢の方にご心配いただきまして、ありがとう

 ございます。その後は心して持ち歩いております、あ、おととい危なかった

 な。気を付けます。リス子のブーメラン電話器の話は、見捨てられないミステリですね。

 多分狙われたんだよ。それで犯人が後悔して家の前に置いてった。違うかな。

 世の中はいい人ばかりじゃないから、お互い気を付けようね。

  11月も20日になります。毎年10月以降が早く過ぎてゆくのは何故でしょ

 うか。慌ただしいと、いろいろ疎かになる事があります。皆様も何卒ご用心

 下さい。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/37282b541bbd1f01f16205d4e04ee727c30efb5a

  ダウンロード・パスワードは、gszc8qg5です。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

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AwesomeBeats + Mornin’ Blues 生放送!

AwesomeBeats + Mornin’ Blues 生放送!

AwesomeBeats + Mornin’ Blues 新春特番

2020年(令和二年)1月10日(金曜) 24:00-29:00
※1月11日(土曜)00:00-早朝05:00まで
出演:澤田修、鷲巣功
中央エフエムから生放送!乞うご期待!



【幻】モーニン・ブルーズ 2019/11/09

mb191109

前TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようざいます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2019年11月09日を  

 始めましょう。

  北の町からは初雪の便りです。ちょうどこの時期かな、ジャニーズ事務所公演

 の楽器車を運転して北海道に行ったことがあります。前ノリで余裕のある日程

 でした。苫小牧から札幌に入った日は暖かくて、夕方に外出したりして楽し

 んで翌朝起きたら、一面が見事な銀世界。驚きました。翌日の帰り道、チェイン

 の準備もなく 「夏タイヤ」で走った高速道路が怖かった。滑るのが分かるんで

 すよ。「あー、流れてる・・・」今思い出しても震えがきます。札幌はこの先

 ずっと4月まで雪に閉じ込められて、マラソン走路の調査なんか出来るのかな。

 世紀の茶番劇を観せて貰って、もうオリムピックは充分だな。

  さて、そうでした。「憎い貴方」「憎い貴女」と来たら、「憎いあの娘」です。

  1975年4月13日日比谷野外音楽堂へご一緒いたしましょう。

M01.憎いあの娘(2’39”)キャロル

-Y.Ohkura. E.Yazawa-  フォノグラム  PHCL-3031

N  1975年4月13日日比谷野外音楽堂のキャロル、「憎いあの娘」でした。ハギリャウ

 さん、ご助言有難うございます。この九月に50年ぶりの中学校同期会があり

 まして、そこで会った昔の仲良しがこの解散公演を観ていた、と話してくれ

 ました。「俺もそこにいたよ」と、応えてふたりで「そうだったのか」と、変

 な分り合いをしました。この会の一番の収穫がこれかな。

  さて、「憎い貴方」のナンシー・シナトラに関しては45979タクシ・ドライヴァさんからも

 お便りを頂きました。そうなのです。ナンシーは白いロング・ブーツです。

  中学校に入ってから、わたしは「ボーイズ・ライフ」という少年雑誌を定期購読

 していました。確か小学館の発行で、少年サンデーと平凡パンチの中間にあって不

 確定要素を抱えた悩める子供たちの娯楽誌です。学研や旺文社が出していた

 ような受験雑誌ではありませんが健全第一ですから、ドギツイ性情報はご法度。

 今週亡くなっていた眉村卓の学園青春真っ只中小説が連載されていました。

 ただこれは程なくして大藪春彦のハード・ボイルド物語に変わってたな。もちろ

 んそっちの方が断然面白かった。

  冒頭に半頁くらいの海外女性のピンナップがあって、67年の6月か7月、そ

 こにナンシー・シナトラが居たのですよ。野外で純白のビキニです。そのショーゲキと言っ

 たら、ありません。わたしは何かいけないものでも見るように、そっと毎晩

 眺めておりました。そしてその時に履いていたのが、白い膝下までのロング・

 ブーツ。これがキョーレツな印象です。今でもくっきりと思い出せます。

  45979タクシ・ドライヴァさんの思い出は赤いワンピースだったようですが、白のロン

 グ・ブーツは同じでした。動くナンシーを観たそうですね。わたしはこれまで何か

 の記録映画で短い証言をする彼女しか見た事がありません。それも大分お歳

 召してからの姿でしたから、残念ながらショーゲキ的な動く姿はユーチューブ時代にな

 るまで観られませんでした。10年くらい前に萩原健太にナンシーの話をしたら、

 ご丁寧にもプレイボーイ誌で脱いだ時の写真のありかを教えてくれました。

  日本では先週の「憎い貴女」が1966年にスマッシュ・ヒットして、その後がこの歌

 でした。

  「シュガー・タウンは恋の町」。 

M02.シュガー・タウン(2’22”)ナンシー・シナトラ

-L.Hazelwood-  Paradiso / CNR PA711-2

N  「シュガー・タウンは恋の町」、ナンシー・シナトラでした。

  いうまでもなく彼女はフランク・シナトラの娘。唄い手としてやって行くにはマフィア

 芸能局長の後ろ盾が、さぞ有効だったでしょう。1967年には御大をデューオの

 相手に担ぎ出して、ヒットを放っています。 

M03.恋のひとこと(2’38”)ナンシー・シナトラとフランク・シナトラ

-Cason, Parks-  Paradiso / CNR PA711-2

N  「恋のひとこと」ナンシー・シナトラとフランク・シナトラでした。ナンシーはリー・ヘイズルウドとい

 う男と一緒に音楽活動をするようになって、芸能界で芽が出ました。なかな

 か面白いセンスを持った職人でね、独特のノヴェルティ感覚が大変宜しかった。ただ

 し見た目が美男子、二枚目系統ではなかったので、「俺が唄ってやるよ」と、

 ゴド・ファーザの登場となったのでしょうか。

  ナンシーは67年にやはり同じ団体の芸能局員だったディノ、ディーン・マーチンと「初

 恋の並木道」というヒットも出しています。ただこれは日本だけのようで、本国

 ではシングルなっていないようです。決して悪い出来ではありません。

  聞いてみましょう。

  ナンシー・シナトラとディーン・マーチンで「シングズ」。

M04.シングズ(2’44”)ナンシー・シナトラとディーン・マーチン

-B.Darlin-   Paradiso / CNR PA711-2

N  「初恋の並木道」、ナンシー・シナトラとディーン・マーチンでした。これは「ザ・ヒットパレー

 ド」で聞いたことありますね。今回ナンシーの盤のクレジットに「Darlin」とあった

 ので、調べましたところ、何とボビー・ダーリンの1962年のオリヂナル・ヒット曲である

 事が判明致しました。

   お聞き下さい、ボビー・ダーリンで「初恋の並木道」。

M05.Things(2’35”)Bobby Darlin

-B.Darlin- Rhiono Elektra / Atoco R2 78326

N  「初恋の並木道」、ボビー・ダーリンでした。彼のベスト盤にも入っていますから、

 結構重要な楽曲なんですね。ただ日本ではこのオリヂナルよりもナンシーとディノで知

 られていました。

  ボビー・ダーリンは、「スプリッシュ・スプラッシュ」や「マック・ザ・ナイフ」のヒットで知られ、

 名門アトランティック・レコード創世期に大きな貢献をした男です。同門のレイ・チャールズか

 らも大きな影響を受けて音楽に情熱的に取り組んだのですが、ロック時代に乗り

 遅れまして、激動の60年代を超えられませんでした。ロックンロール感覚はたっぷ

 りなんですが、ジャケット・アンド・タイで端正な紳士が唄うという50年代の常識が

 超えられず、その先がなかった。この「シングズ」がボビーのオリヂナルだというの

 は今回知った事ですが、聞けばその感覚もあなたにもお分かり頂ける筈です。

  ボビーが音楽にも情熱的に取り組んでいたのは、次の歌でも分かります。

 シンガ・ソングライタの草分け、ティム・ハーディン作の「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンタ」を1966

 年に採り上げてアルバム表題曲にもしているんです。世界中がサイケにラリっていた

 この時期に、です。

  聞いてください、ボビー・ダーリンで「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンタ」。

M06.If I Were A Carpenter(2’21”)Bobby Darlin

-T.Hardin-  Rhiono Elektra / Atoco R2 78326

M07.If I Were A Carpenter(2’51”)Four Tops  

-T.Hardin-  Motown 80000486-02

N  「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンタ」、ボビー・ダーリン、そしてフォー・トップス1968年のカヴ

 ァをお聞き頂きました。わたしがこの歌を知ったのはこちらの仕様でした。

  「もしわたしが一介の大工で、あなたがジョーリューフユー階級の貴婦人だったと

 しても結婚して貰えますか、そしてわたしの子供を産んでくれますか」と交

 際相手に身分差別意識を問う切実な歌です。わたし、英文の仮定法過去はこ

 れで覚えました。

  作者はティム・ハーディン。ボブ・ディラン世代のシンガ・ソングライタですね。ボビー・ダー

 リンのヒットが彼を有名にしてくれました。ではティム・ハーディンのオリジナルを聞きまし

 ょう。

  「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンタ」。

M08.If I Were A Carpenter(2’44”)Tim Hardin 

-T.Hardin- Polydor 440 016 405-2

N  ティム・ハーディンで「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンタ」でした。本気で迫ってますね。少

 し怖い。もう一曲、誰でもご存知のティム・ハーディンの歌があります。それはロド・

 ステュアートがカヴァした「リーズン・トゥ・ビリーヴ」です。「僕が涙を流している時、目

 の前で君は笑った。それでもまだ僕はこ、の不可解な出来事の信じるに足る

 理由を探している」こちらは不実な恋人に迫ります。

  彼の歌はレイ・チャールズが褒めた程の説得力に溢れていまして、特にこの歌は

 聞く人の心に圧倒的な真実を突きつけます。写真で見る彼は決してハンサムでは

 ない。どちらかと言えば醜男でしょう。ですからこういった歌では余計に説

 得力が増して聞こえます。

  では「リーズン・トゥ・ビリーヴ」、ロド・ステュアートの素晴らしい唄でどうぞ。

M09.Reason To Believe(4’10”)Rod Stewart  

-T.Hardin-  Mercury 558 060-2

M10.Country Comfort(4’48”)Rod The Mod Stewart 

-B.Taupin, E.John-  Mercury 558 059-2

N  「リーズン・トゥ・ビリーヴ」、ロド・ステュアートでした。そして「もうじき木の葉もみ

 んな落ちて」と始まる、今の季節にぴったり嵌る「カントリー・コムフォート」を続けま

 した。やっぱこの頃のロド・ザ・モド・ステュアートは文句なしですね。

  さて先週のビル・フリゼルのハーモニー、如何でしたでしょうか。わたしは何か不思

 議な感覚にとらわれまして、あの後も何回か聞いています。録音制作の裏に

 は強者ならではの複雑な造りも垣間見得ますけれど、非常に高度な感覚と技

 術を持ちながら、極めて素朴な素材をそのままに表現する・・・、結構難し

 い事です。

  わたしは先週お届けした「紅い河の谷間」が好きです。そしてスティーヴン・フォ

 スターの「ハード・タイムズ」がとても良かった。素晴らしかった。それ以前、わた

 しの「ハード・タイムズ」と言えば、これしかなかったのであります。

M11.Hard Times(7’33”)The Crusaders 

-P.F.Mitchell-   MCAD-37072

N   「ハード・タイムズ」、伝説的な実況録音盤『スクラッチ』から、クルセダーズでした。ま

 だラリー・カールトンは正式メムバではありません。「friends」のひとりです。そのせい

 でしょうか、この「ハード・タイムズ」ではギターの音があまり聞こえません。それ

 でもこの仕様は決定的ですね。わたしにとってはこの種の器楽曲をたくさん

 聞くきっかけともなりました。京都で日本人の演奏に接して「何という曲で

 しょうか」とバンマスに尋ねて教えてもらったのがクルセダーズでした。しばらくし

 てレイ・チャールズの演奏も知りました。

  さてスティーヴン・フォスターの「ハード・タイムズ」とは何の関係もない同名異曲の「ハー

 ド・タイムズ」ですが、ビル・フリゼルのハーモニーで今朝も「花は何処へ行った」を聞 

 いてみましょう。

M12.Where Has All The Flowers Gone(3’10”)Harmony

-P.Seeger-  Blue Note / Fresh Grass  00602508001635

N  そして原曲、作者ピート・シーガー自身が唄います。

  「花は何処へ行った」。

M13.Where Has All The Flowers Gone(1’56”)Pete Seeger

-P.Seeger-  Proper BOX 184    

N  ピート・シーガーで「花は何処へ行った」でした。何やら背後に雑音が聞こえま

 したね。多分これは専用ステューディオでのセッションではないのではないか、と想像し

 ます。大学のたまたま空いていた教室でピートが唄ったのを録音したのではな

 いでしょうか。聞こえて来るのは隣の教室の講義です。「現代アメリカ史」かな。

  それはともかく、ハーモニーの仕様にはまだ驚きが残っています。今朝は後半に

 ほんの少しだけ共通する旋律を見つけられましたが、他は相変わらず別物で

 すね。即興なんでしょうか、もう一度同じように歌えるのでしょうか。

  今朝の「幻」は澤田修の「1000本横山ノック」的な採り上げてが多いですね。

 なり行きですから、この「花は何処へ行った」の、日本で最も知られた仕様

 も聞いておきましょう。

  ご存知、ピーター、ポール、アンド・メアリです。

M14. 花はどこへ行った(3’57”) ピーター、ポール & マリー

-P.Seeger-  ワーナー  WPCR-14347

M15.The Woods(3’14”)Zac Brown Band

-Zac Brown-  Zac Brown Collective / BMG  538477552

N  ピー・ピー・エムの「花は何処へ行った」でした。今70歳前後の音楽好きたち

 は一時期みんなこの形を目指したのですよ。「どこもマリーさんがいなくて困っ

 ていた」という話を聞いたことがありますが、わたしとしては「ピーター・ヤーロウ

 が居なかったのではないか」という気がします。このトリオは毎曲、後半のクレッシ

 ェンドがキョーレツですね。

  続けたのはザク・ブラウン・バンド新作『アウル』から冒頭の「ザ・ウズ」でした。

 今回のアルバムはとてもいい出来ですね。ジャケットは西部開拓時代の衣装に身を包

 んだメムバの集合写真。表題にもなっている「アウル」、「ミミズク」も一緒に写って

 います。音を聞いてすぐにザク・ブラウンだ、と分かるのはいつも通りですが、

 各楽曲がよく作られて、アレンヂにも工夫が凝らされています。グループの底力を

 感じますね。

  もう1曲聞きましょう。

  「サムワン・アイ・ユーストゥ・ノウ」。

M16.Someone I Used Know(3’28”)Zac Brown Band

-Zac Brown-  Zac Brown Collective / BMG  538477552   

N   ザク・ブラウン・バンド新作『アウル』から「サムワン・アイ・ユーストゥ・ノウ」でした。先の 

 「ザ・ウズ」もそうでしたが、終わり方にひと捻りがありますね。何故かは

 今のところ不明でありますが、下衆の勘繰りが辞めときます。

  さて次も先週お届けしたヴィンス・ギルの新作からです。今回はとにかく歌、

 唄のアルバムになっています。『ギター・スリンガー』以降ギター弾きの側面を強調して

 来たヴィンス、「やっぱり唄だ」となったのでしょうか。録音も大変よろしく、

 特に生ギターの音が冴えてます。

  今朝は共に偉大なカントリー歌手を主題にしたふたつの楽曲をお届けします。

  「ゼアズ・ナッシング・ライク・ア・ガイ・クラーク・ソング」、

  そして「ザ・ワールド・ウィズアウト・ハガード」。

M17.There’s Nothing Like A Guy Clark Song(5’03”)Vince Gill  

-V.Gill-  MCA Nashville  00602577797552 

M18.The World Without Haggard(4’52”)Vince Gill  

-V.Gill-  MCA Nashville  00602577797552 

N  「ゼアズ・ナッシング・ライク・ア・ガイ・クラーク・ソング」、そして「ザ・ワールド・ウィズア

 ウト・ハガード」、ヴィンス・ギルでした。

  さてケン・バーンズ監督の映画「カントリー・ミュージック」の全容が少し分かりました。

 北米で9月から5週連続で放映されたテレビ映画のようですね。サントラも本来は

 CD5枚組とか。わたしが出会ったのは、それを2枚組にまとめた編集盤でし

 た。基本的には新規のドキュメントなんでしょうが、おそらくはグランド・オール・オープ

 リーとかの貴重な動く画がたくさん使われている筈です。観たいなあ。只今多

 方面に手を伸ばしております。ただテレビ番組だし、発売元のソニーは全くやる気

 がないので、希望が実現するかどうか予断を許しません。

  今朝はエミルー・ハリス、彼女がどう捉えられているか、ここもわたしの興味なの

 です。彼女の唄で、 

  「ボーダー・トゥ・バーミンガム」。

M19.Boulder To Birmingham(3’36”)Emmylou Harris

-E.Harris, B.Danoff-  Legacy 19075960422

M20.Taqkal Tarha(4’01”)ティナリウェン 

-unknown-  Pヴァイン PCD-17805

M21.Wartilla(5’36”)ティナリウェン  タリラリラ-ン

-unknown-  Pヴァイン PCD-17805 

後TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  最後の2曲はティナリウェンの新作から「タカール・タルハ」と「ワルティラ」の2曲でした。

 先週「テネレ砂漠」を「テレネ」と言ってましたね。北国の少女からのご指摘通り、

 「テネレ」でした。同名のモーターバイクはヤマハ発動機の大型長距離用車種で、今ちょ

 うど新型が出たばかりです。今回は不整路専門に目的を絞り込んだような造

 りですね。そもそもパリ〜ダカール・ラリー用に開発されて、この砂漠の名前が付い

 たと聞きましたから、初心に帰ったのかな。その昔とは言え、これに乗った

 ことあるなんて凄いなあ。侮れませんですね。普通じゃ操縦出来ないよ。ご

 指摘ありがとね。わたしはこのグループの名前もしっかりと覚えられませんで

 した。タリラリラ-ン。

  エリスの年末号が公開になりました。今号でわたしは50年前の二人組ステューディ

 オ乗っ取り犯について、割と長い文章を書いています。すんなりとは分からな

 い題材ですが、わたしは大いに刺激を受けた昔の出来事でした。ご興味のあ

 る方はhttp://erismedia.jp/を探って下さい。

  今週水曜日に携帯電話器を落としました。一瞬、目の前マツクラになりました。

 「確か夕べあったよな、あ、あの時か」と大体の想像がつきまして、大捜索

 開始。でも発見出来ず。事態はだんだん深刻になって行きます。最後は電話

 のプロヴァイダーのところに駆け込みました。そこでGPS検索。なんとか最終発

 信地点だけが分かりました。そして・・・、結果的には見つかったのですよ。

 王子警察署まで取りに行きました。「道端に放り投げてあった」そうです。 

 拾ってくれた方の詳細は分かりません。深く心より感謝、どうもありがとう

 ございます。

  なんと素晴らしいのでしょうか、この公徳心。よその国ではあり得ないで

 しょう。こういうところ、大事にしなきゃね。そういえば、わたしも10月

 13日に目の不自由な人が落とした財布をすぐに拾って渡した事がありました。

 あの時やってて良かった、とつくづく思いましたね。セーフのセーサクとは関係なく、

 わたしたちは美しい心を失っていません。世界中に誇れるところです。

  とはいえ、まずは落し物、失くし物をしないのが第一。皆さんも充分にお

 気をつけ下さい。

  さて今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/a1b9e7719045846c7de4854b4ad3267b678f638b

   ダウンロード・パスワードは、w4ktcy65です。

  今朝もちょうど時間となりました。

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【幻】モーニン・ブルーズ 2019/11/02

mb191102

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようざいます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2019年11月02日を  

 始めましょう。

  郵便局員が未使用切手換金5億円着服だって。印紙じゃないから凄い量だ

 ろうなあ、と思いました。発覚を恐れて沢山の金券屋を使ったとしてもアシが

 絶対に付くだろうに、ともね。でも数年間続けられたって、おかしいね。関

 電の贈収賄とおんなじです。こんな大犯罪が内部で問題にならない訳が無い。

 それを隠してたっていうのもなあ。無駄な公共事業も含めて、こういうおか

 しな出費とか使途不明金を綺麗にしたら、絶対に財政は健全に体力を回復す

 る、これはわたしの確信です。

  しっかりしろい、ポストメン。

M01.Please Mr. Postman(2’31”)Marveletts

-B.Holland, R.Bateman, B.Gordy jr.-   Motownm 374636312-2

M02.にくい貴方( 2’40”)ナンシー・シナトラ

-L.Hazelewood-  Paradiso PA 711-2 (NS307)

N  マーヴェレッツの「お願い、郵便屋さん」に続いてはナンシー・シナトラで、「にくい貴方」

 と来ました。オールディーズ番組みたいな今朝の「幻」です。ただこれには訳が

 ありまして、先週の「ライヴ・マヂック」で実演を体験したスタイナー・ラクネスのアルバム収

 録曲には変わった物が多い、とお話ししていましたが、その1曲が今の「に

 くい貴方」だったのです。ナンシー・シナトラ、1966年の全米第一位獲得曲です。

  多分ね、「ライヴ・マヂック」での実演でも披露していたとは思います。「これ『に

 くい貴方』じゃないかな」とは思ったのですが、「そんな事はあるはずがない」

 ときめつけてました。ボブ・ディランの「マギーの牧場で働くのはもうウンザリだ」

 は、すぐにわかったのですが、まさかナンシー・シナトラとはねえ・・・。

  スタイナーはこんな風に演ってます。

  「にくい貴女」、スタイナー・ラクネス。

M03.Thses Boots Are Made For Walking(3’13”)Steinar Raknes   hca

-L.Hazelewood-     Recknless Records RR513

N  ハーモニカが効果的でしたね、「にくい貴女」、スタイナー・ラクネスでした。この歌は

 調子の良いことばっか言って真心が感じられない相手に「この長靴は歩くた

 めに作られてるけど、今にかあんたを蹴っ飛ばしてやる道具になんのよ」と、

 戦意むき出しの談判です。ナンシーが怒りで清算を迫るのは分かるけど、スタイナーは

 どういうつもりで唄っているのでしょう。下手に蹴っ飛ばしたら虐待だよ。

  非常に真面目に作られている彼の最新作『真実を追いかけて』は、この種

 の、奥底にユーモアが深く忍ばされているようなカヴァ曲が入っています。

  他に有名なのは、サザランド・ブラザーズの「セイリング」でしょうか。

  まずはロド・ステュアートでお聞き下さい。

M04.Sailing(4’38”)Rod Stewart

-G.Southerland- ワーナー WPCR-75088

M05.Sailing(3’49”)Steinar Raknes

-G.Southerland-  Recknless Records RR513

N  こちらもミキー・ラファエルのハーモニカがいい感じでした、スタイナー・ラクネスの「セイリング」。

 一筋縄ではいかないこの北欧男、面白そうです。

  さてライヴ・マヂック二日目の一番大きなホールの最終出演者は、J.ラモッタ。「すずめ」

 という名前を自らつけたイズリアルちゃんです。彼女のアルバムの冒頭曲、「イフ・ユー・

 ヲナ」をどうぞ。

M06.If You Wanna(4’50”)J・ラモッタ・すずめ

-unknown-  Pヴァイン PCD-24815 

N  「イフ・ユー・ヲナ」、J・ラモッタ・すずめでした。まだ世に出て間もない女性歌手の

 すずめ、正直に言うとこの音楽催事の大トリは役が重い印象もなくはなかった

 のですが、舞台に責任を持って臨んでいた姿勢には、大いに好感が持てまし

 た。これなら鳳啓助も安心出来た事でしょう。

  こういうスタイルは70年代の終わりから主に北米の新世代白人女性歌手が試み

 ていたもので、「都会的洗練」が一つの鍵言葉でした。40年経った今、世界中

 からかなり高品質で同類の音楽が生まれているのが現状です。

 今の「イフ・ユー・ヲナ」ではテナー・サクスフォンが印象的でした。こういう音が落ち着い

 て聞けるポップ・ミュージックというのは、今まわりを見渡してもそんなにありま

 せん。ですから余計に印象深く聞こえました。

  先ほどのスタイナー・ラクネスのクヲーテットが新宿のピットインで実況録音した『ライヴ・イン・

 トーキョー』では、John Paal Inderberg、ジョン・ポール・インダバーグと読むのかな、

 この人のバリトン・サクスフォーンが効いていました。それもとても分かり易いフレイズの

 連続だったのも半ば驚きです。高度に研ぎ澄まれた感性と技術を持ちながら、

 それだけの世界に迷い込まない姿は、とても美しい。これも知性のなせる技

 でしょうか。

  ではスタイナー・ラクネスをもう一度、『ライヴ・イン・トーキョー』から、

  「ベイス・コンテムプレイション」〜「ブルーズ・フォー・アレクス」と続きます。

M07.Bass Contemplation(2’37”)Steinar Raknes Quartet

-S.Raknes- Reckless Records RR504

M08.Blues For Alex(6’30”)Steinar Raknes Quartet

-S.Raknes- Reckless Records RR504   

N  バリトン・サクスフォーンだけでなく、ピアノもとても分かり易いフレイズでしたね。スタイナ

 ー・ラクネス・クヲーテット、2012年10月新宿ピットインで録音された『ライヴ・イン・トーキョー』

 から「ベイス・コンテムプレイション」と「ブルーズ・フォー・アレクス」でした。

  さて今年のライヴ・マヂックにはタミクレストも出演していました。ただアルバムや以前

 の実演などと比較すると、あまり感心出来なかった、というのが正直なとこ

 ろです。大音量のギター・ソロで延々と引っ張るのを見ていると、この国の40年

 前のロックバンドを連想してしまいました。

  その翌週、砂漠のロックバンドの祖ともいうべきティナリウエンの新作に出会いました。

 このグループにも登場時に大きな衝撃を受けましたが、その後の活動は必ずし

 もわたしを満足させてくれた訳ではありません。ですから、今回は少し慎重

 に聞いたのですが、ゴーカクよ。

  まず冒頭の1曲を聞いて下さい。

  「テレネ・マローラ」。

M09.Tenere Maloulat(3’42”)ティナリウエン 

-unknown- Pヴァイン PCD 17805

N  ティナリウエンの最新アルバム『アマジャー〜名もなき旅人』から「テレネ・マローラ」でした。  

 「テレネ」というのは砂漠の名前ですね。確かオフロード用のモーターバイクにも同じのが

 あったような、なかったような・・・。 

  今回のアルバムハはモロッコからヌアクショットへの旅をしながら録音制作されたそうで

 す。そのせいでしょうか、声や楽器の音がスタジオ的ではなくて、自然です。こ

 れはいいですね。最近わたしはスタジオにアレルギーがありまして、ああいう場所は

 音楽に最も相応しくないのではないか、とさえ考える程です。砂漠ですから 

 夜なら他の雑音はないし、自然の反響が得られます。気持ちいいだろうな。 

  ただ砂のシャワーを浴びる楽器や機材はたまんないですね。多分すぐに使えな

 くなるでしょうね。それと録音のための電力、これもどうしたのでしょうか。

 発電機を帯行したのかな。砂漠だから掘れば石油はいくらでも出て・・・、

 あ、それはないですね。

  とにかく今回のティナリウエンの最新アルバム『アマジャー〜名もなき旅人』、いい出来

 です。

  もう一曲どうぞ。応答形式のコーラスワークが素敵です。

  「アニナ」。

M10.Anina(3’43”)ティナリウエン 

-unknown- Pヴァイン PCD 17805

M11.リトル・ビット(4’47”)エリカ・ド・カシエール 

-unknown- Pヴァイン PCD 24891

N  晩秋の「幻」号は、砂漠から北欧手間へのデンマークへ移動です。首都コペンハーゲ

 ンからの新しい唄声は、エリカ・ド・カシエール。案内所には「エレクトロR&B」とありま

 すが、そうか、わたしには割と自然に聞こえたこういうのも、そうなっちゃ

 うのか、という思いです。12月の最初の週に発売だそうです。他のトラックはど

 んなでしょう。「エレクトロR&B」なのかな。

  さて次の歌は、何だとお思いでしょうか。まず聞いて下さい。

N12.Where Has All TheFlowers Gone(3’10”)Bill Frisell

-P.Seeger-  Blue Note / Fresh Grass 00602508001635

N  変態ギタリスト、ビル・フリゼルのこれは新しいグループなのでしょうか、ハーモニーと名

 づけられた4人組です。男3人、女ひとり。皆楽器も演奏しますが、ヴォーカル・

 アンサムブルが主体です。何しろ名前がハーモニーですから。

  今お聞き頂いたのは、何と「花はどこへ行った」、ピート・シガーの「Where Have 

 All The Flowers Gone」なんですよ。わたしも最初は「ああ、同名異曲か」

 と思いながら聞いていたのですが、どうも言葉に覚えがある。作者を見たら、

 「ピート滋賀」あるではアーリませんか。本人も驚きでしょうね、これには。

  このハーモニーというグループは、どうやら個性的で高度な音楽活動を経てきた4

 人が「声」を使ってもう一度素朴な音楽を作ってみよう、という趣旨を持っ

 ているようです。これはわたしの推測ですがね。

M13.Everywhere(5’30”)Harmony   

-B.Frisell-  Blue Note / Fresh Grass 00602508001635 

N  ビル・フリゼル主宰のグルーフ、ハーモニーの「エヴェウェア」でした。゚レコード店の試聴機で

 聞いたこのアルバム冒頭曲は、当初えらく「エレクトロ」調に聞こえまして、やっぱ

 りビル・フリゼルだなあ、とその場で納得いたしましたが、アルバム全体を聞くと

 エレクトロ調は影を潜め、実に素直な、それも夕食後の居間で家族が声を合わせて

 いるような雰囲気に包まれました。いいですよ、とても。

  こんな歌が入っていたのも嬉しかった。

  「紅い河の谷間」。

M14.Red River Valley(2’50”)Harmony

-trd-   Blue Note / Fresh Grass 00602508001635    

M15.Hard Times(3’57”)Harmony

-S.Foster-  Blue Note / Fresh Grass 00602508001635  

N  ビル・フリゼルのハーモニーで「紅い河の谷間」でした。

   サボテンの花、咲いてる 砂と岩の西部 

   夜空に星は輝き 狼鳴く西部

  これ以外の英語詞は初めて聞きました。10代の頃からずっと「レッド・リヴァ

 ー・ロック」でしたからね。こういう仕様でもいい歌です、本当に。

  そしてスティーヴン・フォスターの「苦しい時よ、もう来るな」です。こちらもこん

 なに素直に唄われた仕様に出会ったのは初めてです。ビル・フリゼルを始めハーモニー

 の4人は歴戦の強者たち。相当な音楽経験を通ってきている筈です。それが

 こんなに素朴に唄えるとは、これも音楽の魔法でしょうか。ハーモニーでした。

M16.I Don’t Wanna Ride The Rails No More(4’27”)Vince Gill  

-V.Gill-  MCA Nashville 00602577797552

N  日本の70年代フォークのような始まり方でしたが、しっかりと現代カントリー音楽

 で終わりました。ヴィンス・ギルの新しいアルバム「オーキー」から「もう鉄道なんか載

 りたくない」でした。ヴィンスはここのところ上手なギタリストとしての側面を打ち

 出していましたが、今回の作品はこのようなヴォーカルを聞かせる内容になって

 います。とは言え、付属小冊子にはギター倉庫に並んだ名器の前で、ご本人が

 満足そうな顔をして立っていますけどね。

  彼の持つ繊細な旋律が生きている「ブラック・アンド・ホワイト」を聞いて下さい。

M17.Black And White(3’45”)Vince Gill  

-V.Gill-  MCA Nashville 00602577797552 

M18.Finish What We Started(3’35”)Zac Brown Band feat. Brandi Chalilei

-Z.Brown-  Zac BrownCollective / BMG  538477552

N  ヴィンス・ギルで「ブラック・アンド・ホワイト」、そしてザク・ブラウン・バンドで、「フィニッシ

 ュ・ワット・ウイ・スターテド」でした。

  山に登る人たちはよくご存知でしょうが、「引き返す勇気」という言葉があ

 ります。道に迷ってしまった時、人間誰でも「行っちゃえ、行っちゃえ」と

 ばかりに進みたがります。大抵はそれが更に酷い事態を引き起こしてしまう。

 だから「危険」を感じたら、そこから戻って、出直すのが正しい。でもそう

 素直になれないものです。だから「引き返す勇気」が大切、これは真実でし

 ょう。

  オリムピックのマラソンが何と札幌で行われる事になりました。これは前代未聞の大

 事件です。ただ、そもそも灼熱の東京に誘致した事自体が間違っていたので

 す。嘘までついてね。暴走しかけている節々で「引き返す勇気」を出せたら、

 こんなに出場者を迷わす事も起こらなかったのではないでしょうか。

  「始め事を終わりにしよう」、ザク・ブラウン・バンドでした。

  さて、先週もお届けした、わたしが今いちばん観たい映画の一本である

 「カントリー・ミュージック  ア・ストーリー・オーヴ・アメリカ・ワン・ソング・アト・ア・タイム」のサウンド・

 トラックから今朝は、これも超有名曲ですね、

  レイ・プライスです、「クレイジー・アームズ」。

M19. Crazy Arms(2’32”)Ray Price 

-R.Mooney, C.Seals-  Sony / Legacy 19075960422

M20.Me and Bobby McGee(4’22”)Kris Kristofferson

-K.Kristofferson-   Sony / Legacy 19075960422

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  今朝の「幻」、最後はやはり「カントリー・ミュージック  ア・ストーリー・オーヴ・アメリカ・ワン・

 ソング・アト・ア・タイム」のサウンド・トラックから、クリス・クリストファスンで「ミー・アンド・ボビー・

 マギー」でした。実況録音でしたね。これも何年たってもいい歌である事に変

 わりありません。

  ここしばらく生活の全てを奪われていた著作執筆活動、ようやく木曜日に

 終了いたしました。皆様のご支援がここまで導いてくれました、有難うござ

 います。ラグビー日本代表のような事を申し上げましたが、本心です。

  とはいえ校了の翌朝に間違いに気づいたりね、ヤケクソ的な気持ちもあります。

 これから刊行までは、一切関連事案には触れないつもりです。気持ちの良い

 達成感には少々距離がありますね。自信もありますけど。まずはお楽しみに。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/bfa86f454a32c15b94a0ebf676c1f7fe58e8c2e0

    ダウンロード・パスワードは、kd2e3jz3です

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

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【幻】モーニン・ブルーズ 2019/10/26

mb191026

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようざいます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2019年10月26日を  

 始めましょう。今朝は、1971年2月7日のサンフランシスコ、フィルモー・オーディトリアムへご

 招待いたします。もうお馴染みですね。キング・ピーンズが演奏をしています。

  ビート、ウェル、「メムフィス・ソウル・ステュウ」。

M01.Memphis Soul Srew(7’36”)King Curtis

-C.Ousley-  イーストウエスト AMCY-2905

N  キング・カーティスとキングピーンズで「メムフィス・ソウルステュウ」、1971年2月7日のサンフランシ

 スコ、フィルモア・オーディトリアムの実況盤からお送りしました。有名な『キング・カーティス・

 ライヴ・アット・フィルモー・ウェスト』の1曲目に入っていて、このあと素晴らしい演奏

 が8曲も続くのですが、その後の未発表録音や資料を調べると、3日間行われ

 たこの時の公演の最後の日の最終曲なんですね、この「ソウル・ステュウ」のテイクは。

 曲順やツナギが実に巧みで、何の抵抗もなく興奮させられるので、20年以上に

 亘って、わたしはこの曲で始まったと信じていました。編集っていうのは、

 ここまでやれなきゃダメだなあ、と痛感しましたね。

  さて今朝この決定的な名演が冒頭に来た訳は、先週ナマでこのパロディに接し

 たからです。まず1/2カップの出汁、ベイスのジェリー・ジェモットは小原礼、1ポンド

 の背脂ドラムズのバナード・パーディが林立夫、大さじ4杯のメムフィス・ギター、コーネル・

 デュープリーが鈴木茂、一掴みのオルガン、ビリー・プレストンがダクタ・キョンというリズムで、

 マヂック・バンド2019と名付けられていました。そうです、小坂忠が今年のライヴ・

 マヂック出演のために組んだ特別編成、と言っても大体この顔触れで演ってます

 けど、レギュラー・グループではないので、一応は今回のための特別編成楽団です

 ね。彼らが10月19日の演奏に臨んで、その冒頭曲に選んだのが、この「エビ

 ス・ソウル・ステュウ」でして、そのメムバ紹介をするバンマス、キング・カーティスの代行が、

 ピーター・バラカンでした。全員がこの「ソウル・ステュウ」をずっと朝晩のお祈りのよう

 に聞いてきた訳ではないので、完全コピー演奏ではなく、実演の場ならではの

 ご愛嬌「パロディ」でしたが、さすが歴戦の強者揃い、それなりに楽しめまし

 た。

  帰りにバンマス代行に「あれは反則だよ」と言ったら、「まあまあまあ」と窘め

 られ、「これまでに品川でも、目黒でも演った事あるよ」との事でした。あら

 まあ。

  このあとに出て来た忠さんの1曲目が「ノック・オン・ウド」、これもカーティスたち

 がフィルモーのこの時に1曲目に持って来たR&Bでしたね。忠さんも病気の心配

 を吹き飛ばす熱唱で、ひと安心でした。今朝の前半は今回のライヴ・マヂックを簡

 単におさらいしておきましょう。

  まずわたしの印象に強く残った演奏家です。

  これを聞いて下さい、

  「フォークス・アンド・ピーポー」。

M02. Folks & People(4’53”) Steinar Raknes  Ola Kvernberg vln.

-S.Raknes-  Reckless Records RR513   hca.  

N  「フォークス・アンド・ピーポー」、スタイナー・ラクネスでした。アク-スティク・ベイスを弾きながら

 唄います。この日はたくさんの簡易型効果機器を使っての単独演奏。静寂の

 中で、手応え充分な響きを作り出していました。この日、この前に柏で昼過

 ぎに一仕事してきたそうで到着が遅れましたが、こんな日程でよく集中力が

 散らないなあ、と感心したのも事実です。

  彼はノルウェイから来た男で、このソロ形だけでなく、スモール・コムボでも演奏してい

 ます。何と新宿のピットインでの実況録音盤を出していまして、会場で手に入れ

 る事ができました。そちらからも聞いて下さい。

  スタイナー・ラクネス・クヲーテットという名義になっています。2011年12月の録音です。

  「モーニング・ソンクグ」。

M03.Morning Song(4’53”)Steinar Raknes Quartet 

-S.Raknes-  Reckless Records RR504

N  スタイナー・ラクネス・クヲーテットで「モーニング・ソンクグ」でした。さて、アクースティク・ベイスの

 単独演奏と言いますと、多分に技術的な要素が大きい構成を想像しますが、

 彼の場合はそうではありません。大きな体でベイスを完璧に操るのは当然です

 が、同時に唄われる歌がいいのですよ。低い魅力的な声で語りかけるように

 唄います。その日はボブ・ディランの「マギーの牧場で働くのはもうコリゴリだ」を

 披露していたので、「おや」と思ったのですが、アルバムには面白いカヴァが他に

 もありました。「みんなが知っている良い曲を上手に」というジャズ・ヴォーカル

 によくある手合いではないですね。固有の知性とユーモアが感じられる、「フォーク・

 ソング」に近い空気を感じます。

  では昨年発表されたソロ名義のアルバム『チェイシング・ザ・リール・シングズ』から、

  自作曲です。「アンダー・ザ・ペイル・ムーンライト」、スタイナー・ラクネスです。

M04.Under The Pale Moonlghit(5’03”)Steinar Raknes     

-S.Raknes-  Reckless Records RR513

M05.ラ・アンダリエガ(4’02”)フロール・ディ・トロアチェ feat. ラス・ミガス

-A.C.Alarcon,J.Acosta-  ミュージック・キャンプ BG-5235

N  禁欲的なアクースティク・ベイス奏者スタイナー・ラクネスの「アンダー・ザ・ペイル・ムーンライト」に

 続けましてはスペイン語の女声ヴォーカル、フロール・ディ・トロアチェの「ラ・アンダリエガ」で

 す。これにはラス・ミガスという女性が助演していました。彼女たちはメキシコ音楽

 を演奏する5人組。ベイスのような大型の低音弦楽器、そしてギターに近い、な

 んて言ったけかな、ヴィオラみたいな名前だったかな、比較的小型の6弦楽器、

 それとヴァイオリン、トラムペットが2本、合計5人編成で全員がヴォーカルを取ります。

  パツラが2本でマリアッチと称していますが、音楽性は広くて、構成も楽しさ溢れ

 るものでした。今の5人が正式メムバなのでしょうか。アルバムには3人しか写っ

 ていませんでしたがね。当たり前でしょうが、とにかくみんな上手です。電

 気楽器はないのに、その上手さで迫力は充分、加えてメキシコ情緒がありますか

 ら、ライヴ・マヂックでも会場から拍手喝采でした。終わってからの即売サイン会も

 長蛇の列、遅れて並んだわたしは一番最後でした。

  ここまでの最高傑作と呼ばれる最新アルバム『インデストルクティブレ』は、確かによ

 く出来ています。これは今の5人で作ったようで、当日の感じと重なる響き

 ですね。冒頭曲「ラ・アンダリエガ」に続いては、珍しいこんなカヴァをどうぞ。

  イヴォンヌ・エリマンが『サタデイ・ナイト・フィーヴァー』でヒットさせました。スペイン語で唄わ

 れる「イフ・アイ・キャント・ハヴ・ユー」、「シ・ノ・エレス・トゥ」です。

M06シ・ノ・エレス・トゥ(3’15”)フロール・ディ・トロアチェ  

-B.Gibb, M.Gibb, R.Gibb-  ミュージック・キャンプ BG-5235

M07.Besame Mucho pt.I(2’19”)The Coasters

-C. Velasquez, S.Skylar-   Rhino / Atlantic  R2 71090

N  フロール・ディ・トロアチェが唄ったスペイン語の「イフ・アイ・キャント・ハヴ・ユー ~ シ・ノ・エレ

 ス・トゥ」」に続きましてはザ・コースターズの「ベサメ・ムーチョ」でした。実はこのフロール・

 ディ・トロアチェのショウの中でこのメキシコ歌謡の代表曲が披露されました。他にガーシュウ

 ィンの「サマタイム」が聞かれたりするところから、彼女たちは相当にいろんな場所

 で仕事をしているな、と感じた次第です。

M08.What A Difference A Day Makes(2’37”)The Axidentals

-M.Grever-  Not Now Music  NOT3CD308

N  「恋は異なもの」、これもメキシコの歌ですね。ダイナ・ヲッシントンがジャズR&Bで有

 名にしました。今のディ・アクシデンタルズというヴォーカル・グループです。途中からビ

 ッグ・バンド・アレンヂになるところがキャバレー的でした。

  これは3枚組の『アメイジング・ジャズ・コーラス・・・サムタイムズ・スキャット』という編

 集盤からです。タワー・レコーズが古い音楽専門のコムピ屋「ノット・ナウ・ミュージック」と

 組んだ共同企画です。ジャズ・コーラスの黄金期50年代の美しいヴォーカル・ハーモニーが

 全部で60曲入ったお得盤です。お行儀が良い白人のグループばかりですが、そ

 れほど嫌味もなく、楽しめました。

  次は1938年の映画音楽で「ジーパーズ、クリーパーズ」、ハイ・ローズです。

M09.Jeepers Creepers(2’03”)The Hi-Lo’s

-J.Mercer, H.Warren-  Not Now Music NOT3CD308  

N  「ジーパーズ、クリーパーズ」、ハイ・ローズ55年の録音でした。男性4人組のハイ・

 ローズ、わたしは武道館で聞いた事があります。全盛期をとおに過ぎた1970年

 代後期、確かレイ・チャールズの前座じゃなかったかな。マイク1本で、4人が歌いま

 す。絶妙のバランスでスウィング感に溢れたハーモニー、「前座だし」と軽くサラリと流しち

 ゃうところも含めて「流石だなあ」と口アングリ、感動的でした。

  この『アメイジング・ジャズ・コーラス・・・サムタイムズ・スキャット』は、先ほども言いま

 したように白人のヴォーカル・グループ集ですが、おそらくこの中でたったひとり

 の黒人が、ジョン・ヘンドリクスです。ラムバート、ヘンドリクス、アンド・ロスのメムバとして、

 参加して、発声、節回しで異彩を放っています。

  では聞きましょう、「ショーティ・ヂョーヂ」、1958年の吹き込みです。

M10.Shorty George(3’08”)Lambert Hendricks And Ross 

-J.Kern, J.Mercer-  Not Now Music  NOT3CD308 

N  ラムバート、ヘンドリクス、アンド・ロスで「ショーティ・ヂョーヂ」でした。

  さて、ジャズのヴォーカル・グループと言いますと、やはりフォー・フレッシュメンです。マン

 ハタン・トランスファーのアルバム『ヴォーカリーズ』のプロモーション・ヴィディオで、彼等がゲストとし

 て登場する場面があります。「紳士淑女諸君、フォー・フレッシュメンだよ」と紹介され

 て、マントラが興奮して驚くのです。当然演出なんでしょうが、ここだけで彼等

 の偉大さが伝わってきます。この『アメイジング・ジャズ・コーラス・・・サムタイムズ・

 スキャット』には、当然フォー・フレッシュメンが何曲も入っています。

  今朝は55年録音のオリジナル曲、「ウィル・ビ・トゥゲザ・アゲイン」をどうぞ。

M11.We’ll Be Together Again(3’08”)The Four Freshmen 

-C.Fischer, F.Laine –  Not Now Music  NOT3CD308

N  フォー・フレッシュメンで「ウィル・ビ・トゥゲザ・アゲイン」でした。さてこの3枚組には、

 珍しいグループも入っています。わたしも初めて出会ったザ・ダブル・シクス・オヴ・

 パリス、そこそこに知られているらしいです。当初は「フランスに 12気筒の車あっ

 たかな」なんて考えてしまいましたが、 12人ではなく、男4 人、女2人の

 6人編成。それぞれが2種類の声を出すのでしょうか。

  ではザ・ダブル・シクス・オヴ・パリスです。やはりおフランスですから、多少手触り

 が違います。そこが面白いところでしょう。

  「ボルピリシティ」、こちらは1962年の録音ですね。

M12.Bolplicity(2’58”)The Double Six Of Paris

-unknown-  Not Now Music  NOT3CD308    

N  「ボルピリシティ」、ザ・ダブル・シクス・オヴ・パリスでした。

  さて3枚組『アメイジング・ジャズ・コーラス・・・サムタイムズ・スキャット』、今朝は表題

 にもなっている「スキャット」が少ししかなかったですね。探しておきます。最後

 のヴォーカル・グループは、この夏にもリクエストをいただいた、これです。

  「ドリーム」、パイド・パイパーズ。

M13.Dream(2’47”)The Pied Pipers 

-J.Mercer-  Not Now Music  NOT3CD308   

N  さて、今年に入って、口癖のように「新譜が少ない」とこぼしています。

 多分ね、実際には形になっていなくても、ファイルでは「新譜」が出ているので

 しょう。それをケータイに落としてイヤフォーンで聞いて、飽きたら消去する、そうい

 うのが今日的な音楽との付き合い方なんでしょうか。ただファイルでは、制作者

 の都合で勝手に、知らない間に、更新されてオリヂナルがどれなのかわからなく

 なってしまう事もあります。

  油絵などでは筆を置く時がとても重要だ、と言われます。「ここで完成だ」

 と決める瞬間ですね。マルチトラック、ましてディジタル方式の録音ですと、どんな事  

 でもどこまでもやれます。ですから「これはここで出来上がり」と終わらせ

 る判断が大切です。そして、それを元に戻せない状態でまとめて、公表する、

 芸術には今この勇気が必要です。潔くね。

  そんな事を考えていたら、知らぬ間にザク・ブラウン・バンドが新しい盤を発売

 していました。これまでと同じように一聴して「あ、ザク・ブラウンだ」、と分か

 るいつもの音が聞こえます。

  今朝はこれ、「ミー・アンド・ザ・ボーイズ・イン・ザ・バンド」。

M14.Me And The Boys In The Band(4’41”)Zac Brown Band

-Z.Brown-  Zac BrownCollective / BMG  538477552

M15. Foggy Mountain Breakdown(2’41”)

Lester Flatt, Earl Scruggs And The Foggy Mountain Boys    

-E.Scruggs-  Legacy / SONY  19075960422

N  突然のブルーグラス古典曲「フォギー・マウンテン・ブレイク・ダウン」です。これはケン・バ

 ーンズの撮った「カントリー・ミュージック」という映画のサウンドトラック盤からです。これが

 2019年発表ですから映画も今年の作品だろうと思われますが、全く知りませ

 んでした。全体が8つの章に分かれていて、おそらくはこの音楽を歴史的に

 綴ったものでしょう。副題に「ア・ストーリー・オヴ・アメリカ、ワン・ソング・アット・ア・タイ

 ム」とあります。付録の冊子には有名な写真が散りばめられていて、非常に

 魅力的です。おそらくは日本公開されないでしょうが、観たいですね。

M16.I’m So Lonsome I Could Cry(2’44”)

Hank Williams with his Driffting Cowboys 

-H.Williams-  Legacy / SONY  19075960422

M17.Girl From The North Country(3’41”)Bob Dylan with Johnny Cash   

-B.Dylan-  Legacy / SONY  19075960422                                           

N  「カントリー・ミュージック」だったら、絶対出てこなきゃおかしいハンク・ウイリアムズの

 「泣きたいほどの淋しさだ」、そしてボブ・ディランとジョニー・キャッシュの「北国の

 少女」でした。こういう70年代以降のカントリー音楽界がどう描かれているかも、

 大いにきになるところです。早く観たいなあ。

  70年代以降と言いますと、ドリー・パートンたちの活躍も見落とせません。やは

 りこのサントラ盤にも収録されていました。73年の作品です。

  「ジョーリーン」。

M18.Jolene(2’42”)Dolly Parton     

-D.Parton-  Legacy / SONY  19075960422

M19.Jolene(3’21”)Dolly Parton    

-D.Parton-   RCA / Sony 1907589082

N  「ジョーリーン」のオリヂナル、そして先週「トゥー・ドアーズ」を聞いて貰ったアルバム『ダ

 ムプリン』に収められていた、その新しい弦編曲版を続けて聞いて頂きました。

 先週も少し触れていましたが、こんな形で紹介出来るとは考えていませんで

 した。

  さて、映画「カントリー・ミュージック」付録冊子では第六章がこの歌で始まる事に

 なっています。何度も言いますが、「早く観たい」。

M20.Stand By Your Man(2’39”)Tammy Wynette

-B.Sherrill, T.Wynette-   Legacy / SONY  19075960422

M21.I Can’t Stop Loving You(4’14”)Ray Charles

-D.Gibson-  Legacy / SONY  19075960422

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  映画「カントリー・ミュージック」のサントラ盤からタミー・ウィネットで「スタンド・バイ・ヨー・マン」、

 そしてレイ・チャールズで「愛さずにはいられない」でした。これが入ってるのも

 いいですね。サントラは合格よ。

  さて今年背負い込んだ大仕事も、なんとかカタがつきそうです。正直言って 

 疲れ気味。後日談は発表の折にでも、またお話ししましょう。

  あ、チューオーエフエムの生放送、また延期になりました。年越しです。これは私の

 方から提案しました。お年玉になります。また澤田修から詳しいお知らせが

 あるでしょう。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/0e1bbe78be660fb386cc78865b40c0e4dd031d41

  ダウンロード・パスワードは、nr3t7005です。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

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【幻】モーニン・ブルーズ 2019/10/19

mb191019

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようざいます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2019年10月19日を  

 始めましょう。先週の台風の被害が次々に拡大した形で露わになっています。

 皆さんは、大丈夫でしょうか。川崎に住んでいるはずのハギリャウさん、問題な

 いですか。心配です。わたしは雨漏り対策に追われて一晩過ごしました。結

 構大変でしたよ。でも大丈夫です。それよりキョーフの締め切りに追われてまし

 た。

  さあ今日、明日はライヴ・マヂックですね。わたしも出掛ける予定です。会場で

 お会いできますでしょうか。声かけて下さいね。 お天気はどうかなあ。

  好天を祈って、静かに聞いて下さい。

  モダーン・ジャズ・クヲーテットです。

  「朝日のように爽やかに」。

M01.Softly As In A Morning Sunrise(6’25”)Modern Jazz Quartet

-S.Ramberg, O.Hammerstein-  Atlamtic 81976-2

N  モダーン・ジャズ・クヲーテットで「朝日のように爽やかに」、彼らの解散コンサート実況録

 音盤からお送りしました。精緻なアンサムブル、そして演奏を身上としたMJQ、

 この最後の音楽会は、演じる方も、聞く方も、とてもお行儀がよろしい。拍

 手の質も違うように聞こえます。黒人音楽という言葉から連想される荒っぽ

 さは皆無。4人が息を詰めて一音たりとも無神経には鳴らしていません。ただ

 窮屈さは、ないですね。そこが不思議な気持ち良さにつながっているのでし

 ょう。

  もっとも、こんな茶目っ気のある演奏も忘れていません。

  ミルト「バグズ」ジャクスンのオリヂナル作品です、「リジェンダリ・プロファイル」。

M02.The Legendary Profile(4’30”) Modern Jazz Quartet

-M.Jackson-  Atlamtic 81976-2

M03.Two Doors Down(4’06”)Dolly Parton With Macy Gray & DORTHY

-D.Parton-  Sony / RCA  19075899082

N  元気な唄声は、ドリー・パートンとメイシー・グレイ、そしてドロシーというロス・エインジェル

 ズのロックバンドです。これは前にも聞いて貰ったかな。「ダムプリン」という映画

 のサウンド・トラックからでした。音楽はドリー・パートンがイクゼクティヴ・プロデュサーとな

 って制作。今のメイシーやメイヴィス・ステイプルズなど大勢の唄い手と共演しています。

 ジャケットが黒一色で地味ですが、内容は強力。ドリー・パートンはここへ来て、非常

 にしっかりした視点を持って音楽に取り組んでいるのが感じられる 1枚です。

 最後にはヒット曲「ジョリーン」を弦編成だけで唄っていて、この仕上がりにも唄を

 疎かにしない姿勢がはっきりと見えました。

M04.The Old Story(5’25”)オラ・オナブルー

-unknown-  BSMF  5081

N  こちらはナイジェリア人の両親を持って、ロンドンで活動するオラ・オナブルーという唄い

 手です。お聞きのように、既に貫禄も感じさせるヴェテランです。今のラテン調にアレ

 ンヂされた「ディ・オールド・ストーリー」はなかなかに面白い構成でした。唄が上手

 いのが分かります。現在はこういう唄い手が住み難い世の中になりつつある

 ような気がするので、ロンドンのどういう場所でどういう編成でどういう歌を唄

 っているのか、興味がありますね。

  さて、次はこの人です、ブリンキー。

M05.For Once In My Life(2’48”)ブリンキー 

-R.Miller, O. Murden-  BSMF  7592

N  先ずは聴いて頂きました「フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ」、ブリンキーです。この人

 1968年から73年の間モータウンにたくさん吹き込んでいましたが、なぜかその殆

 どが発売には至らず、「幻」の唄い手とも呼ばれていました。お聞きのように

 文句なしの唄です。ゴスペルの出身で、結局はそちらの世界に戻って行きます

 が、モータウンに未発表の沢山の素晴らしい録音がある、と噂されていました。そ

 れが今回一挙に46曲も公開され、真の姿が確認出来る事になりました。

  68年から73年のモータウンと言えば、このデトロイトのレイベルが北米全土へ羽ばた

 いた時期です。ソウル・ミュージック全体も世界を揺さぶるほどに力を付けていまし

 た。次はそんなモータウンらしさが感じられる1曲です。

  「イズ・ゼア・ア・プレイス」。

M06.Is There A Place(In His Heart For Me)(4’00”)ブリンキー

-unknown-  BSMF  7592

N  「イズ・ゼア・ア・プレイス」、幻のブリンキーでした。少々南部的な味わいも感じさ

 せてくれました。いいですね、実に。

  そして、こんなご機嫌なカヴァ・ブルーズが入っていました。

  モータウンを一躍有名にした、バレット・ストロングのヒット曲「マニ」。

M07.Money(3’17”)ブリンキー

-B.Strong, B.Gordy jr.-  BSMF  7592

N  「マニ」でした。アレンヂが良かったですね。今朝はスタンダード、ソウル、そしてブル

 ーズと、彼女の三つの側面を聞いて貰いました。このブリンキーのモータウン・アンソロジー

 は2枚組で、他にも面白いトラックが盛り沢山です。じっくり聞いてまたご紹介

 しましょう。

  次もアッと驚く歴史的録音、なんと1969年のアン・アーバー・ブルーズ・フェスティヴァ

 ルの実況です。ヨーロッパで再発見されて評価を受けていたブルーズ音楽を、アメリカの

 大学生たちが「俺たちだって知ってるぜ」とばかりに開催したブルーズ祭りで

 す。あのマジック・サムの出演した部分は既に紹介されていましたが、今回はほぼ

 参加者全員の録音が発表されました。音は良くありません。かなり酷いです

 けど、伝わってくるものは非常に熱い。こちらも2枚組です。

  今朝はそこから2曲お届けします。両方とも有名な曲ですね。

  若き日のB.B.キングで「絶望の人生」、

  そしてミシシッピ・フレッド・マクダウェルです、「ジョン・ヘンリー」。

M08.I’ve Got A Mind To Give Up Living(5’52”)B.B.King

-trd.- BSMF 7594

M09.John Herny(4’41”)Mississippi Fred McDowell

-trd.- BSMF 7594

N  1969年のアン・アーバー・ブルーズ・フェスティヴァルの実況録音で、B.B.キング「絶望の

 人生」、そしてミシシッピ・フレッド・マクダウェルの「ジョン・ヘンリー」でした。

  さて、今年に入って新譜が少ない、面白いものが出ていない、という状況 

 は半ばボヤキのようにわたしの口から出ます。多分ね、もうCDはじきになく

 なってしまうでしょう。これは避けられない、時代による淘汰です。みんな 

 電話で音楽聞いてんだってね、今は。先日新しくなったバーにオーディオ機器を紹

 介しました。それはそれで良かったのですが、普段はお客の持ってるスマフォで

 音楽を流す、と聞いて唖然としました。わたしの生きているうちに完全にな

 くなってしまうのは、絶対でしょう。しかもこの国は例外的にまだパッケイヂ・

 ミーディアとしてCDが市場を持っているそうですから、他の国の状況は推して

 知るべきです。キッスのポスターを部屋に貼っている訳ではありませんが、世も末 

 ですね。

  ボヤキはこの位にしまして、意外な再会をご紹介しましょう。まず、この歌

 を聞いて下さい。

M10.What’s Wrong With Groovin’(2’50”)Letta Mbulu

-Masakela-  Jazzman Jmancd 004

N  多分誰も分からないんじゃないかな。南アフリカ出身の女性歌手、レッタ・ムブール

 です。アレクス・ヘイリーのテレビ映画「ルーツ」で主題歌を唄って注目を浴びました。そ

 の後A&Mから2枚ほどアルバムを発表していました。両方とも頗る良好でした。

 それ以前のアフリカの唄い手と言えばミリアム・マケーバしか知らなかったわたしですが、

 包容力に溢れた豊かな声量には癒されました。その彼女にまた出会うとは・・・。

  これは「ジャズマン」という独立レイベルのコムピCDで見つけたものです。同じ

 ような名前のレイベルがいくつかありまして、いつ頃どこを本拠にしていたのか

 が現時点では釈然としませんが、音の感じ、楽器編成などから、70年代後期、

 から80年代前期に北米のどこかで制作活動を続けていたのではないでしょう

 か。このレッタの歌が「ルーツ」の前か後かもはっきりしません。ただ、「ジャズマン」

 というレイベルから、今の「ワッツ・ロング・ウィズ・グルーヴィン」というシングル盤を出し

 ていたのは事実です。

  もうひとり、懐かしい名前ですね、フレディ・コール。確かナット・キング・コールの

 お兄さんじゃなかったかな。男性化粧品マンダムのコマーシャル・ソングを唄っていたの

 も彼だった筈です。

  ではフレディ・コールで「ブラザー、ウェア・アー・ユー」、多分電気ピアノも彼が弾いてい

 るのでしょう。

M11.Brother Where Are You(4’48”)Freddie Cole     

-Brown- Jazzman Jmancd 004

N  「ブラザー、ウェア・アー・ユー」、フレディ・コールでした。この『ワッツ・ロング・ウィズ・グ

 ルーヴィン』は12曲入ったコムピ盤。きっとモータウンやアトランティックのようなレイベルを目指

 していたのでしょう。シングル盤だけで、アルバムは出せな今ままに活動停止とな

 ったのではないでしょうか。R&Bヒット狙い、そしてジャズ的なインスト、そしてラテ

 ンまで割と幅広く制作しています。

  では「ジャズマン・レコード」のシングル盤集から、このレイベルの性格を如実に伝え

 るダンス曲、「ヤー、ヤー」。フランク・モトゥリーです。なかなかカッコ良いです。

M12.Ya Ya(3’53”)Frank Motley  

-Motley-  Jazzman Jmancd 004

M13.誰もいない海(2’50”)トワ・エ・モア

-Y.Yamaguchi, N.Haitoh-  ビクター VICL-41311

N  先週の「ジューシィ・フルーツ事件」、意外な反応でしたね。これは面白かった。イリ

 ヤがイリヤ・クリアキンを好きでそう名乗った、という新事実も有難かった。イリヤ・クリ

 アキンというのは「アンクルから来た男」ナポレオン・ソロの相棒で、デイヴィド・マッカラムが

 演じていました。小柄で銀髪、魅力ありましたね。彼にはクラシック音楽の素養も

 あって、棒を振った、指揮をしたレコードを出していた筈です。11歳のわたしの

 部屋には、そのポスターが貼ってありました。おそらくその存在すら、もう誰も

 知らないでしょうがね。

  修がそのイリヤを好きだったイリヤがいたジューシィ・フルーツを知らないなら、もっと

 いっぱい知りそうもないグループを・・・なんて考えたのですが、この時代の

 ロックバンドのレコードをほとんど持っていないという事に気付きまして、修いじめ

 は遂行できませんでした。

  わたしの場合、こういった領域を考えると、それ以前のラジオで耳にしてい

 たヒット曲になってしまうのですね。その昔、生で「アサー」をやっていた頃に、

 リクエスト対策で笹塚の図書館から借りて来てたCDを焼いて持ってまして、それ

 を出してみました。その中に、今の「誰もいない海」が入っていました。「今

 はもう秋・・・」です。

  これらは『フォーク歌年鑑』というコムピ連作で、わたしの手元には1969、70、

 71年の3枚がありました。中学校3年から高校二年生ですね。グループ・サウンズ

 の嵐が去って、さあどうしよう、という頃です。情報源はラジオです。その頃

 聞いていて、まだ覚えている歌がいくつかありました。修は当然知りません

 でしょ。

  次はこれです。70年盤から本田路津子で、

  「秋でもないのに」。

M14.秋でもないのに(3’13”)本田路津子

-A.Hosono, N.Ehado-  ビクター VICL-41311

N  「桜美林大学」という基督教学校の存在を日本中に知らしめたのが、本田路 

 津子です。「そういう大学があんのか」と、新鮮でしたね。町田市にあるのも、

 「ルツコ」っていう名前も良かったな。ちなみに京都産業大学を有名にしたのは、

 あのねのねです。

  それはともかく、本田路津子で「秋でもないのに」でした。これは実はあ

 んまり聞いていませんでした。今回初めて通して聞いたんじゃないかな。ち

 ょっと変わった成り立ちで、よくヒットしたな、というのが実感です。やっぱ「桜

 美林大学」のチカラでしょうか。

M15.マリエ(3’12”)ブレッド&バター

-Y.&F. Iwasawa-  ビクター  VICL-41311

N  今朝のワルツは、「白い恋人たち」からの連想で編曲されたような、ブレッド&バ

 ターの「マリエ」でした。これも『フォーク歌年鑑』の70年盤からです。わたしはそ

 の昔、ラジオからカセットに録音して聞いていました。慌てたので、前後のナレイション

 も一緒に入ってしまって、毎回それも聞いていた記憶があります。泉朱子ち

 ゃんだったかな。

  ブレッド&バターには注目していましたね。タイガーズを抜けた岸部シローが加わった

 り、シンセサイザーを使い出したスティーヴィー・ワンダーと一緒に録音したりしてたはずで

 す。お金持ちで遊んでる感じが嫌味なく漂うふたりでした。そして・・・、

M16.さすらい人の子守唄(3’16”)はしだのりひことシューベルツ 

-O.Kitayama, N.Hashida-  コロムビア  COCA-71110

N  「さすらい人の子守唄」、はしだのりひことシューベルツです。これは69年の盤

  に入ってました。デビュー曲の「風」が大ヒットした次の1枚だった筈です。「今

 度のは、よく考えて作ったから、絶対にヒットする」なんて事を作者のはしだの

 りひこが言ってたのを平凡パンチで読みましたが、「風」ほど当たらなかったな。

  そして次、これがレコードになってるのは今日まで知らなかったのです。

  キャッスル・アンド・ゲイツというグループの「おはなし」。

M17.おはなし(2’39”)キャッスル・アンド・ゲイツ

-M.Tamura-  コロムビア COCA-71110

N  キャッソー・アンド・ゲイツで「おはなし」でした。これはね、子供の頃に顔を出し

 ていたフォーク・ソングの集まりでよく聞かされた歌です。PPM愛好家たちの伝承

 歌だとばかり思っていて、ちゃんとした吹き込みがあるのは知りませんでし

 た。しかも町田義人がキャッソー・アンド・ゲイツの一員だったとは・・・。確かに唄

 声は本人ですね。作者は東大生だとか。こういう歌を優しい人たちが好むの

 はよく分かります。ただ、わたしはあんまり惹かれませんでしたけどね。と

 にかくアッと驚く「おはなし」、でした。

M18.昭和ブルース(3’48”)ザ・ブルーベル・シンガーズ

-M.Yamagami, M.Satoh-   コロムビア COCA-71110

N  突然出て来た『フォーク歌年鑑』から、ザ・ブルーベル・シンガーズで「昭和ブルーズ」

 でした。ブルーベル・シンガーズっていうのはフォーク・グループだったのか。わたしは

 ロス・プリモスみたいなムード歌謡グループだと思ってました。次のも歌謡曲だよなあ。

  1968年のカンツォーネコンクールで優勝した高田恭子です。

  「みんな夢の中」。

M19.みんな夢の中(3’15”)高田恭子      

-K.Hamaguchi-  コロムビア COCA-71110

M20.Goin’ Out Of My Head(2’11”)Wes Motgomery    

-T.Randazzo, B.Weinstein-  Verve 825 676-2

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N   最後はウェス・モンゴメリで「ゴーイン・アウト・オヴ・マイ・ヘッド」でクールダウン、オリヴァ・

 ネルスンの編曲でした。『フォーク歌年鑑』の69、70年盤から、「幻」では珍しい種類

 の音楽を数曲お届けいたしました。ま、秋のナツメロです。お楽しみいただけま

 したか。

  あー、良かった。今週はお送り出来ないんじゃないかというキョーフがありま

 した。全然準備が整わなくてね。今、ホッとしています。無断欠勤はいけませ

 んものね。あ、中央エフエムの放送日が延期になってしまいました。ビルの工事が

 あるみたいです。修から正式な通達があるでしょう。12月になります。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/286c7f87551c41d8a1a7405bce541e9092ef5d0b

  ダウンロード・パスワードは、enijgftmです。

  今朝も無事、ちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

  今日、明日はライヴ・マヂックでお会いしましょうね。

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【幻】モーニン・ブルーズ 2019/10/12

mb191012

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようざいます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2019年10月12日を  

 始めましょう。

  私事ではありますが、ここのところある仕事に追いかけられております。

 時間的に忙しい状態は、もう数年経験していないので毎日が大変です。机の

 上、その周りも散らかり放題。実はこれが嫌でね。ただここ数週間の奮闘で

 ある仕事にもようやく出口の明りが見えて来ました。あと少し、なんですが、

 やり残した場所は、結局のところ難しい。だから後に回された、というのが

 事実ですね。週明けにはスッキリしていたいです。無言のエールを送って下さい。

  さてグリ子さんから「大好きなアルバム」だというお言葉をいただきました。

 スティーヴィー・ワンダの2枚組大作『ソングズ・イン・ザ・キイ・オヴ・ライフ』から、今朝

 はオリヂナル仕様です。

  「可愛いアイシャ」。

M01. Isn’t She Lovely( (6’34”) Stevie Wonder

-S.Wonder-  Motown 157 357-2  

N 「可愛いアイシャ」、スティーヴィー・ワンダでした。簡単な繰り返しがずっと続いて6

 分34秒、これを持たせているのは愛娘がスティーヴィーと遊んでいる時の音声でし

 ょう。ハモニカのソロもなかなかに素敵。長過ぎる感じはしません。

  次も6分を超える録音作品です。1980年代に入ると1曲の長さがどんどん 

 伸びて、LP収録が片面3曲づつなんてのが珍しくありませんでした。ダンス・

 フロア仕様で長くなっているという、弁明の余地はありますが、やはり全体傾向

 として長時間化の波はあちこちに見られました。こう行ったダンス物は、カッコい

 いリズムを弾き出せば、それが単純にずっと続くだけで気持ち良くなれます。

  先々週もお届けしたバーケイズです。

  「ドゥ・イト(レット・ミー・シー・ユー・シェイク)」。

M02.Do It(Let Me See Your Shake)(6’03”)Bar-Keys 

-Bar-Kays A.A.Jones,M.Toles- Robinsongs ROBIN20CDD

N  スタクスでオーティス・レディングのバンドとして演奏していた頃とは全く別のグループに

 なった、80年代のバーケイズで「ドゥ・イト(レット・ミー・シー・ユー・シェイク)」でした。

  驚くほど後のプリンス的ですが、果たして彼はこの頃のバーケイズを聞いていた

 のでしょうか。大いに気になります。しかし時すでに遅きに失したようです。

  さて、偉そうに「まだ1字も書いていません」などとお話ししたエリス次号

 の原稿は、先月中に納めました。そこでは以前「幻」でも聞いて貰った喜多

 嶋修の『ジャスティーン・ヒースクリフ』を採り上げて、旧聞に過ぎない考察をしました。

  1980年代以降彼がロス・エインジェルズで和楽器を使ったフュージョン的な音楽を作っ

 ている話はわたしも耳にしていましたが、実際にしっかりと聞いた事はあり

 ませんでした。以前喜多嶋修を評して、「俺ね、外国へ出て日本人のアイデンティテ

 ィを云々する奴、大嫌いだ」という意見を聞かされた事があります。この発言

 には一理はあると認めます。ただ、特に戦後のアメリカ支配の下で欧米化を是と

 して生きて来た人間にとって自らの存在性は、日本の外へ出るという切っ掛

 けがないと考えられなかったのではないでしょうか。

  『ジャスティーン・ヒースクリフ』と和楽器フュージョンの間には、わたしたちにも充分に関

 係して来るアイデンティティの問題が横たわっていると感じまして、採り上げた次第

 です。あ、ここまでは書いてなかったかな。どっちかと言うと同時代体験し

 たザ・ランチャーズの話の方が多かったでしょうか。エリス、次の号は11月には公開

 となります。またお伝えしますので、ぜひお読み下さい。

  では日本でもフォーライフ・レコードから国内盤が出ていたオサム・キタジマです。

  「アメレイジアン」。

M03.Amerasian Blues(4’18”)Osam Kitajima 

-O.Kitajima-  フォーライフ  28K-86 

N  「泣かないで  もうひとりじゃない」と唄う日本語のリフレインが繰り返される

 オサム・キタジマで「アメレイジアン」でした。これは1985年発表の『フェイス・トウ・フェイス』

 と言うLPからです。

  そしてその14年前に東芝音楽工業のスタジオに密かに潜り込んで重ねた試行

 錯誤の成果が『ジャスティーン・ヒースクリフ』でした。これはなんとアトランティック・レイベルで、

 ワーナー・パイオニアから発売となりました。

  お聞き頂きましょう、シングル盤となった

  「グッド・バイ」。

M04.Good Bye(2’08”)Justin Heathcliff

-J.Heathcliff-  ワーナー  WPCL-12524

N  2分8秒と大変に短い「グッド・バイ」、ジャスティーン・ヒースクリフこと喜多嶋修でし

 た。この時の録音作業は、喜多嶋修が吉野金次というエンジニアと行なっていま

 す。彼は当時、東芝音工の社員でした。新しい録音作業を目指していて、同

 じように新しい時代を音楽面から模索していた喜多嶋修と意気投合。使って

 いないスタジオを無断で使って、録音制作を追求していました。今の「グッド・

 バイ」の冒頭部のギターの音、良かったですね。これはふたりの潜り込み録音の

 成果でしょう。レコードの音してます。

  喜多嶋修と吉野金次は数ヶ月以上、この作業を続けます。今聞くとデモ・テイ

 プ段階、と言い切ってしまえますが、流石に個々の音は良く、これが切っ掛

 けで吉野は、はっぴいえんどの『風街ろまん』の録音に誘われたそうです。

  これらの録音はワーナー・パイオニアという新進気鋭の東芝にとっては敵対会社か

 ら発売されました。どこでどうなったかは知りませんが、吉野はスタジオ無断使

 用と他社の音源制作に加担したかどで、質された挙句にクビとなりました。

  まあ当然でしょう。ただその事が彼を自立した録音技師としての一本立ち

 に繋げたのは大きい。日本の音楽界にとってもです。こんな背景を想像しな

 がらまとめた今回の考察、普段よりも長めになっています。

  さて、その原稿を書くにあたっては、喜多嶋修関係の録音素材をザ・ランチャー

 ズ時代からひと通り聞きました。

  改めて聞き直してとても印象に残った1曲がこれです。

  「想い出のジュリエッット」。

M05.想い出のジュリエッット(2’36”)ザ・ランチャーズ

-T.Mizushima, O.Kitajima- 東芝EMI CT25-5570

N  「想い出のジュリエッット」、ザ・ランチャーズでした。ランチャーズ時代の喜多嶋修作品を 

 聞いていて、気づいた事があります。それは今の「想い出のジュリエッット」のよ

 うに、3拍子、ワルツの楽曲が多い事です。彼らが発表した2枚のLPの中に、

 合計6曲もありました。普通ですと全て4拍子でもおかしくはないのですが、

 これはちょっと珍しい。カントリーの世界でよく聞かれるように、3拍子はある種

 の雰囲気を作るのには便利です。ただし若き喜多嶋修の場合はそういう安易

 な手法ではないように感じました。

  さてでは有名なワルツをお届けしましょう。

  ディズニーの漫画映画、「白雪姫」から、「いつか王子様が」

  今朝はビル・エヴァンスのピアノでどうぞ。

M06.いつか王子様が(4’50”)ビル・エヴァンス    

-Morey, Churghill-  ビクター VICJ-60291 

N  マイルス・デイヴィスの演奏で知られる「いつか王子様が」、ビル・エヴァンスのピアノ、

 スコット・ラファロがベイス、そしてポール・モチアンがドラムズでした。今週ディズニーの漫画映

 画「シンデレラ」のオリヂナルを再び観まして、義理の姉ふたりが何て上手に意地悪

 く描かれているんだろうと感心しました。そしてその場面で流れていた「夢

 は密かに」に非常に良く似たこの音楽を、聞きたくなった次第です。

  ビル・エヴァンスがこの曲を取り上げたのは、実はマイルスよりも早いんですね。 

 当時ふたりは近い関係にありましたから、そこからマイルスは楽曲情報を入手し

 たのかもしれません。

  ふたつのカヴァを比較しますと、ビル・エヴァンスの方は数ある楽曲のひとつとし

 て素材的に扱っていますが、マイルスは固有の雰囲気を創り出すための特別な1

 曲という意識が感じられます。その頃から彼は「サウンド」という概念を持って 

 いたのですね。『ラウンド・ミドナイト』の解説にそんな事が書いてあって、その昔、

 妙な納得をしていたのを思い出しました。

  さて、子供向けの映画音楽からジャズ演奏で有名になった楽曲には「わたし

 の好きなもの」というのがあります。こちらもワルツで、ジョン・コルトレインが1961

 年のアルバム表題曲にしていました。この頃からコルトレインは神様とお話をし始めた

 ように感じられます。ジャケット写真でソプラノ吹いてるしね。

  だいぶ長い演奏ですが、聞きましょう。

  ジョン・コルトレインです。

  「わたしの好きなもの」。

M07.My Favorite Things(13’41”)John Coltrane

-R.rodgers, O.Hammerstein-  Atlantic 1361-2    

N  「わたしの好きなもの」、相良直美ではなくて、ジョン・コルトレインでした。マッコイ・ 

 タイナーがピアノ、スティーヴ・デイヴィスのベイス、ドラムズはエルヴィン・ジョーンズでした。

  長い器楽曲の後にはオーソドクスな男性ヴォーカルをどうぞ。

  「ハイ・デ・ホー」、

  ブラッド、スウェット、アンド・ティアーズ、フィーチュリング・デイヴィッド・クレイトン・トーマスです。

M08.Hi-De-Ho(4’27”)Blood Sweat & Tears

-C.King- Columbia 8869745532  

M09.シャ・ラ・ラ(3’41”)アラ・ニ

-unknown-   PCD -24882

N  スティーヴ・カッツのハモニカが良かったですね、「ハイ・デ・ホー」、ブラッド、スウェット、アンド・

 ティアーズ、フィーチュリング・デイヴィッド・クレイトン・トーマスでした。これはやはり漫画映画

 「白雪姫」の七人の小人が唄う「ハイ・ホー」にひっかけたつもりですが、空振

 りだったようです。続けましたのは、アラ・ニの「シャ・ラ・ラ」、ローリー・アンダスンを

 連想させる仕上がりです。他のトラックもこんな感じなのでしょうか。少々気に

 なります。

  冒頭で部屋の中が大変に散らかっているというお話をしました。この1ヶ

 月間、引っ張り出したCDやレコードもそのままでね。正直いうとこういうのは

 大嫌いなんですが・・・。

  そんな折に限って、「あ、これは聞いてなかったな」というようなアルバムに

 出会うのです。今回はZEのコムピレイションに出会いました。わたしが一目置いて

 いる制作者のドン・ヲズが世に出る切っ掛けとなったグループ、ヲズ(ノット・ヲズ)が

 所属していた1970年代後期のインディペンデント・レイベルです。ポスト・パンク時代の

 音楽の領域がはっきりとしなくなる頃の興味深い音楽が一杯入ってました。

 この頃わたしは黒人音楽しか相手にしなくなっていまして、ヲズ(ノット・ヲズ)の

 ジャケットは覚えていますが、まともに聞いたことはなかったですね。ドン・ヲズ

 がベイス奏者だったなんて知ったのは2年程前ですから。今朝初めて聞きます。

  ヲズ(ノット・ヲズ)で「テル・ミー、ザット・アイム・ドリーミング」。 

M10.Tell Me That I’m Dreaming(6’29”)Was(Not Was) 

N  ヲズ(ノット・ヲズ)で「テル・ミー、ザット・アイム・ドリーミング」でした。本もレコードも仕

 舞う時が重要。次に探す時の事を考えて、正しい位置に戻しましょう。あー、

 片付け、掃除をしたいなあ。

  それはともかく、先日澤田修と話をしていたら、なんとあいつはジューシィ・フル

 ーツを知りませんでしたのよ。話がそこで進まなくて困りました。知らないか

 なあ・・・。「四歳ですよ、その頃」と言われてもねえ。

  それで今朝は品川図書館から借り出した2枚組『シングル・コレクション』からお届

 けしましょう、ジューシィ・フルーツ。   

M11.ジョニーはご機嫌ななめ(3’47”)ジューシィ・フルーツ    

-Y.Okita, H.Chikada- コロムビア COCP-38614/5

N  ジューシィ・フルーツ、まずは大ヒット曲「ジョニーはご機嫌ななめ」1980年6月です。

 知らないかなあ。わたしですらちゃんと覚えてる。と言ってもテレビで唄って

 るのをチラリと観た程度です。この歌の「宇能鴻一郎のポルノ小説をバブルガム音楽

 で表現したかった」という制作者、近田春夫の考えには脱帽でした。でも考

 えてみると、他の歌はひとつも知らない。今回この2枚組『シングル・コレクション』

 を通して聞きましたけれど、正直にいうと恥ずかしかったですね。ことばも

 音もあまりに稚拙。これで良かったのかなあ、という思いが強くします。そ

 んな中で、次の「I.C.B.M.」は、何度か聞けました。このくらいの質で迫って

 くれなきゃね。あんた達、主体的なロック・バンドでしょ。

M12.I.C.B.M.(3’48”)ジューシィ・フルーツ      

-T.Miura, T.Takagi-  コロムビア  COCP-38614/5  

N  ヒューマン・リーグのヒット曲「愛の残り火」を連想させる「I.C.B.M.」でした。これ

 はいいね。ヒットしたかどうかは不明です。多分不発だったでしょう。

  だったらこれはどうだ。

M13.そんなヒロシに騙されて(3’14”)ジューシィ・フルーツ  

-K.Kuwata-  コロムビア COCP-38614/5

N  「そんなヒロシに騙されて」でした。ジューシィ・フルーツはやっぱりグループ・サウンズ

 だったのか。

  当初は近田春夫のバンドだった、というのも解説を読んで知りました。わた

 しはマンキズ的にオーディションを通過して集められたメムバで組まれた完全なヒット製造

 グループだと思っていまして、だからこそ何やっても許してあげていたのです。

  それとは別に今回この2枚組『シングル・コレクション』で見つけた珍しいカヴァ曲が

 ありました。それはセルジュ・ゲンズブール作、フランス・ギャル唄の「夢見るシャンソーン人

 形」です。経緯は知りませんが、訳詞を変えて唄っています。大手レコード会社

 の間でこういう形は異例です。通常では最初の訳詞が「定訳」と呼ばれて固

 定され、それ以外は認めないというナンセンスお約束がありますから。フンサーイ。

  ではジューシィ・フルーツです、「夢見るシェルター人形」。唄は山本リンダ風です。

M14.夢見るシェルター人形(2’23”)ジューシィ・フルーツ    

-S.Gainsbourg, T.Chiaki-  コロムビア COCP-38614/5 

M15.夢見るシャンソン人形(2’33”)フランス・ギャル   

-S.Gainsbourg, T.Iwatani-  コロムビア COCP-39523

M16.枯葉(5’19”)ビル・エヴァンス     

-Prevert, Mercer, Kosma-  ビクター VICJ-60291 

TM Born In Chicago 「アサー入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  4歳児に送るジューシィ・フルーツ集、「夢見るシェルター人形」の次は、岩谷時子の定訳

 で「夢見るシャンソン人形」フランス・ギャルでした。

  最後は先ほどのビル・エヴァンスのLP『ポートレイト・イン・ジャズ』から、季節を考

 えて「枯葉」のモノーラル仕様でした。とはいえ、今日明日は台風19号の直撃を

 受けそうです。みなさんどうぞ充分にお気をつけ下さい。

  還暦ドライヴァさま、「全てのヒット曲は『ラ・バムバ』の焼き直しだ」、と言った

 のは、ダグ・モリスというワーナーミュ-ジックの役員だった男です。これをネタにラジオ日本

 の宮地ジュンの番組を乗っ取ったの、聞いてくれましたよね。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/c886a132229bf0e0fee6f91b776bc36c05ebcf4d

 ダウンロード・パスワードは、bympwesj です。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

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【幻】モーニン・ブルーズ 2019/10/05

mb190105

前TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

N  おはようざいます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2019年10月5日を  

 始めましょう。涼しくなりました。明日は「真夏日」の予報も出ていますが、

 陽が落ちたらきっと寒くなりますよ、お気を付け下さい。

  音楽をゆっくり聞くにはいい気候です。もっと沢山聞きましょう。この「幻」

 がその手助けになれれば、幸いです。

  始めましょう、ラッキー・ピータスンです。

  「ブルーズ・フォー・ウエス」。

M01.Blues For Wes(4’43”)Luckey Peterson

-P.Peltuccian-  Jazz Village JV 570135

N  「ブルーズ・フォー・ウエス」、先週お届けしたアルバム『ジミー・スミスに捧ぐ』から最終

 曲、ラッキー・ピータスンでした。ここでのオルガン演奏は本物ですね。レズリー・スピーカの

 早回しも非常に効果的でした。この楽器は両手両足が全部バラバラの動きをし

 ます。上下の鍵盤、音色操作、回転スピーカの調整、左足のベイス鍵盤、右足のヴ

 ォリウム・ペダルです。それも頭脳からの指令で動くのでは遅い。4つの肉体部位

 が自律的に、勝手に仕事をしてくれなくては素早い表現は無理です。ラッキーは

 実に器用に全てをこなしていました。

  ヌー・ヨークのブルー・ノート・クラブでリチャード・グルーヴ・ホームズを聞いた時は、面白い

 出来事がありました。終演後白人客が舞台に進み出て、ギタリストに「どこにベイ

 ス」奏者がいるんだ、と尋ねるんです。「この足鍵盤だよ」と説明しても納得

 しない。「ここにベイス・アムプがあるじゃないか」と食い下がります。グルーヴ・ 

 ホームズはベイス鍵盤の音を専用の、アムペグB-15で出してましたからね。「へー、

 こんな分からず屋がまだいるのか」とわたしは見物していました。しつこか

 ったですよ、相当に。

  今の楽曲はオルガンとの相性が良かったウエス・モンゴメリに捧げられたブルーズ・ナムバ。

  ウエスのヤクザっぽさが漂う仕上がりでした。

  ウエスといえば、A&Mの3枚で弦楽器と合わせたりして、とても分かり易く

 優しいジャズで日本でも人気者になりました。でもここ2〜3年で発掘された 

 未発表録音でも分かる通り、もっと男臭い味わいも魅力です。「幻」でも再三

 ご紹介して来ました。まだその延長にあるヴァーヴ時代がわたしは好きですね。 

  特に割と無視されているオリヴァ・ネルスンやドン・セベスキーのアレンジでビッグ・バンド

 と吹き込んだイージー・リスニング路線にダンディズム、伊達男気質を感じます。

M02.Naptown Blues(3’08”)Wes Montgomery

-W.Mongotmery-  Verve 825 676-2  

N  オリヴァ・ネルスン編曲、ウエス・モンゴメリのギターで「ナップタウン・ブルーズ」でした。

  格好いいでしょう。これは子供の頃に聞いていたヒットパレイド番組のヌーズ部分

 のバック・グラウンド・ミュージックで知りました。A&Mへ移る前のウエスを聞いていた

 なんて、なかなかの制作ディレクタですね。

  では同じ時期のウエス・モンゴメリでもう一曲、

  今度は「ヒアズ・ザット・レイニイ・デイ」、こちらの編曲はドン・セベスキーです。

M03.Here’s That Rainy Day(4’50”)Wes Montgomery

-J.Burke, H.V.Heusen-  Verve 8219 85-2  

M04.Hang On Sloopy(3’03”)Ramsey Lewis  

-B.Rssel, W.Farrell-  MCA MCAD-20488

N  ウエス・モンゴメリの「ヒアズ・ザット・レイニイ・デイ」に続けましたのは、先週新譜から

 お届けしたラムジー・ルイスで「ハング・オン・スルーピー」です。タクシ・ドライヴァ45979さ

 んが素敵な反応をしてくれまして、御礼申し上げながらお送りしました。

  これは大ヒットの「ディ・イン・クラウド」の入っている実況録音盤収録の1曲です。

 お客さんの反応が熱狂的。これはわたしもずっと何故なんだろうと考えて、

 もう30年。まだ解決していません。ラムジーがそんなに人気あったのか、収録

 されたワシントンD.C.のボヘミアン・キャヴァーン・クラーブがやたら盛り上がるスポットだった

 のでしょうか。特にラムジーたちは唄がありませんから、その分お客さんたちが

 全員、大声で唄ってる。これ白人ビート・グループ、マッコイズのヒット曲ですよ。

 何で知ってるんだろう。ラムジーはいつもの集団ピアニシモ奏法で彼らを煽って、

 ノリノリの演奏を続けます。計り知れない生命力が溢れている実況録音です。

  さて先週も器楽曲が多かったのですが、今朝もその流れで来ています。

 冒頭の「ブルーズ・フォー・ウエス」が2017年で他は1960年代中期の録音でした。

 ここらで新しいものも聞いておきましょう。楽器編成はあまり変わりません

 からそれほどの違和感はないでしょう。そういうものを選びました。

  イギリスの若手サクスフォン奏者、ビンカー・ゴールディングの新作から

  「アンド・アイ・ライク・ヨー・フェザーズ」。

M05. … And I Like Your Feathers(5’38”)ビンカー・ゴールディング

-unknown- BSMF 5079

N  ビンカー・ゴールディングで「アンド・アイ・ライク・ヨー・フェザーズ」でした。この新譜

 『アブストラクション・オーヴ・リアリティ・パスト・アンド・インクリーディボー・フェザーズ』という

 長い表題です。演奏しているのは、サクスフォンのビンカー・ゴールディング他、ジョー・アー

 モン・ジョーンズがピアノ、ダニエル・カシミールのベイス、そしてサム・ジョーンズがドラムズのクヲー

 テット編成。お聞きのようなオーソドクスな響きが全てではありますが、かなり良い。

 特にビンカー・ゴールディングの考えながら吹いているようなサクスフォンが、こちらにも

 思考を促します。今朝は最も短い演奏時間の、ちょっと変わったリズムを持っ

 た「アンド・アイ・ライク・ヨー・フェザーズ」でした。

  さて、先々週、先週とお届けしたミルト・ジャクスンとモンティ・アレグザンダ・トリオの演

 奏で、ジェフ・ハミルトンというドラマーが気になりました。短いバースのソロがとてもい

 い感じだったのです。それでちょっと調べましたら、既に何枚もリーダー・アルバ

 ムを出していました。

  今朝は2018年にキャーフォーニャはサン・ペドロのアルヴァス・ショウ・ルームで録音された実

 演をお聞きください。

  まず「イン・ヲークト・バドゥ」です。

M06.In Walked Bud(6’33”)Jeff Hamilton Trio

-T.Monk-  Capri Records CAPRI 74147-2  

N  キャーフォーニャ、サン・ペドロのアルヴァス・ショウ・ルームで録音されたジェフ・ハミルトン・トリオで

 セロニアス・マンク作の「イン・ヲークト・バドゥ」、ジェフ・ハミルトンのドラムズ、左手の使い方が

 素晴らしいタミ・ヘンデルマンがピアノ、ベイスはクリストファ・ルーティでした。短かったけれど、

 ドラムのソロ、小味が効いていましたね。先のビンカー・ゴールディング・クヲーテットもそう

 でしたが、こういう60年前の楽器編成が今も続いていて、C調で保守的でな

 い、新しい表現が生み出されているのには感動します。

  ではジェフ・ハミルトン・トリオ、もう一曲どうぞ。ここでも短いけれど面白いドラム・

 ソロが聞けますよ。

  「ベニッシーモ」。 

M07.Bennissimo(4’37”)Jeff Hamilton Trio

-T.Hendelman-  Capri Records CAPRI 74147-2

N  ジェフ・ハミルトン・トリオで「ベニッシーモ」でした。こういう中道的なジャズを、実は

 わたし、ここまであまり聞いて来なかったのです。普通は十代半ばでこの手

 のジャズとか映画や旅行に親しむきっかけができて、教養や見聞が見聞が広く

 なるのですが、わたしは個人的に貧しかったせいもあって、その種の世界と

 無縁で育ちました。結果としてこのようなムキョーヨー人間になったわけですね。

 器楽曲と言えば、安っぽいR&Bやロックのインストとかが気になって、ジャズは分か

 らず終い。たぶん今もその後遺症は残っている筈です。

  なので、今こうやって当たり前の編成で創造的な新しい世界を作り出して

 いるジャズが非常に新鮮に聞こえて来ます。ここまでにいろいろと懲りている

 ので、新しい音楽領域には踏み出さないようにして来ましたが、そうも行か

 なかったようです。しかもそれがストレイトなジャズだなんて、ちょっと可笑しい。

  さて、ツイターにはポークパイさんから、ジェフ・ハミルトンを発見した『ソウル・フュージョン』

 は「イズント・シー・ラヴリーが、またいいですよね」と頂きました。そうです、良

 いのです。みんなで聞きましょう。

  ミルト・ジャクスンとモンティ・アレグザンダ・トリオで「可愛いアイシャ」。

M08.Isn’t She Lovely(4’57”)Milt Jackson Monty Alsxander Trio

-S.Wonder-  Pablo OJCCD-731-2

N  ミルト・ジャクスンとモンティ・アレグザンダ・トリオで「イズント・シー・ラヴリー」でした。

  このカヴァは今回『ソウル・フュージョン』を聞くまで知りませんでしたが、「可愛い

 アイシャ」にはもうひとつ面白いカヴァがあります。それを思い出したのですが、 

 いま手元にないので、ちょっと待ってて下さい。じきにお届けしますからね。

  この歌はスティーヴィー・ワンダの二枚組『ソングズ・イン・ザ・キー・オヴ・ライフ』収録

 です。日本では短い仕様でシングルが切られたのかな。わたしがこの仕事に就い

 た時はこの大作が発売になった直後で、そこら中で大騒ぎになっていました。

  正直この大作は「鋏で摘んで1枚にしても良いんじゃないかな」程度に聞

 いていました。周囲では絶賛の嵐が長いこと止まず、スティーヴィーも神様になり

 かけていた頃ですね。

M09.Love’s In Need Of Love Today(7’05”) Stevie Wonder

-S.Wonder-  Motown 157 357-2   

N  その二枚組『ソングズ・イン・ザ・キー・オヴ・ライフ』の冒頭曲「愛という名の伝説」

 でした。これはオーティス・クレイが2回目に来た時にアンコールで唄っていた筈です。

 同じショウでそこまで唄っていたディープ・ソウルとは明らかに違う音楽であるのは、

 音が出た瞬間に分かりました。確か1回目の時もコモドアーズの「イージー」を唄っ

 てた筈です。クレイは黒人間の流行音楽としてモータウンを捉えているんだな、など

 と生意気な事をその頃考えていました。

M10.カンザス・シティ(3’30”)リビー・タイタス

-J.Leiber, M.Stoller-  ソニー SICP 4966  2   

N  先週、ちょっと前の映画の「レナードの朝」というのを観ました。ロバート・デニ

 ーロが主演の精神疾患の人たちを描いた作品です。ある新薬を使い障害が治り

 そうになる、という筋立てで、わたしは製薬会社が出張って来て悪者になる

 のかなと思いながら見ていましたが、そうではありませんでした。

  終わってエンドロールを見ていたら、「あれ」という名前が「クラブ・シンガー」とい

 う役で出て来たんです。精神疾患の人たちが集団で外出しまして植物園を見

 学します。ただそれが皆んなには不評で、結局は町のダンスホールで大騒ぎをして、

 全員が息を吹き返す事になるのです。そこで唄っていた女性歌手の名前とし

 て出て来たのが「Libby Titus、リビー・タイタス」でした。

  この名前は絶対知ってるぞ、といろいろ思い出そうとしましたが、肝心の

 歌が出て来ません。それで調べたら、LPジャケットを見つけました。これははっ

 きり覚えています。中古盤屋でもよく見たな。たぶん仕事に入りたての頃、

 何度か使った筈です。ただ声も楽曲も出てこない。興味は深まる一方なので、

 思いきって手に入れました。国内盤ですから解説が付いてます。それを読ん

 でクリビツテンギャウ。このヒト、リヴォン・ヘルム、ダクタ・ジョンと繋いで、今はダナウ・フェイゲ

 ン夫人なんだそうです。しかもリヴォンの前には別の男がいて、結婚してるんで

 すね。確かに美形ではありますが、それだけじゃここまではね・・・。傾向

 としては実に嫌な言葉ではありますが、「ハイスペック」な男が好みみたい。最初

 の夫も化粧品会社のオンゾーシだったらしいです。

  その割には話題にならなかったですね。知ってましたか。彼女は70年代後

 半に大挙出現した女性シンガ・ソングライタのひとりとして、比較的恵まれた制作環

 境にいたようです。このLPもロビー・ロバートスン、ポール・サイモン、アル・クーパー、そし

 てフィル・ラモーンやジェイムズ・テイラーたちが絡んでます。更にはマネジメントがボブ・ディラ

 ンを抑えていたアルバート・グロスマンと来れば、当時のCBS系の名士録です。さて

 は他にも・・・と、どうしても考えてしまいます。

  今お聞き頂きましたのは、ポール・サイモンがプロデュースした「カンザス・シティ」でし

 た。次はリンダ・ロンスタトが取り上げた彼女の作品。これは聞いたことありました。

  「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」、そいう事なんですね。

M11.ラヴ・ハズ・ノー・プライド(3’54”)リビー・タイタス

-L.Titus, C.Simon-  ソニー SICP 4966   

M12.ハート・ストリング・ハーモニー(4’48”)レイディ・フリークエンシー   

-unknown-  Pヴァイン PCD 24886

N  さてカレンダを2019年に戻して、新しい音楽です。レイディ・フリークエンシー「周波数

 女」と名乗る、キャーフォーニャのヴェンチュラから出て来た音楽家です。たぶん録音周辺

 機器を上手に操れるか、そういう男が側にいると思わせますが、今の「ハート・

 ストリング・ハーモニー」ではずっと同じパタンで続く短いリフの上で、豊かな旋律展開を

 聞かせてくれました。アルバム聞いてみたいですね。「周波数女」本人にも興味

 が湧きました。

  さて、実に久しぶりにPファンクを聞きました。思い出すあるひとつの切っ掛

 けがあったのですけれどもね。たくさん出ていたジョージ・クリントン関係の音楽を

 わたしは全て聞いて来た訳ではありません。特に90年代以降は全く聞いてい

 ないと言っていいでしょう。

  ただしファンカデリック、パーラメントによる波状攻撃で白人社会を揺さぶった70年代

 の力は確かに凄かった。多分に薬物と関係が深く、自らが作り出したコミック・

 ファンクという難解な世界に迷い込んでしまった感もあります。わたしには未だ

 に分からない部分だらけです。ただし「ファンク」という概念をモチーフにして展開

 した革命思想には惹かれるところがあります。全盛期の音楽は決して色褪せ

 る事はないでしょう。

  アメリカ合衆国で維新を試みたPファンク活動の合言葉だったこの歌を今、聞いて

 みます。

  「ピーファンク、ヲンツ・トゥ・ゲット・ファンクド・アップ」。

M13.“P-Funk(Wants To Get FunkedUp)”(7’34”)Parliament  

-G.Cllinton, B.Worell- Casablanca / Poly Gram 822 637-2

N  パーラメントで、「ピーファンク、ヲンツ・トゥ・ゲット・ファンクド・アップ」でした。単純な繰り

 返しにノセられますが、聞く度に何か考えさせられるような気にもなります。

  さて、1日から消費税10%が施行されました。1割というのは相当な税率

 です。それを誤魔化す為の仕組みの複雑さといったらありません。それをた

 だのネタにして時間や紙面を埋める忖度ミーディアのみっともなさ。新聞の低減税

 率作戦も茶番ですね。そもそもそんな言い訳、罪のがれ的な制度を持ち込む

 事の恥ずかしさを、セージカたちは認識しているのでしょうか。でも本当に悪い

 のは、彼らを選んだわたしたちなのです。

  わたしは断じて現金です。やはり現ナマが一番。チャック・ブラウンを呼びましょう。

  「ウィ・ニード・サム・マニ」。

M14.We Need Some Money(8’18”)Chuck Brown  

-C.Jackson-  VAP 007-2

M15.Sanose(3’53”)Ali Hassan Kuban    

-trd. A.H.Kuban-  Piranha Music CDPRIR1575  

後TM Born In Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

N  さて、現金主義の次、今朝の最後はエジプトのアリ・ハサン・クバーンの「サノセ」でし

 た。これも今週、思い出す事がありまして、久しぶりに聞きました。割とす

 ぐに記憶は甦りまして、違和感もなかったですね。2001年の作品ですから、

 まだほんの18年前ですし、これを思い出せないんじゃもうお仕舞いかな。

  今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

http://firestorage.jp/download/2f5255226f3695b36f450c0ee95a40e7fc71e12f

  ダウンロード・パスワードは、fr27s1vrです。

  今朝もちょうど時間となりました。

 こちらは、http://osamusawada.com/category/mornin-blues-by-isaowashizu/

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。

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